(仮)豹頭王の物語の一登場人物に憑依する話。 作:Marchhatter
グイン視点→イシュトヴァーン視点です。
(20251129)誤字のご指摘、ありがとうございました。
(グイン視点。スタフォロス砦地下、夕方)
グインは黒騎士たちに呼び出され、牢獄を出た。
隣りの独房に入れられたリンダ、そして同室のレムスには食事が出たようだが、食事と入れ違いに引き出されたグインには何も出されていない。
巨大な体格でそれに見合う大食漢でもあるグインは空腹を覚えていたが、彼らが配慮してくれるとは思えなかった。
ただ、子供たちには食事が供された(しかも、それなりに貴重な肉である)こと。
そして牢獄でありながらも長椅子や卓子や灯明までをも備えた、それなりに良い房を与えてくれたことには、彼らのある種の公平さを感じ取っていた。
──ただ、な。これから会う男はそうではあるまい。
あのリンダを脅したときの、嗜虐的な言動を思い出す。
おそらくはあの城主は、ろくでもないことを彼に仕掛けようとしているに違いない、とグインは踏んでいた。
──────
辺境のスタフォロス砦、そこはモンゴールでもっとも危険な原生林に築きあげられた橋頭保である。
要害の地であるが、城を支える後背地はない(土地はあるが、あまりに苛酷な環境のため数次にわたる入植は失敗している)。
そのことは知らないが、この孤立した砦の堅固さと威容ぶりは、グインにも感じ取れた。
この地の開発に国運を賭けた、城の建設者の執念も。
──だが、投じてしまった資に見合うものとは思えぬ。
百年、早すぎたのだ。ヴラド公は損切りができぬ御仁とみえる。
過去の記憶を失っている超戦士は、なぜか脳に刻み込まれた為政者としての知識でそう感じる。
騎士たちの口ぶりからすれば、ケス河の河口付近は別として、このあたりはノスフェラスの化け物や、種々の水妖、危険な水棲動物のため、大型船舶での往来にすら非常な危険が伴うらしい。
陸路は、すでに見てきたような危険な森に囲まれている。この城を建設する資材の運搬には、気が遠くなるほどのコストがかかっているに違いない。
文字どおり、人民の血と肉とで築かれた城なのだ。
そしておそらくは建設者の意気込みを反映してか、辺境の砦にしては妙に贅沢なところがある。
石材をふんだんに使われ、砦の天井は高い。巨人であるグインには有難いが、寡兵を強いられる守備側としては弱点ではないだろうか。全体に、砦の人員と規模とが釣り合っていない。守兵が足りていないのだ。
──そうだとしたら、脱走の目はあるのだろうか。
いや、何をのんきなことを。これから直面する試練が先だな。拷問台か、解剖か、──いずれろくなものではあるまいが。
そう、グインは自嘲した。
──────
突如回廊の途中から幽鬼のように湧き出てきた、黒づくめの城主に指示され。
グインたちは拷問室を通り抜け、剣奴や猛獣と囚人を戦わせて楽しむのであろう、悪趣味な闘技室に入る。
グインは、促されて
巨漢のわりに高い運動能力を誇るグインだが、観客席には5タール(約5、6メートル)以上もある。到底、手が届かない。
広さはあるが、桶の底のような圧迫感のある陰鬱な空間。彼は目の前の敵に注意を向ける。
巨大な灰色猿が、目に映じる。
グインの脳裏には、当初は全くその不潔な生き物の知識はなかったが、やがてそれが何者でどれくらいの危険性があるか、どのような生態を持つのか、ということが不思議な洞察として浮かんできた。
まるで、それらの知識が何者かによって転送されてきたように。
──妙なことだ。そして、それが妙だ、とわかるのも妙な話だ。
