今回は最強候補です。この作品の方向性を決めて人気になった原因ともいえる。ではどうぞ
凰鈴音にとって篠崎春明は悪友である。
出会った頃は鈴の気の強さと春明の負けず嫌いが反発し、よくケンカしていた。その結果お互いのことを理解し合い、遠慮しなくても良い相手だと判断した。煽るし手も出るし悪態をつくなんて日常茶飯事だ。信頼も信用も特にしてない。
なにせ好きにすればいいだけなのだから。
「買い物行くから起きなさい」
「んぁ〜」
珍しく鈴が先に起きて同じ布団で寝ていた春明を起こす。手で揺さぶるなんてしない。足で踏んで軽く揺する。
寝ぼけながらも布団から這いずり、両手を伸ばしてあくびをすると洗面所へ向かう。洗面所もトイレもかち合わせることはなく、各々で準備をして学園を出る。
レゾナンスで隣を歩く鈴に付き添って進んでいく。ここまで目的地は聞いていないし、朝の起こされた時以降会話もない。端末を触って好き勝手にネットニュースなんかを見ている。
たどり着いたのは服屋。リーズナブルでどの家庭でも一着以上はあるような店だ。
「服買うなら女子誘えよ」
「あんたの服よ」
ここで今日二回目の会話。めんどくさいという態度を隠しもせずに付いていく。無地の白や黒のTシャツを幾つか、寝巻きにもなる半ズボンなど部屋着をメインに春明の体格より少し大きめのサイズをカゴに入れていく。
後ろでボケーっとしたまま付いていく春明、会計が終わって紙袋に詰められた服を鈴から受け取って店を出る。会計を担当したスタッフは若い夫婦だなと思った。
次の目的地に向かおうとすると春明が一人でキョロキョロしている子供を見つけた。見た目的に小学生になるかならないかと言ったところか。春明の視線で気がついたら鈴がかけ寄り、話しかける。
とーさんかーさんどっかいった、と話してくれた男の子。迷子の自覚はないらしい。迷子センターを地図で見ると少し離れている。男の子の手を挟むように二人で繋いで、鈴が笑顔で話しかけながら向かう。すれ違う人たちは若い親子だと思った。
迷子センターに男の子を預けて、離れようとすると偶然男の子の両親が到着。お礼と言われてここで使える食事券をもらった。鈴は断ったが春明はせっかくだし貰おうぜと受け取り、鈴がぺこぺこお礼を言った。アンタもお礼言いなさいと肘で小突かれて春明も頭を下げた。男の子に笑顔で手を振って別れる二人を見て、男の子の親御さんと迷子センターのスタッフはできた夫婦だと思った。
せっかくなので貰った食事券をフードコートで使い、ご飯を食べた。春明は天ぷらそば、鈴はしょうが焼き定食、一口たりとも交換することなく、食べ終わるとそのままゲームコーナーへ。
対戦ゲームに熱中し、店の対戦ゲームをほぼ網羅すると鈴が声をかけられる。高校生から大学生くらいだろうか、振り返れば数人の男たち、女尊男卑のこのご時世にまさかのナンパである。
どーぞどーぞと差し出す春明にまんざらでもない鈴、男たちは少し混乱した。しかしここで男たちの一人が気づく、アレけっこうガキじゃね? ピシリと固まる鈴に手を叩いて大笑いする春明。私服のせいで大人っぽく見えたがよく見ると中学生じゃん、と去っていく男たち。春明はもう過呼吸寸前である。
憂さ晴らしも兼ねて春明をエアホッケーで完封する。負け犬の遠吠えか、普段朝弱いくせにこんな時だけ早起きしやがってと呟く春明。あんたこそいつも二度寝するから寝坊するんでしょと言い返す鈴。どんどん出てくるお互いの弱み、恥ずかしい点、脇が弱いなどの弱点、ヒートアップしすぎて笑顔のスタッフに惚気は他所でやってくださいと注意される。あのカップルそこまで進んでいるんだと周りに思われていたことには気がつかず、ゲームコーナーを出る。すると入り口付近で人だかりができている。
覗くとさっきの男連中が化粧のケバい女に絡まれていた。騒がしいから警察につきだすと、実際は音の出るリズムゲームを遊んでいただけで、はしゃいでいたがゲームコーナーなら問題のない程度の音量だった。店員も他の客も気に留めていなかったが、機嫌が悪かったのかたまたま近くを通りかかった女が言いがかりをつけたのだ。
さらに厄介なことに後ろには大柄なスーツの男もついてきており、それなりの権力者のようだ。ゲームコーナーのスタッフもどう対処すれば良いのか分からず、右往左往している。
「はぁ? 遊んでいただけで捕まえるとか横暴にもほどがあるでしょ」
