タイトル負けしないようもっとホモを出していきます。
海上にて銀の福音と接敵した。初撃は予定通りホモによる零落白夜、これで決まれば楽だったが躱される。まぁ想定範囲内だ。そこからは三人で挑んだのだが、
「なんか、予想より強くね?」
いや強い。
スペックからして強いしデータと実物が別物なのは分かっていたのだが、それでも予想を上回っている。
なんか本番でテンション上がって調子が良い時の相手をしている感じ。これはちょっとマズい。
「春明! 少し離れたところで船見つけた‼︎ どうする⁉︎」
悩んでいるとホモから連絡、送られてきた座標には確かに船があった。えーもーめんどいなー。
「放置、先生方は辺り一帯封鎖してた。それでもいるってことは余程の事情か後ろめたい奴ら。巻き込まれる覚悟をしてきたのならそこ踏み躙るのは良くない。ていうか手を回す余裕ないから先生へ連絡!」
「……春明がそう言うなら仕方ないか」
思うところはあったのだろうが指示を聞いてくれて助かる。予想内の強さなら一夏を向かわせても良かったんだがちょっと無理。ターゲットが三つに分散していたからセーフって感じ。
とはいえセシリアが控えているとはいえちょっときつい。
搭乗者の安全と時間を考えたら待つ時間ないな。そーなると、やるしかないかぁ。
「はぁー」
ため息をひとつ。
銀の福音は複数のスラスター兼砲口となっており、機動力と攻撃密度がエグい。こちらは数がいるが連携は拙いし、遠距離はほぼなし。あったら撃ち負けてただろうけど。それなら全ヘイトを貰いつつ、二人には集中力を削いでもらいたい。ただこれには問題がある。山田先生の時と違い、黒鳥では抑えきれないのだ。
あーめんどい。あのウサギここまで考えてた可能性あるな。けどやるかぁ。
「聞け、これから俺が攻め込む。隙ができたら箒が足止め、零落白夜をぶち込め。それまでは動かず待機」
「山田先生と春明にセシリアが戦った時のように? 春明が言うなら従うけど他にできることは」
「ない、というかできるだけ静かに準備して相手の脳みそから消えろ。箒は最小限のフェイントだけでいい、たまに意識を逸らせ」
「私は構わないが……春明一人で行けるのか? 見た感じ手に余りそうだぞ、二人でかかれば」
「ダメだ。いざという時二人残っておけばどうにかできるが、連携もできないのに突っ込んで共倒れしたらどうしようもない。んで、今から見るの黙っとけよ」
「春明?」
どうにかはなる、がギリギリ勝てるレベル。安定した勝利を得るために、解放する。
「申請、リミッター解除」
『リミッター解除申請受諾。認識コードを入力してください』
「音声認識、解除コード──────
黒鳥を調べた時に見つけた隠れ機能、あの天災ウサギが乗りこなせるかい? と意地の悪い笑みを浮かべながら見下ろしてくる様が鮮明に浮かぶ。
「何のようだ束、お前と違ってこちらは忙しいんだ」
旅館近くの砂浜、その場所とは似つかわしくない黒スーツとウサ耳の不思議の国のアリスのような格好をした二人が立っていた。
「その割には焦ってないじゃ〜ん、普段のちーちゃんならもっとイライラしてるよ?」
「望むならしてやろうか?」
「いやどす」
緊急事態の真っ只中というのに焦りも緊張もなく、普段どおりと言える気楽な会話だった。
「バカアキが行ったもんね」
束の言葉に千冬は何も返さない。だが表情は少しばかり綻んでいる。
「バカアキが言ってたけどね〜あれはほぼ正解。今のいっくんと箒ちゃんなら一度は負けるんじゃないかな? でもリベンジすれば勝てるだろうね」
ケガはするかもだけど、と笑うソレは間違っても家族のいうことではない。だが千冬は何も咎めない。
「バカアキが着いて行ってもギリギリ勝ち、リミッターを解除すれば完封かな? 他の専用機持ちが増えても結果は変わらないかな、数が多くても必ずしも増えるだけじゃないし、減るものもある」
「何を話したい、そんな無駄なことを話したいわけではあるまい」
束の言葉を切って捨てる千冬、慌ててはいないが忙しいことには変わらないのだ。原因であるアメリカにハンバーガーの用意をさせるなど仕事はある。
「篠崎春明の生まれ、とか気にならない?」
ザザーンと波が砂浜に打ち寄せる。
思いもよらない言葉に千冬も固まる、
「将来の旦那の生まれを気にするほど私の器は小さくない」
「その発言は気にした方が良いと思うよ?」
ことはなかった。なんかこう、緊張するとかそんな雰囲気は全くなかった。なんなら少し得意気で、聞いた方が少し引いた。
