ちょっと遅れた申し訳ない、では天災回です、どうぞ
篠ノ之束にとって篠崎春明は遊び相手である。
誰にも理解されず孤独だった自分、腕力だけは張り合える友人がいたがそれでも良いと思ってた自分に誰かと遊ぶ楽しさを教えてくれた。圧倒的に差があるにも関わらず屁理屈や不意打ちで自分を負かす春明に、孤独な天災は救われたのだ。
「おいなんだここ」
「ここは風雲束城! 参加者は自由‼︎ 景品であるバカアキを目指して数々のトラップを乗り越えるのダァ‼︎」
寝ていたはずの春明が起きると柱に縛り付けられており、隣にはいつもの束がいた。マイクを持って窓の向こうへ叫んでいるが、こっちにはよく聞こえない。近くではクロエが何やら準備している。
「たどり着いたものは景品を自由にできる権利が与えられる」
「なんかまたバカなこと言ってんな?」
声は聞こえないがなんとなく春明はそう思った。付き合いの長さゆえの勘である。
ちなみに春明が縛り付けられている場所は和風な城の最上階であり、城の下ではいつものメンバーがいる。急すぎるこの状況に戸惑っているが、とりあえず勝てば良いのかとやる気に満ち溢れている。
チャイナ娘だけその場に横になると寝た。一人だけやる気が皆無である。
いの一番に飛び出したホモは城に入り込み、待ち構えられていた足軽鉄砲隊に撃たれてペンキまみれになった。
竹刀を振って乗り越えた剣道少女は、なぜか股の間に竹刀を挟んだ侍ロボットの妙な挙動に惑わされて敗北、カタコトで「少年のモノはもっとリッパダゾ」と言われた隙を突かれたわけではない。
イギリス少女はISを使って一気に天守閣へ、行こうとして急に消えた。「ここではISは使えないのだ‼︎」宙に映し出されたウインドウから天災が忠告する。真っ逆さまに落ちていき大きな水柱を立てて池に落ちた。
フランス少女は近道と書かれた看板を発見、怪しみながらも進むと薄暗い道へ出た。その先は明るく、あぐらをかいてゲームをする春明の姿。笑顔で後ろから抱きしめようとすると手が空を切る。ジジ、と春明の姿が触れて消えると足元が開き、落とし穴に落とされた。
ドイツ少女は屋根に上がり、なぜか用意されていたロープを登っていく。上の階の屋根にたどり着くと、装束を着て忍と書かれたマスクをつけたロボットがいた。手を合わせてお互いに頭を下げると、どこに入っていたのか懐から寿司桶を取り出して差し出す。お茶と醤油も用意されたので食べ始めた。
陰キャ少女は持っていたダンボールをかぶってコソコソと進む。たまにチョンマゲの生えた見回りロボットが通り過ぎるが気付かれない。最上階の前まで到着して最大の関門に気がつく。インターホンがない。中は賑やかで自分の声では気がつかれない、そう判断してまたダンボールをかぶって元いたところへ戻って行った。
思春期少女は自分の実力を余すことなく発揮して障害を乗り越えていた。たどり着いたらどうしようか、とりあえず普段舐めた態度をとってごめんなさいと謝らせてその後はぐへへ、と口がにやけていたところで新たな部屋にたどり着くと、中には真ん中に本が一冊。警戒しながら近づくと表紙を見て目を見開く。そばにあった座布団に正座すると見えないほど顔に近づけて読み込む。どこからか現れた女中ロボに、座布団ごと台車に乗せられ元いた場所へ運ばれていった。
「で、なにこれ」
「ん〜」
最上階、天守閣にて壁一面をおおう巨大モニターで、さまざまなトラップに引っかかる様子をポップコーンとコーラを片手に眺める二人。とりあえず誰がたどり着くか賭けていたのだが今のところ誰も来れそうにない。
「暇だったから」
「暇」
「デスゲーム主催者ごっこしたくて」
「デスゲーム」
これが世界の天災である。思いつきだけで人の尊厳とかいろいろなものを弄べるのである。今も再挑戦しているメンバーがさまざまなトラップに引っかかっている。シャルが逆さ吊りになった。
「とはいえ見慣れると暇だねぇ〜」
肩の凝りをほぐすように両手を上に伸ばす。
「さ、やろうか」
取り出されたのは細長い棒、それを見て春明は獰猛な笑みを浮かべた。
「これ辿り着けるのか……?」
