OVER×GODDESS〜異世界童話〜   作:Ark’s

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見切り発車の初投稿です。
読み専でしたが私自身が読みたいと思った組み合わせのオバロ二次を自己満で作ったのが本作です。
拙い文章ですがどうぞよろしくお願いします。




リアル世界
プロローグ ーー転生ーー


 私の前世の記憶が蘇ったのは、小学校に上がる少し前の、春の穏やかな日だった。目覚めた瞬間、脳裏に流れ込んできたのは、知らないはずの都市の風景や、電脳空間を漂うような奇妙な映像。最初は夢だと思った。だが、それはあまりにも鮮烈で、まるで昨日のことのように現実味を帯びていた。

 

「……何、これ?」

 

 ベッドの上で身を起こし、ぼんやりと天井を見つめる。私は白原百合。名家のお嬢様として、何一つ不自由なく育ってきた。この穏やかな世界こそが私のすべてだった。それなのに、私の中には、この世界とは全く異なる記憶が混在している。次第に私は理解し始めた。これは夢ではない。これは、前の人生の断片。私は二度目の人生を歩んでいるのだ、と。

 

 新しい世界は、一見、完璧に整えられた箱庭のようだった。私たちが暮らすのは、アーコロジーと呼ばれる巨大な完全環境都市。そこでは、清浄な空気を吸い、透明な水を飲み、豊かな食事を楽しむことができた。私の生まれた白原家は、その中でもトップクラスの家柄で、私たちは何一つ不自由を知らなかった。窓の外に広がるのは、手入れの行き届いた公園と、きらびやかな高層ビル。毎日が絵に描いたような穏やかさだった。

 

 しかし、その完璧な世界には、常に影がつきまとっていた。

 

 ある日、通学バスの窓から、アーコロジーの外周部が見えた。灰色の空の下、防毒マスクをつけて必死に働く人々の姿。彼らの顔は、マスクに覆われて見えない。だが、その背中が、重い疲労に苛まれていることを物語っていた。

 

「どうして、私たちはこんなに違うのだろう?」

 ぽつりと呟いた私に、隣に座っていた同級生が首を傾げた。

「何が?」

「外の人たちと、私たちの生活が……」

 同級生は、当たり前のように言った。

「だって、あれが普通でしょ? そういう役割なんだから」

 

 その言葉に、胸の奥に小さな棘のような違和感が生まれた。授業で「社会構造」について学んだとき、先生は「これが現在の社会の安定を保つ形です」と説明した。だが、私は心の中で強く否定していた。

 

 これは安定ではない。これは、格差の固定化だ。

 

 アーコロジーの外に暮らす貧困層の人々は、外に出るたびに防毒マスクを欠かせず、水道の蛇口には常に浄化フィルターを取り付けなければならなかった。フィルター自体は高価ではなかったが、清浄な水を飲むために必須の設備であり、彼らの生活を圧迫する。食事も、私たち富裕層が当たり前に口にする野菜や肉は彼らにとっては贅沢品で、多くの人々は栄養を確保するためだけの加工食品やサプリメントを主食としていた。

 

小学校時代、私はよく両親や使用人に問いかけた。

「どうして外の人たちは、あんなに大変そうなの?」

 返ってくる答えは、いつも決まっていた。

「世界を維持するために必要だからよ」

「それが社会の役割分担なの」

 

 しかし幼い私は納得できなかった。そんな答えでは、外で泥まみれになって働く人々の苦しそうな表情を説明できない。彼らの背中には、まるで重い鎖が繋がれているように見えた。その鎖の正体は、この社会のシステムそのものなのだろう。

ある日、通学バスの窓から外周部を見て、私はぽつりと呟いた。

 

「わたし、あの人たちを助けたい」

 隣にいた同級生は、まるで面白い冗談を聞いたかのように笑い飛ばした。

「百合ちゃんは変わってるね。助けたいって言っても、無理だよ。だって、あれはもう決まってることなんだから」

 

