ホモしかいないのかここは。
「はい失礼な態度をとった人には責任をとってもらいます」
「それ本来なら女の子側のセリフじゃない?」
再度質問募集をしたところ、9割がホモ関連でした。おおすぎィ!
というわけで再度質問募集をしたところ数人の女の子が来てくれました。ヤッタゼハーレムだね!
「つまり篠崎君は別にホモでもないし織斑君とも付き合わないと」
「そうだよ」
「なんで?」
「なんで???」
いや質問募集したけどこの質問は予想外すぎる。聞いてきた女の子もかわいい顔をコテンと首を傾げて純粋無垢な疑問をぶつけてくる。仕草は可愛らしいのに質問がかわいくない。
むしろ不純だ。
「さっきも言ったが俺は別に男が好きじゃないし女の子が好きなの」
「なんで?」
「無敵か?」
何故そこで首を傾げる。アレか? いつの間にか世の中は女尊男卑じゃなくてホモ推奨世界になってしまったのか? いや元からだったかもしれない。
え、じゃあなんで俺は女の子が好きなんだ? もしかして異端? 俺だけが世界一で唯一女の子が好きな男だったのか?
貞操観念逆転ものでありそうなタイトルだな。
「はいは〜い、私も聞きたいことありま〜す」
好きとは、男と女とは、と哲学じみた思考の渦にハマったところ、ぽわわんとした女の子の声で意識が戻ってきた。
「はい、そこのほんわか女子」
「結婚したいって言ってたけどしのきーはどんな子がタイプなの?」
「しのきーってあだ名?」
「うん、篠崎だからしのきー」
「かわいいなおい、結婚しない?」
「えへへ、考えとく~」
学園初の告白はさらっと流されたがまぁいい。
褒められて嬉しかったのか、さらにぽわぽわした女の子を見て考える。確かに、女の子が好きとは言ったが好みのタイプもアピールもしていない。
かつてえらい人は言った。
性癖を語れずに一人前の男にはなれないと。
異性相手で尻込みする奴はいるが、俺は違う。むしろ堂々とあけっぴろげに語る度胸を持った勇ましい男だ。中学の時には良く男友達と拳で語り合ったものだ。性癖の違いは争いを産むが友情を育むこともできる。
それに今日は学校初日。自己紹介としてもこれ以上のものはないだろう。
「そうだな、きっちりしてるより多少は抜けてるくらいが親しみを持てていいな。自分の趣味とか好きなものがあると人間的にも尊敬できる」
「「「お〜」」」
感心した声をあげる女の子たち。
そうさ、ただ見た目だけを求めるルッキズムたちとは違う。俺は内面を重視する。
なにせ外面だけが良い奴らが周りに沢山いたからな。俺は反省できる男なのだ。
「上か下で言えば年上派だな。あと胸派だ。こう、美人なお姉さんに「今日もよく頑張ったね〜、生きてるだけでえらいよ〜」って抱きしめられながらヨシヨシされて養われたい。将来の夢は専業主夫」
「「「あ〜」」」
あれ? さっきまでと反応が違うな?
何を間違えた? 自分の好みはこれ以上ないってくらい丁寧に伝えたのに。将来の目標も伝えて未来のことも考えてるアピールもしたのに何を間違えた?
はっ、そうか!
