異世界迷宮で奴隷生活を   作:Doro

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面談

ある朝、俺はトイレに籠ってボーナス装備の検証の続きをしていた。

その結果分かったのは、武器以外は実用性に欠けるということだ。

防御力は高そうだが、耐性などに関して満足とは言えなかった。

有限なポイントを使うなら武器の方が優先度は高いし、どちらにしても目立ち過ぎる。

上手い言い訳を思いつかないとボーナス装備は使えない。

 

…それにしてもトイレがイカ臭い。

先に入った奴が性欲処理をしていたのだ。

便座の傍には水の入った瓶が置かれており、一応は水洗式になっているが、臭いはどうしたって残る。

こんな隔離された環境では女旱りにもなるから仕方ないのだが。

俺もさっさと出よう、シコっていたのが俺だと誤解されないためにも。

 

 

午前。

家事全般についてのやり方を指南される。

 

ここベイルの奴隷商館に於いては、奴隷に一定の期間何らかの教育を施し、顧客のニーズに応えられるよう施策が取られている。

その中でも代表的な物がブラヒム語の習得と礼儀作法の二つであるが、それ以外も各人が希望すれば履修は可能となっている。

 

この世界で奴隷になるのは大半が使用人を雇えない貧困層なので、男も女もその辺は区別なくある程度できるし、みんなしている。

料理を作るのは女であることが多いが、必要であれば男もするし、兄弟が多い家では上の子が小さい子の面倒を見る。

母親が身重のときや、誰かが病気になれば他の誰かがその分までカバーするし、家事が全くできない奴はそういない。

 

なので行われるのは各作業のクオリティアップであるとか、世間全般と奴隷個人の所属していた狭いコミュニティとの齟齬を埋める確認であるとか、基礎構築ではなく拡張作業が主である。

 

俺も掃除や洗濯はしていたので、そこは手作業に対応するくらいだった。

道具がこの世界由来の物であったため、詳しく使用法を聞く必要はあったが。

帽子は元々手洗いしていたし、靴も磨いたり拭いたりするのは変わらないので、特に問題はなかった。

 

料理に関してはあくまで知識を身につけるだけである。

商館の奴隷には防犯の観点上料理を任せるわけにいかないし、俺も普段は調理場へ入るのは許可されていなかった。

難点があるとすれば調理法よりも、この世界独自の食材が多すぎて覚えるのに苦戦している。

元の世界での食物との類似点や特徴などから、どういう扱いかはだいたい想像がつくけど。

 

俺は魔法使いだが、迷宮に毎日潜るパーティーは少ないらしいので、こういった家事や雑事も行うことになるのは想定している。

購買層は商人や資産家だとは思うのだが、どんな人物が買いにくるかは分からないし、身につけておいて損はないだろう。

 

 

……ここにいる間に奴隷はブラヒム語の教育を受けるのだが、みんな覚えるの早くね?

だいたい数カ月で習得するらしいのだが、そんなものなのか。

駅前留学の人たちはもう少し時間がかかっているし、学校教育の英語だけでは英会話は到底できるようにならん。

そして何より、ブラヒム語は複雑で難解な言語である筈なのだ。

異世界に来て何気に一番のファンタジーはこれかも知れない。

 

異世界とはそういうものなのだろう。

なぜ納得したかというと、実はブラヒム語の文字がここ数日でほぼ全部読めるようになったからなのだ。

あくまで教本の範囲でだが、目にした瞬間には翻訳という過程を経ずスムーズに読めた。

解読ではなく、母国語を読むのと変わりなく熟せたのだ。

 

これは異世界に転移したときに、俺自身の体がこちらの仕様に書き換えられたからだ。

名前や容姿にまで変化が及んだのだ、さもありなん。

20歳で村人Lv1なのも、この世界仕様の体が新しく生成されたという意味なのだろう。

でなければ、スキルや魔法を使ったり腕からカードが出る筈がない。

 

言語を覚えられる人とそうでない人の違いは何だろう。

ブラヒム語を習得できていない人もいるという事実。

熱心に学習したか否か?