 その言葉に、私の心はざわついた。決まっていること? そんなはずはない。もしこの世界が誰かによって作られたのなら、変えることもできるはずだ。私は本気だった。心の奥底で、必ず何かできるはずだと信じていた。

________________________________________

 

 中学生になると、その思いはますます強くなった。授業が終わると、私は図書館に駆け込み、社会学や政治学の本を読み漁った。

 

「この社会は、どうしてこんな形になったんだろう……」

 

 前世の記憶が、私にこの世界の理不尽さをより強く認識させていた。前世の世界にも貧富の差はあった。しかし、こんなにも露骨な、命そのものに関わるような格差はなかったはずだ。この世界は、まるで何かの実験場のように見えた。一部の人間が、他の人間を犠牲にして、安全で快適な生活を送っている。

 

夜、窓の外を眺めながら独り言を呟くこともあった。

「この世界にはきっと、別の形があるはず。誰もが胸を張って生きられる方法が」

 

 同級生たちはブランド品や遊びの話で盛り上がっていたが、私はどこか距離を感じていた。彼らの話は、私にとってはどうでもいいことだった。私は、もっと根本的な、この世界の根源にある問題について考えていた。孤独ではあったが、それは苦痛ではなかった。むしろ、孤独だからこそ、私の決意は強固になっていったのだと思う。

________________________________________

 

 高校時代には、その決意が具体的な形を取り始めた。進路調査の用紙に「将来の夢」を書く欄があり、私は迷わず**「警察官」**と記した。

 

「人を助ける、直接的に人を守ることができる仕事は、これしかない」

 それ以上に説得力のある答えはなかった。担任の教師は、私の回答を見て驚いた顔をした。

「白原家のお嬢様が、警察官……? 本気か?」

「はい。本気です」

 私は迷わず頷いた。

「私は人を助けたいんです」

 

 その言葉は、ただの理想論ではなかった。それは、私の人生の目的そのものだった。前世の記憶が私に与えた使命。理不尽な格差に苦しむ人々を、この手で救い出したいという強い願い。

 

 周囲の反対を押し切る形で、私は大学に進学した。本来ならば、財閥の跡取りとして、エリート街道を歩むべき立場にあった。だが、私は警察官になるため、法学や犯罪心理学を専攻した。授業では誰よりも熱心に取り組んだ。教授が私にこう尋ねたことがある。

 

「君は、どうしてそんなに警察官になりたいんだい?」

 私は少し考えてから、答えた。

「理不尽に苦しむ人がいるからです。そして、その人たちを守れるのが、警察官だと思うからです」

 

 教授は何も言わなかったが、その表情には、深い納得の色が浮かんでいた。

私は飛び級も視野に入れてみてはどうか、という教授の提案に迷わず挑戦した。結果、二年を待たずに必要単位を取り終え、飛び級で卒業することができた。二十歳になる直前、私は警察学校に入校し、異例の速さで現場に立つことになった。

________________________________________

 

 警察官としての日々は、私にとってまさに戦場だった。最初の配属は、アーコロジーの外周部を管轄する署だった。日夜、浮浪者同士のいざこざや、小規模な窃盗事件、果てはテロリストの襲撃まで、あらゆる事件が私の目の前で起きた。

先輩たちは、私のような新米に対しては、まず危険のない事務作業や、パトロールを命じるのが一般的だった。だが、私は違った。

 

「先輩、私にも現場に行かせてください!」

「おいおい、白原。お嬢様には荷が重いだろう」

 

 そう言って笑う先輩をよそに、私は事件の連絡が入るたびに、迷うことなく現場に駆けつけた。私の行動は、周りの警察官からすれば無謀に見えたかもしれない。だが、私の心の中には、ただ一つの強い思いがあった。

目の前に助けを求めている人がいる。それなのに、見て見ぬふりなどできない。

 