「はい! アピールポイントもあります」
「どうぞ」
「得意料理はゆで卵です‼︎」
「「「…………」」」
自信満々に言い切ったのにまさかの無言。おかしい、料理のできる男はモテるんじゃなかっただろうか。
「ごめん、もしかして俺何か間違えた?」
「そうだね~」
「大人しく織斑くんと付き合ったほうがいいよ」
「だね」
まさかの死刑判決。
机に突っ伏したまま、頭の上では女子の姦しい声がチャイムが鳴るまで続いていた。
蛇足だが、休憩から帰ってきた一夏はさっき話したことを女子から聞いたのか「俺が養うから安心していいぜ‼」とふざけたことをぬかしやがったので一発殴っておいた。
顔が真っ青を超えて真っ白になった箒にはお菓子をあげた。泣きながら食べていた。
「~なのでISの基本的な仕組みはこのようになっています」
電話帳と見間違えるほどの厚い教科書を開きながら山田先生の授業を聞く。
聞いてはいるがさっきまでの会話が頭から離れず、耳から入って耳から抜けていく状況。
「ここまでで聞きたいところはありませんか? 織斑君と篠崎君もいつでも教えますので、分からないことがあったら言ってくださいね!」
ふんす、と気合をいれる山田先生。些細な動きでも連動するようにゆさゆさと揺れる実りで元気がたまる。そして溜まったものはいずれ発散しなければいけない。
「俺は大丈夫です、春明に聞かれても良いようちゃんと勉強したので」
ストレス溜まりそう……。
お前なんでそんな勤勉なんだよ、昔はまぁまあ勉強できたら大丈夫ぐらいだったじゃねぇかよ……。あと授業中だぞ、チラチラこっち見んな。
「篠崎君は大丈夫ですか?」
「メンタルがヤバいです、結婚して癒してください」
「ほへっ⁉︎ えーっといやなわけじゃないんですが、教師と生徒ですし、ほら篠崎君には織斑君がいますし」
顔を真っ赤にしてあたふたする山田先生を見て少し癒される。
かわいすぎて食べちゃいたい。
「俺ならいつでも大丈夫だぜ!」
「やかましいぃ‼︎」
またふざけたことを抜かすホモに教科書を投げつける。なんだコイツ、どっかで別のホモに貰われねぇかなーオレもなー。
「あのすいません織斑先生、篠ノ之さんてもしかして」
俺たちがバカなことをやっていると別の生徒が手を上げた。
「あぁ、篠ノ之は妹だ」
「「「えぇー‼︎⁉︎」」」
教室にまたも響く歓声。今日何度目だ、みんな元気だなぁ。
「すごいすごい!」
「もしかして篠ノ之さんもお姉さんみたいにISについて詳しいの⁉︎」
「良かったら教えて‼︎」
キャッキャと賑やかになる教室、一応授業中ではあるが無理もない。ここにいる生徒は全員ISに関わる勉強をしにここまで来ている。
その開発者の妹がいるとなればミーハーな気持ちも湧いてくるだろう。
ただ、箒の性格的に関係ないと切り捨てるはず、普段なら。
「……あぁ、いや私は姉と違って天才ではないから、そうさ。幼なじみという立場であっても数年ぶりに出会った思い人が男にとられる程度の女さ。ふふ、そんな私が天才なわけがない、ハハハ」
どうも一夏ホモショックからまだ立ち直れていないらしい。
流石に不憫すぎたのでその元凶へと声をかける。
「俺に関わる前にまず箒のこと見てやれよオメーよー」
「ん? さっき喋ったぞ? 俺がどれだけ春明のことを思ってるかちゃんと聞いてくれてな、応援してるって言ってくれたぜ‼︎ ありがとうな箒‼︎」
「うわぁあああああああああ‼︎‼︎」
泣いてんじゃねぇか。
説明されずとも察したのか、教室の空気が重くなった。
「……織斑先生、保健室に連れて行ってあげませんか」
「そうだな……、ほら篠ノ之、行くぞ」
「ふっふっふっふっふっふ、大丈夫ですよ千冬さん。私は元気ですから、今にも宇宙へ飛び立てそうです」
「そうかそうか、アイツもきっと喜ぶだろうよ」
居た堪れなくなって千冬さんに提案すると、箒は肩を担がれ教室を出ていった。
その背中は教室中の哀れみをもった目で見送られていった。
「箒のためにも俺たちは幸せにならないとな」
「お前今のところ不幸しか撒き散らしてないからな、って尻触んなクソッタレ‼︎」
教科書を返しに来たどさくさに紛れてケツを狙ってきたホモをそのまま教科書で制裁した。
あと箒は今日一日中帰ってこなかった。
「はぁーどうすんだコレ」
ホモが箒の見舞いに行くと言って消えた休憩時間。
俺は予想だにしない問題にぶち当たっていた。
何を隠そう実は俺は成績がそこまで良くないのだ。
研究所に捕まってその後気がついたらIS学園にいた俺は予習など何もしていない。にも関わらず立ちはだかる分厚い電話帳、じゃなくて教科書。
ホモショックのせいで頭から抜けていたのだが、あっという間に授業が始まりついて行くこともできず、ただただ黒板をしたり顔でうなづく機械となっていた。
休憩時間に予習をしようと教科書を眺めても小難しい専門用語が並ぶばかり。時間をかければともかく…………いや時間をかけても分かるかコレ? そんな教科書を前に唸っていると、
「ちょっとよろしくて?」
天使が現れた。
晴明は人並みに家事全般できます。好きなのがゆで卵なので良く作る得意料理ってだけです。