この小説をどう活かせってんだよ。
クラス対抗戦が行われるらしい。
朝の教室ではその話で盛り上がっていた。
「食堂のデザート一年分のフリーパスねぇ」
優勝したクラスに送られるという商品がなかなかに豪華だ。甘いものが特別大好きというわけでもない俺にだってありがたい景品。甘いものが好きな女子なら猶更だろう。
「頑張ってね織斑君!」
「ぜひフリーパスをわたしたちに!」
「織斑君には篠崎君を!」
「任せとけ‼」
「俺は景品じゃねぇ」
知らない間に売られていた。もしやホモだけでなくこのクラス全員が俺の敵なのではと疑心暗鬼が生まれてきた。
「大丈夫だ春明、わたしはお前の味方だ」
肩にポンと手を置かれた。振り返れば少し目に隈ができた箒が立っている。
「…………俺が言うのもなんだが大丈夫なのか?」
「あぁ、いつまでも休んでいられないしな。それに今日は来た方がいいと思ったんだ、これが天命ってやつだな」
こいつダメージが大きすぎておかしくなってないか? なんか濁った眼でキラキラしながら電波的な言葉を発したんだけど?
「ほかのクラスに専用機持ちはいないしきっと勝てるよ!」
「その情報、古いよ」
スパーン! と良い音を出しながら開けられる扉、全員が扉を見るもちんちくr…………誰もいない。
「え、今声がしたのに誰もいないって…………お化けか!」
「あんた一回目あってから上に逸らしたでしょうがぁ!」
ろくな加速もせずに顔へ飛び込んでくる靴の裏。見事なドロップキックを顔面に受けた俺は爆発四散! インガオホー!
「相変わらず失礼なやつね」
「お前はずいぶんと…………変わってないな」
「おい、どこを見たのか言いなさいよ」
「背、高くなったな鈴」
「天井にアタシがいるってか! こっち見ろオラァ!」
久しぶりに出会った友人は相変わらず元気で小さかった。あ、ちょっと待った胸もと掴んで揺するのやめてくれ朝飯がリバースしそう。
「あ、鈴か!」
「一夏知ってるのか?」
「おう、箒が引っ越した後に知り合った鈴だ、中学は春明と一緒によく遊んだぜ!」
「…………なるほど、わたしと同じだな」
「? そうだな幼なじみだな」
一夏の紹介もあってかクラスからの視線が疑問から「あっ…………」になった。たぶん気が付いたんだろうな。
「まったく、一夏も久しぶりね。相変わらずマヌケな顔だわ」
「うっせ、鈴こそ身長変わらないな」
なにをー! と飛び掛かる鈴に笑いながら防ごうとする一夏。中学の時はこいつらとさらにもう数人の友人とよく遊んでいたのだ。鈴が引っ越して一夏のホモ事件が起きるまでは。
悲しい事件だったよね。しかも続いてるもんね、何でだろ。
「そろそろチャイムが鳴るからクラス戻れよ」
「えーいいじゃない別に遅れても」
「千冬さん来るぞ「じゃあまたね! お昼一緒に食べましょ!」じゃーなー」
とりあえず追い返したのだが、アイツは何をしに来たんだろう。
あ。
「残して千冬さんとぶつけたほうが面白かったのに…………!」
「席につけ篠崎」
チャイムと背後に忍び寄るブリュンヒルデに気が付かなかった俺はHRの記憶を飛ばした。
「遅いわねー待ちくたびれたわよ!」
昼休み、食堂に向かえばラーメンをお盆に載せた鈴が待っていた。
ちなみに遅かったのは一夏のせいだ。ISの飛行の見本を俺たち専用機持ちが頼まれたのだが、一夏が減速をミスって墜落。グラウンドにできた穴を埋めるのに時間がかかった。
「初めての共同作業だな!」
とアホなことを言った一夏を埋めるのに苦労した。
その後飯を食いながらついてきた箒とセシリアを鈴に紹介したり、これまでのことを話したのだが、箒が菩薩のような笑顔をしていたのが気になった。
そして夜、部屋にいると高確率でホモが突入してくるので散歩をしていた俺は、女の泣いた声が聞こえたのでそちらへ向かっていた。
声の大きさ的にそこの曲がり角の先にいる。ワクワクしながら覗くと、
「一夏のバカァ…………グスッ」
すごく見慣れたやつがすごく見慣れた光景に収まっていた。
