魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
原作の夏休み編に出てきた例のテーマパークです。こちらの夏休み編で飛ばしたのには訳があったんですね。
モブ崎回?ないよ?
ワンダーランドはマジックをテーマにしたアミューズメントパークだ。
その為なのかどうなのか、敷地全体にわたり生け垣やアトラクション施設が迷路を構成するよう配置されており、またそれぞれのアトラクション施設に仕掛けが施されていて一旦入場すると、全てのアトラクションを素通りしても中々外に出られない園内構造になっていた。
「全く、あーちゃん会長も水波ちゃんもどこ行っちゃったんだか。しょうがないなー」
そんな、ワンダーランドで雪花は迷子になっていた。自分が迷子になっていることに気がつかないまま。
「むむ、あっちの方にいる気がする!」
雪花は走り出した。二人がいるのとは正反対の方向に。
右半身が黒、左半身が白の衣装に幅の広い縦縞のシルクハット、右半分が泣き顔、左半分が笑い顔の仮面を付けたキャラクター。
それに仮装した十三束鋼は急遽入ることになった警備巡回のバイトであろうともしっかりと仕事をこなしていた。夏休みに散々やったバイトである。手慣れたものだった。
「あれ?雪花くん」
「おおその声はトミーじゃないかー!何々?コスプレ?」
「バイトだよ、雪花くんは一人で来たの?」
「ううん、三人で来たんだけど二人が迷子なんだ、全く困ったものだよ」
困っているのはその二人だろうね、と十三束は心の中でツッコミを入れる。迷子なのはまず間違いなく雪花の方だからだ。
「電話すればいいんじゃないかな、ここちょうど目立つ『賢者の塔』の近くだし」
「…電話するという発想はなかった」
賢者の塔はワンダーランドのシンボルアトラクションで、もっとも高い構造物でもある。
待ち合わせにはピッタリだった。
「何故かぼくが怒られたんだけど」
「当然だと思う」
電話をしてトボトボと帰ってきた雪花に十三束は冷たく言った。
◆
「私も行きます」
結局ぬいぐるみのプレゼントも出来ず、相変わらず不機嫌な水波ではあるが最低限のことはしてくれるようになり雪花もやっと安心してのだが、日曜日の朝、急にこんなことを言い出したのだ。
雪花としては遊園地、『ワンダーランド』には想いを寄せるあずさと二人で行きたい。この提案は到底のめるものではなかった。
「チケットがないんだ」
「四葉から支給されたものが
準備万端だった。雪花が今日、ワンダーランドに行くことは既に知られていたのだ。
「私は雪花様の専属メイドですから、離れるわけにはいきません」
ニヤリっと水波は笑った。雪花が二人で行きたがっているのを分かった上での発言だからだ。
「……いじわる」
「仕方ありません、仕事ですから」
端的に言うとただの嫌がらせだった。
三人でワンダーランドに行くことになってしまった雪花はどうにかあずさと二人きりになるべく策を巡らせた。生け垣やアトラクション施設の配置を考え、水波を出し抜き二人きりになる方法を。なんせ今日、雪花は告白するつもりなのだから。それはもう必死に考えた。
なのに、いつの間にか雪花は一人になっていた。
入園して十分と経たずに。
これは水波のせいである。雪花が一人、迷子になるようこっそり誘導していたのだ。全ては嫌がらせのため。「雪花くーん、どこですかー?」とチョコチョコ歩きながら雪花を探している小動物の横で水波はニヤリと笑った。今日、水波に雪花たちを二人っきりにしてやるつもりは微塵もなかった。
その後、あずさの携帯に賢者の塔で待ち合わせようという連絡が入ると、水波はあずさを全く別の方向へ導く。極自然に、ギリギリ賢者の塔が見えないルートで。
「…仕返しとは倍返しが基本です…私は十倍ですが」
小さく呟いた声は誰の耳にも入ることはなかった。
「十三束くん、今日ここでバイトしてるんだって」
「それで、急に遊びに行こうなんて言い出したのか…いやはや、十三束くんも隅におけないね」
雪花が十三束に保護され、水波があずさを迷わせている頃、明智英美と里美スバルはワンダーランドに入園していた。
奇しくも今日、このワンダーランドには一校の『部のマスコットにしたい生徒ランキング』の上位三人が揃ったのだ。
そして、とある一校女子団体による『女装させたい男子生徒ランキング』一位と五位も揃っていた。
マスコット集結。
そろそろせい正式タイトルを決定したいと思っています。何も思いつかなければ今のままで決定です。
さて、明日も0時に投稿します。