魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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あらすじの難易度。

急いでたので誤字脱字多いかもです。


メイド雪花と仲直り

横浜から帰ってきてからは大変だった。

姉さんから散々説教され、色々思い出したくないことをされたあげく、今度買い物に付き合う約束までさせられてしまった。姉さんの買い物に付き合わされるということは必然的に着せ替え人形になるということだ。今から覚悟が必要である。

水波ちゃんのことは正直に話した。四葉から派遣されてきた専属メイドで、一緒に会場へ来ていたということ。でも逃げている途中で『はぐれてしまった』ということ。いやー、気がついたら水波ちゃん居なくなってて焦ったなー(棒)。

 

 

 

そして、夜。

 

冷蔵庫から作っておいたミルクプリンを取り出す。

 

 

「水波ちゃんそろそろ機嫌直してよー、はい、プリン」

 

「…おいしい……ムカつきますね」

 

「なんで!?」

 

 

ぼくは今、水波ちゃんの機嫌を直すため奮闘している。メイド服で。うん、メイド服で。

 

 

「というか水波ちゃん、メイド服着たら許してくれるって言ったじゃん!」

 

「駄目です。今の雪花様はメイド服に着られています。心までメイドにならなければメイド服を本当の意味では着ることが出来ないのです。主人のために全力で尽くし奉仕する。それがメイドなのです」

 

「じゃあ水波ちゃんはいままでメイドじゃなかったんだね!」

 

「私はもう寝るので起こさないでください」

 

「わあーごめん!嘘、嘘!超嘘!水波ちゃん程優秀なメイドは中々いないよ!強い、賢い、可愛い、メイドに必要なものを全部持ってるよ!足りないのは胸とぼくへの優しさだけだね!」

 

「…じゃあ寝るので」

 

「水波ちゃーん!」

 

 

水波ちゃんは本当に寝た。

 

 

 

 

次の日、結局機嫌が直らなかった水波ちゃんは、もちろんぼくを起こすようなことはせず、学校に行ったためぼくは当然遅刻した。沙世さんは今、色々大変らしい五輪家を手伝うため出張中なのだ。ぼくを起こしてくれる人はいない。

 

 

「本当にどうしたら機嫌を直してくれるんだろ?」

 

 

四葉のことを考えれば仕方がなかったとはいえ、たしかに問答無用で気絶させたのは悪かったと思ってる。床に寝かせて放置したのも。

だから水波ちゃんの機嫌が悪くなるのは当然なんだけど、早く機嫌を直してもらわないと結構ピンチなのだ。もう、ぼくは水波ちゃんなしではまともな学校生活を送れないということに気がついてしまったからだ。遅刻したし、ネクタイ締められないし、教材忘れたし、お弁当も忘れた。これも四葉の作戦かもしれない。いつの間にかぼくはメイドなしでは学校にも行けない駄目人間になっていたようだ。

 

というわけで、ぼくは水波ちゃんにプレゼントをして機嫌を直してもらうことにした。

そうすれば水波ちゃんも「わーい、雪花様ありがとう!」という具合に機嫌を直して、ぼくへの態度も柔らかくなるに違いない。

 

しかし、そうなると問題はプレゼントをどうするかということだ。水波ちゃんはアレで可愛いぬいぐるみが好きだったりする。沙世さんの話では部屋でぬいぐるみを抱いて眠っているらしいし、前にこっそりぬいぐるみに話しかけているのも見たことがある。

プレゼントはぬいぐるみで決定なのだが、如何せん店が分からない。ネットで買うのが手っ取り早いけど、ぬいぐるみはモフモフ感が大切だと個人的には思うので自分の目で見て触って選びたい。

 

というわけで、あーちゃん会長にまたお願いしようと思っていたわけだけど。

 

 

「完全に避けられてるんですが!?」

 

 

話しかけようとするとすっと逃げる。目が合うとすっと逃げる。近づくとすっと逃げる。

絶対避けられてますね、分かりたくないです。

 

 

「もうぼくは駄目だ…」

 

 

放課後、ぼくはカフェテリアでだらーんと溶けていた。何故かちらちら見られたり写真を撮られたりしているがそんなこと気にしていられない程に脱力していた。

 

脱力している間に寝てしまったのだろう。窓から見える空は赤色だ。

 

 

「…帰ろ」

 

 

ぼくがトボトボと帰ろうとしたその時、あーちゃん会長の後ろ姿を見つけた。あのクルクル、あの小ささ、間違いなくあーちゃん会長だ。

 

「あーちゃん会長!」

 

こちらを振り向いたかと思うと、プイッと顔をそらされた。が、その場を動こうとしない。

 

「あーちゃん会長!」

 

隣まで走っていってもう一度呼んでみると今度は小さな声で返事をしてくれた。

 

 

「…少しは私の気持ちが分かりましたか?」

 

「へ?何が?」

 

 

ぼくの反応にあーちゃん会長は爆発した。それはもう可愛く爆発した。

 

 

「昨日!横浜で私とっても心配で何回も電話をしたのに出ませんし!司波さんにかけたら一緒にいないって言いますし!帰ってきてから電話しても出ませんし!凄く心配したんですからね!それで眠れないまま今日学校に来て、朝、教室に行ったらいませんし!本当にどうにかなってしまったのかと、急いで司波さんに尋ねてみれば、無事に横浜を脱出してたというじゃないですか!学校にもケロッとした顔で来てますし!

だから今日は一日、無視することにしました!少しは私の気持ちを分かってもらえるかと思ったので!まあ無駄でしたが!」

 

正に怒涛である。息継ぎなしでこんなに喋ったからか顔を真っ赤にしている。可愛い。頬がぷくっと膨れているのもグッドだ。そして何より、ぼくを心配してくれたというのだ。こんなに嬉しいことはない。

 

 

「ごめんなさい、怖くて携帯の電源を切って放置してたから連絡できなかったんです。お詫びに甘いものでも一緒に食べに行きませんか?」

 

「私、今日という今日は許しませんよ!そんなもので誤魔化されません」

 

「じゃあ遊園地も行かないんですか?ぼくすっごく楽しみにしてたのに」

 

 

あーちゃん会長をじっと見る。

 

 

「うっ、そんな目で見ないでください。なんだか悪いことをしているような気がしてきますぅ。うう分かりました!私もちょっと子供っぽかったかもしれません。仲直りしましょう?」

 

「はい!じゃあ行きましょう!今日はぼくが奢っちゃいますよー!」

 

「後輩に奢らせたりしませんよ」

 

 

ぼくらは二人並んで歩きだした。

この時、ぼくは忘れていたんだ。家に不機嫌な魔王がいることを、他にも連絡していない魔王がいることを。

 

 

だってあーちゃん会長が可愛かったから!




次回は遊園地回にしたいと思っています。それが終わったらいよいよ来訪者編です。あの空気ヒロインがやっと再登場なのです。

さて、明日も0時に投稿します。

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