魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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久し振りの投稿です。

ふっ、言い訳なんてしない、ぼくは……遊んでた!投稿していなかったこの約二ヶ月、ぼくは遊びまくってた!学校、バイト、遊ぶの無限ループ、それを二ヶ月繰り返していたのさ!

そんな感じで長らくお待たせして申し訳ありません。
夏休みに入り時間に余裕が出来そうなので投稿を再開します。




あずさと達也①

中条あずさがその光景を目撃したのは偶然以外の何物でもない。

 

日曜日、クラスの友人と街へ出ることはそう珍しいことではなく、部活をやっている友人の都合でお昼過ぎには解散し、その後に一人で街を少し散策するのはいつものパターンだった。

 

 

「なんで女装?可愛い……じゃなくてっ!なんで水波さんやリーナさんも一緒に…!」

 

 

人の視線をこれでもかと集めていたその集団の中に、結婚を約束した少年を見つけたものの、その少年は化粧までして女装しており、他の女と手を繋ぎながら歩いていた。

 

 

「うう、出てこない……中で一体何が…っ」

 

 

それを見つけた時点で堂々と出ていって事情聴取をすればそれで済んだ。が、小心者であるあずさにそんなことができるわけがなく、こそこそと後をつけることに。その結果、女性用水着の店に入った雪花たちを、店の外で待っている達也を警戒して、遠くから悶々と眺める苦行を行うことになってしまったのである。

 

 

─なってしまったのであるが。

 

 

 

(……一体どうしてこんなことに)

 

(……何故こんな状況に)

 

 

 

─現状、それ以上の異常事態が発生していた。

 

 

「達也、貴女中条あずさとデートしてきなさい」

 

 

「は?」

 

 

全ては雪夜のこの一言から始まった。

 

 

 

 

女性用水着を主に扱っている店を出た一行はそれからも様々な店を見て回った。楽しそうに話ながら、あれじゃないこれじゃないと、服やら小物やらを購入していく女性陣を眺めながら、達也は一つ疑問を覚えた。どういうわけか、雪夜がやけにリーナや水波に密着しているのだ。それは雪夜の性癖がどうこうというわけではなく、何かに見せつけているようで……そこまで考えたところでちらりと、あずさの姿が視界の端に写る。それと一緒にニヤニヤしている雪夜の顔が見え…どうやらあずさが遊ばれているらしいということに思い至った。

全くあの人は……と呆れはしたものの自分が首を突っ込むことでもないだろうとスルーした。スルーしてしまった。

 

 

「そろそろかしらね」

 

「何がですか?」

 

 

昼食を挟んで一時間程したころ、雪夜が小さく呟いた。達也は妙に嫌な予感がして、それに反応した。実際、達也の予感は的中した。

 

 

 

「達也、貴方中条あずさとデートしてきなさい」

 

「は?」

 

 

雪夜が耳元で囁いた言葉の意味が分からなかった。そもそも何故そんなことをする必要があるのか、という至極まともな疑問が高い壁となっていたからだ。

 

 

「実はね、雪花と中条あずさ婚約しているのよ」

 

 

 

達也はどうにか声を上げずにポーカーフェイスに徹することの出来た自分を褒め称えたいくらいだった。それくらいの衝撃がその言葉にはあった。

弟と自分の学校の生徒会長が付き合っているを通り越して婚約しているなどと突然知らされればその衝撃はとてつもないものだろう。

 

 

 

「それが私は気に入らないの。中条あずさは愛でる分には可愛いけど、雪花の隣に立つには向いてない」

 

 

愛でる、の部分はともかく、雪花の隣に立つには向いていないというのは達也も概ね同意だった。不本意ながら自分が少々(・・)厄介事に巻き込まれやすいと自覚している達也ではあるが、雪花はそれに増して酷いと思う。そういう人物だからこそ、隣に立つ者はそれ相応に力のある者の方が良いだろう。その点、婚約者となったリーナは百点に近い。雪花と同年代でリーナよりも質の良い魔法師を探そうとしてもそう見つかるものではない。

 

