補足ですが、シャルが使うと前の穴が消えて棒と玉ができます。ふたなり派と性転換派で別れててめっちゃ笑いました。
では感想でいっさい触れられてなかった黒兎登場です。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
教室で挨拶したのはドイツの国家代表候補生、後で聞いたがIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』の隊長らしい。また濃いキャラ来たな、もういらなくね? このクラス、ホモに男性操縦者に篠ノ之妹にイギリス国家代表候補の貴族とフランスの大会社の一人娘とお腹いっぱいなんだよ。濃すぎなんだよ、だから鈴は二組なのか、納得した。
軍属特有の威圧感に誰も口を開けず、おずおずと山田先生が声をかけるも、
「あの〜、もうちょっと補足など」
「ない」
「あうぅ」
すげなく撃沈。その気遣いは美徳だよ、大きな胸を張ってください。
ボソボソとクラスが騒ぎ出した時、目を見開いたラウラがツカツカと歩きだす。行き先は俺、ではなく一夏の席。
「お前が織斑一夏か」
「……そうだけど」
確認をしただけなのに教室に緊張が走る。何が起こるのか教室中が見守っていると、
「貴様が……!」
パシッ、と何かを叩く音が響いた。
手を振り抜かれて顔を背けている一夏、何が起こったのか誰もが分からなかったが真っ先に気づいた奴がいた。
「何しやがる! 俺は春明以外お断りだ!」
「そうじゃねえだろ」
何言ってんだコイツ、叩かれて頭おかしくなったか? いや元からか、叩いても直らなかったしどうしたもんか。
「貴様が篠崎春明の尻を狙っているホモだな……!」
「俺はホモじゃねぇ! 風呂にもトイレでも春明を追いかける愛の探索者だ!」
「それはストーカーだ」
ついにここまで…………いや鍵をかけた部屋にでも忍び込むあたりストーカーだったか。コイツ警察に持って行ったらしょっ引かれねぇかな。
「認めるものか!」
しかしそんなホモにも怯むことなくラウラは言い放つ。
「我々は一夏×春明ではなく春明×一夏派閥だ‼︎」
そっかぁ。
「た、確かに⁉︎ 今までずっと一×春だと思っていたけど……」
「逆の可能性は考えてなかった……」
「はぁそんなもんあるわけないでしょ、攻め一×嫌がりながらも受け入れ春しかないでしょ」
「うわぁー自分の好みをカプに押しつける害悪オタクキッショ」
なんか戦争になってる。普段仲がいいクラスのはずだったのに真っ二つに、いや細かい派閥もあって小さな紛争も起きてる。水ぶっかけたらおさまんねぇかなこれ。
「春明さん、わたくしまだ日本語の理解ができてないようで説明してもらっても?」
「セシリアはそのままでいてくれ、頼むから」
「春明、私も分からんから説明を頼む」
「箒はなんでここで常識出してくんだよ」
「ぼ、ボクはどっちでも大丈夫だよ!」
「今は黙っていてくれ、頼むから」
シャルの一声でさらにヒートアップする教室。ここってISを学ぶために全国から頭の良い学生が集まってるんだよな???
というかすぐに収めるはずの千冬さんが大人しい。何してんだあの人。
振り返ればこの騒動の発端となったアホ二人が、
「織斑教官が日常生活がだらしないのは解釈違いだ、黙っててもらおう」
「なんだと⁉︎ 千冬姉は普段は凛々しいのにスイッチをオフにするとだらしない、そのギャップがいいんだろ‼︎ 」
「普段の凛々しさと日常で生まれるギャップが魅力的なのは認めてやろう、だが、だらしのなさよりフリルのある服を着て甘いものを食べる教官の方がより魅力的だろう」
「くっ! 確かに幻想だとしても見たい‼︎ だけど隠した心よりありのままの姿こそが「貴様のその甘さが教官を堕落させたのだ、優しさのみで人を救えると思うな」グハッ⁉︎」
なんでラスボスとの問答やってんだ。始まった時の会話どこいった。フリフリのスイートよりヨレヨレの酒飲みが無言で顔逸らしてんぞ。全力で聞こえないふりしてるけど、ちょいちょい身体ピクピクしてるからダメージ入ってんぞ。
未だ終わらない宗教戦争に、推しへ無自覚にダメージを与えるオタク論争。本来止められる人物の眼から光が失われて口元からは血が溢れている。
もー知らん、寝よ。
結局騒動は山田先生が止めた。静かに怒るタイプだった。
「えー今日はISに実際に乗っての歩行訓練だ、専用機持ちは分かれてサポート。各々分かれて始めろ」
ここまで気迫のない千冬さんを見たのは初めてかもしれない。元々名前の通り雪のような白い綺麗な肌なのに、現在は真っ青だ。よほどこたえたらしい。
酒飲んでりゃ顔も赤くなって治るだろ。よし授業授業、学生の本分は勉強である。
「しのき〜よろしく〜」
「来たなのほほん女子」
専用機持ち以外での顔見知りたちが俺の前に並んでいた。
赤ん坊の手を引くようにクラスメイトの手をひいて歩く。IS学園といえど数は限られている、乗ったことはあれど、本当に乗っただけ、数分だけといった生徒も少なくない。なのでこの歩行練習から始まるのは文句がないんだが、
「なんでこの練習したことない俺が手をひいてんの?」
