「少しよろしくて?」
天使がいた。
「……あの?」
間違えたお嬢様だ。
何をどう言えばいいのか分からないが縦ロールとか気品とか話し方とかこう、いかにもお嬢様って感じのお嬢様だ。
「失礼しました、私は篠崎春明と言います。良ければお嬢様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「フフッ、私の名前を知らないのは減点ですがその態度に免じて教えてあげましょう」
聞けば聞くほどセシリア・オルコットという目の前の彼女はやはりお嬢様だった。
代表候補性で実際に貴族で詳しく聞けばメイドさんもいるらしい。
素晴らしすぎる。
「流石ですね! ISだけでなく自分の家のことも、さらには勉学すらもトップとは‼」
「フフフ、男というだけでどうせバカなサルと思っていましたがあなたは違うようですね‼」
とりあえずヨイショしておいたらめっちゃ元気になった。なんなら腰に手を当てて高笑いしてる、おーっほっほっほなんて笑い方するのお蝶夫人くらいだと思ってたよ。ポーズ的に立派なお胸が強調されていいぞもっとやっれ。
とはいえ今はかなり機嫌が良いはず、この隙に、
「よければペットでも飼いませんか?」
自分を売り込むことにした。
なんせ貴族、人ひとり養う程度造作もないはず! そしていい感じにイギリスへついていけばホモからの脱出も可能!
「すみません、ホモはちょっと」
「俺はホモじゃねぇ‼」
すげなく断られた。
これも全部一夏が悪い。
「クラスの代表を決めてもらう」
セシリアへのアピールが失敗に終わったが授業は進む。そして千冬さんがクラス代表、委員長みたいなものを決めろと言い出した。
「自薦でも他人の推薦でも構わん」
そんな千冬さんの言葉から始まる一夏への推薦。挙句の果てに二人でクラス代表をすればいいという声もあがるが千冬さんに却下された。ありがとうございます。
「認めませんわっ‼」
そこで待ったをかけたのがセシリアお嬢。
こんなエリートがいるのに極東のサルに任せるなどありえないと結構なことを言い出した。
自分としてはそこまで気にならないのだが、このままだと話が進まないしセシリアが推薦されないのもおかしな話だ。
「それにこのままだとホモがクラス代表になるのですよっ‼ 私はいやですわっ‼」
ごもっともすぎる。しかし問題なのはほかのクラスメイトの方々はそれのなにが問題なのか? という顔をしているのだ。ホモしかいねぇなこのクラス。
流石にクラス代表がホモなのはいやなので推薦しようと挙手をした。
「はい、セシリアさんを推薦しま「ちょっと待ってくれ」なんだてめぇ」
まさかのホモ乱入。とはいえここまで言われたら正義感の強い一夏が黙っていられるはずもなく、なんやかんや言い返すだろう。ケンカにはなるだろうが仕方ない、学生なんだしそのうち青春の一ページとして笑えるだろう。
「なんで俺を推薦してくれないんだ春明‼」
「なんでお前を推薦しないといけねぇんだよ‼」
「そんなぽっと出のイギリス女と昔から寝食を共にした俺とどっちが大事なんだ‼」
「んなもんセシリアお嬢に決まってんだろうがクソホモ‼ アレだよな‼ 今思えばお前しょっちゅう一緒に風呂に入ろうとしてたよな⁉ なんなら背中流してやるって入ってきたこともあったよなぁ⁉」
思い出せば思い出すほど尻のピンチだったじゃねぇか‼
「背中だけじゃない前も洗いたかった‼」
「んなもん聞いてねぇよ‼」
どうすんだよコイツ、告白してきてからあけっぴろげになってきたぞ。
早いとこコイツから逃げるためにもどうにかしないと………!
「なんなんですの!」
俺が必死にホモからの逃走ルートを考えているとセシリアが怒り出した。いやさっきから怒ってたか。
「なんでそんなホモばかり注目されるのですか!」
ホントなんでだろね。IS学園ってセシリアほどじゃないけど国内外問わずエリートが集まってるはずなんだけどね。
「そちらの男は先ほどわたしのペットに立候補したというのに‼ そんなにホモが大事なのですか⁉」
「そんなっ⁉ 俺を裏切るのか春明⁉」
「お前の味方だったことはねぇよ‼」
むしろ敵だわこの野郎! ………しかし、これはいいチャンスなのでは?
