まぁえっか
京都にいる。
古風な歴史を感じる町で、俺は最新鋭のISと対峙していた。
金色で太陽のように燃えあがる「ゴールデン・ドーン」というIS、触ったら熱そう。あと操縦してるお姉さんスタイル良すぎる。気が散って仕方ない。
「お誘いに乗ってくれて感謝するわ、篠崎春明」
「罠と分かっていても踏み込むのが性分なんでな」
襲撃はまだ、始まったばかり。
「来たか」
泊まっているホテルの一室を借りて用意された作戦本部、持ち込まれたモニターの一つがアラームを告げる。
「ゴーレム多数、数は百近く? それとキャノンボール・ファストにいたISが二機‼︎」
モニターを操作していた先生が声をあげる。うん、思ってたより多い。確かにオータムさん「大勢で行くぞ」って言ってたけど予想以上だわ。聞いてただけまだマシな気もするけど、いやなんで事前情報あるんだ。
「専用機持ちは出撃、京都全域に避難指示を」
千冬さんが普段とは違って凛々しい表情で指示を出す。誰だこの人「春明、後で話がある」よーっし、出撃準備してくるかぁ!
後ろから睨まれている気がするが、無視して部屋を出た。よーし、がんばるぞー。
「お、来たな」
上空に佇むはオータムとマドカが率いるゴーレム部隊。空一面を黒いゴーレムが埋め尽くし、明るいはずの空を黒くしている。
「前よりは楽しめたらいいが」
与えられている目標は戦闘による専用機持ち、IS学園の信頼の失墜。相対的に亡国企業の存在価値を高め、力を世界へ知らしめること。そしてスポーツ用という建前を崩し、ISを奪い合う戦争への一歩とする。
「ま、そう上手く行けたら苦労はしないがな」
遠くが輝いたかと思えば、束なって太くなったレーザーがゴーレムを襲う。続いて嵐とも言えるミサイルの弾幕がゴーレムを襲い、爆炎に紛れて斬撃が飛び交う。
「随分なあいさつじゃねぇか」
「補助輪がなくても乗れるようになったみたいだな」
笑うオータムに未だ構えないマドカ、二人の前には以前手のひらで転がした専用機持ちたちの姿。どの顔も口元は引き締まり、油断はなく集中している。
一人だけ帰って布団に篭りたいと考えているが、集団から外れる行動をとる勇気などないので周りに合わせている。
「今日は楽しませてくれよ?」
「楽しむ余裕があればな」
それぞれが武器を構え、あたりが緊張に包まれる。
「春明に会長、千冬姉にも鍛えてもらった」
白式のスラスターに光が溜まりだす。
「今日は俺たちが勝つ‼︎」
「言葉はいらねぇ結果でしめせ‼︎」
飛び出した一夏とオータムの間に生まれた火花が開戦の狼煙となった。
「楽しそうね、オータム」
オータムたちから少し離れた場所で、金色のISが太陽の光を浴びて輝いていた。
「譲ってもらってなんだけど、あそこまで楽しそうだと妬けちゃうわ」
フルフェイスの下で笑うのはスコール、ゴーレムもおらず、たった一人でいる。それは目的の人物を待ち望んでいるため。
「あれからだいたい一年くらいかしら」
誰も聞くことなどない独り言だが、オータムは喋り続ける。
「熱に浮かされた、いや浸っていた私をさましてくれたあの温もりを、忘れたことはないわ」
風が吹き、はみ出ていた髪が揺れる。
「あの日の約束、覚えているかしら」
スコールが見上げた先に、真っ黒な一見ロボットにも見えるISが佇んでいる。同じくフルフェイスであるため顔は見えない。だが不思議と目線は合っているとスコールは感じていた。
「顔が見えなきゃ思い出せるもんも思い出せねぇよ」
「ふふ、それもそうね」
スコールの周りがゆらゆらと揺れる。ゴールデン・ドーンは炎を扱うIS、上がっていく温度が景色を歪めていく。
「私の熱いおもい、受け取ってもらえるかしら」
「火遊びは初めてだよ」
二振りの黒刀を構えた渡鴉が太陽に突っ込んでいく。
「お前たちの目的はなんだ⁉︎」
ゴーレムを足場に一夏が突っ込んでいく。白式の加速性も合ってかなりのスピードだが、オータムは難なく受け止める。
「あー? 聞いてねぇのかよ、お前らボコボコにして戦争起こすんだよ」
「嘘だな‼︎」
鍔迫り合いから自ら後ろへ飛び上がり、背後に構えていた箒がビーム刃を飛ばす。オータムは余裕を持ってかわすと、同じくまだ余裕を持ったマドカの隣に立つ。
「もしそれが目的ならなぜ春明を誘い出した」
油断なく刀を構える箒、その眼は真っ直ぐとオータムを見ており、周りのゴーレムを気にかける様子はない。近づこうとしたゴーレムがいたが、目に見えない空砲によって怯み、遠くから放たれたレーザーによって撃ち抜かれる。