「しのき〜は天才だからじゃない〜?」
「じゃあしゃあないか」
天才なら仕方ないな。
「降りるときはしゃがめよ、普段通りなら「え〜」フラグ回収はやすぎ」
なんでこやつはやってやったぜと得意顔なのか、仕方ないので脇の下に手を伸ばして持ち上げる。
「お、お〜?」
「舌噛むぞ」
地面に下ろすと次の生徒をかけてISに乗せる。何故か全員立ちっぱなしで終わったが、この程度天才の前ではなんの問題もない。
「教官がこの程度の訓練を? いや違う、厳しさではなく保母のようなあり方、これも新しい解釈だな。よし並べ、たっちからのよちよち歩き訓練だ」
「え? お姫様抱っこ? 春明にしかしたくないんだがってなんで飛び降りた⁉︎ なんでよじ登って乗った⁉︎ 歩けてるし‼︎ 空飛べてるしみんなすごいな⁉︎」
授業はつつがなく終わった。
その日の放課後。
気まぐれに散歩していると、中庭でラウラと千冬さんが話しているところに出くわした。
「何をしている篠崎」
「おっすちっふー、もう終業時間だぜ。それと」
「ラウラでいい、篠崎春明。わたしはこれから教官をドイツへ勧誘しようと思う」
「そっか」
ふむ、そういや千冬さんは一度ドイツへ行ってISの訓練に協力してたっけ? そこの教え子がわざわざ学園まで来て勧誘に来たのか、そう考えると特に引き留める理由はないか。
「いいんじゃね? 行ってこいよ、美味いビールとソーセージがあるし酒飲みにはちょうどいいだろ」
「ふっ、わたしはまだ和食が食べたいのでな」
「少し気温が高いなか、炭で焼かれジュージューという音が響き、香ばしいスパイスと肉の香りが、パキッ! と音の鳴った多種多様なソーセージに齧り付き、迸る口の中に残った肉汁をビールで押し流す、これが毎日できます」
「…………」
「めっちゃ惹かれてんじゃねぇか、ヨダレ溢れてんぞ」
「ふっ、甘いなその程度で釣られるほどブリュンヒルデの名前は「もし望むのならドイツの良い相手も紹介します。高給取りの筋肉から線の細い家政婦まで幅広く、複数人もいけます」…………酒を飲めるだらしない奴もいるか?」
「もちろん」
「めっちゃ釣られてんじゃねぇか、かっるいなブリュンヒルデの称号」
「まだまだ焦る時じゃないと言っていた歳上の先生が婚活パーティーに結婚相談所どころかマッチングアプリにまで手を出し始めたんだぞ!」
「知るか、というかIS関係者とか女尊男卑と思われてモテねーだろ」
崩れ落ちる世界最強。どころか学園の至る所で膝をつく音がした。意外にも学園の教師で女尊男卑に染まってる人は少ない。ISと触れた時にはそれなりに育っているので変に威張ることはしないのだ。だが年々女尊男卑の考えは広がっていき、それに触れて成長した子どもの方が影響はでかい。特にIS関係者には増える。そして男たちはIS関係者から離れるのだ。諸行無常。
「もちろん我らがIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』にはたくさんの人員がおります、きっと教官のお目に適う奴もいるでしょう」
「パスポートはある、あとは飛行機のチケットか」
「IS部隊なら女ばっかじゃねぇの?」
せっかく立ち上がったのにすぐに崩れ落ちた。コレが世界最強とは誰が思うだろう。念の為言っておくが千冬さんは若い。おばさんではない、とは思う。学生からすれば違いもないので三十路扱いだが。
「ふ、ふふ」
ゆらゆらと揺れながら立ち上がる千冬さん、膝ガックガクだが今なら子どもでも勝てそう。
手を伸ばしこちらへゆっくりと歩きだ、なんで俺の首絞めてんだこの人。
「ふふふ、ワタシニハこいつがいる。そのようなサクリャクはきかん」
「さっきまでの自分の痴態忘れたか??? あと将来ある学生の未来を地獄に巻き込むな」
「そ、そんな」
「なんで信じてんだよ、どう見ても嘘だろ」
教官と教え子揃ってバカなのか?
「きょ、教官が男などに、ちが、違う。これはわたしの解釈とは違う!
あ、頭が割れるように痛い! うぐっ、今日は引き上げますが、い、いずれドイツへ招いてみせます!」
そういうとラウラは「クラリッサ、わたしを導いてくれ」と意味不明なことを呟いて消えていった。結局この一連の茶番はなんだったんだろう。
「…………春明、今日はソーセージが食べたい」
「ホモに言え」
自力で立てない独身教師を部屋まで連れてぶん投げると、ホモに連絡して自室へ帰った。
「おかえり、客が来てるわよ」
「客? 誰だ?」
ジャージを着てストレッチをする鈴の指さす方を見ると、
「む、さっきぶりだな篠崎春明」
「助けて春明ぃー‼︎」
シャルのズボンをずり下ろそうとしているラウラがいた。
いや何してんだコイツ。
書くにあたり、ラウラについて調べたんですが中の人、ヨーコとアルミンなんですね。驚きました。
まえがきあとがき長い言われたのでたまには短く
感想、誤字報告いつもありがとうございます。環境が変わって他にも書いてる作品、小説以外のやりたいことがあるので毎日は無理ですが続けていきます。感想返信もできるだけやっていきます。よろしくお願いします