そう思いながら、城主の悪趣味な戦いの趣向、──人間に数倍する膂力を持つ大猿と素手で3ザン(約2時間)闘って保てれば短刀、5ザン(3時間半)保てば長剣を与えられるという、──を聞きながら、グインは作戦を練る。
灰色猿は座った状態でもグイン自身と高さがほとんど変わらず、立ち上がると身長が2タール半(約3メートル)ほど。体重も、200スコーン(約300kg)ほどもあろうか。
彼自身より巨大なこの獣には、グインにしても素手では勝機を見だすことが難しい。
──やはり、時間稼ぎをするほかあるまい。感覚器を潰せればいいのだが素手では難しい、近づければ目に突き込めるが、下策だ。
伯爵が約束した短刀、望ましくは長剣を得たときに勝負に出るべきだろう、と彼は思った。
やがて、大猿を閉じ込めていた檻の鉄柵が、主人の指示に従い、
鉄の格子を引き上げるのは、ヴァーノン伯の奴隷たちである。碧眼白膚の、おそらくは騎士たちと同じモンゴール人。
もとは勘気を蒙って奴隷落ちさせられた一般兵なのか、罪を犯した入植者なのか。その死んだ目は、彼らの過酷な生を物語っている。
そのとき、目の前の怪猿に向けられていたグインの集中力が、わずかに乱された。
──何者かがこの場に入ってきたか?小さいが、リンダか?そんなはずはないが。
騎士どもも、城主も気づいていないが。
しかし彼の集中力はすぐ、鉄格子とその向こうの大猿に戻る。今、気にすべきことではない。
鉄格子は上がり切り、わざとらしくゆっくりと大猿がアリーナに出てきて。
グインは、自分の集中力のすべてを目の前の大猿との闘争に集中させる。
彼の世界からは、音が消えていった。
──────
2ザン後。
この場では誰も知ることもない、
いったんは大灰色猿に頭蓋を握りつぶされかけたグインは、トーラスのオロと呼ばれる若者の投げた大剣を振るい、大灰色猿を殺し。
そして途中で豹人と大灰色猿との闘争に邪魔を入れたオロに立腹した城主、ヴァーノン伯が、彼をグインと闘わせようとして
その階段を駆け上り、城主に剣を突きつけたものの。
城主の「黒死病を解き放つ」という脅し、もっと正確にはそう脅す城主から漂う違和感のため、城主を人質に取ることを断念し、ふたたび自分の牢へ護送されていた。
行きと異なり、騎士たちの恐怖を示しているように。
帰りの彼の逞しい腕には、何重にも革紐が巻き付けられていた。
──あれは、なんだったのだろうか。
城主から感じた、とてつもなく不気味なもの。
グインには、それに似た何かにごく最近、接したことがあるようにも感じていたが、それを特定するには至っていなかった。
「あんたは、凄い戦士だ。あんたを、──」*1
トーラスのオロと名乗った青年が、グインに称揚の言葉をささやく。
振り向いた隊長を憚り、返事をすることはしない。会話は、続かない。
グインは、想念に没入しつつ、機械的に歩みを進めていたが。
ふと、視線を感じ、頭を上げた。わずかな一瞬、歩みが緩まる。
「豹人、どうした」
別の騎士が気づいて、声をかける。
「
やはり別の騎士がグインの視線の先を見たが、何も見つけられず、そう答える。
グインも瞬時の後には何事もなかったように頭をまた俯かせ、歩みをもとに戻した。
──何か、あるいは誰かがいた?
敵意は感じなかった。しかし、好意を感じたわけでもない。
その視線は彼を、あるいは彼らをただ観察していた。感情を込めない、冷徹な視線。
黒騎士が気づかず、グインもその姿を捉えることができなかったことから、かなりの手練のものであることが伺われる。
──さっき闘技場で大猿との闘い直前に感じた気配とは、違う。
伯爵子飼いの暗殺者だろうか。俺を値踏みにきたか?
あるいは、暗殺教団の手先。──まて、なぜ俺は暗殺教団なるものの存在を知っている?
