魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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呂剛虎、右手の武装が何の意味もなかった。


赤虎と三校

爆裂解散(クリムゾン・ディスパーション)』。

一条の爆裂と術式解散を合わせた魔法。

術式解散(グラム・ディスパージョン) は、魔法式を無意味なサイオン粒子に分解する無系統魔法であり、『爆裂』は一条家の秘術、対象内部の液体を瞬時に気化させる魔法で生物ならば体液が気化して爆発する、発散系の系統魔法。

この二つの魔法を一つの魔法の工程として放つのが『爆裂解散』である。

 

今回の場合、第1段階で呂剛虎の剛気功をサイオン粒子に分解し、第2段階で情報強化を分解、第3段階で爆裂を放った。

 

一撃必殺。

ただの一撃で敵は赤い花となって散る。これはそういう魔法だ。全ての工程を完璧にこなせていたとするならば。

 

呂剛虎はまだ生きていた。

 

 

術式が悪いのか情報強化の分解が上手くいかなかったたためである。爆裂は人体に直接干渉する魔法だ、情報強化の分解が不完全では効きにくい。

 

 

『うわ恥ずかしっ!まだ虎夫くん生きてるし!赤虎夫くんになって生きてるし!何が『予言しよう』だよ!恥ずかしいわ!地獄で自慢?笑い話だわ!』

 

 

既に瀕死、戦えるどころが意識すらない状態の呂剛虎の横で雪花は一人、暴れていた。

 

「何なのアイツ」

 

それを離れたところから見ていた花音が呟く。

 

 

「分からない…分からないがとんでもない奴だ。あの呂剛虎を無傷で倒した」

 

「何か言っているみたいですが聞き取れませんね」

 

摩利と鈴音も正体不明の白い不審者に戸惑いつつも、敵意がないことはなんとなく理解していた。自分達を庇護するような発言を聞いていたからだ。

 

 

『ここに長居すると正体バレそうだし、移動しよ。恥ずかしいし』

 

 

一通り暴れなんとか冷静さを取り戻した雪花は飛行魔法で上空に飛び立つ。実際には雪花の台詞のほとんどは呂剛虎にしか聞こえていなかったことなど知るよしもなく、無駄に恥ずかしがりながら。

 

 

「飛んでっちゃいましたね…それで、これからどうするですか?」

 

 

話し合いの結果、ヘリの到着を待つことになった一校面々の頭からは白い不審者のことなどすっかりどうでも良くなっていた。

 

ただ一人、水波を除いて。

 

 

 

 

 

会場近くに隠しておいた制服に着替えた雪花はどこに避難すればいいのか分からず、彷徨っていた。

 

 

「疲れたし、ぼくが居なくても後は掃討戦だし大丈夫だろうと思って着替えたわけだけど…どこに避難しよう」

 

 

マルチスコープを使いながら適当に歩いていた雪花であったが、大型特殊車両専用の駐車場でゲリラを相手取る三校の生徒達を見つけて、三校のバスに乗せてもらおう、と思いつく。

 

 

「はいはい、雪花くんが通りますよー」

 

 

凍炎(フレイム・フリーズ)』。

凍結の概念拡張魔法で燃焼を妨害することが出来る。 雪花はこれによって火薬を使う銃火器の使用を不可能にし唖然とするゲリラの間を堂々と走り抜ける。

 

 

「嵐が来るよ」

 

 

ゲリラがコンバットナイフで雪花に斬りかかるころにはもう遅かった。

 

激しい風が荒れ狂う。頭上から吹き下ろす風に身体を押さえつけられたかと思うと、後ろから、横から、強風に煽られ、ゲリラはその場で立っていることすらままならない。そしてバタバタと倒れていくゲリラ達。

 

空気中の窒素の密度を引き上げる魔法と、その空気塊を移動させる魔法。収束・移動系複合魔法『窒素乱流(ナイトロゲン・ストーム)』だ。

酸素濃度が極端に低下した気流を発生させており、吸い込んだなら、低酸素症でたちまち意識を失ってしまう。

 

 

「来ちゃった」

 

「……マジか」

 

 

可愛くウィンクをする雪花に将輝だけでなく先程まで吐き気を抑えきれずにいた三校の生徒までもが吐き気を忘れて固まった。




雪花くん、爆進。
やりたい放題やってます。

さて、明日も0時に投稿します。

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