ところでヒロインレースなんですが急に来たのほほんと本命鈴以外が走ってるのかすら怪しいんですがどうしたらいいんでしょう???
とりあえず追加しとくか。
ある朝連絡が来た。
この間知り合ったオータムさんからだ。
文面は「今度襲撃行くからよろしく」とのこと。「教えてくれてありがとうございます、詳細とか聞いてもいいです?」と返せば教えてくれた。教えてくれるんだ…………。
襲撃日は今度開催されるキャノンボール・ファスト、そこでたくさんのゴーレムと二機のISで来るらしい。あと学園内に人の部隊が、多い。多くない? もともとはゴーレムたちだけで来るつもりがそれにあやかって別のグループも侵入するらしい。邪魔だから引っ込んでいて欲しいが決めたのが上司なので何も言えないらしい、と電話越しで愚痴を聞いた。
さらにいうなら本当はタッグマッチの時に来るつもりが、アホウサギがお披露目会だから邪魔するなと言った分、キャノンボール・ファストに皺寄せが来たとか。何してんだあのアホ。あー打鉄弍式神雷の太鼓作ったし見せたかったのか。覗いていたオータムさんたちもあの戦いは良かったと好評だった。とりあえずお礼を言って電話を切る。
そのまま千冬さんへ連絡した。
「で、どうするんで?」
集まったのは生徒会室、楯無に千冬さんと山田先生に俺。
教えてもらった情報を基に、どうするかという話し合いをするのだが、
「いやテロリスト相手から襲撃に行くって情報を基に何を話せと……」
頭が痛いと抱える楯無。山田先生は項垂れているし、千冬さんも苦虫を噛み潰したかのようなしぶい顔をしている。実際するしかない。通常ならイタズラと割り切るか、警備を強化する。くらいなのだが、
「情報源がテロリスト本人からって何て報告すればいいのよ……」
それも襲撃予定本人からそこそこ信憑性のある状態でもたらされた情報だ。追加するとアホウサギから遊びに行くね、の連絡付き。この時点で確実なのだがコレをどう処理したものなのか頭を悩ませている。
「…………春明、お前はどうする」
行き詰まった会話を進めようと千冬さんが話をふってきた。どうすると言われても警備の強化、あとは侵入経路を予測して罠を仕掛けるとか? 普通のことしか言えない。
「そういうことではない、お前ならこの機会をどう活かす」
ふむ? つまり突拍子もないアイデアをご所望と、それならこんなものがある。
何言ってんだお前、みたいな顔をされたが結局俺の意見で進めることになった。他にいい案がなかったとも言える。
夜の都会を照らすタワーの一角、そこで経営されている高級レストランではドレスとスーツを着ている二人の美女が座っていた。貸切なのか他に客はいない。
「やぁやぁ、お待たせ〜」
そこへ現れたのは店に似つかわしくないコスプレじみたスカートの機械のウサ耳をつけた女性、世界でもっとも追われている篠ノ之束である。
「お待ちしておりました束博士」
ドレスを着たスコールが男なら誰もを虜にする笑顔を見せて歓迎する。スーツを着ているオータムはほぉーんコイツが束博士なーと、関心があるのかないのかいい加減な態度。しかしそれを咎めるものはいない。
「ふっふん〜お腹ペコペコだよー、好きなもの頼んでいいんだっけ?」
「もちろんです、お酒もございますのでご自由に注文してください」
テーブルマナーなどなんのその、コース料理がメインというのに順番も関係なくアレがいいコレがいいと好きにメニューを読みあげる。冷や汗をかきながらも注文を聞き入れ運んでくるウェイターは称賛されるべきである。
「うーん、とりあえずこんなもんかな〜」
満腹になった、というよりは食べてみたいものを食べ終わったという束。かかった金額は一般庶民なら気絶するほどなのだが、そんなものを気にするものはいない。
「で、何の話だっけ?」
呼び出されここまで振る舞われておいてこの態度。実際できるほどの人物なのだから仕方ないが、人によっては普通にキレてもおかしくない。
「ふふ、そうですわね。自己紹介、はさておき手っ取り早くいきましょう」
それに対してこの大人の対応。どうせかかった金は組織から出るし話せるだけで安いものだと分かっている。
「IS学園を襲撃するので束博士にゴーレムを作っていただきたく」
「おっけー何機?」
「ざっと五十程度」
「束さんも予定があるから明後日でいい?」
「えぇ、そちらの都合に合わせてもらって大丈夫です」
あっけなく進む取引。もし仮に世界の重鎮たちが知れば卒倒するだろう、そして叶うはずもない要求を求める姿が目に見える。
「では本題なのですが篠崎春明について詳しく」
「待てスコール、私も聞きたい」
話は終わったとさっきまでのミステリアスな雰囲気は霧散し、肘をついて前のめりになる。いわゆるゲンドウポーズである。そしてどこから出てきたのかマドカも同じポーズで席についた。
「あー君が聞いてた?」
「そうです、会うのは初めてでしたわね」
