IS学園でホモから逃げるために婚活する   作:アオノクロ

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 どうも、気が向いた時、つまり忘れられたころに投稿される番外編です。実はヒロインレース最下位付近だったヒロイン。

 ではドイツの眼帯少女編です。


√ラウラ

「久しぶりだな春明」

「…………あぁ、うん、久しぶり」

「まったく、勝手に行方をくらませてどれだけ探したと思っている」

「そうだな確かにそれは俺が悪いな」

「探し出すのにどれだけ時間がかかったと思う」

「……………………」

「これでもわたしは忙しい身でな、空いたすき間時間でようやくだぞ」

「…………忙しいのは知ってる」

 

 まったく仕方ないな、と首をすくめるのはラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツの元国家代表候補である。現在はドイツのIS部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』の隊長としてISの指導や他国との交流などをしているドイツの顔のひとつと言っても過言ではない。

 

 間違っても、コスプレ喫茶でメイド服を着ていていい人物ではない。

 

「ほんとに忙しいのか?」

「あぁ、ドイツでコスプレ喫茶を開くにあたり営業許可証やらなんやら、軍人だから助かるときもあれど逆に忙しい時もあった」

 

 身長はほどほどに伸びているが、凹凸はそこまでだ。しかし腕を組み懐かしいと思い出に浸るラウラは雰囲気のある立派なお姉さんとなっていた。どことなく、元世界最強と似ている。

 

 絶対にメイド服を着ることはないだろうが。

 

「ふふ、こうしてわたしの開いた店に春明が訪れるとはな。信じてはいなかったが運命というのも悪くない」

「あ、ラウラだ。間違いなくラウラだ」

「どうした、まさか偽者だと思っていたのか?」

 

 心外だというように笑いながら首を振るラウラ。やはり雰囲気がある。

 

 あるのだが服装はメイド服である。日本で見ることのあるフリフリが多めでスカートが短めのコスプレ用メイド服、それを雰囲気のあるお姉さんが着ているのである。

 

 似ているとは思ったが本人とは思っていなかった。

 

 むしろたまたま立ち寄ったコスプレ喫茶のオーナーが昔の知り合いだと誰が思うだろう。しかも軍人との兼業である。誰がこんな風にした。

 

「隊長、そろそろお時間です」

「む、仕方ないな。ではな春明」

 

 副隊長の腕章をつけて、戦車に乗ってそうな黒い制服を着る女性がラウラに耳打ちした。というか本物の副隊長である。IS軍隊の。

 

 突っ込みたくはあるが忙しいのには変わりないのだろう。伝票を回収して笑顔で去っていくラウラ、まさかの出会いだがまた会えるだろう。そう思いながら湯気の立つコーヒー、見た目だけブラックのカフェオレ、を口に含んだ。

 

「さぁライブの時間だ!」

 

 店内の電気が消え、店の中央にあるステージが照らされるとメイド服のラウラとチャイナ服、胸に「くろうさぎ」と書かれたスク水にニーソの三人が立っていた。他二人はラウラの部下、つまりちゃんと軍人である。何やってるんだドイツ。

 

 忙しいが暇なんだな、そう結論付けて洗練された合いの手をする客と一緒にライブを楽しむ春明。再会してわずか一時間での出来事である。

 

 

 

「今の職業なんなの?」

「? もちろん軍人だが?」

 

 何言ってるんだお前という顔で見られたが納得できない。何度か席を立とうとしたのだが、そのたびに副隊長が飲み物と軽食を用意して出るに出られず。気が付けば閉店まで居座ってしまった春明。

 

 店じまいをしたラウラの車に乗せられ宿へと案内された。

 

「……………………なんか見覚えあるな」

「そういえば一度来たことがあるのだったな」

 

 検問所がありごつい男たちがおり迷彩柄だったり重火器やら車があったり、

 

「軍じゃねぇか!」

「そうだが?」

 

 あ、捕まったなと気が付いた時には既に部屋へと通されていた。

 

 かなり広めの上官用の宿泊室。そこいらのホテルよりも断然豪華なのだが、ところどころに飾ってあるポスターやコスプレ衣装が浮いている。そういや昔もそうだったかと思い出すと、横から手を引っ張られた。

