今回で二十話になりました。参考にした方の作品が十五話だったので自分も二十話くらいで終わりたいと思ってたのですが、これ四十超えそうで怖いです。けっこう端折ってるのに。
それでも良ければお付き合いください。
あとこれありがちなハーレムにはならないらしいです。良かった、いや良いのか?
そんなわけで記念すべき?二十話です。
さて、いろいろと忙しかったがようやく一息吐けるようになった休日。
今度IS学園では臨海学校、なんか海に行って泳いだり温泉に入ったりするらしい。あと授業。遊ぶだけでええやんとは思うが、授業という名目で泊りに行くのだ。ヒャッホーウ!
で、準備をしていたらまさかの問題が発生。
「海パンがない」
着替えは千冬さんに用意してもらい、足りないものは購買や注文していたのだが海パンはまったくもって予想していなかった。IS学園海だけど泳ぐとこないし。
というわけで現在、俺はわざわざ海パンだけを買いに出かけているのだ。
「しのき~向こうで風船配ってるよ~」
「よし貰いに行くか」
のほほん女子と一緒に。
出かけようとしていたところ、偶然遭遇。海パンを買いに行くと伝えたところ、ホモに連絡しようとしたので確保。広められる前にそのまま連絡用モノレールに飛び込み、今日一日なんでも奢るという条件で買収した。
そこいらにホモの味方がいるとか敵しかいねぇなここ。
目の前にいる風船を貰ってごきげんなのほほん女子もホモのスパイなのだ。油断してはいけない。
「で、海パンどこに売ってんの?」
「さぁ~? どこだろうねぇ~?」
連絡用モノレールからすぐに来れるレゾナンスに来たのだが、広い。服なんぞ着れたらいい男子とお惚け女子が目当ての店を探すには広すぎる。ゆえに、
「とりあえずあそこにあるゲーセン行くか」
「お菓子タワーやってほしいなぁ~」
「いやいや、そこはメダルゲームの商品を狙ってだな」
「しのき~将来ギャンブルやってそうだね~」
「おいおい、養ってくれる人のお小遣いの範囲で済ませるに決まってるだろ」
「さいて~」
何の計画もなくブラブラすることにした。
ゲーセンではビギナーズラックでメダルをジャラジャラさせるのほほん女子の横で大負けして、気分転換にレースゲームをしたらNPCがいるのに何故か的確に俺にばかり妨害アイテムを使われた。恨みでもあるのか???
昼はフードコートに行き、ご飯だと言い張る大盛りホットケーキを少し食べさせてもらった。めっちゃ甘いのでチャーハンで口直ししていたら物欲しそうに見られたので食べさせた。
それから少し歩くと、運よく水着売り場に到着。そして良い水着を選ぶのに時間が、
「これでええか」
「え~もっと考えないの~?」
「男の服なんてこんなもんだわ」
かかることはなかった。だって海パン買うだけだし、適当に紺色の奴を選んだ。
「そっちこそ水着は?」
「ふっふ~ビーチの視線を独り占めできる、さいきょ~の水着を買ったのだぁ~」
「なん…………だと…………!?」
そんなに強い水着があるのか!? そして買ったのか!? 着るのか!?
「見たい~?」
「めっちゃ見たい」
「おりむ~とイチャイチャしてくれるなら~いいよ~?」
のほほんとした雰囲気でなんて恐ろしいことを言いやがる。気にはなったのだが、どうせ臨海学校で見られるとのことなのであきらめた。あと、当日見たのだが悪魔の取引に乗らなくて良かったと心底安堵した。
あとほかにも少し買い物をして歩いていると、おもちゃ売り場にたどり着いた。中を覗きに行くとマスクドライバーシリーズの最新作のおもちゃが売っている。
「しのき~それ好きなの~?」
「んー昔は見てたけど最近は見てねぇなぁ、そもそも部屋にテレビないし」
モニターしかないのでゲームをする時にしか使われていない。
「のほほん女子は好きか?」
「友達がね、見てるんだけどまだ分からないんだ」
いつもと違って少し落ち込むのほほん女子、ふむ。察するに話はしたいが分からないのだろう。ここは一肌脱いでみるか。
「シリーズも長くて数も多いからな、初心者が見るなら雷王とデュアルがオススメだ。話が分かりやすいし、デュアルはマンガやアニメにもなってる。個人的にはサイス、三が三つ並んでサイスって言うんだけど、好きなんだがちょっと難しいからなぁ」
「…………しのき~ってそんなに話すんだね」
「なんかバカにされた気がする」
「気のせいだよ~」
気のせいか、ならいいんだけど。少し話を聞けばヒーローものがよく分かっていないっぽい。なんか悪い奴が出てきて、主人公が変身して戦うというのを身振り手振りで伝えてみた。
ちょうど手元に良い材料があったのでそれを使って実演する。