「春明の実力、影響力はたぶんお前たちの方が詳しいだろう。ならどれだけ強力であろうとIS一機で抑えられるとは思っていないはず」
「数は多くてもゴーレム程度じゃ時間稼ぎ程度、春明も一緒なら千機は必要だぜ」
箒の隣に立つ一夏、二人の言葉にオータムは笑い、隣を見る。
「どーするよマドカ、こいつら前より成長してるぜ」
「していなければ別プランだっただけだ、なら想定通り動けばいい」
「マドカ⁉︎」
「千冬さんっ⁉︎」
フルフェイスをといて顔を見せるマドカ、見たことのある顔に二人だけでなく、他の専用機持ちも驚く。全員の頭に浮かんだ人物はモニター越しに険しい顔をしていた。
「自己紹介からしておこうか、私はマドカ。詳しいことは省くが想像している人物の姉妹であり、篠崎春明の将来の嫁だ」
「「「「「は?」」」」」
疑問の声をあげたのは誰なのか、たくさんのおもいがこもった「は?」だった。
「アタシはオータム。篠崎春明とは、メル友だな!」
「「「「「は?」」」」」
次は純粋な疑問が込められた「は?」だった。
「な、何を言って」
「あと向こうで篠崎春明の相手しているスコールだな、タイマンで話したかったらしい。それが一人だけ呼んだ理由だ」
ラウラが作戦会議中に春明のみ単独行動を許された理由を察する。いろいろと想像していたが、まさか指名による呼び出しだったとは。しかもメール。
「ま、これ以上を知りたいなら勝てたら教えてやる」
これ以上話すことはないとアラクネの脚が獲物を待ち構えるように広がる。
「そういうことだ」
再びフルフェイスとなって構えるマドカ。
気迫だけでこれまでが遊戯と身体が理解させられる。それでも前回から鍛え、連携も強化した。分からないことだらけだが、それでもその答えを求めるほどの力を持っていると自負して立ち向かう。
なお、その理由は昔出会った未成年男子に父性を感じた成人女性の我儘であったりする。
そしてその張本人はというと、
「あっついなおい」
「随分と涼しそうに見えるけど?」
炎の鞭をかわし、受け止め切り捨てる。熱波は防ぐことができていないが、要所要所で銃撃をはさみ、意識を逸らそうとする。しかし炎を纏って繭の姿になればうつ手はない、そうスコールが判断した時だった。
繭が切り裂かれ、うまれた隙間からロングライフルが火花を散らした。
「……驚いたわ、この防御を抜くならデータにあった放電しかないと思っていたのに」
後ろから生えた蠍のような尻尾がスコールを弾丸から防いでいた。尻尾を振ると、スコールの目は渡鴉の両手に向けられる。
「腕部、いえ黒刀だけに纏わせたのね」
「バレバレかよ」
ガックリと肩を落とす春明だが、黒刀には青白い雷がバチバチと走っている。
「強力な奥の手でありながら諸刃の剣だったものを使いやすく応用をきかせる、さすがと言うべきかしらね」
「おいおい、天才なんて言うなよ? 俺はそんなもんじゃない」
心底ゴメンだと言うように嫌な顔をする春明。天才が褒め言葉だと分かってはいるが、いつ聞いても天災の姿が浮かぶのだ。
「それでもよ、そんなことができるのは世界に何人もいないわ」
実際のところスコールの言うようにここまでできるのはそういない。それも全て送り主に負けたくないと言う意地みたいなものだが。
「でも知ってるわ、貴方の強さはそこじゃない」
IS乗りとして上澄に位置する春明、これでも乗り始めて一年未満だというのだ。大抵の人物なら嫉妬か称賛をするだろう。だがスコールは違った。
「なんか知ってるっぽいけどいい加減顔見せてくれね? マジで分からん」
「…………そうね、そろそろ思い出して欲しいわ」
そしてフルフェイスをとくスコール、同じく顔を見せた春明は一瞬悩むが、すぐにあっと驚きの表情になった。
「お久しぶり。約束どおり会いに来たわ」
──────お父様。
ついに出会ってしまったISのシャア! 変家よりは情けなくないはず、きっとね。
リクエストに関して作者の書きたいもの優先でね、って言ってもらえました。ありがとうございます、ほどほどに答えていきます、と言いたいんですが今後の展開的に応えるの難しくなってきたので遅くなるかもです。それはそれとしてリクエストは書きたいので遅くてもいいよーって方はどうぞ。
チキらず亡国企業メンバーもええんやで()
感想、誤字報告高評価いつもありがとうございます。今日遅かったのは決してカードを買いに行ったからではありません、ボルホワツインパクトマジかよ冠ラッキー!