俺が短期間で文字を読めるようになったのだ、頭の回転の問題ではないだろう。

 

まぁ、それはいい。

俺は異世界仕様を一つ理解した。

この調子で学べば、他の言語をマスターするのも夢ではない。

 

そう思った矢先に、二度目の指名があった。

 

 

 

 

 

 

「こちらにいるカレーは、お客様のご希望通り魔法使いのジョブに就いております。年齢も20歳とまだ若く、またブラヒム語の使用にも問題はございません。他にも複数の言語を扱えます」

 

たぶん前回とだいたい同じ言い回しのアランの紹介。

目の前にいるのは俺にとって二人目の購入者候補。

 

 

 アルフォンス ♂ 51歳

 冒険者Lv64

 装備 強権の聖銀のレイピア 身代わりのミサンガ

 

 

今回のお客様は高レベル冒険者だ。

顔つきはキリッとしていて、彫りの深いイケメンだが意外と高齢。

あとは長い耳が特徴的だ。

ドワーフとは少し耳の形が違うから、たぶんエルフ族だ。

この辺りではあまり見かけないし、ベイルの商館にもエルフの男奴隷はいない。

 

他種族は実年齢より若く見える傾向にあるのだったか。

なんでも、この世界の他の種族は違う生き物だから、老化を見分けるのが難しく、かなり年を取るまでは若く見えるのだそうだ。

なるほど、目の前の人物は30代前半に見えるが実際には50代だ。

 

エルフの男性はすらりとした体型で、紺色のタキシードを着こなしている。

身に着けた装備品には二つとも称号が付いている。

スキル付きの装備品なのだろう。

腰には刺突用の細身剣を提げており、リラックスして見えるが隙がない。

身代わりのミサンガは即死防止とか、致死ダメージ肩代わりの効果がありそうだ。

 

「……ふむ。まずはインテリジェンスカードのチェックをお願い致します」

 

「かしこまりました。カレー、左腕を」

 

前回同様、ジョブ魔法使いの確認から始まる。

左腕を出し、カードの表記をエルフに見て貰う。

 

「確かに魔法使いですな。実に珍しい」

 

「良ければ本人と話ができますが、いかがなさいますか」

 

「それでは、しばらく席を外していただけますかな」

 

「かしこまりました」

 

一礼し、アランと傍付きが部屋を出る。

名を名乗り、よろしくお願い致します、と挨拶をする。

エルフに目線で促されソファに座り、一対一で向き合う形に。

 

「これはご丁寧に。私はアルフォンスと申します」

 

そう言って、エルフは目礼してきた。

イケメンはそれだけで絵になる。

何というか、一挙一動から気品を感じる。

 

「この出会いが、お互いにとって良きものとなることを願っております。…さて、これからあなたに幾つか質問を致しますが、これはあなたが私に仕えるにあたって最低限、信用に足る人物であるか、社会性はどの程度あるか、また規範に則り行動できるかなどを大まかに見るためのものです。あまり身構えず、難しく考えないでどうか気楽にお答え下さい。準備はよろしいですかな?」

 

「大丈夫です。お願い致します」

 

穏やかな物腰と言動で、面談を開始しようとするエルフ男性。

喋る言葉は流暢なブラヒム語である。

懇切丁寧に説明してくれているが、要は正直に答えろ、と言いたいらしい。

 

到底信じ難いことが真実である場合はどうすればいいのだろう。

全容を初対面の人物に喋る方がどうかしているので、そこは俺の判断次第だ。

 

「まずはあなたの出自をお教え下さい」

 

最初の質問は奴隷になった理由ではないのか。

誰でも気になる点だが、質問の順番としては確かに後でも構わない。

魔法使いになれるのだから、それなりの出だという常識がこの世界にはある。

 

「私はここより遥か遠方の出身です。……どれくらい、というのは分かりません。方角も西なのか東なのか、それも分かりません」

 

なるべく嘘は吐きたくない。

可能な限りは事実を話すようにしたい。

あまり話をでっち上げると、矛盾を処理しきれなくなるし、真面目に買い物をしに来ている人に不信感は抱かせたくない。

 

「つまり、この国の生まれではないということですかな」

 

「そうですね。あまり広くはない国土で、海に面した地域も多いところです」

 