 

「さ、春明。懐かしい再会を祝いたいが、その前にシャワーを浴びよう」

 

 久しぶりに髪を洗ってくれ、といつ脱いだのか全裸のラウラ。横にはきちんと畳まれた服がある。

 

 成長したのかしてないのか分からねぇな、と春明は引っ張られるがままにシャワー室へと向かった。

 

 

 

 

 

 時は過ぎ、ドイツのコスプレ喫茶「黒兎の巣穴」に新メンバーが追加された。

 

 告知を聞いた客はウキウキで店に並び、紹介されるのを待っていた。店内放送による合図、照明が落ち中央のステージに人影が現れた。

 

「どーもーはるこでーす」

 

 雑にくくられたサイドテール、死んだ顔でバスタオルを身体に巻き、畳と同じくらいの謎のマットを持った人物が即座に裏へと連れていかれた。

 

「どういうことだ春明」

「どういうことだはこっちのセリフだバカ野郎」

「ちゃんと衣装を用意してあっただろ」

「ちゃんとした衣装を用意しろよ!」

 

 春明が指を差した先にはあるキャラクターのコスプレ衣装。十二支をモチーフとしたキャラクター全員が戦うバトルロワイアルものに出てくる、ウサギを担当するキャラだ。

 

 調べてもらえばわかるが、ひと言でいうのなら露出が激しい。遠慮なく言えば変態の服装である。

 

「店名にちなんでウサギをモチーフにしたというのに何が不満だ」

「衣装そのものにだよ! なんだこの変態的衣装‼ こちとらコスプレ初心者だぞ⁉」

「む、確かに。やはり初心者でも知っている王道のバニーにするべきだったか」

「普通の服と変わらないやつにしろってことだよ!」

 

 といった会話が繰り広げられていたが、声が大きく店内に筒抜けであった。さもありん。

 

 結局用意されたのは指ぬきグローブ付きの黒のロングコート、背中には二振りの剣が付いていた。

 

 気に入ったのかノリノリでポーズを決める春明、そのうしろで白い鎧にスカートの衣装を着ていたラウラは腕を組んで頷いていた。

 

 客の脳は破壊された。

 

 

 

 そんな日々が続いていたある日、春明は副隊長にして副店長であるクラリッサに呼び出された。というかその肩書でいいのか、ちゃんと名刺にも書かれているが本当に大丈夫なのか。

 

「隊長が宣伝したおかげでな、今のドイツ軍は腹に機関銃を装備できないか研究している」

「手遅れだってことはよく分かった」

 

 以前までラウラの隊は腫物扱いとなっていた。実験の産物、女尊男卑となっていった歪んだ世界で必要なIS部隊。メンバーは若い女性ばかりと軍隊とはまるで思われず、上官たちも都合のいい道具くらいにしか思われていなかった。しかしISに世界が追いついていくにつれ、国でも重要な部隊だと認識されるようになり風通しが良くなっていった。

 

 そこで行動したのがラウラ、IS学園時代のコネクションを使って国の利益をもたらしたりオタク文化が広まっていく若い世代にも話ができると、気が付けばドイツ軍をオタク文化で染め上げていた。困惑する者たちもいたのだが、とりあえず戦車を引っ張り出して写真撮影会を開いた。めっちゃ受けたのでまぁいいかと止まらなくなった。

 

 いいのかドイツ。

 

「まぁその辺の話はちゃんと同人誌にしてあるのでまた読ませよう」

「公式で出せや」

 

 公式からも出てる。ただクラリッサが個人で作った方が広まった。

 

「隊長と式をあげるのはいつだ?」

「何言ってんの???」

 

 まーた突拍子もない話が出てきたなぁと呆れればまたまた、と笑うクラリッサ。

 

「フフフ、我々はいつでも大丈夫だ。ちゃんと軍内部と黒兎の巣穴、両方でできるよう準備している」

「何してんの?」

「とはいえ準備もあるのでな。日程が決まったのなら教えて欲しいのだ」

「………?」

「ふはは、それは朴念仁のキャラか? 似合っているが、普通に真面目な話だ」

「……………???」

「………おい、もしかして」

 

 態度の変わらない春明、笑っていたクラリッサの顔も引きつり始めた。

 