もちろん首を突っ込む鈴。その場にいた集団の注目を一身に浴びるが怯むことはない。自分より若い女に絡まれて腹がたったのか付き添いの男が鈴の前に立つ。体格の差が周りにはリスとクマのように見えた。絡まれていた男のリーダー格が震えながらもその子は関係ないだろと叫ぶが女はおもしろそうに笑うと、「思い上がった小娘に躾をしてあげなさい」と命令、鈴へ手が伸ばされ遠巻きに見ていた集団の一部が目を閉じるが、
ダンッ! と音がして床に寝かされたのはスーツの男だった。手を持っているのを見るに投げたらしいがどうやってなのかは分からない。驚くも激昂した女が他にいたスーツの男たちに叫ぶ。聞き取れはしなかったが襲えみたいなことを言ったのには変わりない。迫ってくる男たちに今度こそ少女が痛めつけられる、そこへひとつの影が飛び込んだ。
アゴに腹に、人の急所に流れるように拳を入れていく春明、あっという間に膝を着いてうめくスーツの男たちが出来上がった。
悲鳴をあげてタダで済むと思うな、私はIS委員会とも繋がりがあると叫ぶ女。今度こそ周りで見ていた全員の顔が真っ青になった。
なのに呑気にポケットを弄る春明、やっと見つけて鈴と同時に取り出したのはIS学園の生徒手帳、今度は女の顔が真っ青になった。
「アタシは中国国家代表候補、ソイツは世界で二人の男性操縦者、何か言いたいことは?」
「あ、さっき千冬さんに連絡したから」
国と世界に関わるIS操縦者に織斑千冬の名前を出されてもはや死人のようになる女。そこへレゾナンスのお偉いさんと警備員が駆けつけてきた。アタシたちの権限で命令を出します、迎えが来るまで確保してください、鈴の言葉に迷うことなく警備員に指示を出すお偉いさん。今の世界だとたとえ犯罪をしても店が悪く言われることもあるのだ。それを踏まえた鈴の言葉に張り切って仕事をする警備員。
金切り声をあげながら連行される女を見ながらさらに増えた集団から歓声と拍手が湧き上がる。お偉いさんとナンパしてきた男たちに頭を下げられ、とりあえず目立つので裏の客室へ案内された。イエーイと手を振る春明をみっともないからやめなさいと鈴がすねを蹴る。見送った集団は相性の良い夫婦、いや学生だからカップルかと尊敬の目で見送った。
客室ではナンパしてきた男たち、お偉いさんと出てきた店長? トップの人、さらには警備員の人にも感謝された。
久しぶりにちゃんと仕事ができて嬉しかったらしい。出店している中でも特に人気なスイーツを出され、これからIS学園から連絡が来るなど話をした後、お礼をしたいと言われた。しかし買い物は済んでいるし、スイーツをご馳走してもらって満足している。困ったので顔を見合わせて無言で相談し、とりあえず仕事が増えたであろう先生方へのお土産を頼んだ。後日生徒も含めた数のよりどりみどりなスイーツが届いた。
帰り道、欠伸をしながら帰る途中、中華料理の店の前を通りかかった。春明の腹がなり、寄ってく? と鈴が目で語る。
「お前の炒飯食いたい」
「そ、じゃあ材料買って帰るわよ」
スーパーへ寄り道して増えた手提げ袋を持って二人は帰る。買ったばかりの衣服をタグを切って洗濯し、二人でシャワーを浴びる。いつものように自分の服を着られた春明は今日の買い物はこのためかと気がついた。
文句を言おうとしたが、湯気のあがる炒飯を出されて食べることに集中する。そのまま言い忘れて、同じ布団で眠るのであった。
後日、二人の活躍がネットで話題になりいつものメンバーに聞かれるが、お互いに忘れており真相は見ていた人だけのものになった。
最後に魔法の言葉「こいつらこれで付き合ってないし男女の関係でもないんだぜ」
これイチャコラか? と思ったけどまぁイチャコラってことで。
鈴とのやりとりは特に波が起きないので書きやすいんですけど、小説としてはアレなので原作にあった勘違いおばさんを突入させました。
ナンパ連中はよくゲームコーナーに出没して、困ってる人声かけるようになったそうです。あとIS事情にも調べるようになったとか。
活動報告の希望ちょこっとだけ入れました。ご希望とは違うかもしれませんがお許しを。
感想誤字報告高評価、いつもありがとうございます。いまでもたまに日刊ランキングに載るのを見てニヤニヤしています。思いつきで書き始めたヒロインとの絡み結構好評で嬉しいです。思ってたより人数多くて驚いてるけど。まだ活動報告で募集してますよー