一つ一つ、エルフの質問に答えていく。

まず俺は、遥か遠方から来た異邦人ということにしておく。

島国というとすぐに特定されるかも知れないので、一部情報は伏せる。

 

「なんという国でしょう」

 

「ヤポンという国です。ご存じでしょうか」

 

「はて。聞いたことはありませんな……」

 

「……やはりそうなのですね。私もこの一帯については詳しく知りません」

 

軽く沈んだ表情を見せつつ、質問にはきちんと答えていく。

国名についてもできれば伏せておきたかったが、質問されたら答えないのも変だろう。

偶然実在する国名と一致したときが怖いが、エルフにも心当たりはなかったようで、首を傾げている。

俺が国際情勢について疎いのが不安だが、文化レベルは中世以前のようなので海の向こうの新大陸などは未発見なのではないか。

移動魔法との兼ね合いがあるので、もちろん絶対ではないのだが。

 

「遠方には文化や風習の異なる国もあります。私も他国へ足を運んだことは何度かありますが、ヤポンという名にはやはり覚えがありません。あなたは相当に遠くから来られたのでしょう」

 

エルフ男性のジョブは冒険者だ。

フィールドウォークを使えば遠くにも一瞬で行けるが、それでも限界はあるのだろう。

 

「するとあなたは、遥か遠方の国のお貴族様ということですかな」

 

「いいえ、私は元自由民です」

 

「……自由民の方、なのですか」

 

「ええ。魔法使いというと誤解されるのですが、私は貴族の生まれではありません。お疑いでしたら、アラン様に確認を取って下さい。身分の書き換えを行われたのはアラン様ですので、その際に見ている筈です」

 

貴族ではなく自由民。

俺がそう答えると、物静かな印象のエルフの男性が僅かに身を乗り出した。

が、すぐに姿勢を正し、落ち着き払った態度に戻る。

 

「それでは、あなたはなぜ遥々こんな遠方まで来たのですかな」

 

「両親が亡くなり、家を出ることにしました。それで父の知人に頼んで移動魔法で送っていただいたのですが……予想以上に遠すぎたようです」

 

「なるほど。その方とはお会いできますかな」

 

「普段は故郷にいない方です。偶然会えただけですので、難しいでしょう」

 

エルフの問いに、首を振って答える。

異世界転移の理屈としては、移動魔法と説明するのが適当だろう。

送ってくれた人、はどこにもいないので会えることはない。

 

正直、ここはかなり苦しいと思う。

家を出るにしても、なぜ遠くまで来たのか疑問はあるだろう。

だが、どうやって来たのか何も分からないと正直に話すのは相手にどんな心証を与えるか不確定要素が大きい。

上手く同情を引ければいいが、相手にも打算はあるのだ。

 

「…………」

 

エルフの男性は考え込んでいる。

俺が遥か遠方に送られたのは、故郷で問題を起こして追放されたからだと思われていてもおかしくない。

或いは両親が亡くなったのを切欠に不当な理由で権力者に追い出された、なども考えられる。

 

何しろ競売に出せない魔法使いだ。

血統がはっきりした正規品とは違うのだよ。

言いたくはないが、それくらいは織り込み済みで許容できなければ買うべきではないし、買われたくない。

 

「……まぁ、よいでしょう。次の質問です」

 

エルフ的にはセーフラインだったのか、質問は続行された。

 

「それで、どういった経緯で奴隷になったのでしょう」

 

「…とある農村の近くを通り掛かったときに、野盗の群れに襲われまして。応戦しましたが、誤って村人を手にかけてしまいました。持っていた金品や衣服は盗賊に奪われてしまい、賠償金を払うことができず、自分を売ることになりました」

 

「それは……お気の毒でございましたな」

 

「確かに災難でした。ですが、かくなる上はご遺族の生活を考えるなら、せめて私を高く買っていただくのが最適かと存じます。魔法使いならば高く売れるでしょう」

 

村人を殺してしまったのは事実だ。

そしてこの世界におそらく蘇生魔法はない。

俺にできることがあるなら、今生きている者に返していくしかないだろう。

 

