それ以上に創作活動でここまで人気になったのは人生初なので、これを活かして、参考にして…………
一発ネタに頼らず地道に頑張ります。
キメラに覆われて視界が真っ暗に覆われていく。直前までの熱で茹っていた脳みそが急速に冷めていき、浮かび上がったのは自身の姉の洗濯物を干していなかったことだった。
「ここは……………?」
目が覚めるといつか見た真っ白な空間、何もなく殺風景だが怖くはない。落ち着いてからこみ上げてきたのは自身のやらかし。怒りよりも羞恥の感情が強く、両手で頭を抱えて丸くなった。
「俺は! 弱いっ‼」
姉や愛する人によく言われていた頭に血が上りやすいからもっと落ち着けという言葉、最近は冷静になることも多かったのだがまたやらかしてしまったとゴロゴロと転がって呻く。
「あいてっ」
転がった先で何かにぶつかった。顔を上げればまたもや見覚えのある白い少女。髪の毛に肌、ワンピースに下着まで全身白尽くしの少女に見下ろされ、一夏は両手を広げて大の字になる。
「負けちゃったね」
「……………そうだな」
普段なら言い返すが、自分のやらかしに恥じていたタイミング。何も言えずに自分でも驚くほどあっさりと受け入れた。
「どうするの?」
「どうするってそりゃ」
どうすればいいのだろうか? キメラに囲まれておそらく自分も操られるだろう。まだ残っているメンバーもいるし、後ろには千冬も控えている。苦戦はするかもしれないが負けることはないだろう。アメリカでは春明も無事だと聞いた、ならば問題はないはずだ。
また怒られて、反省して、地獄のような特訓が行われるのだろう。愛のムチと思えば悪くないものだ。
「その割には悔しそうだね」
思わず横を向いた。
知らず知らずに握りしめていた拳は赤くなり、噛みしめていた唇から血が流れる。冷静になったつもりでいた。それでも身体は正直で、自分の感情はあふれ出していた。
「あの人ならどうするかな?」
誰のことを言っているのかはすぐに分かった。幼い頃一緒に暮らすことになったもの、いい加減でデリカシーがなくめんどくさがり屋で誰よりも人のことを思って強い自分が憧れた人物。憧れはいつの間にか恋心に変わっていたが、そこはまぁいい。
家族が姉しかいなかった自分は何よりも姉が大事だった。しかし自分には力がなく、守られるばかりで大きくなったら自分が守ろうと決意していた。時間がたつほどに守りたいものは増えていき、同時に守っていた姉の偉大さを改めて実感した。だけどあきらめることはなかった、何せ身近にそれを成し遂げた人物がいるのだから。
「春明なら成し遂げていた、絶対に」
たぶん無茶はするだろうけど、そう呟いて気がついた。春明は結構無茶をしている。ドイツの時も、銀の福音の時も、一歩間違えたら命を落としていたのかもしれない。
「ははっ」
笑ってしまった。
ずっと憧れていた人物は思ってたよりも弱かったのだ。一人で何でもできると思っていたが、確かによく助けを求めているし頼ってくれている。その事に今ようやく気がついた。
「あなたはどうなりたいの?」
いつかされた質問。あの時は隣に並び立ちたいと言ったが、すでに立っていた。近づいたら拒絶されていたが。どんどん湧いてくる思い人との思い出、あの魅力的なお尻を眺めたい、触りたい、そろそろ写真ではなく本物をこの目で見たい。
一夏に力がみなぎった。
「強くなりたい、春明みたいに誰かに頼ることができるよう」
その言葉に少女は微笑んだ。
「だから力を貸してくれないか? 白式」
うなづいた少女の手を取ると、真っ白な空間を埋め尽くす光が二人を包んだ。
ミツバチが天敵のオオスズメバチを倒すときのように白式を取り囲むキメラ、その姿を確認していたIS学園のメンバーは顔から血の気がひいていた。どうする、どうすればいい、このままでは、そんなマイナスな考えが頭を廻る。
そんな時、白式を取り囲んでいたキメラの中心が白く光った。
ゆっくりと光に押し出され広がっていくキメラ、思わず全員の手が止まり注目する。眩しくも優しい光が、暗い夜空を真昼のように照らし出す。時間が引き延ばされたかのような感覚の中、光が収まるとそこには新たな姿の白式がいた。
「…………
モニターでその様子を眺めていた山田が呟く。
真っ白な蕾が開き、三対六枚の天使を思わせる羽となって広がる。ゆっくりと瞼を上げた一夏は、瞬時加速を超えるスピードで回りにいたキメラを切り落とした。
IS学園のメンバーが止まる中、操られている箒が切りかかってくる。ほかにもセシリアやシャルも一夏に向けて銃口を構えていた。
