魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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夏休み編は終始コミカルにいきます。シリアスなんてありません、たぶん。修羅場はあるかもですが(笑)

そんな感じの夏休み編、スタートです。



夏休み編
夏の休日①


四葉から派遣されてきたというぼくの専属メイド、桜井水波、水波ちゃんは実際のところ四葉からの監視だろう。そのため、どこに行くにも着いてくる。だから最近、ぼくは第三課に顔を出せていない。

ぼくが二代目トーラスである、ということは四葉に伏せているのだ。監視が付いている今は下手に行動できない。

 

 

 

朝。

 

 

「水波ちゃん、毎朝起こしに来なくて良いんだよ?それにこの時間、まだ眠いし」

 

「奥様から夏休み中は毎朝七時に起こすよう言われておりますので」

 

「母さんよりぼくの言うことを優先してよ、専属メイドなんだし」

 

「主人の健康状態を良い状態に保つことも専属メイドとしての勤めですので」

 

 

昼。

 

 

「水波ちゃん、ちょっとコンビニ行ってくるね」

 

「はい、いってらっしゃいませ」

 

「いってきまーす…って水波ちゃん、なんで着いてくるの?」

 

「専属メイドですから」

 

「…メイドさん引き連れてコンビニなんて行きたくないんだけど」

 

「では着替えて参りますので、少々お待ちを」

 

「…えー」

 

 

夜。

 

 

「水波ちゃん、もう夜中だし寝たら?」

 

「いえ、大丈夫です。私、雪花様の専属メイドですから」

 

「ぼくが寝るまで寝ないってこと?」

 

「主人よりも先に寝るようでは専属メイドの名折れです」

 

「…もう寝るよ」

 

「お休みなさいませ、雪花様」

 

 

 

…これだよ?

何なの?四葉からの精神攻撃なの?だったら効いてるよ!だからもう許してもらっていいですかね!ぼく何も悪いことしてないじゃん!四葉に不利益与えてないじゃん!水波ちゃん「専属メイド」言いたいだけじゃん!

 

そんな気持ちを吹き飛ばすためぼくは叫ぶ。

 

 

 

「海だぁぁああああー!!」

 

 

 

 

流石の水波ちゃんも友達との旅行にまでは着いてこない。小笠原のプライベートビーチ付き別荘へ二泊三日の旅行。提案者兼別荘の提供者である北山雫には大感謝である。なんせ海は今世初。テンションが上がるというものだ。

 

集合が朝の6時と早く、起きるのが辛かったが専属メイドの素敵な起こし方(物理)でなんとか起床。成されるがままに着替えを済ませ、用意されていた宿泊セットを持って兄さん達と合流。

集合場所である葉山のマリーナからクルーザーで六時間の船旅を終え、辿り着いた別荘のある聟島列島。

 

白い砂、眩しい太陽。そして青い海。

 

 

「海だぁぁああああー!!」

 

 

ぼくは早速海へと突撃すべく着ていたパーカーを脱ぎ捨て…ようとしたところでツッキーに止められた。

 

 

「何してるんですか!?雪花くんは上脱いじゃダメですよ!」

 

「えっなんで?というか脱がないと海に入れないんだけど」

 

「なんで?じゃないわよ。鏡見てきなさい」

 

「鏡なら今日の朝も見たよ」

 

 

エーちゃん(千葉エリカ)までもが絡んでくるがなんなんだこれ。

 

 

「雪花、バックの中にラッシュガードが入っていたでしょ?それを着なさい」

 

 

姉さんにまで言われて状況が分からないまま渋々と着替え海へと再出陣。なんかテンションも平常に戻ったが遊び倒してやる。

 

 

「ぼくなんで怒られたんだろう」

 

 

六時間ものクルーザーの船旅で仲良くなったしーちゃん(北山雫)とほののん(光井ほのか)に訊いてみる。

 

 

「仕方ないと思いますよ?雪花くんが上半身裸だとその…ね?」

 

「うん…背徳的」

 

 

苦笑い気味に答えたほののんにしーちゃんが同意する。なんだ背徳的って。

結局真相は分からなかったが目の前に海があるのだ、このモヤモヤは吹っ飛ばしてくれるだろう。

 

 

「知らない方が良いこともある」

 

 

そんなしーちゃんの声は聞こえなかった。

 

 

 

 

「ヒック、ヒック、エグッ……」

 

「泣ーかした、泣ーかした」

 

 

砂浜にペタンと座り込み本格的に泣き崩れてしまったほののん。というのもだ。

女性陣が遊んでいたボートか転覆しほののんが溺れかけた。それを兄さんが表面張力増幅魔法「水蜘蛛」で海面を走って颯爽と近づき海中にダイブ、助けたわけだがその際、ほののんの水着の上が捲れ上がってしまったのである。つまり、ほののん(・・・・)ほののん(・・・・)がこんにちわしてしまったのだ。兄さんは主人公としては標準装備当たり前のラッキースケベを発揮しそれをばっちり目撃。ほののんは兄さんに恋心を抱いているわけでショックも大きいのだろう。

 

 

「ほのか、その…すまなかった」

 

困り顔で謝る兄さんを前にしーちゃんがほののんに何やら耳打ちしている。慰めているということではないな絶対。ろくでもないことを吹き込んでいるに違いない。

しーちゃん凄い悪い顔してるし。

 

 

「達也さん……本当に悪かったって思ってますか?」

 

 

ようやく顔を上げたほののんは未だ涙目だった。

 

 

「嘘偽りなく思っている。本当に悪かった」

 

 

再び謝罪をする兄さんにほののんが「じゃあ…」と呟く。

 

 

「……今日一日、私の言うことを聞いて下さい。それで許してあげます。ダメですか……?」

 

「……それで良いのなら」

 

 

兄さんが躊躇いがちに頷くと「約束ですよ!」とほののんが満面の笑顔で頷いた。

これは面白くなってきましたよー!他人のラブコメ程見ていてニヤニヤできるものはないからね!今日は楽しくなりそうだ。

 

 

 

「ねえほのか、もしかして雪花も見てるんじゃない?」

 

「…………へ?」

 

 

 

他人事のままだったらね!




雪花は知り合いでない人、仲の良くない人は基本呼び捨てフルネーム。

仲の良い歳上には『さん』や『先輩』。
仲の良い同級生には『あだ名』。
仲の良い年下には男女問わず『ちゃん』、希に『あだ名』。

TPOは考えますし、例外もありますが基本こんな感じです。

九島烈は雪花の中で『関わりたくない人』にカテゴライズされているので呼び捨てです。

さて、明日も0時に投稿します。

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