「うわぁお・・・兎の国だぁ・・・」
「モフモフ
それぞれが、ここ、兎の国【ラビッツ】に降り立った時の感想である。
ユニークシナリオ【兎の国ツアー】。
内容としては案内兎曰く「国の外側に出没し、国を襲うモンスターである【兎食の大蛇】の討伐」ということらしい。
実際に国のはずれを確認すればそこにはそれっぽい白い大蛇が"二匹"いた。
「どうする?一人一匹っぽいけど」
「一人一匹だね。早速行くわ・・・俺の見て、行動パターン見切ってから挑んだ方がいいと思う」
それに、さっさと終わらせて刀を鍛えてもらわねば・・・
~~~~~
白い大蛇に向き合う。刀は正中に構え、〈集中〉し、向かってくるのを待つ。
・・・来る!
「キシャーッ!」
「〈スライド〉!〈剣技:
鱗の隙間を狙って太刀を振り下ろすが、少し狙いがずれてしまいはじかれる。
宙に浮いた俺に迫る嚙み付きと薙ぎ払いを体を捻って回避。
着地の後に再度〈集中〉し、左に
手ごたえは貪食の大蛇より相当に硬い。
本当にレベル10前後のプレイヤーが攻略するクエストのエネミーなのか?
もしや誤情報を掴まされた可能性・・・鯖野郎はともかく、卵はそんなことしないか。
突撃、嚙み付き、しっぽでの薙ぎ払い・・・攻撃を〈フラッシュカウンター〉などでのパリィ、〈スライド〉などでの回避などで処理をして、できる限り行動パターンを出させる。
もちろん、両刀で鱗を突き、剥がせないかを試しながら。
かれこれ十分弱、何回ものクリティカルを加えながらダメージを与えつつ、こちらはノーヒットを徹底して戦闘を続ける。
あまりにも硬すぎる鱗に「本当に新規でもできる必須クエのエネミーなのか?」「単騎で来たの間違いだったのでは?」など色々な考えが浮かぶが、終わってからよく考えることにする。
「そろそろいい加減に・・・しろッ!〈スクーピアス〉!」
右の太刀で放ったスクーピアスが目玉を捉え貫いたが・・・鈍い音を立てて半ばで折れた。
「なあぁっ!すまない相棒・・・俺が雑に扱い過ぎたせいで・・・いやどれもこれもこの蛇のせい!」
流石に片目が潰されれば鈍ると思ったが、それでもなお暴走具合が増している兎食の大蛇・・・本当に兎食の大蛇なのか?
巻き付きをジャンプ回避し、着地を狙う薙ぎ払いを〈フラッシュカウンター〉ではじく。
追うように放たれた噛み付き・・・否。
土・・・泥の塊を吐き出してきた。
〈スライド〉で何とか回避し、本日何度目か数えるのも面倒なほど見た顔を見つめる。
刀の切っ先側が刺さったままの左目からはポリゴンが流れ続けているからきっと継続ダメージは入っている。
ただ、それで勝つのは面白みに欠けてしまう。
何度もスキルは使ったし、スキルを使わない曲芸みたいな動きもした。
・・・ギャンブルだが、賭けてみるか。
「食えるもんなら食ってみろ!でもって食ったら
挑発に乗ってきたのか、丁度良くきた嚙み付きに合わせて、〈アクセル〉を起動して
消化液によるダメージが入る前に体内の壁に向けてスキルに攻撃を連打する。
段々と壁が削れ、HPも削れ・・・一分も経たないうちに、光が見えた。
「・・・っしゃあ!作戦成功!内側からぶち破ってやったぜぇ!」
【兎食の大蛇】・・・改め、【兎食の狂蛇】、討伐完了!
レベルは10から16に・・・めっちゃ上がるじゃん。
結局名前も違ったし、レアエネミーだったのかな?
ステータスもスキルも更新できたから、いったん戻ろう。
————————————
PN:モノクロ-U
LV:10→16
ステータスポイント:5
JOB:剣士(二刀流使い)
3,000マーニ
HP(体力):30
MP(魔力):15
STM (スタミナ):25→30
STR(筋力):20
DEX(器用):15→20
AGI(敏捷):15→20
TEC(技量):20
VIT(耐久力):1(20)
LUC(幸運):55
スキル
・アクセルLv.2
・ギャンブルスパイク New
・剣技:
・剣技:
・剣技:二連斬撃
・集中→コンセントレーション
・スクーピアス→スパイラルエッジ
・スピンスラッシュ→ラッシュスラッシュ
・スライド→フロートスライド
・フラッシュカウンター→レペルカウンター
装備
左右:
頭:無し
胴:剣士の子振袖(8)
腰:剣士の袴(8)
足:剣士の足袋(4)
アクセサリー:無し
————————————
~~~~~
街の方に戻り、トゥマと合流する。
「トゥマ~?ちゃんと観てたか?」
「最後の方とか全く参考にならなかったし、長すぎるからもう私倒しちゃったよ?」
マジかよ・・・魅せプ要らなかった?
