魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
モノリス・コードはステージと呼ばれる試合会場で、敵味方各々三名の選手によってモノリスを巡り魔法で争う。勝利条件は相手チーム全員を戦闘続行不可能にするか、敵陣にあるモノリスを指定の魔法で二つに割り隠されたコードを送信すること。
九校戦でもっとも人気があり、白熱する競技でぼくも
「…なんか目立ってる気がするんだけど」
昨日、何やら様子がおかしかったもののツッキー(柴田美月)と夜遅くまで話していたからか正常に戻ったようだ。そのミッキー(吉田幹比古)がキョロキョロとしながら呟く。
「これが目立つんじゃない?」
ぼくの腰にぶら下がる剣。兄さんの作った武装一体型CAD、『小通連』をさらに改良した『小通連・改』だ。
「いや、それもそうなんだけど」
ミッキーの視線の先にはぼく。正確にはぼくの衣装である
「だって恥ずかしいじゃん。これ全国に放送されてるんだよ?」
「その格好の方が恥ずかしいと思うけど」
お前も決勝になれば同じような格好になるんだぞ!とは言えないので心の中で罵倒する。決勝で笑ってやる。
「雪花、幹比古、始まるぞ」
とはいえまずは目の前の試合、八校との対戦だ。
ステージは森林。森林、岩場、平原、渓谷、市街地の五つの中から乱数発生プログラムによってランダムに選定されるわけだが八校有利のフィールドだ。とはいえこちらには忍術使いのハゲを師匠に持つ兄さん、古式魔法の使い手ミッキーがおり実際のところそう不利でもなかったりする。
故に、開始五分と経たずにこちらから攻める。
双方のスタート地点、モノリスが置かれた場所の間は直線距離で八百メートル。諸々の装備を着用しCADを携えた状態でこの木々が生い茂った障害物の多いステージを敵に警戒しながら走破するには普通五分ではとても無理だろう。そう普通の人間ならば。
「さて、今頃兄さんはモノリスを開いて離脱したころかな。後はミッキーが『罠』を完成させるのを待つだけ…っておおっ!」
モノリスの前に陣取り作戦のことを考えているとディフェンスの役割を全うする時が来たようだ。木の影からオフェンスと思われる八校の選手が現れる。
CADは特化型。ぼくを倒そうとしているのは明らか。
つまりは
八校の選手が銃口をぼくに向けるより前に小通連・改を振るう。分離した刃が木立の間を抜けて飛来し八校選手を打ち付け…ない!かわされた!
どうやらぼくはレオ程センスがなかったらしい。格好いいからなんて理由で小通連・改なんて使うんじゃなかった!
転がるようにかわした八校選手が体勢を整えこちらに銃口を向け魔法を放つ。
「やっぱり最初から
懐から取り出したのは兄さんが使っている拳銃型CADと全く同じもの。そして使う魔法も─
「ほら、やっぱり最初からこっちにしとけば良かった」
─同じである。
ぼくは八校選手の魔法を『
「…やっぱり
それからぼくは自軍の勝利を告げるブザーがなるまでボーッと突っ立っていた。
◆
試合終了後のスタンドにて。
吉祥寺真紅朗と一条将輝は先程の試合について話し合いをしていた。
「彼はそれ程、強い魔法を使えないんじゃないかな?普段極めて高性能なデバイスを使っている反動で、スペックの低い競技用デバイスだと実力を出せないのかもしれない」
「ありそうなことだな。急な代役だった所為で、スペックの低いデバイスに慣れる暇が無かったという可能性は高い」
「魔法力だけを見れば、『術式解体』以外は警戒する必要もないと思う。警戒すべきは彼の駆け引きにはまってしまうことだよ。彼については正面からの撃ち合いなら恐れるに足りないと思う…けど」
「雪花か」
真紅朗の歯切れの悪い言葉の意味を理解して将輝が答える。
「うん、彼も使えるみたいだね『術式解体』」
「だがまあ、大丈夫だろ」
「そうだね、警戒はしておくべきだけど彼は司波選手程戦闘技術は優れていない、というよりも完全に素人とみるべきだろうね」
「だな」
将輝は出来たばかりの友人の顔を思い浮かべながら拳を握る。
─悪いが優勝は俺たちがもらう。
戦いの時は近づく。
モノリス・コードは基本的に原作と違うところだけをお届けします。特に書かれていないところは原作通りに進行したものとお考えください。
さて明日も出来れば0時に投稿したいところなんですが元日は忙しく投稿できないかもしれません。なるべく投稿しますが無理でも明後日には投稿します。