「困っている人がいる、助けたい、でも正体がバレないため、力が足りないので変身! そして解決! が一連の流れ。人助けをするのがメインだが、勇気を与える存在でもあるのだ」
「…………それは何なの~?」
「今作った」
買い物をした時にもらった紙袋に目と口を書いて被っている。お手軽変身セットだ。欠点は前が見えないこと。
「これが変身ヒーローというものだ、伝わった?」
「伝わったけどしのき~が今話してるのはわたしじゃないかも~」
変身を解除すれば目の前に小さな男の子がめっちゃこちらを見つめていた。もう一度変身してポーズをとると、拍手をもらえた。
「人気だったね~」
「それが変身ヒーローの魅力だからな」
あの後調子に乗ってポーズを取っていたら、近くにいたちびっ子たちが集まって来たので全員と握手して解散した。写真も撮ったらお母さん方にお菓子をもらえた。断る場合と受け取る場合があるが、俺は受け取るヒーローなのだ。
「…………ちょっと気になってきたかも~」
「そりゃよかった、サブスクとかでも見れるし暇な時にでも見たら?」
そんな話をしていると、
「なんでそんなに落ち込んでるのよ」
「だって、春明が海パンないから一緒に買いに行こうとしたらもういなかった…………」
「連絡はしないのですか?」
「着信拒否されてた」
「えぇ、何やったの一夏」
「昔のアルバム出てきたから春明の昔の写真と思い出を話そうとしただけなんだけど」
「む、気になるな。わたしにも見せてくれないか」
「いいぜ! 箒も写ってるしみんなで見るか!」
「私の写真は勘弁してくれ」
ホモといつものメンツが向こう側から歩いてきた。
「げ!」
「あ~おりむ~たちだ~」
すぐさま隠れようとする、が不幸なことに隠れられる場所がどこにもない。
「なんで逃げようとしてるの~?」
「俺は今日ホモから逃げようとしたのさては忘れてたな???」
「わたしは何も関係ないも~ん」
「俺と二人きりでいたことをホモ同盟IS学園部に流すぞ」
「ぐっ、まさかその存在を知っているとは~」
なんかIS学園にはホモを楽しんでいるグループがいるのだが、そのなかでいろんなルールがあるなかで抜け駆け禁止があるらしい。こちらとしては来てほしいのだが、薔薇の間に挟まる百合の花は引っこ抜かれるとのこと。なお教室で普通に話していた。こういうのって本人たちには気づかれないようにするんじゃないのだろうか。
「このままだと二人とも共倒れだ、それが嫌なら協力するんだなぁ!」
「しのき~さいて~」
とは言え時間がない、見通しの良いここで隠れるには!
「あ、着ぐるみだ」
「ホントだ、風船を配ってるのか?」
一夏たちが目を付けたのは風船を持った着ぐるみ。気になって見にいくも特に動いたりはしない。
「あれ? 動かないね?」
「人形なのでは?」
セシリアに言われて気になったシャルが少しつついてみるも、何も反応しない。
「ふむ、セシリアの言った通り人形のようだな」
そういうとラウラは思い切り抱き着いた。少し揺れるがコケることなく、耐えた。そしてモフモフと触り出す。
「もーラウラその辺にしときなよ」
「もう少し、もう少しだけ」
「ほらそろそろ行くよ」
「あぁ~」
シャルに剥がされて悲しい声を上げるラウラ。惜しみながらもシャルに連れていかれた。ほかのメンバーも進もうとしたのだが、一人立ち止まる人物がいた。
「どうかしたか一夏?」
「なんか、春明の気配がする」
「何バカなこと言ってんのよ、行くわよ」
「う、う~ん」
どこか惹かれる一夏も他のみんなに着いて行き、その後ろ姿が見えなくなると、人形だと思われていたはずの着ぐるみがヘタリと座り込んだ。
コロリと頭が外れ、中からは春明と抱き着いていた本音が現れる。暑かったのか春明は冷や汗をかき、本音の顔は赤い。
二人は隠れ場所として端に畳んであった着ぐるみを選び中に入る。しかし、もともと一人分であったため中は狭く、春明の前に本音がコアラのように抱き着く形で入っていたのだ。
気温もそれなりに高くなっており着ぐるみの中も熱くなる。しゃべることもできず、汗をかき出したが拭うこともできず。春明は本音の匂いに、本音は男子に抱き着いたことに、それぞれ緊張してさらに体温が高くなる。
そこへラウラの抱き着き、春明が倒れないように踏ん張ったのだが衝撃で抱き着いていた本音の手が少しずれる。落ちないよう手や足の位置を変えるとお互いの身体がこすれ合う。そこでたまたまラウラの手が中の本音に当たり、
「ん」
春明以外には聞こえないくらいのか細い声が出た。
その時不思議なことが起こった。ずり落ちかけてきた本音を春明の腰あたりから出てきた支えによって、二人はコケることなく、ホモの索敵を乗り切ったのだ。