 ある夜、私は刃物を持った男に襲われ、血まみれになった被害者を抱え、必死に救急車を呼んだ。その間も、男の仲間が遠巻きに様子を伺っているのが見えた。恐怖を感じなかったわけではない。手足は震え、心臓がバクバクと鳴っていた。しかし、それ以上に、被害者の「助けてくれ」という掠れた声が、私の心を突き動かした。

後日、上司から厳しく叱責された。

 

「白原! 君はもっと冷静になれ! 感情的に動くな! 一歩間違えれば、君の命も危なかったんだぞ!」

 だが、私は胸を張って答えた。

「私は警察官です。人を守るためにここにいます。感情的にならずに、どうして人を守れますか? もし、あの時私が冷静になって被害者を見捨てていたら、私は一生後悔したでしょう」

 

 私の言葉に、上司は何も言わなかった。ただ、その顔には、怒りとは違う、何か複雑な感情が浮かんでいたように見えた。

その行動力と信念は、次第に周囲の信頼を集めた。事件解決の数は若手としては異例であり、私の名は署内で知られるようになった。まだメディアに名前が出るほどではなかったが、同僚たちは、制服は汚れ、手は血や泥にまみれながらも、その瞳だけはいつも真っすぐで揺るがない私の姿を、半ば呆れ、半ば称賛の目で見ていた。現実の厳しさに押し潰されそうになりながらも、決して理想を曲げず行動し続ける――その矛盾を抱えた姿が、私の存在を象徴していた。

 

 二十歳という史上最年少で警部補に任官したとき、私は誇らしさよりも責任の重さを痛感した。

「もっと多くの人を守れるようにならなければ。この身ひとつでできることには限界がある。でも、だからこそ、もっと、もっと強くならなければ」

 その思いが、私をさらに突き動かした。

だが同時に、心の奥底に消えない影もあった。どれだけ事件を解決しても、救えなかった人々の顔が脳裏に浮かぶのだ。

 

「ごめんなさい、もっと早く駆けつけられたら……」 「ごめんなさい、私がもっと強ければ……」

そうした自責の念は、私をより強くする反面、心を苛む鎖にもなっていた。私はいつしか、誰かを助けたいという思いよりも、助けられなかった人々の亡霊に苛まれるようになっていた。夜、一人になると、その鎖は私を縛り付け、苦痛を与えた。

 

「私は、本当にこのままでいいのだろうか……」

 

 ある日、現実から逃れるように深夜のネットサーフィンをしていたとき、**「ユグドラシル」というオンラインゲームに出会った。広告には「圧倒的な自由度」と「もう一つの人生を」**という言葉が踊っていた。

私は画面を見つめながら、まるで何かに導かれるように、呟いた。

 

「もう一つの人生……。もし、この仮想の世界でなら、もっと多くの人を救えるのだろうか」

 

 現実世界では、法律や社会構造、そして私自身の限界によって、救えない命がたくさんあった。しかし、もしゲームという形のない世界で、私は何ができるだろうか。ゲームという場所で、私は自分の理想をどこまで追求できるのだろうか。

 

 気づけば、私はアカウント登録を済ませていた。それが、私の新たな運命の始まりだった。現実とは異なる、もう一つの世界で、私は自分自身を試すことになる。現実の制約から解き放たれたとき、私の正義は、どこまで、そして誰を救うことができるのだろうか。

 

 現実での私と、これからゲームの中で動く私。二つの自分が交差する瞬間、私は、自分が本当に求めているものに気づくのかもしれない。そして、このゲームが、現実の私を、そしてこの世界を少しでも変えるための鍵になるのではないかと、かすかな希望を抱いた。

 





読んでくださりありがとうございます。
良ければ感想お待ちしてます。

深夜テンションで作ったのでストックはありません。一応今後の予定としては平日にある程度ストックを作って土日のどちらかに投稿する予定です。ただし、必ず更新ではないのであまり期待などはしないでください。

ゴッデス部隊メンバー(指揮官も含む)をプレイヤー側で登場させても良いですか?

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