魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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前話の雪花サイドです。


九校戦七日目 こうして彼は舞台に上がる①〈裏〉

新人戦モノリス・コード予選リーグ、第一高校と第四高校の試合。試合開始直後の奇襲で『破城槌』を受け一校の選手三名が重傷を負う事故が発生した。原作通りだ、ぼくは知っていた。でも止められなかった。止めなかった。それによって別の事故が引き起こされることを恐れたからである。ぼくが何も手を出さなければ九校戦は原作通りに進み一人の死人も出すことはなく一校は優勝し黒幕は兄さんによって掃除される。

 

だから仕方なかったんだ。…仕方なかった。

 

 

七日目の競技が全て終わり部屋に戻ったあと、ぼくはベッドの上に寝転びぼーっと天井を見つめながら思考を巡らせていた。悩んで悩んで正解だと信じることにした回答にまだ悩んでいるのだ。もう終わったことだというのに。

 

 

すると部屋がノックされる。ぼくはまた確認もせずにドアを開けてしまう。

 

 

「すいません、一校一年C組の古葉雪花く…ん?」

 

 

中条あずさ。一校の生徒会メンバー。可愛い…ってちゃうわ!えっ!なんで!?

 

ぼくの脳が一生懸命に導き出した結論はモノリス・コードの出場の申し出。吉田幹比古と西城レオンハルトのどちらかの役がぼくに回ってきたのだ。選手を決めたのは兄さんなんだ、ぼくを選ぶ可能性もある。見落としていた。まずい、これは明確な原作崩壊だ。ここでぼくが出場してどんな影響が出るか分からない。混乱しながらもどう対処するか考えているとぼく以上に混乱している人がいることに気がつく。

 

 

「あれ!?あれれ!?なんで!?どうして!?部屋は間違っていないのに!」

 

 

ぼくが古葉雪花だと気がついてない?顔は見せられてないのか!誤魔化せるのか?

 

あっでもなんで古葉雪花じゃないと思ったんだろう?部屋を教えられてその部屋にいたんだから間違えようもないと思うんだけど。それこそ明らかに高校生じゃなかったり性別が違っ……性別…?。

 

…………。

 

かっ皆目検討もつかないな!なんでこの人ぼくが古葉雪花じゃないと思ったんだろうね!おかしな人だな!本当に!

まあラッキーだけど!ラッキーなんだけどね!

 

…はあ…泣きそう。

 

 

「あの!古葉雪花くんですか?一校一年C組の」

 

 

脳内はさておき黙ったまま硬直しているぼくに不安でいっぱいになったのかすがるような涙目でそう問いかけてくる中条あずさにぼくはにっこり微笑んで言った。

 

 

「人違いです」

 

「失礼しました!」

 

 

凄い勢いで頭を下げるとドアを閉めバタバタと立ち去っていく中条あずさ。

ぼくの心の傷を代償に危機は去ったのだ。

 

さてどこかに逃げるか。

 

 

 

『もしもし、雪花。今どこにいるのかしら?』

 

 

危機が去った?誰だそんな馬鹿なこと言った奴。電話に出なかったら後で怖いので泣く泣く出てみたら姉さんの冷たい声が聞こえた。やべー怒ってる。

 

 

「さっさあ?風の赴くままに来ちゃったからなー!」

 

『そう、では十五分以内に一校のミーティングルームへ来なさい。来なければ一昨日の写真が白日の下にさらされることになるわよ?』

 

「五分で行きます」

 

 

ぼくは風になった。




本当はもう一話投稿したかったんですが結局間に合わず一話になってしまいました。全然話が進みません。
明日は二話投稿しようと思っているので期待していてください。まだ書けてないけど。


さて明日も0時に投稿します。

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