新たな疑問が生まれたが、どのみち囚人である彼には今できることはない。
彼は促されるままに、自分の牢に戻っていったのだった。
──────
──────
(偽イシュト視点。スタフォロス城、夜)
ふー、危なかったよ。
体に巻いた暗灰色の布、──汚れたテーブルクロスに、詰所から盗んだ灰をまぶしたやつだ、──にくるまれてカモフラージュされた状態の僕は。
グインの姿を確認し、無事に黒騎士たちをやりすごせたことについて、ヤーンに感謝(笑)をささげる。
まあ、グインの奴がわざとみすごしてくれたのかもな。いずれにせよ、これでグインへの接触にあたってのリスクを最小限にできる。
騎士たちの最後の者がいなくなったのを確認し、すばやく後を追う。
これからあの騎士たちの後を追い、そして途中の近道で先回りして、スニと合流して待ち受けないといけない。
高スペックなイシュトに動きに身を任せて、軽装の鎧を着用しながらも音をほとんど立てないままに、抜け道を目指して走り出しながら。
これまでの経緯を、思い返す。
──────
僕とスニは仲良く頭をつきあわせてタペストリを
食事の配給も終わり、しばらくは牢を訪れる者がいないという可能性に賭け、壁の秘密装置を操作してたて穴を降りた。
もちろん、原作グインみたいに落っこちたわけではない。塔は相当に高い、数十メートルはある(※)。落ちたら無事ではすまない。
慎重というより臆病な僕は、もちろんのこと縄を使い。
それでも縄に全体重を預けるのが不安で、壁の刻み目を必死につかみ。
スニとふたりでようやくたて穴を降りきり、ヴァーノン伯の住む黒の塔に向かった。
ひそやかに忍び込み、こっそりと、グインと大灰色猿の闘争の様子を2人でかいまみた。
グインの異相に、スニが初見でびっくりしたりしないように、顔見世の意味をこめてる。
スニはグインの豹頭や、あの地上のものとは思えない大灰色猿の姿、そしてそれに敢然と立ち向かっているグインの化け物ぶりにびっくりしていた。よく言い聞かせてあったから何も言わなかったけど、興奮してたな。
さすがはグイン。ただ、僕たちはごく短時間、冒頭の様子を見ただけで引き揚げた。やることがまだたくさんあるし、また一緒にいるスニの存在がバレないか、というのも気になったから。
(スニは別に臭いわけじゃないよ。ただ、ゴーラの騎士とは異質な、スニの薬草っぽい匂いはバレやすい気がしたんだ。たしかグインの嗅覚は優れているような描写もあったし。)
地下の拷問室を抜けて戻った僕たちは、あちこちに忍びこみ、いくつかの小細工をする。
たとえば、黒騎士の装備の保管所に侵入し、鎧兜や装具を失敬する(ほら僕、取り上げられちゃってるからさ)。縄とか、役立ちそうな物資も。
これで鎧をかぶり面頬を降ろすと、ヘマさえしなければ他小隊には気づかれることはない。ここらへんのごまかしは、イシュトヴァーンの優秀な元人格に任せる。
スニさんは、どうしたのかって?
「おい、お前ら。囚人どもに食事は出し終わったのか?」
「ガッテン、デサア」
「そうか」
別の隊の小隊長殿に見咎められて、敬礼する僕。その僕の横には、フードを目深にかぶって牢番に扮した、
そう、僕は牢番の詰所を襲い、彼を首トンで眠らせ(かなり危険な技だよな)、身ぐるみ剥いで、嫌がるスニさんに平身低頭して、彼の変装をしてもらった。
必要そうな服やら装備やらを丸めて背中やらお腹やらに入れてもらい、また靴を二重三重に履いて体型の変化をごまかす。体調悪そうな、大儀そうな動きをしてもらう。何を聞かれても「ガッテン、デサア」と返事してもらい、それ以上のフォローは僕がやる。
牢番の声の変化に気づいた勘のいい奴もいたが、喉を痛めてしまって風邪みたいなんだ、と素早く僕がフォローしてやると、そうか、という程度。
悲しいけれど、牢番氏は人に重視されるような立ち位置ではないみたいだ。
「スニ、請、待、片刻。
イシュト、即、還」
ちょっとした暗がりに隠れていてもらい、僕は堂々と牢を確認する。
松明のある部屋を片っ端から確認していくと(ごく小さな覗き窓があるのだ)、レムスの部屋を発見する。
扉から離れろ、と言い、ガチャ、と牢番から取り上げた鍵で扉を開くと、恐慌を来したようにバタバタと取り繕う音。
扉を開ける。おびえた目で見上げるショタ少年の姿。
焼肉とガティ(穀物の練り物)がおそらくグインのために卓子の上に残してある。ここらへん、レムスは優しい。
「それは食べておくといい。戻ったらこれを豹人に与えよ」
原作では、黒伯爵が戦いの後にグインに食事を出せと命じているが、実際にはグインがありつけたのはレムスの食事の残りだけ。
それじゃ足りないよなー、と思った僕は、牢番自身が食べるつもりだったらしい焼肉と練り物の残りを、簡単によそって持ってきていた。
「グインは?ねえ、グインは戻ってくるの?」
心細いのだろうレムスが寄ってくるが、松明を彼に向って突き出し、接近を止める。
「──必ず戻る。安心して待て」
バレたくないので、最小限のことを伝えて出ようとする。
隣奥がリンダの牢のはず。そっちのカギも確認して、早く戻ろう。スニさんが心配だ。
「ねえ、待ってよ!
