魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作：カボチャ自動販売機
将輝、吉祥寺真紅朗と交流を深めた後、ホテルへと戻りちーちゃんに約束していたぼくお手製のCADを見せてあげたり、CADについて語り合ったりして夜を過ごし少し早めに就寝した。
今日はいよいよ我が姉にして完全無欠の氷の女王、司波深雪の試合がある。いくら試合が午後とはいえ万全を期したいのだ。もし観戦してませんでしたーなんてことになればぼくは氷のオブジェと化すだろうし。
姉さんの試合の前にまずは兄さんの担当した明智英美、北山雫の試合がある。
第一試合の明智英美が何とか勝ち抜き第五試合、北山雫の試合。選手が登場してすぐに将輝が疑問を口にする。
「振袖か、やりにくくないのか？」
「女子ピラーズ・ブレイクはファッション・ショーの様相を呈しているからね。振袖もそれほど珍しくはないようだし」
「ぼくらには分からないもう一つの戦いって奴じゃないかな」
ぼくがこの面子で唯一の女子であるちーちゃんの方を見てみるが私には分からないわとのお返事。ファッションに拘りはないようだ。
「やはり凄い干渉力だな。スピード・シューティング優勝者は伊達じゃないってことか」
「うん、それに今の魔法、『共振破壊』の応用…高度に技巧的な術式だよ」
圧倒的な北山雫の試合を前にして意見を交わす二人。その目は真剣そのものでただ観戦に来ているだけのぼくが馬鹿みたいなので居づらい。
「将輝、ぼくもう一回戦の最終ゲームまで見るのないからお昼食べてくるよ」
「ああ、了解」
ちーちゃんを誘ってみるとついてきてくれるそうなので一緒にお昼を食べることにする。ホテルに入っているレストランでだ。
「あらお友だちって女の子だったの？」
そこに現れたのはぼくの婚約者(仮) である響子さん。特に連絡もしていないのにどうしてここにいることが分かったのか不思議に思うものの良い機会なのでちーちゃんを紹介する。ペコリと頭を下げるちーちゃん。
「はじめまして、藤林響子です」
ふわりとした笑みを浮かべながら自己紹介をされちーちゃんの頬が少し赤く染まる。するとまるでそれを誤魔化すかのようにちーちゃんが口を開いた。
「あの、二人は何のお知り合いなんですか？」
「ああ私、婚約者なの。雪花君の」
ヤバイ、と思ったときにはもう遅かった。響子さんは特大の爆弾を落としそれに被爆したちーちゃんは固まっている。
「なんで言っちゃうんですか、察してくださいよ！」
「良いじゃない本当のことなんだし」
本当のことだから不味いんだよ！
どうすんのこの状況。
「貴方中々やり手だったのね…」
「誤解だよ！半強制的に婚約させられたんだよ！」
「酷い！私のことは遊びだったのね！」
「酷いのはそっちだよ！ぼくで遊ばないで！」
誤解を解くというのはとても難しいことだと知った今日この頃。響子さんのノリによってちーちゃんの誤解が加速。その誤解を解こうとすればするほど疑いが深まっていくという最悪のスパイラルから抜け出すのに小一時間。浮気した夫の気持ちを味わってしまった。一生知りたくなかった気持ちである。
「充分楽しめたし私帰るわね、仕事もあるし」
散々場を荒らした元凶である響子さんは満足気な顔で料理も食べずに帰っていった。本当に何しに来たんだあの人は。
そしてちーちゃんはもきゅもきゅとなんか色んな野菜の入ったサラダを食べている。レストランに来て一時間も経つというのに食べ始めたのはついさっき。姉さんの試合に間に合わなかったらぼく、氷のオブジェになってしまうんですが。
あれっ？手が震えてフォークが持てないや。
◆
もきゅもきゅと食べるちーちゃんを急かしつつ食事を終え二人分のお会計を急いでる時に便利なクレジットカードで支払い走って会場に向か……おうとしたところでちーちゃんの一言。
「食べてすぐは走れない」
試合には間に合わなかった。
本当にピンチです。明日も投稿できるか分かりません。がするとしたらいつも通り0時に投稿します。出来なくても明後日には必ず投稿します。