魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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そろそろちゃんとしたあらすじを考えようかなと思ったところで気がつく。

あれっ?そもそもタイトルが(仮)じゃね?


今年中には正式タイトル決めたいなー(願望)


懇親会と深紅の王子

九校戦の懇親会は九校戦関係者以外は参加できないはずなのだがただの観客であるはずのぼくは何故かここにいた。九島烈に半強制的に連れてこられたのだ。なんでも面白いことをやるとのことだがその仕掛けを原作知識により知っているぼくとしてはお祖父ちゃんの手品を見せられる孫の気分だ。実際にお祖父ちゃんになるかもしれないと思うとゾッとするが。

 

 

「一校勢には近づかないようにしないと」

 

 

ほとんど学生しかいないこの場で私服では目立ってしょうがないというわけで数ヶ月振りに袖を通した一校の制服で来たわけだがこの格好で一校の誰かと出会ってしまうと、は?お前誰?なんでここにいんの?という状況に追い込まれるため前世から標準装備しており澪さんの誕生日パーティーでも大いに役に立った『隅で大人しくすることで気配を消す』という高等技術を使いやり過ごすことにする。とはいえずっと一ヶ所に留まっていても逆に目立つので程よく移動し時には留まり一校生の目を気にしながら立ち回る。もはや魔法師というより忍者だった。まあ、一度だけ見た本物の忍者はハゲだったから絶対なりたくないが。

 

 

「ねぇ君一人?一校だよね」

 

「ああ別に情報を聞き出そうとかそういうのじゃないから警戒しないで。ただ折角の懇親会なんだし他校の生徒とも話してみたいだけなんだ」

 

 

ぼくが内心でハゲ頭の忍者を想像し自分がスキンヘッドのツルツル頭になっている姿を思い浮かべて、ぼくは絶対忍者にはならないってばよと決意を新たにしているとド派手な赤い制服を着た三校の男子生徒二人に声をかけられる。ちっ油断したか。

 

 

「お前ら他校に恥を晒す気か?ここはそういうことをする場ではないぞ」

 

 

ぼくがこの状況をどう切り抜けるかと考えていると横から同じくド派手な三校の制服を着た男子生徒が割り込んでくる。

 

 

「げっ一条」

 

「マジになるなよ、ちょっとした冗談じゃないか」

 

「だったら早く行け、冗談でもこういうことはやるな」

 

 

二人の男子生徒が言い訳を口にするもバッサリ一刀両断し追い払うとこちらに謝罪をしてきた。

 

 

「すみませんでした、あいつらには後でしっかり言っておきますから」

 

「ああいや気にしないで、というか見たところ同級生だし敬語使わなくていいよ。君一年生だろ?そっちのがぼくも話しやすい」

 

 

会話を続けながらぼくは内心冷や汗ダラダラだった。なんせこの一条と呼ばれた人物は十師族の一角を担う一条家の次期当主にして『クリムゾン・プリンス』の異名を持つ原作キャラ、一条将輝その人なのだから。

 

 

「そうか…あっところで君なんで男子の制服を着ているんだ?」

 

 

この場からうまくエスケープする方法を何通りか考えていたにも関わらずそれをすべてぶっ飛ばしにくる一条将輝の質問(さらにいえばその質問から三校の生徒二人の行為がいわゆるナンパであったことに気がつく)にいつもの如く大声で否定しそうになるがこの場では目立ってはいけないんだと自分を理性で押さえ込みつつやんわりと否定する。

 

 

「一条の次期当主ともあろうお方に女装の趣味がおありだったとは知らなかったな」

 

「何故そうなる!?」

 

「だって男が男の制服を着ているのに疑問を感じるなんて…そういうことだろ?ああ分かってる。このことは誰にも言わないよ。ぼくの心の中にこっそりしまっておくから安心してくれ」

 

「誤解だ!というか、えっ?君男なのか?その顔で?冗談だろ?」

 

「さーて飛び切りのスクープでも呟くかなー!『クリムゾン・プリンス将来の夢はクリムゾン・プリンセス』っと」

 

「やめろ!ごめん!謝るから!本当にそれは不味い奴だ!」

 

 

 

ぼくが一条将輝の慌てふためく様子に仕返し成功と満足するとタイミングを見計らったかのように来賓の挨拶が始まった。一条将輝は誤解だからなっ!と小さな声でしかし強く否定すると真剣な眼差しで来賓へと意識を向けた。やがてぼくをこの場に引きずり込んだ九島烈の挨拶がアナウンスされると多少のざわつきがあった会場は一気に静まり返った。さすがに「老師」と呼ばれるだけのことはある。とてつもないカリスマだ。

 

原作通り壇上に現れたのはパーティードレスを纏い髪を金色に染めた、若い女性。そしてその後ろにはニヤリと笑う九島烈。

 

後は九島烈からの種明かしとお説教、そして激励。その際手品の種に気がついた人数が六人になっていたのには吹き出しそうになった。ぼくもカウントされてるんですねそれ。知ってただけなんですが。

 

その後、種に気がつけずちょっと落ち込み気味の一条将輝に気がつかれぬようその場を離れ九島烈に用意してもらった部屋に戻り朝方までCADを弄り続けた。

 

今日のこの濃い一日で溜まったストレスを発散するにはそれだけの時間が必要だったのだ。

 

翌日目が醒めたのは昼過ぎというには遅すぎる時間、おやつの時間も過ぎ去った午後四時過ぎだった。今日は休養に当てられているため特に問題はないのだが不健康であることには変わりないし明日は開会式だ。寝坊しないように今日はちょっとだけ(・・・・・)CADいじって早く寝よう。

 

 

当然、ちょっとで済むはずもなく眠りについたのは午前3時ごろだった。




次話からいよいよ九校戦スタートです。正直盛り上がりに欠けるかもしれないのでちょっと不安ですが。


さて明日も0時に投稿します。
もしかすると二話投稿するかもしれませんがそれは今日のぼくの頑張り次第です。頑張れぼく。

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