 

「それに折角雪花がリーナへの恋心を自覚してきているのに、中条あずさがいたのでは、雪花はそれを認めないもの。だから、どうにかして、中条あずさに雪花を諦めさせるの 」

 

「俺に二人の仲を引き裂けと?」

 

「引き裂くことにはならないわよ、雪花はリーナに付くわ」

 

「……それはまた随分な物言いですね」

 

「所詮、中条あずさはリーナの代用品に過ぎなかったということよ」

 

 

 

雪夜の冷たい反応に達也は眉を潜めた。

 

 

 

「貴方は雪花がどれだけ酷い状態だったのかを知らないからそういう考えなのよ。リーナのおかげで今の雪花がある。だから私はあの娘に雪花と一緒になってもらいたいの。リーナのいない間に雪花を横からかっさらおうなんて許すわけがないわ」

 

 

無意識であろうが、駄々をこねる子供のように手をぶんぶんと振る雪夜に達也は肩の力を抜きつつ、過去を振り返ってみる。

 

確かに達也は雪花の幼少期を知らない。存在すら知らなかったのだから当然といえば当然であるが、今思うとそういう話になったとき、雪花が自分から話を逸らしていたような気もする。

 

 

 

「それにね、雪花は無意識にリーナのことを忘れようとしていた。だから貴方たちにもリーナのことを話すことはなかった。リーナは雪花を救ったわ。だからこそ雪花はリーナを忘れようとしたのよ。思い出したくない過去を思い出してしまうから」

 

 

雪夜はリーナを娘のように思っていた。

成長を雪花の中から見守り、いつか二人が一緒になることを夢見ていた。それが雪花が日本に来てからというものの、徐々にリーナの記憶が薄くなっていくだけでなく、別の女と婚約までしていた。それをイライラと見守るしかなかった雪夜であったが雪花がリーナと再会したことによってそれが変わりつつあることに気がついた。揺れている雪花の心、その天秤を雪花の寝ている間に傾けてしまおうというのが雪夜の考えである。

 

 

「それがリーナと再会したことで変わりはじめた。雪花がなかったことにしていた気持ちが徐々に戻ってきた。あと少しで雪花はリーナヘの恋心を取り戻すはずだった。なのに……あーなんだかまた真夜への怒りが振り返してきたわ。適当に恥ずかしい過去をネットに拡散しておきましょう」

 

 

わなわなと勝手に怒りだした雪夜に達也は心の中で真夜に黙祷を捧げ、きっぱり断ることにする。

 

 

「だからといって、俺が中条先輩とデートする理由にはなりませんよ」

 

「理由ならあるわよ?」

 

 

雪夜はニヤリと何かを企むような、イタズラをする子供のような、とりあえず、達也にとってあまり良いことは起きないであろう笑顔で言う。

 

 

 

「面白そうじゃない」

 

 

 

 

 

瞬間、達也の意識は遠くなり──

 

 

 

「中条先輩、俺とデートしませんか?」

 

 

 

 

─爽やかな笑顔であずさをデートに誘っていた。




ヽ(´Д`;ヽ≡/;´Д`)/
あずさ 「えっ?えっ?どういう状況ですか!?」

(。≧Д≦。) 雪夜「くっ、くやしいけど慌ててる中条あずさ……可愛い!」

(! ──__──) ジトーッ 水波「へーそうですかー」

♥ヽ(´▽`)/ 雪夜 「でも一番は水波ちゃんだけどね!」

(//・ω・//)カァ 水波 「べ、別にどうでもいいですけどね…!?」







次話、雪夜の隠された能力が明らかに!

実はぼくのもう一つの作品である美月転生(仮)とのコラボを書こうかと計画中です。美月転生の第一部が終わったころに投稿できたらなーと思います。

それとは別になんですが、劣等生二次作品を投稿している作者さんで今作、もしくは美月転生(仮)とコラボしても良いよーという方、いらっしゃったらメッセージを頂けたらなと思います。ぼくだけか、お互いに二作品のクロスを書く形を考えています。
コラボって憧れるので。


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