胸張ってこの作品が代表作ではありませんと言えるようになりたいです()
「ご機嫌ですね」
「そうかなぁ〜? いつも通りだと思うけど」
移動型隠し拠点で複数のモニターを前にどう操作しているのか、常人では見えない速度でコンソールを叩く束。その後ろでクロエが、湯気の立つお茶を持って立っていた。
「お出かけする前よりは明るいです」
「んん〜?」
クロエの言葉に首を傾げる束、本当に心当たりがないのかかなり頭を悩ましている。
先日、ちょうどスコールたちが襲撃に来た時束はいつも通り研究や開発の片手間に遊んでいた。クロエも見慣れた光景に手伝いをしていたのだが、急に束が静止したのだ。何を思ったのかあたりをキョロキョロ見渡すと、やっていた事を全て放り出して小さな空中ディスプレイを広げた。
何を操作したのか普段の無駄な動きもなく洗練された動きでディスプレイを操作すると、ピタリと止まった。数分間だけそのまま動かず、再び動き出した時、クロエは束の雰囲気がいつもと違うことに気がついた。
「くーちゃん、ちょっと出かけてくるね」
「? いってらっしゃいませ」
言葉も程々にそそくさと出ていく束。よくある事なので気にしないが、それでも一瞬だけすれ違った時の表情、感情豊かな人物だがクロエは初めて見たかもしれない。
「いまは何をやっておられるのですか?」
考え込みすぎている束の邪魔をするのもよくない、そう考えて話題を変える。
「んーISのシステム防壁と亡国企業の本拠地の炙り出しだよー」
やられたならやり返さないとねぇ、そう言って悪い顔をするもそこに悪意などはない。おふざけの範囲内だ。
「遊ぶにしてもちゃんと準備はしておかないとね!」
出かけた時と違って楽しそうに作業する束の横にお茶を置く。おそらく彼と何かあったのだろうと推測するが、口に出すほど野暮ではない。自分を拾ってくれた恩人の幸せを祈るだけだ。
「そういえば医療用ナノマシンが減っていましたが」
「んーまた後で補充しとくよー」
「おい、何だコレ」
ただいまカフェでお茶を飲んでいる。オータムとスコールの三人でだ。さん付けも敬語もいらないといわれ、とりあえず街に出て調べたりしていたのだが、亡国企業については詳しくないのでIS学園についてのニュースなどを見ていた。
京都から学園に帰還、行方不明となった男性操縦者の篠崎春明を捜索中、責任は誰にあるのか、女性ナントカカントカは当然の罰であると、そんなニュースの中に、『SNSでトレンド入り、ホモ探し』の見出しを見つけた。
元は俺を探しているニュースが流れていたのだが、篠崎春明捜索中、篠崎春明はホモと有名、ホモで誘き寄せられる、ホモを探せ、とネットでお祭り騒ぎになっている。他人事だと思いやがって、俺も参加させろ。
「お父……ハルキ、恋愛対象は異性がいいと思うわよ」
「元から女性が対象だが?」
「え、そんな親子でなんて…………まだお昼よ?」
「そうだな、昼だからもう少し落ち着こうかミューゼル」
同じ机で顔に手を当ててチラチラとこっちを見るオータム、もといミューゼル。いや本名だが念のため偽名を使おうとして、捻りすぎるのも何だし本名をもじっただけだが。それと三人とも髪を少し触ったりメガネをかけて服装はスーツ、仕事中のサラリーマンとOLぽくしてる。とはいえ美女のスーツに胸元も開いているので通りかかる男性がチラチラと見てくる。気持ちは分かる。
たまにキャってわざとらしく隠すのやめなさい、萌える。
「つっても束博士なら遠からず亡国企業の拠点を見つけるだろ? アタシらも探すけどよぉ、見つかるのか?」
「できなくはない、ってところかしらね」