「なんだ鈴か、帰ろ」
「待ちなさい‼」
帰ろうとした俺の背中にタックルする鈴。これだけ元気なら何の問題もないだろうが、背中に乗られている自分では命を取られたも同然。渋々近くにあった自販機でジュースを買って話を聞く態勢にうつった。
「一夏が…………約束を」
「はいおつかれっしたー」
「ちゃんと聞きなさいよ!」
かいさんかいさん。これほどどうでもいい話を聞くなら散歩してた方がマシだわ。
「どうせ約束の意味取り違えて鈴は告白のつもりだったのにあのアホは文字通り受け取ったんだろ」
「アンタどっかで見てたわけ!?」
いやどれだけそんなシーンを見てきたと思ってるのやら。あのホモは女の子の付き合っても、好きですも、そのまま受け取るハイパー朴念仁だぞ。
つまるところ、
「直球告白できなかったお前が悪い」
「ぐふぅ!」
たぶん付き合ってで誤解するので「結婚してくれ」くらい言わないと通じない。なおその場合ははっきりと断られるので敗北ルートしかない。
だってホモだし。
「IS学園で運命の再会、あの日した約束を忘れていなかった幼なじみと付き合って、それからいろんなことがあったけど二人で乗り越えてきました。って結婚スピーチで言うとこまで妄想してそうだよなお前」
「がふっ!」
男勝りなくせに思考は乙女なこいつだ。どんな考えをしているのか手に取るようにわかる。
「料理の美味い旦那とかわいい奥さんのいる地元に愛される料理店とかアリかなって思ってそう」
「ゴフッ‼」
さっきまでの涙はどこへやら。血反吐を吐いて倒れ込む姿はまるで殺人現場。死因はそうですね~妄想暴露によるショック死でしょうか?
「ふ、ふふ」
おっと死体が蘇った。念仏でも唱えておいたら地獄に戻らねぇかな。
ユラユラとゾンビのように力なく立ちあがった鈴は力なく俺を指さすと、ニヤリと笑って口を開いた。
「そういう春明こそ、回りに女子がたくさんいるのに彼女はできてないようねぇ!」
「ぐはっ!?」
コイツ! 言ってはいけないことを!?
「中学の時も弾とナンパしてはフラれて逆ナンされた一夏に慰められてたわよね!」
「うぐっ!」
「モテるためのファッションだって無駄にチャラチャラした格好で女子に鼻で笑われたこともあったっけぇ!?」
「あべしっ‼」
違うんだ…………違うんだあれは…………。弾と一緒にオシャレになろうとしてアイツが持ってきたファッション雑誌が…………。
膝から崩れ落ちる俺とそれを見下ろす息も絶え絶えな鈴。勝者はおらず、ただ虚しい闘争の結果が広がっていた。
「おーい春明、どこいったぁー!? 何で倒れ、鈴も何で血吐いてるんだ!?」
そしてそんな俺たちを見つけたのはよりにもよってホモ。鈴が血反吐を吐いたのも俺がモテない全部コイツが悪い、全ての元凶である。
「…………よく考えたら悪いのコイツじゃね?」
「…………言われてみれば確かに?」
「うわぁ急に起き上がるな!?」
よくよく考えたら鈴はコイツが鈍感なせいで告白が失敗し、俺がモテないのはコイツが俺を狙ってくるホモだからだ。ふむ。
「今度クラス代表戦あるよな」
「わたし二組の代表よ」
「一組はコイツだ、よし」
「「手を組もう」」
同じ考えに至った鈴を力強く手を握る。
「え、え、何? どうしたんだ二人とも」
ただ一人ついて来ていない一夏に俺たちは向き合うと宣言した。
「俺と!」
「アタシは!」
「「織斑一夏撲滅コンビを結成した‼」」
「なんでだぁ⁉」
「じゃ、そういうことで」
「明日からよろしく」
「え、ちょっと待って? 待ってくれて! 何が何なのか教えてくれよー!」
鈴と別れた後、執拗についてくるホモを殴り飛ばし床に着き、明日からの計画を練る。
全ては、
人目につく小説を書くためには流行りや人気を抑えるといいらしいです。
個人的調査によると男の娘、ヤンデレ、ホモ、このあたりを出していけば大抵の人は興味を持つらしい。
これらのことを踏まえると、ヤンデレ男の娘と男主人公の恋愛ものを書けばいいという結論となります。
自分は書きたくないです。