「大凡は分かりました。あとはそうですな……『森を手にしたくば木を伐り倒すべからず』―――通じますかな」

 

「『森を手にしたくば』……? 言葉は聴き取れましたが、どういった意味でしょう」

 

今のはブラヒム語ではない。

人間語やドワーフ語でもない。

きっとエルフの言葉なのだろう。

そうか、エルフの言語も設定していたのか。

 

「これは森林地帯に古くから伝わるエルフの格言なのですよ。…言葉は通じるようですな。よろしい」

 

エルフ族の言語が分かるのは好評のようだ。

まぁ、普通に考えたらできないよりはいいだろう。

 

…現時点での、エルフの俺に対する評価はどんなものだろう。

現状の感触としては、悪くはないといったところか。

俺の出自と罪科でマイナスはあるが、致命的ではないと思う。たぶん。

 

アルフォンスというエルフは、物腰が柔らかく落ち着いた態度の人物だ。

ボーゲンは、エルフは態度が悪いなんて愚痴を零していたが、アルフォンスは奴隷である俺にも丁寧に接してくる。

普段からああいう振舞いが身についているのかも知れない。

 

また身に着けている衣服や装備も高級品だ。

少なくとも食うに困るような生活振りではないだろう。

どこかの有名な資産家の付き人か何かかも知れない。

雇い主としてはかなり良さそうに見える。

 

「では、最後にお訊きしましょう。あなたの全うすべき職務とは何ですか」

 

アルフォンスは今までよりやや険しい表情で問うてきた。

どうやら、これが最後の質問のようだ。

 

俺は魔法使いで、相手も魔法使いを目当てに来ている。

ならば目指すところは迷宮討伐だ。

 

「迷宮に入り、魔物を、迷宮を殺すことです。迷宮の脅威を取り去り、人々の平穏な暮らしを守るのが魔法使いの使命です」

 

「そうですな。魔法使いには迷宮討伐を成し遂げるだけの力があります。まあ、間違いではないでしょう」

 

頷くアルフォンスだが、満足しているようには見えない。

何が足りなかった?

魔法使い以外で俺に求めているもの……

 

「失礼しました。主人である方に拾っていただいた恩義を忘れず、忠誠を尽くします」

 

「ええ、それが最も大切なことです。自分が何者で誰のためにあるのか。忘れてはなりませぬよ」

 

そうだよな。

前提として、俺は奴隷だものな。

そこは全員共通、魔法使い以前の問題だわ。

奴隷らしくないというアランの評価通りだ。

 

兎にも角にも、アルフォンスの質問はこれで終わりのようだ。

果たして俺は彼のお眼鏡に叶っただろうか。

最後に一歩躓いてしまったが。

 

「発言をしてもよろしいでしょうか」

 

「構いませんよ。どうぞ」

 

アルフォンスに購入して貰うのは悪くないと思った。

だが、今のままでは決め手に欠ける。

もう一手、強みが欲しい。

 

「迷宮とは直接関連はありませんが、私はどうやら相手を見れば、どの程度の経験を積んでいるかが何となく分かるようなのです」

 

「……ほほう。それは珍しい特技ですな」

 

レベルの概念が探索者にしかないと知ったときは話題にすべきではないと思った。

が、考えてみればレベルという単語を使わなければいいだけだ。

 

強さではなく経験と言ったのは、レベルと実際の戦闘能力がイコールではないと考えたからだ。

筋骨逞しい先輩戦士と華奢なロクサーヌでは、同じレベルでも腕力には大きな差がある。

それに迷宮で戦い魔物を倒せば強くなるのは共通認識なので、経験という言葉選びは合っている筈だ。

 

俺には鑑定スキルがある。

生かさない手はない。

表示に偽りがなければ、経験を見誤ることはない。

 

「ちなみに、私はどのように見えますかな」

 

俺の発言に興味を持ったのか、アルフォンスが質問をしてくる。

彼は冒険者Lv64だ。

探索者はLv50になると、冒険者にジョブチェンジができる。

 

「アルフォンス様はかなりの経験を積んでおいでです。私が見た中でも一番かも知れません」

 

「そう見えますかな」

 

「単純な強さではそれ以上の方はおられるかと存じます。しかし、積み重ねた経験で並ぶ方はそういないでしょう」

 

下位職の高レベルならスペック自体はもっと上かも知れない。

だが帝都のギルドにも上位職のLv50以上なんていなかったし、高レベルはみなアルフォンス以上の老人だった。

探索者のLv50以上と冒険者Lv64、最低でもLv114相当だ。

アルフォンスはきっと、経験の密度も濃いのだ。

 

もう一押ししておくか?