その後、二人は無言で片づけをして荷物を持って帰った。帰りのモノレールでは隣に座るも外側を向いており、学園についても俯いたままの本音に春明は心臓が悪い意味でバクバクしていた。
お互いの部屋に行く分かれ道になった時、明日からどうしようか、何か訴えられたりしないだろうかと考えていた春明に声がかかる。
「サイテー」
これが春明の人生の中でもっとも大きなダメージになった。この先様々なことを経験するが、一番きつかったのはこれだと春明は語る。
「…………ゴメンナサイ」
血が流れる口からかろうじて謝罪の言葉を出す春明。誰か自分の首を落としてくれと願うが誰もいない。
「……………………それ、ちょうだい」
本音が指さしたのは今日、春明が作った紙袋のお面。何の疑問も抱かず言われるがままに差し出す。
「…………あと、またおごってくれないとゆるさない」
「なんでも言ってください」
「うん、ほかのこともおねがいする」
「はい」
この時、春明は頭を下げっぱなしである。是非もない。
「……………………だからまた遊ぼうね」
「ありがとうございます」
本音が立ち去り、その後ろ姿が見えなくなるまで頭は下げっぱなしだった。そのため、去っていく本音が顔を赤くしながらもにやけていたのは気が付かないままだった。
その日のIS整備室、眼鏡をかけた少女が難しい数列やデータが映っている複数のモニターを前にキーボードを打ち鳴らしていた。近くにはラファールと並ぶ量産型IS、打鉄の改良型が様々なケーブルに繋がれて鎮座している。
少女の目には隈ができており、顔も少しやつれてかなりの時間休んでいないようだ。それでも焦る気持ちのままに指が止まることはない。
「かんちゃ~ん!」
声をかけるのもはばかられる雰囲気を持っている彼女に声がかけられた。
「またずっとやってたの~? 少しは休まないとダメだよ~、一緒におやつ食べよ~」
「…………ごめん本音、これをやりとげないと」
そういって誘いを断ろうと振り向くと、
「んふっ!」
思わず噴き出した。
振り向いた先には顔がかかれた紙袋を被り、謎のポーズをとった少女の友人がいた。
「本音なに、それ」
「ふっふ~わたしは本音ではない。かんちゃんをおやつに誘う、紙袋マンなのだ~」
「んんっ! そのまんまだし、女だからウーマンでしょ、んふっ」
ツボに入ったのか身体を折って笑うも気になったことを突っ込んでいく。
「は~い笑ったからかんちゃんのまけ~大人しくおやつタイムにするのだ~」
「分かった、分かったからそれとって、ってどこ行くの?」
「紙袋マンは前が見えないのだ~」
「…………っ!」
手を前にしながらフラフラとする紙袋マンを見てまた笑う少女。笑いすぎてもはや過呼吸寸前である。
「ふーふー、それなんだったの?」
笑い笑ってまともな判断ができなくなった少女を本音は整備室から連れ出して、自室まで連れて行った。
前が見えないため時おりゴン、と壁にぶつかるのもまた少女の笑いを誘った。
「ん~勇気が出るアイテム」
顔から外して少しクシャクシャになった紙袋を丁寧に部屋の隅に並べる。そして今日買ってもらったそこそこのお値段のするお菓子とゲームセンターでもらった駄菓子をひっくり返して広げる。
「ね~かんちゃん、わたしマスクドライバー見てみたいんだけど」
「! いいけど、何から見る? 最新作か初心者に優しい雷王とかデュアルとかあるけど」
「え~っとねぇ」
急に目に光が宿り、棚からDVDを取り出す少女。そこには旧作から最新作までのありとあらゆるマスクドライバーのDVDが並べられていた。
「サイス、ってやつ見てみたい」
その中から三が三つ並んだ作品を本音は選んだ。
以前術式の開示をされた時に思いついた今話です。
雷王は地獄から逃げ出した、人を乗っ取る鬼を主人公の身体を借りて戦う雷の神様の話。宴会をするシーンが多く、寂しがりだった鬼が出た時には戦うことなく宴会に誘うことで地獄に自ら帰ってもらいました。
デュアルは性格も考え方も正反対のニートと公務員の二人がそれぞれ変身をして、自分の隠れた願望が人から抜け出し、具現化した相手と戦います。強敵相手には二人が一体化し、お互いの力を合わせて戦い、歴代作品でもトップの人気、アニメや漫画になりました。
サイスは鎌を持った死神に魅入られた主人公が、一度死んだにも関わらず別の死神の仕業で生き返りバケモノとなった怪物と戦います。相棒の死神が元人間で怪物から死神になったと明かされた時はネットが祭りになりました。
次回! 臨海学校! 皆さまお望みの兎が出てきます。その前に海で遊ぶけど
感想、誤字報告いつもありがとうございます。今回の感想はマスクドライバーの存在しない記憶であふれかえると予想します