「結婚式をあげないのか⁉」

「そもそもなんであげるって話なんだよ、ラウラとは何もねぇよ」

 

 意味不明なことを言いだす春明、もしや自分の情報は公式ではなく二次創作だったのか⁉ とオタクにありがちな勘違いかと焦りだす副隊長。

 

「同じ部屋に泊っているのか⁉」

「あぁ」

「シャワーを二人で浴びていると⁉」

「おぅ」

「同じベッドで寝ているのか⁉」

「うん」

「服を着せてあーんをして同人誌の朗読プレイをするのなら混ぜてくれ⁉」

「やだよ、つーかやってねぇよ」

 

 最後に個人の願望駄々洩れな副店長は両手をついてうなだれた。隊長は裸族、一緒のベッドでお着換えプレイなど怪しいことを呟くが急にガバッと起き上がると鼻がくっつくほどに顔を近寄らせた。

 

「なぜそこまでして何もせんのだ!」

「顔がちけぇよ」

「わたしなら我慢できんぞ」

「やっぱクビになった方がいいんじゃね?」

「隊長に魅力がないというわけではあるまい、いや待てまず確認をしなければ、よしハルアキ。わたしの胸を揉め」

「頭打ったか???」

 

 顔が近いままに手を掴み変なことを言いだすクラリッサ、なんとか防ごうにも身体が近いし押しが強すぎてうまく逃げられない春明。いつの間にか声が部屋の外まで響いており、近くに立ち寄ったものが部屋の扉を開けた。

 

「春明、クラリッサ、外まで声が響いているがな………にを………………して」

 

 部屋の中でが密着している二人、息を荒げ、お互いの腕を掴みあっていた。それはまぁ、オタクとしていうのなら、

 

「おたのしみ………………あれ?」

 

 ポロポロと零れる涙。自分でも理解できない現象に慌てるラウラ。擦っても抑えても止まらず、慌てるしかできない。

 

「す、すまないちょっと待ってくれ。その、なんだ、春明は推しであってそういうのでは、その」

 

 何に対しての言い訳なのか、鼻も出てきて止められないラウラ。

 

 を、抱きしめる影。

 

「は、春明? クラリッサがいるのだ、こういうのはそう、あまり良くないと思う。これからは部屋も変えねばならんな、うん」

 

 必死に混乱しているラウラをさらに強く抱きしめる春明。

 

「ごめんなラウラ」

「いや、春明に悪いところは、何もないんグス。わたいが、わたしが勝手に勘違いしていただけで」

「俺もちゃんとしなかったのが悪い」

「そ、そんなことはズッ、ない」

 

 涙と鼻が止まらずしゃべることもままならなないラウラに、春明の顔が近づいた。

 

「ラウラ、俺と家族に、夫婦となってくれ」

 

 軽くくっ付き、離れたあと胸元に頭を埋めて子供のように泣いた。あとからあとから止まらない涙と一緒に、ため込んできた思いも吐き出して受け止めてもらった。

 

 この日ラウラの推しは夫となった。

 

 

 

 

 

 ちなみに間近で見ていたオタクは自分のせいでNTRになりかけたと脳が壊れかけ、目の前の純愛を見て復活した。

 

 ちゃんとスピーチで報告すると羨ましがられた。

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ夫よ」

「どした、ラウラ」

「ふふ、なんでもない呼んだだけだ」

 

 ドイツにあるコスプレ喫茶「黒兎の巣穴」数々の眼帯美少女のコスプレを見ることができ、またレンタル衣装を楽しむこともできる。

 

 また店の名物は仲の良い夫婦のいイチャコラを見て味わう、とびっきり苦いブラックコーヒーである。




 ネタ場面が書きやすすぎて止まらなかった。ちゃんと着地させるために我慢した。

 ハーレムには、どうだろ全然なれるしならなくてもって感じ。クラリッサは押されると弱い。以上


 お次はぼっちかな? そういえば完結後の感想で○○あたりで終わると思ってた、と正直に書かれた方が多かったです。時間たっても番外編投稿するとは思ってなかっただろう! 褒めたまえ! そして小説書く時間を与えたまえ! 楽しい事多すぎて多趣味が過ぎる。
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