魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
「馬鹿か?こんなCAD、レギュレーション違反に決まっているだろ」
完成したCADを兄さんに持ち込むと呆れたようにそう返された。
「汎用型の武装一体型CAD…普通に考えてこんなものレギュレーションに収まるわけがない。というよりこのCADは光学系魔法に特化した光るだけの剣じゃなかったのか?」
「うん、剣を振ると光の斬撃が飛ぶっていうCADだったんだけど折角だから普通に斬撃を飛ばそうと思ってコレ作ったんだ」
「あの術式をどうやって手にいれたのかは知らんが殺傷ランクはまず間違いなくA以上だ。CAD云々の前にそもそも使えん」
なんてこった。アレだけ苦労して作ったCADが使えないだと。レギュレーションなんて頭からすっかり飛んでいた。何が「将輝には悪いけど優勝はぼく達がもらうよ」だ。恥ずかしいわ!
「どうするんだ?CADを調整するにしてもあまり時間はないぞ?まあお前のなら十五分程度で出来るだろうが」
「仕方がないから最初の案を採用するよ。レギュレーションも何とかする」
「今からか?」
「二十分で全部やるよ」
見せてあげよう。トーラスの力を。
新人戦、モノリス・コード決勝。
選手の登場に、客席が大きく沸いた、というわけではなく観客は戸惑いにざわめいていた。
というのも、ぼくら一校の格好があまりにも奇妙だからだろう。
「使い方は説明した通りだ、作戦通りに行くぞ」
「達也は気にならないの?この格好」
「多少走りにくいだろうが仕方ないだろ。そういう作戦だ」
「…そういうことじゃないんだけど」
ぼくらは
「それにその派手なCAD!剣だし金色だし!目立つに決まっているよ!」
「格好いいでしょ?」
構想が頭にあったから何とか二十分で完成できた。CADとしては大型だろうこのCAD『聖剣エクスカリバー』はぼくの身の丈程もあり、今はローブの上から背中に帯刀している。
「幹比古、そこまでだ。試合が始まる」
兄さんの一言で場の空気が変わる。
いよいよ始まる。
原作では勝利した、勝算はある、自信もある。でも実際に戦ってみるまで、勝敗は分からない。
緊張している。不安もある。それでもそれは試合が始まれば消える。消さなければならない。
迷いを持てばそれは決定的な隙となって試合の勝敗を決めてしまう。
─ぼくならやれる!
試合開始の合図と共にぼくは剣を振る。
─さあ、はじめようか!一条将輝!
「エクスカリバー!」
戦場である草原ステージを眩い光が包んだ。
VS三校、二話に分けるどころが四話くらいに分かれそうです。
ではまた次話で。