魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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今日もギリギリなので誤字、脱字、多いかもしれません。追々修正していきます。


これからの事と知らなかった事

金沢旅行から家へ帰ると珍しく父さんが居た。まだ夕方、夕食にはまだ早いというような時間だ。本当に珍しい。

 

 

「雪花、話がある」

 

 

真剣な顔の父さんの手には何通かの手紙があった。

 

あっこれ厄介事や。

 

長年の勘で分かるようになっていた。泣きそうだった。

 

 

 

 

沙世さんが留守らしく今、家の中には父さんとぼく、水波ちゃんしかいない。そしてこの部屋、父さんの書斎にてぼくと父さんは向かい合っていた。

 

 

「私はこの話、受けるべきだと思う」

 

 

父さんが机の上に出された四枚の手紙の内二枚をこちらにすっと押し出す。九島家と五輪家の手紙だ。

九島家の方は婚約について。ざっと読んでみたが概ね九校戦の時に話した内容そのものだ。そして五輪家の方、正直心当たりがない。

 

 

 

「へっ?養子?」

 

 

「今後、魔法師としてだけでなく何らかの形でお前が大成すれば四葉は必ず接触してくる。その時、今のままでは恐らくお前を守りきれないだろう。言うならば今はただの時間稼ぎでしかない。トーラスであることがバレるのも時間の問題だろうしな。

ならば九島との婚約、五輪の養子、どちらも受けるべきだ。十氏族二家の後ろ楯があれば四葉もそう簡単には手が出せんはずだ。というよりもリスクとリターンが釣り合わなくなるだろう」

 

 

ぼくが把握する前に話は進んでいく。ちょっ 澪さん何やってんの!?何養子って!

 

 

「養子になると言っても名前だけ、それも高校を卒業してからで良いとのことだ。五輪としての義務や責任をかすこともせず、今までと変わらずに生活を送って良いとな。なんでも澪様のご機嫌取りらしい。娘にぬいぐるみを買ってやる父親のようなものだ」

 

 

澪さん何やってんの、マジで。頭に浮かぶ澪さんのにっこり笑顔。

 

 

「…何その好条件。怪しさMAXなんですけど」

 

「分かっている。調べた上で最終的な判断は下すが、五輪の考えがどうであれ四葉に行くよりはマシだろうな」

 

 

頭を過るのはグッヘッヘヘと両手をワキワキさせている四葉真夜の姿。実際そんなことはしないだろうがイメージである。怖い。

 

 

「四葉の監視は受け入れざるを得なかったが今となっては良かったかもしれん。お前が他の十師族と懇意にしていることを四葉に示し牽制できる」

 

「それなら旅行で散々示してきたよ」

 

 

一条にアポなしで突撃したからね!我ながら無茶やったものだ。あの頃は若かったね。

 

 

「一条か…その辺の話は後で詳しく聞かせてもらうとして、七草の双子とも懇意にしておけ。そこからこのパーティーで当主に接触し、ある程度の関係を築ければそれも四葉への牽制になる」

 

 

七草の双子、泉美ちゃんと香澄ちゃん。そういえば誕生日会に行く的な約束をしていた気がする。そうだ、九校戦九日目でちーちゃんと双子に土下座した時だ!誕生日会を物凄く盛り上げるって約束したんだった!ハードル高いよ!勢いに任せてなんてことを約束したんだ、ぼく!

 

 

「それから…何度も忠告している通り、水波には気を付けろ。アレは四葉の監視だ。この部屋、盗聴機や隠しカメラには最大限の注意を払っているが…今の会話も聞かれていることを前提にして動け、いいな?」

 

「了解」

 

 

返事をしたぼくの頭の中は誕生日会をどうするかで一杯だった。誕生日会盛り上げるってどうすればいいんだ!澪さんの時なんて隅にいただけだし。やっぱり一番盛り上がるのはプレゼントだろうか?何かインパクトのあるプレゼントをすればウオーッてなるんじゃなかろうか。でも今時の女の子の欲しい物って分からない。水波ちゃんに聞く…のは止めよ。なんか流行とか疎そうだし。そうなってくると、やっぱり頼りになるのは沙世さんかな。いつも的確なアドバイスをくれるし。

 

 

「父さん、そういえば沙世さんは?いつ帰ってくるの?」

 

 

何気なく聞くと父さんの顔が歪む。

 

 

「沙世は当分戻らない」

 

「えっ何で?」

 

 

沙世さんは今まで長期休暇なんて取ったことがない。結婚した時だって一週間と休まなかった。なのに、何で。

 

 

「……夫婦喧嘩だ。実家に帰らせて頂きます、という奴だな」

 

「あちゃー」

 

 

邦人さん何やってんの?旅行行く前は邦人さんと出会った記念日だから二人で過ごすって沙世さんルンルン気分だったのに。

 

 

「なんでも、記念日を忘れていたらしい。そしてその日に仕事まで入れていた」

 

 

邦人さぁぁあああん!!終った!詰んでるよ!沙世さん怒ると怖いのに!あれ…おかしいな、震えが止まらないや。ぼくが怒らせたわけじゃないのに。

 

 

 

「実家って遠いの?」

 

「いや、そう遠いわけではない。ただ父親の仕事の関係でな、暫く手伝うそうだ」

 

 

沙世さんの実家。今思うとぼくが沙世さんの名字、旧姓を聞いたのは一度だけのような気がする。確か─

 

 

 

「名倉三郎、七草のボディーガードをしている」

 

 

 

─名倉。

えっもしかして数字落ち(エクストラ)

 

 

今更気がついた事実に、ぼくは五輪の養子の件より驚きその場で固まった。

 




これで夏休み編は終わりです。次話から新章入ります。シリアス多め、オリジナル展開多めになる予定です。

明日は投稿出来るか微妙なのであまり期待しないでください。もし出来なかったら明後日の0時に投稿します。

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