「マドカだ、織斑千冬の妹にして春明の将来の嫁だ」
「うん間違いなくちーちゃんの妹だよ」
友人の隠れた親戚だったーとかそんなリアクションはない。あぁプロジェクト『M』の生まれなんだろうなとかいっくんとは仲悪そうだなとか色々考えたことはあったが自己紹介の一言でどうでも良くなった。
というか目の前にいるスコールも束と連絡できるようになった時の第一声が「篠崎春明のアルバムとかお持ちですか?」だった。天災でも訳わかんなくてあってみた。なんか二回りくらい違う未成年の娘になりたいとか言い出した。よく分からんけどバカアキが困っておもしろそうなので仲良くなった。
「なースコール、ゴーレム五十機って上はどうしたいんだ? 束ならもっと作れるだろ?」
空気もよめず、いやよまずに思い浮かんだ疑問を口にするオータム。コイツはスコールが幸せならなんでもいいやの精神である。気に入ってる春明のことに詳しい束とはそこそこ話す。なお春明にバラしたことは言ってない。バレても怒る奴はいないが。
「ウチは束博士と協力できて、IS学園にケンカを売れるくらい強いってアピールするのが目的ね。相乗りしてくる連中は本気で攻めるつもりらしいけど。まぁ上も専用機の一機でも回収できたらラッキーとは思ってるわね」
「
「上から下の差はあるが代表候補生に専用機持ち、どれだけ準備しても割に合わん」
自分の実力に絶対の自信を持つオータムとマドカだがそれはそれ、スコールに相手の戦力の分析はちゃんとしろと口酸っぱく言われているのだ。もともと考えるより殴れの精神であるオータムは、今では事前情報を調べることも怠らない。情報漏洩はするが。
だが実際オータムの分析の通り、IS学園は結構な戦力を持っている。そもそも欠点が女性しか使えない、数が少ないの二つであるISを学園はその両方を補えている。オータムもマドカも実力者ではあるが、無策で突っ込むにはキツいというのが正直なところ。
「白式はともかく織斑一夏自体はそこまでだが、厄介なのは篠崎春明」
噂された人物はシャワーあがりのパンイチでアイスを食べていた。クシャミをして鈴に服を着ろと言われるが生返事をして食べ続ける。
「全体的に満遍なく高い実力、指揮に作戦立案もできてメインもサブもこなせるオールラウンダー」
どこでどう仕事を任せても問題のない実力。自分のことを除いても部下に欲しい、スコールは呟く。
「唯一の弱点が渡鴉の稼働時間、つっても最初から起動して準備すればいいんだろ?」
「もっちろ〜ん」
黒鳥と渡鴉ではスペックもエネルギーの消費量も違う。だがそれはもともと黒鳥基準の準備しかされていないだけであり、最初から渡鴉を起動して準備しておけば何も問題はないのである。エネルギータンクも渡鴉は自身に合わせた容量を用意されている。黒鳥の時にはその容量を渡鴉の保持に使っているだけなので、そこが開けば補充ができる。
「考えれば考えるほどやる気おきねぇな」
頭の後ろで腕を組み、イスにもたれかかるオータム。強敵との戦闘など彼女にとってはご馳走よりも美味しいものだが、スコールからならともかく上からの命令で明らかな戦力差がある相手に挑むなどめんどくささしかない。
「お?」
ため息をついたオータムの胸ポケットから着信音が鳴る。見れば春明からの連絡だ。
「へぇ……」
おもしろい提案にニヤリと笑うオータム、そのまま机に端末をおき他の全員が覗き込む。
「ふふ」
「流石だな」
「おー」
三者三様に反応すると、笑みを浮かべる。
「つーことでせっかくのお誘いだ、やるぞマドカ」
「もちろんだ、夫の頼みを無碍になどしない」
まだ結婚どころか顔も見てないでしょ、と束は思ったが言わなかった。いくらデリカシーがないと言われる束でも言いたくないことはある。
「今回は誘われなかったけど、いつか私たちが会える日が来るのを待っているわ」
お父様、そう誰にも聞こえない大きさで呟いてワインが注がれたグラスを掲げるスコール。超人的な耳で聞こえていた束は聞こえなかったことにした。いくら天災といえど理解できないものはある。
その後、どうせ組織の金だからだと春明の話で飲みまくった。マドカはファンタだった。酒のつまみにされた本人は薄着でクシャミをしたので、鈴に誘われて同じ布団でいつもより早く寝た。
そしてキャノンボール・ファスト当日。様々な思惑が交差する中、イベントは始まる。
パパ呼びと迷った、けどあえて丁寧な方がより本物っぽい気がした。
そろそろこの辺の変態を出したいけどその前に楯無がいるんだよね。こやつどうすっかなぁ、数多の作品で師匠ポジだったり噛ませ役なんだけどウチただの思春期だからなぁ。
姉妹の関係も適当だしどうしたもんか、まぁいいか。エロ本あげたら惚れるやろ。
感想、誤字報告等いつもありがとうございます。書く上でモチベになっており、心強いです。作者をホモにする感想だけは許さん、高評価していけ。