魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
ちょっと短いです。
第一試合で一悶着あったもののミラージ・バットは一度、全員のCADを再検査したのち再開された。
そしてぼくの姉さんは無双した。
予選は最初こそ二校選手と接戦を繰り広げていたものの姉さんが飛行魔法使ったことであっさりと勝負が決した。
そして決勝。大会委員会から各校へ術式がリークされ六人の選手全員が飛行魔法を使うまさに妖精のダンスといえるそのステージで姉さんはただ一人他とは違う輝きを放っていた。圧倒的、結局姉さんは大差で一位。個人優勝を果たし一校の総合優勝を決めた。
流石です、お姉様。
ぼくは観客席に手を振る姉さんを見ながら今日を振り返っていた。
◆
「で、お前はどうして細工されていることに気がついたんだ?」
原作知識です、とは言えない。かといって良い言い訳も思いつかない。つまり今は誤魔化すしかない!というわけでぼくは頭をフル回転させ、どうしたら原作知識なしにこのタイミングに何かが仕掛けられていると気がつけたのかを必死に考えた。
「細工されていることに気がついたわけじゃないよ。細工されている可能性に気がついただけ」
「どういうことだ?」
「兄さんから事故が人為的に引き起こされたものだということと、その検証結果を聞いていたからね。
送ってもらった事故の動画とワイヤーフレーム化したシミュレーションを見てCADに細工をできるタイミング考えてみたんだよ」
兄さんから話は聞いたものの送られてきた動画は一切見ていない。
「で、大会委員に一度CADを提出するってことに気がついたわけ。後は大会委員のデータを九島烈に頼んで調べてもらい怪しい奴を何人かに絞り込んだところでその一人が小早川先輩のCADを担当したことが分かったから慌てて来たってこと」
ちょっと無理矢理ではあるがない話ではないレベルにまとめられたのではないだろうか。実際兄さんは多少疑いの色は残しつつも納得はしてくれたようだ。
「本当に無茶なことを…何も仕掛けられていない可能性もあったということだろ?それにお前は九島閣下をなんだと思っているんだ?」
「良いじゃん別に、結果小早川先輩は助かったんだから」
「はあ…まあ、
全部を誤魔化せたというわけではなさそうだが。
と、今日のことを振り返りながら姉さんの試合をちゃっかりスタッフ席で見終えた後、気がついた。こちらをじーっと見る視線に。それは本部近くのスタンド、来賓席からだった。
「……忘れてた」
今日は澪さんと試合を見る約束をしていたのだ。ちーちゃんと七草の双子と第一試合を観たら澪さんのところに行こうと思っていた。が、事故のことに気がつき一騒動起こし、兄さんからの尋問を乗り越えたぼくはすっかり忘れていた。
どうしたものかと澪さんの方を見てみるとやはりじとーっとこちらを見ている。
「………ぐすっ」
そして涙目だった。
「ごめんなさいでしたー!!」
ぼくは全力で土下座した。
そしてなんとか許してもらったぼくはその後もう一度土下座することになるとは夢にも思っていなかった。
完全放置してきたちーちゃんと七草の双子を忘れていたからである。
達也は雪花が何かを隠していることに薄々気がついていますが魔法的な何かだと思っています。
次話かその次で長かった九校戦編も終わりです。そろそろ本格的に原作介入していくのでお楽しみに。
さて明日も0時に投稿します。