「俺はセシリア・オルコットを推薦する」
「なっ⁉」
「ふふ、流石ですわね」
驚愕に満ちた表情をする一夏。いいぞ、このままさらに追い打ちをかけることでさらにダメージを与えてやる………‼
「そうだ一夏ァ! 俺はセシリア・オルコットにつく! そして将来はペットとして生きるのだ‼」
「いやですわ」
「あれぇ?」
なんかすげなく断られたぞ? 今の雰囲気なら流れにのっていけると思ったんだけど。
「そうか、そういうことだったのか春明」
そしてホモはなんか納得してる。何を納得したのか分からないがどうせろくな事じゃないだろう。
「ちょっと休ませてもらったら元気になったので戻って「セシリアに勝ってペットにされた春明を取り返せばいいんだな‼」………すいません、まだ調子が悪いので保健室に戻ります」
的外れなことを言いだしたホモ。そして扉を開けてすぐに消えていった箒。なんと間の悪いことよ………。
「いやですわこんなホモ。ペットでも奴隷でもいりませんわ」
「ねぇ聞いて聞いて? 俺ホモじゃないんだよ? だからペットにしても大丈夫ですよ?」
なぜかホモ扱いのままなので否定しつつすり寄る。胸も尻も財力も立派な有能物件! 逃す手はないっ!
「わたくし男性が嫌いですの、さらに付け加えるなら財産目当てですりよってくる男性なんて反吐が出ますの」
しょっぱなからルート分岐を間違えたらしい。やっべーなーまじやっべー、どーっすかなーこれなー。
「そこまでだ。クラス代表は織斑、オルコット、篠崎の三名で模擬戦をしてもらいその結果で決めることにする、いいな」
どうにかルートを開拓できないか悩んでいたところ千冬さんがまとめたことでクラス代表の話は終わった。
………あれ?
「先生! 俺立候補も推薦もなかったんですけど⁉」
なかったはずなのに名前が入ってるのおかしくないですかねぇ⁉
「オルコットは代表候補生で専用機持ち、そして織斑と篠崎、お前たちにもデータ収集が必要なため専用機が用意される」
なるほど貴重な男性操縦者の操縦データを取るための専用機ね………………片方ホモだけどちゃんとデータとれるのか?
それに、周りは専用機が用意されることで盛り上がってるが俺の懸念点としては、
「いくら専用機って言ってもセシリアと俺たちとじゃ経験が違いすぎます、最悪ボロ負けして何も参考になりませんよ???」
こればっかりはなーどうにもできないんだよなー。性能に差があるならともなくそこまで突出したやつはないだろうし、そうなるともう経験がそのまま差になる。
ろくに飛ぶこともできずに墜落の可能性もあるんですがそれは。
「大丈夫、だろう。一夏には倉持研究所から、そして篠崎お前にはアイツからオリジナルのISが送られてくる」
………………ほっほーん?
「それいらないんで学園の貸してください」
「え~しのきー専用機だよ~⁉」
「そうだよ! せっかくの専用機だよ?」
断った俺に対してあちらこちらから疑問と非難の声が上がってくる。
しかししょうがないのだ、こればっかりは男のプライドの問題であり、譲るわけには、
「伝言もあるぞ、一度見てみろ」
しぶしぶながら千冬さんから無駄にファンシーな手紙を受け取って開く。
差出人のあてはついてる、どうせあのバカな科学者だろうと中身を読むと、
『やっほー中学で彼女を作るとか息巻いて目標達成できなかった間抜けは誰なんだろね~。心ある優しい天才美少女博士は特注のISを哀れなおバカさんにプレゼントしてあげるよ~。でも~せっかくの特注品も乗り手がバカだと性能も生かせないだろうね~。泣いて、喚いて、ISの性能を生かすことなく無様に地面に這いつくばるといいよ! P.S.箒ちゃん強く生きて あなたの愛する姉より』
「やってやろうじゃねぇか‼」
手紙を叩きつけながら叫んだ。
コレ読みにくる読者はホモ