二人も知らない亡国企業の本拠点、様々な情報をもとに調べるが圧倒的に時間がかかる。とのこと、その辺は詳しくないのでノータッチ。
「そうなると海外に飛ぶ準備をしておいた方がいいか」
仮定だがおそらくは日本ではないとのこと、そもそも第二次世界大戦中に生まれたらしい、なら被害を受けながらは作られないだろうとの考え。というか思ってたより歴史が浅い。もっと昔からだと思ってた。
「とりあえず主に活動拠点としていた場所に行きましょう」
そうしてノートパソコンを触りだす二人、今のところ役立たずだ。仕方ないので自分の用意されたパソコンでニュースなどを見る。目立たず大人しくおこう。
「…………お腹は大丈夫なの?」
無意識にさする癖がついた横腹は、よく見れば跡が残っている程度になった。怪我は大丈夫なのだがどっちかと言うと血が足りない気がする。まぁそれくらいなら何とかなるだろうとピースで返す。
「で、どこに行く?」
話を逸らそうと行き先について聞く。パスポート、はあるが今回は使えない。察したのかクールな表情になったスコールが微笑む。
「アメリカよ」
「へーい、がい!」
なんか声をかけられた。
振り返ったらガタイのいい外国人男性、道でも聞きたいのだろうか。
「れっつごーとぅほてぇる!」
「シャラップ」
何だこのふざけたやつ、男連れの女性に堂々とホテルに行こうとナンパしてきやがった。ケンカを売られたと思って立ち上がって肩を回す。実戦復帰前の運動にはちょうどいいだろう。袖を捲って拳を握る、店なのでそんなの騒げないが、瞬殺すればいいだろう。
「C’mon」
「⁉︎ りありぃ⁉︎」
なんで喜んでんだコイツ、様子を見るために伸ばされた手を観察すると、
「れっつごー‼︎」
俺の手を握った。
「???」
何も分からないので振り返って、俺よりも英語が堪能な二人に頼る。スコールは少し悲しそうに、オータムは笑いながら、え、どういうこと?
「そ、そいつが誘ったのはアタシらじゃねぇよ、アハハハハ!」
「少し寂しいけど、そういうのも否定しないわ」
…………もしかして俺に声かけてきた???
「でぃすぴくちゃー、いずゆー!」
取り出された端末に写っていたのはIS学園の制服を着ている俺の写真、が投稿されたSNS。おいネットリテラシー、あと肖像権。
投稿には翻訳された文章がのっている。彼はホモです、探していますと。翻訳技術もっとあげろよ世界‼︎
大声で笑い出すオータムをさておき、握られた手を引き剥がす。
「それは俺じゃねぇ!」
つうか外国人から見たら同一人物かわかんねぇだろ! 服装とかも違うし! どうやって気がついた‼︎
「ホモセンサーは万国共通」
「そこ流暢に喋んな‼︎」
親指立ててグッ! じゃねぇよ‼︎ せっかくIS学園のホモから逃げたと思ったら野生のホモとエンカウントとか世の中クソすぎるぞ‼︎
「ごーとぅーへぶん、うぃずみー!」
「back to the hell!」
逃げる俺に追いかける外国人、結局騒ぎになって支払いだけして逃げた。前途多難すぎる。
「お父様、私で良ければ女性の良さも」
「ごめんその誘いで乗るのはムリ‼︎」
泊まったホテルでスコールに誘われたけど断った。相変わらずオータムは腹を抱えて笑っていた。
「あっ、いま春明が俺のこと考えてくれた気がする‼︎」
「おいホモ、わたしの旦那で不埒な事を考えるんじゃない」
実際に本拠地がアメリカなのかは分かりません、独自設定です。あと英語の成績悪かったんですけど何とかなるもんですね、ネイティブな方は遠慮なく誤字報告で突っ込んでください。
感想、誤字報告高評価いつもありがとうございます。とりあえず完結までは走ろうと思うので燃料がてらに感想とかください、走り出します。