落胆一名、楽観一名で出口に向けて歩き始めた。
大分いまさらになるが、スクショ可能アイテムでももらっておくべきだったか・・・?
とか思っていたが、なんかよだれ垂らして発狂しながら頬ずりしている変態がいた。
「あぁはなりたくないね」
「同感~うぉっとすみません」
俺たちが入ってきた扉の少し手前で、やけに大柄な兎とぶつかりそうになった。
その兎の見た目は片目がなく、和風の一張羅を身につけていて、任侠・・・極道、それも大ボス、ラスボスを感じ取れる見た目であった。
トゥマがその見た目に怖気づいたと気づいたタイミングで、この感覚が先だったのか、見た目の感想が先だったのか、強いオーラを感じ取った。
・・・そう思わせるほど、圧倒的な存在。
目の前に居るのはもしかしたら
そう思えるほど比較がない、圧倒的な強者の圧。
そんな強者は俺を一瞥すると愉快そうに顔を歪め、頭を二、三回ポンポンしてきてから口を開いた。
「そうかい、そうかい・・・愉快なことした奴がいるって聞いて来てみりゃ、本当に愉快な奴だな!」
「は、はい・・・ありがとうございます・・・」
余りにも怯えすぎた反応だっただろうか?
とにかく、ここで対応を間違えるとその瞬間二人ともお陀仏だ。
どうにかしてやり過ごすべきか?もしも、戦闘になったら果たして何秒稼げる?行動パターンは?勝てるのか?
「そう構えるな・・・さっき貰ったその魔法、しっかり役立ててくれよ?それと、白のおめぇさん・・・名前は?」
「『モノクロ-U』・・・仲間うちでは『色無』と呼ばれております。
「クハハハ・・・
そう言われて渡されたのは、薄紅色に染まった鞘と紅に輝く刀身・・・アイテム名:致命の太刀【
そのまま俺たちは扉から街を出た。
~~~~~
・・・暫くの沈黙が続いた。
戻ってきた俺たちの様子がおかしいことに気づいた他のメンバーから心配されたが、トゥマは空返事しか出来なかった。
「・・・で?何があった?」
「・・・なぁ、ユニークモンスターって何体いて、何体把握してるんだ?」
俺からの問いかけに、鯖が口を開いた。
「確認されているのはアクティブの『【夜襲】のリュカオーン』と『【天覇】のジークヴルム』。名前だけ確認されてるのはNPCから言及のある『【深淵】のクターニッド』と『【冥響】のオルケストラ』の四体。それがどうしたの・・・?」
【夜襲】と【天覇】はそれぞれ狼と龍だ。
【深淵】は言及されている情報的に海上か海中で戦うモンスターだろう。
ならばあの
そんな面じゃなかった。
それにこの刀・・・
一体あの人は何だったんだ?
今回はこの二人以外いないので・・・
・【兎食の狂蛇】
説明:【兎食の大蛇】の特殊個体。己が傷つくことも厭わずに、周囲を食らう狂った蛇。
詳細:
まぁまぁな確率で出現するエネミー。通常個体よりも激しく暴れるし、攻撃的なのでハズレ扱いされがち。
通常個体よりもレベルが倍近く高いので実はヴォーパル魂の稼ぎどころだったりする。
致命武器を用いて、特殊行動をするとA-Zのうちのいずれかに出会える。
え?ヴァッシュ来たじゃんって?初めてやった開拓者がどんな奴なのか直接見たかったんじゃないんすか?
刀を鍛えて持ってきてた理由?あれはたまたま持っていたから。
・致命の太刀【
説明:永き時を生きてきた、ある神匠の試作品である。どのように育つか、担い手によって進化し真化し神化する。
詳細:
致命武器の刀。武器の性能自体はプレイヤーメイドの方が強くなるが、特筆すべきはその効果である。
クリティカル補正、ダメージ補正がドロップ品より高く、この武器に乗せる〈エンチャント:ヴォーパル〉の効果は通常の〈エンチャント:ヴォーパル〉よりも非常に高いものとなる。ただし、一振りごとにかけ直す必要がある。