一方外では息も絶え絶えなメンバー、カラフルになったホモも珍しく疲労困憊である。他のメンバーも濡れていたりボロボロだったり顔に米粒がついていたり真っ赤になった耳しか見えずに身体を丸めていたりしている。
「正直姉さん基準ならギリギリで辿り着けるような計算はしていると思う」
妹の言葉に本当かな? と首を傾げるが命を取るようなモノはないのでそう思うしかない。なお妹や弟子に痴態を晒されて尊厳死したものはいるが。
「ねぇあれって?」
シャルが気がつき指を差した先には空中に巨大なウインドウが浮かび上がっていた。また何かあるのかと身構えると、
「よっし五番いただき‼︎」
「ふっふ〜ん、その程度で勝ったと思わないことだよ」
なぜかビリヤードをする春明と束が映し出された。
「「「え?」」」
ポカーンと呆気に取られるメンバー、だがその表情は次第に険しくなっていく。
何せバニースーツを着た束が、その豊満な胸元を曝け出して春明にもたれ掛かったり、抱きついたりしているのだ。春明は気がついていないがワザとだ。しかも前や後ろを見せつけるポーズをよくとっている。極めつけにカメラ目線になると。
「ふっ」
明らかにマウントをとる顔だった。
ボロボロだったメンバーはゆらりと立ち上がり黒いオーラが身体から吹き出る。何も言わずに同時に走り出した。
なお鈴は寝ているし楯無は復活していない。ラウラはダンボールから顔を出した簪にお寿司を分けていた。ちゃんとアイサツをしてくれたので簪は喜んだ。
その後も映し出される春明と束の遊んでいる様子。大乱闘やダーツなどの普通の遊びからツイスターゲームや手押し相撲などワザとじゃね? と言いたくなる身体が密着するようなゲームも多かった。しかもその度に衣装を変え、時折りカメラ目線で鼻で笑うのだ。最上階を目指すメンバーの殺意がさらに濃くなる。
そうして挑んでは返され、挑んでは煽られ続けた時、それは現れた。
「束、これはどういうことだ?」
我らが織斑千冬である。
「ゲッ、ちーちゃん⁉︎ ここには招待していないのに⁉︎」
ナース姿でドクターマ○オをしていた束が慌てだす。慌てて外を見ながらも手はコントローラーから離れることなく操作していく。天災である。
「私もな、小娘どもがちょっかいをかける程度なら見逃すがお前が出しゃばるというのなら黙って見てはいないぞ」
あ、マジギレしてるわーと思った時には遅く、ブリュンヒルデの一撃が城へ撃ち放たれた。
「はっ」
目を覚ました束。これまでのことはクロエのISによる夢の世界。専用機持ちたちは自分のISを通じて夢の世界へ誘われていたのだ。今ごろ目が覚めているだろう。外は空が白んでいる。
「あーあー、今のちーちゃんなら来れないと思ったんだけどなー」
千冬の専用機は今現在沈黙しており、IS学園の地下で保管されている。その状態なら呼ぶことはないと思っていたのだが、いき遅れ候補教師の執念が強かったのだろうか。恐ろしい。
「しょーがない、本日は撤退!」
と言っても動かずに横を向く。
おかしい体勢で寝ている春明の寝顔を眺めて、自分の頭を胸に乗せる。トクントクンと規則正しい心臓の音を聞いて目を瞑る。このまま寝てしまいたいが目が覚めて気がつかれると面倒臭いことになるだろう。ほぼ確定で起きている千冬も遠からず部屋に来るだろう。その前に撤退するしかない。
「またね、バカアキ。また遊んで」
鼻を摘むとフガッ、と変な声が出る。面白くて少し笑うと、顔と顔が重なり、すぐに離れる。
日が登りきり春明が起きた時には誰かがいた形跡はなく、少しだけ残っている嗅ぎ慣れた匂いに鼻を鳴らすと、春明は二度寝し始めた。
活動報告にてあって風雲束城です。希望通りかは分かりませんがかけたとは思います。
この後ヒロインズは夢だったのか現実だったのか記憶があやふやでした。千冬は本能的に束に殺気を放ちます。
よーしそろそろ本編行くぞーも終わったでしょヒロイン残ってないでしょ、亡国企業は書かないし終わりだなよし。お待ちかねのホモです。
感想、誤字報告高評価いつもありがとうございます。感想合計が千超えそうで嬉しいです、どしどしください。活動報告も好きに書いてもらって大丈夫です、話の合間に入れたりするかもしれません