小父さん、あのヴァシャの実をくれた人でしょう?」
「小父さんじゃねえ!せめてお兄さんだろっ」
あー、うっかり乗せられて地が出てしまった。クソッ!
「ごめんなさい、でもお兄さん、なんで「悪い、急ぎの用がある」」
僕は意外に鋭いレムスの追求を躱し、慌てて部屋の外に出てカギをかけた。
ふー、やっぱり僕だとボロが出るなー。危なかった。
──────
次は、リンダだ。こっちは、僕としてはレムスたちよりもっと、接近したくない相手。
いや、別にリンダという人物が嫌いなわけじゃないよ?僕の好みではないけれど。
でも彼女はレムスと違い、モンゴール(とその一員として彼女の目に映ってるはずの、僕)に対する憎悪を隠そうとしない。正直、メンタル削られる。これからの不安要素の一つだ。
それに僕としてはイシュト×リンダの悲恋は避けた方がいいと思っている。お互いのために、接触は最小限にしたい。
覗くだけにとどめようか、とも思ったが、まさかカギが合わなかったら不味いことになる。
おそるおそる、扉から離れろ、と言い、扉を開けると、──何かがびゅっと飛んできたので片手で払い落とす。石片だ。
リンダが部屋の奥の壁に背を押し付けるようにして僕から距離を取ろうとしている。手に構え直したのは、調度の椅子か何かの足を折って作ったらしい、木の棍棒もどき。
気丈にこちらを見据えているが、目にはやはり恐怖がある。
「モンゴールの鬼、悪魔!私を犯しに来たのね、叫ぶわよ!?」
うわっ、面倒な方向に勘違いされてしまってる。
まずい、叫ばれないようにしなきゃ。身の破滅だ。
「──おや、パロの王女は大勢に観察されながら致される方が、お好みか?」
嫌味を言ってわざとらしく一歩踏み出すと、彼女は息をのみ。
ただでさえ白い、幼いながら端正な顔から血の気が引いた。
そのすきに、僕は室内の様子をぱっと観察して異状を確認し、引き下がろうとする。
可哀そうな椅子さんと違って、壁さんは無事だ。原作イシュトヴァーンと違い、壁に穴を開けて脱出しようという発想には至らなかったらしい。食事も、王族には慣れないものだっただろうが完食してる。
鍵が合ってて本人が元気だということがわかれば、さしあたり用はない。とっとと引きあげよう。
「──あんた、何しに来たの?なんで、あの牢番が来ないの?
それにカギを間違えてたわね、やっぱりあんた、──」
「臨時の代役だ。牢番は体調不良でな。それでは」
とっとと帰ろう。しかし王女様は、逆にそんな僕に疑問を抱いたようだ。
「あ、待ってよ。あんた、──イシュトヴァーンとか、いう名前の奴ね?
なんで朝、私たちに果物なんかよこしたの?それに椅子壊したのに、なんで何も言わないの、それに、──」
「答える必要はない」
不味い、早く出よう。
「待って。朝、貴方の名前を呼んだとき、私には不思議な戦慄が走ったの。──貴方がまるで、あの災いの星「後でなっ!」」
出る、出るぞ!こんなところにいられるかっ!
