魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
交換留学生として一校に潜入することとなった初日、少々予想外であったがターゲットの方から接触してきた。司波深雪…深雪は生徒会の副会長であるらしくまだ日本にもこの学校にも不馴れな私の面倒を見てくれるらしい。びっくりする位綺麗で所作がとても一般の高校生とは思えないお嬢様然としたものだった。そのせいで声をかけられたときはターゲットということもあり、ドキッとしてしまった。正直、私はポーカーフェイスが上手い方ではないしこういう不意打ちは今後も気を付けた方が良いだろう。
「ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人、転生者がいたら、私のところに来なさい。以上」
雪花から日本の高校では伝統だと聞いていた自己紹介をしてみたのだが、皆ポカーンとしてしまっている。発音が悪かったのだろうか。
「それはな、そんな伝統はないからだよ」
「ええ!?」
深雪から紹介されたもう一人のターゲット司波達也…達也に今朝の自己紹介のことを話すとため息を吐いてそんなことを言われた。
「あるわけがないでしょ、それに『ただの人間には興味ありません』って私たちは皆魔法師なのだから、ただの人間とは言えないんじゃないかしら」
「あっもしかして、そういうジョークなんじゃないですか?USNAの」
私は転入そうそうとんでもない赤っ恥をかいたらしい。なるべくキメ顔でした方が良いとのことだったので全力のキメ顔だったのも今思うと恥ずかしい。ポーズまで決めちゃったし。
「ほのか、その話はもう止めてあげた方がいいわよ、ほらリーナの顔真っ赤」
とりあえず、奇跡的に雪花に再会した時には一発殴ることにした。
◆
流石、戦略級魔法師の容疑者になるだけあって深雪の魔法技能は飛び抜けていた。仮にもスターズの総隊長である私、アンジー・シリウスと互角の勝負をしてくるのだから。いや、実際戦ったら負けないけどね!
「深雪も新たなライバル出現でモチベーションを上げているからな。その点、リーナには感謝している」
一度は頷いたものの、達也の発言に顔を見返す。深雪のモチベーションが上がったことに何故達也が感謝するのかちょっと分からなかったからだ。
「出たよ、達也くんのシスコン発言」
隣のエリカが「やれやれ」と言わんばかりに、わざとらしくため息をつく。
「あ、ああ、なるほど……タツヤとミユキって仲が良いのね」
日本ではノリが大切だと聞いていた。周囲に合わせて冷たい視線で達也を見る。
「アンジェリーナの愛称は普通、『アンジー』だと思うんだが、俺の記憶違いかな?」
「いえ、記憶違いじゃないわよ。でもリーナって略すのも珍しいって程じゃなくて、私は子供の頃からそう呼ばれていたから皆にもリーナって呼んでもらうようにしているのよ」
『アンジーよりリーナの方が可愛くない?』
そんなことを言う雪花の顔が浮かぶ。リーナと誰かに呼ばれる度に雪花のことを少し思い出してしまうのは日本に来てまだ間もないからだと信じたい。こんな状態ではすぐに金平糖が無くなってしまう。
「そうだ、誰か美味しい金平糖の売ってるお店知らない?私、好きなのよ」
「……知ってるよ、金平糖を好きな奴がいてな。良く買ってこいと頼まれるんだ」
学校帰りに早速買いに行くことにした。
リーナは雪花に色々吹き込まれています。まあ単にリーナがポンコツだというのもありますが。
さて、明日も0時に投稿します。