魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
九校戦初日、やはりと言うべきか当然の如く寝坊し眠い目を擦りながら別に開会式は見なくてもいいかなと考えていると突然澪さんから電話がかかってきた。
『すみません、少し体調を崩してしまいまして。今はもう大丈夫なのですが弟が安静にしていろとうるさくて。最終日には必ず行きますから!』
画面に写し出された澪さんはたしかに体調が悪そうには見えず胸の前でグッとガッツポーズまでしている。
「無理はしないでくださいね。洋史さんの言うとおり安静にしていてください。その方がぼくも安心です」
『もう、洋史も雪花君も私を病弱扱いし過ぎです!最近はずっと体調良かったんですから大丈夫ですよ!」
「はは、すみません、ぼくも洋史さんも澪さんが心配なんですよ。では一緒に九校戦を観るの楽しみにしてます」
『はい私も楽しみにしていますね!』
かくして一人で九校戦の応援へと向かうことになったぼくは制服を身に纏い鏡で適当におかしなところがないか確認して家を出る。その際男子の制服似合わないなと思ってしまったのは秘密だ。きっと一条将輝に感化されただけだ。
ちなみに開会式にはやっぱり間に合わなかった。
◆
「隣いいかしら?」
「なんでいるんですか…藤林さん」
「響子でいいわよ?結婚したら私も司波になるわけだし」
今日は開会式と二競技が行われる。スピード・シューティングの決勝までとバトルボードの予選。結果を知っている身としては迫力のある試合を期待したい。
「一校の生徒会長さんが出るみたいよ」
七草真由美。一度だけ見たことがあるが会話を交わしたことはない。七草なんて関わりたくないから今後も警戒が必要な相手だ。結果は分かっているので応援しようにも力が入らないが魔法はちゃんと見なくては。決勝まで使わなかったような気もするが七草の『魔弾の射手』は絶対に
「凄いわねパーフェクトよ」
「凄いのはこの歓声もですよ、どこのアイドルですかうちの生徒会長は」
「妖精姫なんて呼ばれてるんじゃなかったかしら?あの容姿ですもの当然というべきね」
「響子さんもお綺麗ですよ」
ここで、赤面の一つでもさせてやろうと軽く褒める。
「ありがとう」
ニッコリ笑顔で返された。恥ずかしい。
結局、『魔弾の射手』は見ることが出来なかったものの他に使えそうな魔法をいくつか
「雪花君、バトルボードは観に行くの?」
「んー特に見たい選手もいませんしスピード・シューティングの決勝までホテルで休むことにします」
「なら丁度良かった、一緒にお茶しない?ほらこの前のお見合いもちゃんと出来なかったし」
「拒否権ってあるんですか?」
「あると思う?」
飛び切りの笑みにはそんなものはないと大きくくっきり書いてあった。ぼくはため息を吐きながら立ち上がりホテルへと向かうのであった。
ご感想にありました雪花の容姿について。
深雪と小百合を足して二で割った感じで髪型は深雪の髪を肩にかかる程度に短くした感じ。本人が気にしているわりに髪が長いのは深雪と小百合から髪を切ることを止められているから。深雪と髪型が似ているのは深雪の趣味です。
ではまた次話で。