慌てることなく箒の一撃を受け止めると、軽く腰を入れて押し飛ばす。広がった真っ白な翼が輝き、光を限界まで貯め込むと一夏の血振りを合図に辺り一面に広がった。IS学園のメンバーも関係なく包み込んだ光が収まると、箒を横抱きに抱える一夏の姿。
「…………一夏か」
「ごめんな箒、春明じゃなくて」
「そうだな、お詫びに春明とのデートでも準備してくれ」
「それはいやだ」
軽く笑いあう二人、周りでは同じくラウラやシャル、セシリアもIS学園のメンバーに抱きかかえられて目を覚ましていた。
「……わたしはどうなったのだ?」
「白式が進化して発動した単一仕様能力、
白式が進化して第三形態となったIS、その名を王理。所有する単一仕様能力である夕凪燈夜の効果はISの強制初期化である。その際外部からの影響を受けていたISはその影響を取り除くこともできる。ゆえに洗脳状態であった箒たちも解除できたのだ。さらにそれだけでなく、
「弱くなってる?」
襲い掛かってきたキメラを相手したティナが気が付く。さっきまでの洗練された動きが欠片もなくなり、戦闘初期のような弱さに戻っている。
これも夕凪燈夜の影響であり、外部から得た学習情報をリセットされ、フィードバック前の状態に戻っている。数による学習情報の密度によって得た強さも、リセットされれば初期のまま、ティナでなくとも倒せる程度に弱まっていた。
「これなら!」
隙と見た簪が万々万雷を発動、動きの鈍ったキメラを一掃した。
好機と見た動けるメンバーが使えなかった大技を使ってキメラを大量に堕とす。しばらくたてば学習するが、再び一夏の夕凪燈夜によってリセット。これによって数だけは多いが脆いISの駆除活動となった。
「あとは、アンタだな」
見据えるのはテンペスタに乗ったアリーシャ、外部からの洗脳ではなく、IS自体を改造しているため初期化しても改造時に戻るだけだ。つまりアリーシャだけは実力で戦わなければいけない。
かつて世界最強となった千冬とぶつかりあった正真正銘の世界のトップ、それでも焦ることも猛こともなく刀を構える。これまでの自分なら勢いよく飛びかかっていただろうが、今の自分は違う。頼れる仲間が、心強い家族がいるのだ。
「マドカ!」
「待っていたぞ愚弟」
暗闇に乗じてアリーシャに飛びかかったのは黒いISを纏う、姉、妹? のマドカ。千冬と同じく下手に動くより機をうかがおうと息を潜めていたのだ。
「そのISは?」
「束博士に作ってもらった秘密形態だ。姉さんとおそろいだぞ」
ドヤ顔のマドカ、纏っているのはかつて千冬が乗った世界初のIS、白騎士が黒くカラーリングとなった黒騎士。奥の手だとこれまで秘匿していたのだ。これを見た千冬は胃が痛くなった。
「どこ行ってたんだよ」
「愚弟のISにもしかしたら初期化能力が発現するかも、と束博士から聞いていたのでな待機していた」
「早く言えよ!」
「ネタバレはしない主義でな」
遠くで簪がうなづいた。
「……相手は千冬姉と最後までやりあった相手だ」
「ふむ、私たちが勝てば織斑家は世界最強一家と言えるな。そこへ篠崎春明も迎えれば無敵というわけだ」
どこまでもマイペースな家族を見て苦笑いがこぼれる一夏。まわりでは頼もしい仲間たちが戦っており、後ろでは最強の姉が控えている。海を越えた先には誰よりも強い愛する人が、疲労で重たいはず身体に力がみなぎる。
「待ってろ春明! 世界最強を倒して迎えに行くぜ‼」
ちょうど白い服も着てるしな! そう叫ぶと、海をひと息に飛び越えていけそうな速度でスラスターを噴かせた。
白式のコアは力を渡したことを後悔し始めた。
【速報】あと二話で終了【朗報?】
予定なんで増えるかもですけどね。終わったら番外編です、リクエスト募集の時間だオラァ! 活動報告にて募集するので皆さんの性癖を開示していってください。番外編になると毎日投稿はやめて、気が向いた時に書くようになりますけど許してね。他に書きたい奴たくさんあるので。
ここからどうぞ→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=333722&uid=235477
基本情報をpixivで調べてるんですが、その時に王理見つけて書きたいなーって思ったので満足です。原作どんな感じなのか知らんけど、きっとカッコいいんだろうなーきっとなー、はい。箒の方は書けない、というか最終巻じゃないと分からんでしょ。
感想誤字報告高評価いつもありがとうございます。まさか七十話を超えるとは思いませんでしたが、思いつきの一発ネタがここまで人気になると思ってませんでした。最後までぜひお付き合いしていってください。読者はホモですが作者はホモではないのでご遠慮しておきます。