「まぁせっかく調べてきたのだというなら聞こうか、小娘どもが知らない情報を知るというのも一興ではある」
「ドン引きだよ、なんで未成年相手に張り合ってるのさ。それも未成年の取り合いで」
「いずれ私の元に来る」
「その自信は感心するけど羨ましくはないかな」
シリアスなどなかった。というかそもそも生まれがシリアスなやつが空気を壊すのでどうあっても真剣にできない。もしかしてストレス? 教師ってみんなこうなるのかな? と天災が勘違いし始めたが、急かす友人のために答えることにした。
「一言でいえばちーちゃんたちと同じ、人工的天才を創るプロジェクト【H】の生まれだよ。デザイナーズベイビーだね」
もっと雰囲気とかあったのに〜と後悔するがどうしようもない。聞いた本人も早く話せとせっつかせる。
「ちーちゃんといっくんがプロジェクト【M】先天的な天才を造ろうとしたのに対して【H】は後天的、育成する上で天才にしようとしたみたいだね。ちなみにHはホール、才能を詰め込む穴だってさ。一番の特色は性別をある程度成長するまでなら選べるんだって、【M】から学ばせてそのまま番相手にでも考えてたのかな?」
「つまり生まれから私のものになる運命だったと」
「ちーちゃんそれ悪役のセリフ、ギャグにしかなってないけど」
自信満々にうなずく千冬。この場には他にいないので束が突っ込む。自分がギャグ側の人間であると意識はしているが、しないと話が進まない。
「いろんな試験とか実験とかあったらしいけどね、バカアキが素直に受けると思う?」
「ないな。自身に必要か求めることがない限り学ぶなどありえん」
「まるでわたしみたいだね!」
すごい顔で睨まれるがいっさい引くことなく笑顔で答える。自分の立ち位置を取り戻した。
「出会いは覚えてる?」
「当然だ、忘れるわけがない」
その日はよくある理由で、たまたま本気でケンカをした。そこへライダーキックで束の背中に飛び出してきた。
「笑ったよね、研究所から抜け出して子供一人で河原に住んでて」
「たしか『うるさいから宇宙にでも行ってやれ』だったな、それからか」
「そうだよ」
世界から生まれた異物は夢を見つけた。生涯の友人と生粋のライバルも。
「【H】には生まれるかもしれない天才への対策もあったらしいけどね、相手の天才を学んで糧にする机上の空論だけど。ケンカを売ってくるのはそのせいだと思う?」
「いや束だからだろ、仮に私ならそんなことはない」
普段のことを記憶の彼方に飛ばす発言に天災の頭に青筋が浮かぶ。
「しかし生まれも似ており偶然出会って共に過ごす、これはもう運命と言えるだろう。私から色々なことを学んで立派に育った」
「ちーちゃんから学ぶことなんて壊滅的家事の下手さだから学んでないんじゃない? いっくんほどじゃないけど家事はできてるし」
住処である移動型隠れ拠点の汚さを置いての発言にブリュンヒルデの背中に火が見える。
無言のままピリピリとした雰囲気が続くが、束のウサ耳から電子音が鳴り響き睨みあいは終わった。これでもお酒が飲める成人女性同士である。
「話は終わりか?」
空中を見て急に笑い出した束を見て千冬が尋ねる。笑いながら振り向いた。
「そうだねー両方のプロジェクトの計画したやつももういないし、これから何かがあるってわけでもない。あ、でもひとつだけ」
おかしくって仕方がない。そう告げる表情で、春明における本人も知らないくだらない状況を明かした。
「研究中あまりに成績が悪くてさ、バカたちの間であだ名が付いてたんだよね」
なんだと思う? そう聞くとめんどくさいからさっさと答えろと表情で千冬答える。聞くのはめんどくさいが知っておきたくはあるのだ。こいつも大概めんどくさい女である。
「首輪をつけているのに言うことを聞かない犬──────
海上で面影を残しながらも両手と両肩に武器を備え、身体のラインは覆い尽くされ、外見はロボットにしか見えない黒いISが銀の福音の前に現れる。
「
──────駄犬だってさ。アイツほど自由が似合うやつもいないのに、笑っちゃうよね。
天災は笑う。不自由な檻へ自ら飛び込む、己にできない真の自由を持つものに。
こんな話も書きたいんや、許して。ちゃんとギャグも挟むから、と言うかギャグ挟まんとしんどいんじゃ。
はい、シリアス、シリアスです。こんな展開好きなんです、ってのを積み込みました。またホモの間に積み込みたい。
感想、誤字報告いつもありがとうございます。変なものから妥当なツッコミまで楽しませてもらってます。前回はホモばっかでした。やっぱ好きでしょみなさん。