俺は装備も鑑定できるが、どうする。

いや、装備品のスキルの具体的な効果が分からんし、やめておこう。

 

「そうですな。迷宮に入り続け数十年、かなりの数の魔物を討ちましたから、経験は人並み以上に積んだ自負はありますとも」

 

さらっと肯定するのは強いな。

強者の風格を感じる。

 

「世の中にはスキルや魔法とは関係なく不思議な能力に目覚める方がおられます。あなたもその一人なのかも知れませんな」

 

「不思議な能力に……そうなのですか」

 

何か新情報が来てる。

でも俺のはスキルなんだ、すまん。

並外れて観察眼や第六感に優れた人はいるんじゃないかな。

 

「もう一点ございます。私は魔法使いになって日が浅く、ジョブを変更してから迷宮には入っておりません。また家庭の都合により、迷宮や魔物等に対する知識が欠けております。もちろん勉強はしますが、すぐに戦力になれるかは分かりません」

 

これは言っておかねばならない。

俺の魔法使いのレベルは1だし、知識はまだまだ不足している。

即戦力として期待されても応えられない可能性は高い。

できないことをできないと伝えるのも時には大事だ。

 

「そうでしたか。…ご安心を。知識も経験も後付けできるものです。あなたに学ぶつもりがおありでしたら、その為の手助けならば致しましょう」

 

「お手数をお掛けしますが、何卒よろしくお願い申し上げます」

 

よし。なかなかいい感じに落ち着いたのではないか。

満点とは言い難いが、俺にしては上手くやった。

言質を取ったと言っても過言ではない。

もっといい買い手がいるかもなどと考えたが、欲張り過ぎてもいいことはない。

 

「だいたいこんなところですかな。訊きたいことは訊けましたので、下がって結構ですよ」

 

「はい。それでは失礼致します」

 

俺が返答するより先に、アルフォンスは手元のベルを鳴らした。

そんなのあったのか。

入れ替わりで、アランと傍付きが応接室に入ってくる。

最後に一礼して、部屋を出た。

 

「よし。部屋へ戻るぞ」

 

従業員に促されて、二階の居室へ戻る。

 

果たして上手くいくのか。

まさか異世界へ来て就活するとは。

しかも奴隷で魔法使い。

今俺が抱くのは将来への不安である。

 

売約が決まればすぐに出立するのだろうか。

せめて世話になった人たちに感謝の言葉くらいは述べていきたい。

アランや従業員、ボーゲンや同部屋の連中、戦闘奴隷やロクサーヌ。

ここで挨拶を済ませたら、あとは各人に言付けをお願いするくらいが精々か。

 

いやいや。

まだ決まっていないのに、気が早すぎる。

 

本音を言えば、そろそろ外に出たい。

外出も禁止されてしまったし、ここでの生活は制約が大きい。

 

…などと考えていると、一階から傍付きがやってきて俺に声を掛けた。

 

「商談は売約で合意した。奴隷契約の変更を行うからこちらへ来い」




2025/10/16

作者です。
ネット環境の変化や多忙により、しばらく更新を休止します。
気が向いたら更新を再開します。

ハーメルンに小説を投稿するのは初めてになります。
つたない文にも関わらず、
思っていたより多くの方に読んでいただき、嬉しく思います。


原作へのリスペクトは忘れずに、自分なりのこだわりを
混ぜ込んでいきたいと思っております。

ここまで読んでいただき、まことにありがとうございます。

よかったら、お気に入り・高評価・しおりを是非ともお願いします。
また感想もお待ちしています。

2025/10/20

日刊ランキングに載りました。
ありがとうございます。

2025/10/25

第7話ラストに主人公の心情を追加しました。
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