何か不吉な予言の言葉を唱えだしたリンダを残し、素早く牢から出てカギをかける。ふー、寿命が縮みそうになったぞ。
僕は深くため息をつき、頭をふりながらスニさんの回収に向かう。これから、戻ってくるグインたちを待ち構えて牢に護送し、併せて協力の内意を伝えるという大仕事がある。
あの才気煥発なリンダが、逃げる僕を追って扉近くにいたことは僕も察知していたが。
僕のその様子を、背伸びしながら牢の入り口の覗き穴から観察していたなんて、そのときの僕には知る由もなかった。
──────
回想終わり。
グインを護送する隊のたどっている廊下と並行して走っている、回廊を僕は飛ぶように走り。
息もほとんどはずませず(高スペックだ)、スニに合流。
スニにちょっと怒られたが、二人で見回りと言わんばかりに歩き、ちょうどやってきたグインたちに遭遇する。
「牢番、ちょうどよかった。牢のカギを開けよ。手当し、血を洗わせ、食事を与えよ。」
「ガッテン、デサア」「承知です」
「待て、お前、──イシュトヴァーンか!なぜここにいる?」
気づかれた。だが、平然とやましいことが何一つないように受ける。
予定どおり、ここは
「はっ。詮議の結果をさきほど伝えられまして。
懲罰として3日間、牢番と炊事場の下働き番をやれ、と。そして4日後のセムどもの村の殲滅隊の先陣に入れ、と」
この小隊長や、トーラスのオロたちは俺の顔も体型も知っている。ごまかしきれない。
だから堂々と面頬を上げて、そう答える。
賭けだが、彼らの間での指示の伝達や情報共有は、最近はうまくいっていない。
食屍鬼としては異常なほどに頭脳明晰な偽ヴァーノンだが、やはりこういう細かい点の業務指示は難しいらしく、しばしば小隊長どうしで不満話をしていたのを覚えている。
「──せいぜい励んで、早く戻れ。
お前がいないと、第1小隊との賭け拳闘で負けがこんでしまう」
「はっ」
ふー、なんとかごまかしきれたか。
ただ、長くはもたない。ただ、長く持たせる必要はない。
すでに、原作イシュトヴァーンの推定脱出時刻を経過してしまっている。これ以上は、城には付き合えない。
僕はスニとともに階段を上がり、黒騎士たちに見守られながらグインを牢に戻し。
そして手当と食事を用意することを口実に、黒騎士たちから離れて詰め所に戻り。
そして、対グイン向けの小細工に向かったのだった。
(覚書)
○ガブールの大灰色猿
巨大な猿として有名なのは、ギガントピテクスと呼ばれる猿である。30万年ほど前に絶滅したと考えられているが、一説だと身長3m、体重は500kgぐらいにもなったと言われている。オランウータンに近い種だが、果実好きだったらしい。
ガブールの大灰色猿も、体のスペックとしてはギガントピテクスに近いものと仮定した。個人的にはこれが「カローンの蜘蛛」第5話(双子宮の陰謀)に登場するカラヴィアの食屍鬼に似ているような気がするのだが、詳細は不明である。
○スタフォロス城の高さ
スタフォロス城の黒の塔、白の塔の高さは不明である。ただ、スタフォロス城はそれなりの巨城であることが描写されている。
やはり水の傍の堅城として知られるドーヴァー城の天守閣は高さ30メートルであるので、そのくらいであると仮定したい。
ちなみにドーヴァー城は100メートルほどの断崖絶壁に立っているので、仮に天守閣から海に飛び込めるとすれば、(実際には海から離れているので、そんなことはできないが)、140メートルを飛び降りることになる。この高さで飛び降りると、生存はまず無理ではないかと思われる。
ただ、スタフォロス城はセムが攻略できるくらいなので、断崖絶壁は100メートルはないはず(そこまでいけば、そもそも河面を松明で照らして探すという発想すら起きないかもしれない)。大阪城の城壁(30メートル)くらいではないかと本作では仮定する。
ただし、原作では「何百メートルの高みからとびおりた」と述べられていて(2巻第1章1)、もし真実であればこれは正気の沙汰ではない(「何百」なら、200メートルということはないだろう。ちなみに東京タワーが300メートル、エンパイアステートビルが380メートルである)。やはり某サイト様(https://keisan.site/exec/system/1204505696)に頼って計算すると、300メートルを自由落下したときの水面到達時の速度は約280km。ほぼ東海道新幹線の最高速と同じである。ちなみに新幹線に飛び込むと人間は原形をとどめず霧状の血しぶきになってしまうともいう。
なお、人間が負傷せずに水面に飛び込める高さは、某サイト様によると約8メートルとされている(頭から飛び込んだとき。https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/112652)。60メートルとは、──おそるべしキレノア大陸人。
本作では、原作の「何百メートル」は「何十メートル」もっと言えば「60m」と仮定したい。これでも時速120kmなのだが、ギネスの飛び込み記録は58mとされており(クリフジャンプ、https://www.guinnessworldrecords.jp/news/2016/1/highestcliffjump)、全く不可能とはいえない。