魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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次話をじっくり考えたいので、一旦番外編。一応シリーズ化しようと思ってます。


番外編 シールズ家の日常①

雪花の朝は意外と早い。

毎朝七時に家政婦の沙世によって起こされるからだ。その後、用意された着替えに眠い目を擦りながら着替える。この時、どんなに眠くてもしっかり着替えを確認しないと酷いことになる。たまに女の子用の服が用意されている時があるからだ。

 

そして着替えが終わると、朝食。

シールズ家の朝食は基本的に七時半。食堂に一家全員が集まって食べる。といっても雪花、リーナ、リーナの父である弾の三人だけなのだが。雪花は失礼にも最初、弾をヒモか、と思っていたものの、そんなわけはない。単に家の中で出来る仕事というだけだ。妻でありリーナの母である女性が中々家に帰れないほど忙しくしており、家に両親が中々帰ってこないのでは娘が可哀想だ、という理由で今の職を選んだという。元々は魔法師であったらしい。

 

朝食を終えた後、学校に行くリーナを見送った後、雪花には夕飯までやることがない。逃亡中の身であるため、家の敷地内から出ることが出来ないとはいえ、元々がインドア趣味の雪花には苦ではなかった。

 

性根がニートなのだ。

 

 

そして、能力のあるニートというのは質が悪い。魂に記憶する特殊な方法で擬似的に完全記憶能力を得ている雪花は暇潰しにあらゆる言語を習得したり、かけ算を1×1からひたすら暗記するという作業をしてみたり、勉強と言えるようなものもしてはいるのだが、大体が刹那的な発想による遊びだ。そしてそれを周りも止めない。雪花は完全に甘やかされていた。日中、弾は仕事場にこもるため、雪花の相手をするのは沙世か、シールズ家のメイドなのだが…彼女達は小動物を愛でるかのように温かい目で見守るのである。そして雪花が何かやれば称賛し、よいしょする。猫可愛がりである。

 

結果、雪花は調子に乗る。

 

 

「よし、今日は裁縫やろう」

 

 

斜め上の発想。ちなみに昨日まではペーパークラフトにハマっていた。彼は一体どこを目指しているんだろうか。まあ、まず間違いなく何も考えていないのだろう。

 

 

「道具は一式、部屋に揃えました!雪花様!」

 

「良いですよね裁縫!」

 

「男の娘で裁縫が出来るなんてポイント高いですよ!」

 

 

シールズ家のメイドが何も考えずに発言した雪花をひたすら持ち上げる。さらには一瞬で道具やら材料やら用意してしまう。雪花はモテるニートだ。

 

 

そうして甲斐甲斐しくメイドに世話をされながら趣味を満喫するのが雪花の日常である。

 

 

「ただいまー」

 

 

夕方になると、リーナが学校から帰ってくる。

 

 

「……雪花、今度は裁縫?ペーパークラフトは?」

 

「ペーパークラフトはもう良いや、それより見てよコレ!ジャーン!」

 

 

始め、布に埋もれている雪花に呆れたように言ったリーナであるが、雪花が作ったらしい服を見せられると目を丸くした。リーナは知るよしもないが、その服は百年前には良く見られた女子制服。ブレザーにリボン、スカート、と一式揃っている。全て雪花の手作りである。既製品ではあるが、勿論?ニーソも揃っている。

 

 

「日本の女の子の憧れ、制服!スカートとニーソックスの生み出す絶対領域は芸術とまで言われているんだよ!リーナに合わせて作ったから着てみてよ」

 

 

言われるがままに制服を持って着替えにいくリーナ。サイズはぴったりだった。雪花がメイドからリーナのスリーサイズを聞き出したのだから当然である。後日これがバレて追いかけ回されることになるわけだが。

 

 

「着てきたわよ」

 

「おーすっごい似合ってるよ!可愛い」

 

「そ、そう?」

 

 

似合ってる、可愛いと言われ頬を染めるリーナ。くるっと回転してみたりもする。

 

 

「いやー八時間も頑張ったかいがあったよ!それはリーナにプレゼントするからたまに着てね」

 

「うん、大切にする」

 

 

実際はただ、金髪ツインテールの制服姿を見たかっただけだったりするのだが、リーナは私のために雪花が頑張って作ってくれた、とはしゃいでいる。数年後、その制服のせいで起きる悲劇も知らずに。

 

 

「よーし、明日は編み物だ!マフラー作ろう」

 

 

雪花がそう言って拳を突き上げれば、後ろに控えていたメイドがすぐに反応する。

 

 

「編み物!素晴らしい考えです!雪花様!」

 

「男の娘なら出来た方が良いですよね!」

 

「私、使う物買ってきます!」

 

 

雪花が今の残念な感じに仕上がってしまったのはきっと彼女達にも原因があるだろう。雪花には毒舌なくらいのメイドの方が丁度良いのだ。

 

 




シールズ家のメイド達、このシリーズでは大活躍の予感。沙世さんより先に台詞ゲットという。
もう沙世さんをしゃべらせるタイミングが分からないよ(泣)

さて、明日も0時に投稿します。

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