魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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番外編というより過去編で司波兄妹と仲良くなるまでの話です。


番外編 司波深雪の弟①

司波深雪が中学生の時、突然弟が出来た。生まれたというわけでなく親の再婚で出来たというわけでもなく単に今まで存在を知らなかっただけの半分とはいえ血の繋がった同い年の弟である。

中学生の多感な時期それも実の母が亡くなってまだ一年しか経っていない中、父親から実は俺お前の母親と結婚する前から付き合ってた彼女がいて結婚したあとも愛人関係を続けていました。息子もいます。そしてその愛人と結婚することになりました。息子は弟として可愛がってあげてね。というようなことを言われれば見る目も変わるというものだ。

 

深雪の敬愛する兄、司波達也からは半分とはいえ血の繋がった弟にまで親の責任を負わせるようなことはしない、ともっともなことを聞いてはいたもののそれをすぐに受け入れられるほど四葉とはいえ中学生というのは大人ではない。

 

故に初顔合わせの日、深雪は刺々しい雰囲気を纏っており達也でさえ話しかけることに躊躇いを覚えるほどであった。が、それはすぐに霧散する。現れた『弟』が予想していたものとはあまりにも違いすぎたからである。ポカーンと口を開けて虚空を見つめふらふらとした足取りで歩いているその弟の容姿は義理の母となった小百合から直接、『息子』と紹介されても『弟』であると納得できるものではなかった。

 

深雪の目にはその弟がどう見ても女の子、つまりは『妹』にしか見えなかったのである。

 

服装は男物に見えるが女の子が着ていても違和感のない範囲に思える。未だ一言も発していないため声で判断することは出来ない。胸の膨らみは皆無。が中学生ということを考えればそれもおかしいことではない。

 

ちらっと兄を見てみる。いつも通りに見える。何か疑問に思っている様子はない。

 

深雪は意を決して直接尋ねた。

 

 

「小百合さんは彼を息子と言いましたがあの私には女の子に見えるのですが」

 

 

すると小百合は弟(仮)の頭に手を乗せて答える。

 

 

「これでも一応男よ。昔から女顔ではあったけど成長してこんな美少女になるとは思ってなかったわ」

 

「ちゃうわー!美少女ちゃうわ!」

 

 

突如抜けていた魂が戻ったかのように大声で否定した弟の声は中性的というより女の子寄り。良く見てみても喉仏なんてものはないように思える。尋ねてみても疑いは晴れない。

 

 

深雪は両親が帰宅し一人残された弟と兄とが談笑をしているのを眺めた。

 

名前は雪花。肩に掛かる程度にのばされた男にしては長い黒髪に大きな瞳。処女雪のような白い肌。男とは思えない華奢な体躯で自分よりも小さい。

 

兄との共通点は髪の色くらいだろうか。とはいえ黒髪というのは日本人にもっとも多い髪の色であり珍しいわけではない。考えを巡らせる内に気が付いたのは弟は自分と似ているのかもしれないということだ。

 

見た目もさることながら名前も同じ『雪』の字が入っている。そう思うと彼と血が繋がっているというのがより実感できた。

ところが彼が弟であるということにはより疑惑が深まった。自分と似ているのに男だなんて認めたくないという気持ちがあったからだ。

 

深雪は観察する。じーっと雪花を見つめる。─何故か冷や汗を流している。さらに見つめる。─何やら顔が青い。体調が悪いのかと聞いてみるが「自分の未来について考えてただけなので大丈夫です……体調は、ね」と意味不明の回答。深雪は混乱することとなる。

 

 

そして達也はそれを面白そうに(暖かい目で)見ていた。

 




①ということは②も③もあるということなんですね。続きます。
あー今日は最新話投稿できなそうだなーという時に投稿していってたまってきたら番外編だけまとめたいと思っています。『司波深雪の弟』シリーズの他にも澪さん視点とか『はんぞーくんの恋』シリーズとかあるのでちょくちょく投稿できたらな、とも思ってます。

さて、明日も0時に投稿します。

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