魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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正式タイトル決定。

『魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について』

魔法科高校の劣等生の部分、いらないかなーっとも考えたんですが、悩みに悩んだ結果、もう80話を越えこのタイトルにも愛着があるしこのままでいっか、ということになりこのタイトルになりました。

そもそも、何故このタイトルになったのかその経緯について、後書きで語ります。


セッカ・イン・ワンダーランド③

『クマさんクマさん、良い子にしていましたか?みーちゃんは今日もお仕事頑張りましたよ。うん、えらいえらい』

 

 

あずさが水波の誘導により園内をぐるぐると迷わされていると、突然、そんな園内放送が流れた。

 

 

「なんでしょう?何かのイベントでしょうか?」

 

 

あずさがそう、水波に問いかけると何故か水波は冷や汗をダラダラと流しながら顔を青くしていた。

 

 

「具合が悪そうですけど大丈夫ですか?座りますか?」

 

 

あずさの声に水波は反応できない。それほどの非常事態だった。

 

 

『ウサギさん、みーちゃんが撫で撫でしてあげましょう。ふふっむぎゅーもしてあげますからね』

 

 

水波は携帯を取り出すとすぐに雪花に電話をかけた。

 

 

「…これをやったのは雪花様ですね?」

 

『えーどうだろう?さすがのぼくでも園内の放送システムをジャックして、水波ちゃんの恥ずかしい音声を合流できるまで流し続けるなんて鬼畜なことはしないよー』

 

「…十五分で行きます」

 

『たしか水波ちゃんの中学校って緊急時に学校から全生徒の携帯端末へデータを送れるようになっているらしいね。それ、音声データも送れるよね?いやー流石にお嬢様学校だからぼくがこのシステムを乗っとるとしたら─十分はかかるかな』

 

「…十分で行きます」

 

 

水波は何がなんだか分かっておらず「ふえっ?」と声を上げたあずさの手を掴んで全力疾走した。

 

 

 

 

 

「君…とんでもない鬼畜だね」

 

「ぼくもどんな音声データが入っているかは知らなかったんだよ。沙世さん、ぼくの家の家政婦さんに水波ちゃんを脅す時に使えって前に渡されてた奴なんだ」

 

「悪魔かその家政婦は」

 

「怒ると怖いよー」

 

 

スバルと雪花が会話をする横で十三束はリストラされたサラリーマンのようにベンチで頭を抱えている。

 

 

「僕は何も見てないし聞いていない、僕は何も見ていないし聞いていない」

 

「なんか十三束くんが壊れてるけど大丈夫かな」

 

「エイミィこれはチャンスなんじゃないか?慰めて好感度を上げるんだ」

 

「おおー流石スバル!」

 

 

英美は十三束の隣に座ると「あの園内放送なんだったんだろうね!」、「雪花くん、ハッキングしちゃうなんて凄いよね」、と折角なかったことにしようとしている事実を十三束に突きつける。

 

そしてそこに大急ぎで来たのだろう、息を切らした水波とあずさがやって来る。

 

 

「み…水波さん…ハァ…私…足が」

 

「すみません…しかし私の命がかかっていたので」

 

「ふぇ!?命がですか!?」

 

「ええ、社会的死が」

 

 

水波が雪花を睨み付ける。こちらをニヤニヤと見ているからである。

 

 

「水波ちゃんが悪いんだよ?ぼくを怒らせるから。この音声データ、本当に使う気はなかったのに」

 

「くっまさか盗聴されていた上に録音までされていたとは…細心の注意を払っていたはずなのに」

 

「沙世さんだからね、水波ちゃんじゃちょっと厳しいかも。ああ、それからもしこの音声データを使ったら水波ちゃんに送るように沙世さんから言われていたデータがあるんだ。水波ちゃんの携帯に送っといたよ」

 

 

水波は携帯に送られてきた画像データを見て顔を真っ赤にする。そして恐る恐るといった具合に雪花に聞いた。

 

 

「せ、雪花様…この画像データ、見ましたか?」

 

「見てないよ?沙世さんから見ないように言われてたから」

 

 

水波は沙世に逆らうのは最終手段だと心に刻む。四葉の命令次第ではそうせざるを得ない事態になるかもしれないからだ。その事がないよう心から願う。

 

そんな水波に雪花はニヤニヤとしながら特大の爆弾を落とした。

 

 

「でも、今回のことはぼく、結構怒ってるんだよ?そもそも二人で行きたかったのを邪魔されてるし。凄く楽しみにしてたのに。だから、泉美ちゃんには音声データの一部を送っちゃいました」

 

「え、ちょっと待ってください、私、明日も学校が」

 

「頑張ってねー、大丈夫、泉美ちゃんは言いふらすような娘じゃないよ、たぶん」

 

 

その場に崩れ落ちる水波。急遽二学期から転校した今の学校、お嬢様学校ということもあり、才色兼備な上運動神経も良い水波はそのクールな性格もあって人気があった。所謂、百合な方達から。

その中でも頻繁に絡んでくるクラスメイトが七草泉美だった。七草ということもあり邪険にも出来ず、今まで放置していたが、ぬいぐるみに話しかけているようなことを知られれば何をされるかは分からない。

本人は否定しているがボディタッチがやたらと多く、まず間違いなく百合だろう、と水波は確信していた。

 

 

「あの、水波さんは大丈夫なのでしょうか?未だに良く状況が分かっていないのですが?」

 

「あーちゃん会長は気にしなくて大丈夫ですよ、水波ちゃんのことはトミーがなんとかしてくれます。なんせここの職員ですからね。

さあ、ぼくらは遊びましょう!」

 

 

えー!?僕に丸投げ!?と叫んでいる十三束をスルーしあずさの手を掴むと雪花は最初のアトラクション、『賢者の塔』に飛び込んだ。

 




水波ちゃん、悲劇。雪花くん、鬼畜。


『魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について』というタイトルになったのには浅い訳がありまして、実はこの作品司波兄妹と出会って雪花の生まれについて種明かしをした後、「魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について!」と雪花が叫んで終わる予定だったんですね。

まさかここまで続くとは思っていませんでしたが、これからも完結まで頑張ります。

さて、明日も0時に投稿します。

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