彼らはとある神ゲーで   作:RKtomousumono

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プロローグ⑥

・致命の太刀【試打】

 永き時を生きてきた、ある神匠の試作品である。どのように育つか、担い手によって進化し真化し神化する。

 『攻撃判定時クリティカル率、クリティカルダメージを大幅に増加』

 『〈エンチャント:ヴォーパル〉使用時に効果倍増』

 『ひと振りのたびにエンチャント解除』

 『斬撃属性』

 『分類:致命武器』

 

「攻撃力だけなら平々凡々、付属効果を含めれば異常な武器。これと同じものは私には作れない」

 

致命の太刀【試打】を卵に見せたところの感想をまとめると、こうだった。

メンテナンスも、鍛え治したり、改造したり、さらに強くしたりは出来ないと続けて、俺に太刀を返した。

炉を前にして、彼女は俯いていた。

 

「EoRさんさぁ?貴女、クランリーダーの防具だったり、クランメンバーの装備一式の調整だったりしてるんでしょぉ?なぁに貴女ならできるって・・・この九時蝸(くじら)さんが保証します」

「・・・うん。ありがと」

 

致命の包丁(ヴォーパルチョッパー)に向き合い、鎚を握って、振り下ろす。

鉄が打ち合い、甲高い音が。

炎が揺らめく、火花の音が。

時折休ませ、鋼に。

鋼を鍛え、刃に至るまで。

何度も、何度も、何度も。

気の遠くなるほどの時間が過ぎ去っていった。

鋼の鳴る声だけが響いていた。

やはり、職人の作る武具は、そしてその職人の作業は、いつ見ても美しいものだ。

そういえば彼女の実家は刀鍛冶らしい。

廃刀令が出され、銃刀法すらあり、コレクション以外での刃を持つことが不可能であり、コレクションですら相当な難度のある現代において、どうやって稼いでいるのだろうか・・・?

 

「ふぅ・・・できたわよ。リーダー。私の会心のひと振り。雑に扱って壊したりしたら水晶巣崖ね」

「うげぇ超高難易度らしいエリア・・・頑張りますよ」

 

・〈良業物〉脇差【猩々緋(しょうじょうひ)灰桜(はいざくら)

 名が体を表す、二つの赤で彩られたひと振りには、作り手と担い手の『斬る』という強い意志が込められている。

 致命の名を冠する刃から作られたこのひと振りにもまた、致命の名が刻まれている。

 『剣技スキル使用時のダメージ並びにクリティカル率増加』

 『斬撃属性』

 『分類:改作致命武器』

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

それから。

サードレマにまで移動し、とりあえずこのパーティーでの行動が終わった。

カニシュリはライブラリの図書館に、トゥマは次の街へ移動し・・・桃太郎みたいな感じになっちゃったな。

俺はというとまた路地裏をお散歩中。

こういう場所には隠しクエストとか隠しエリアへの道とかあるのがテンプレートなんだけど・・・

 

「デジャブだなこれは・・・」

 

背後に気配。それも三つ。

刀に手をかけつつ、肩越しに後ろを見る。

獲物は槍、刀、拳。装備的に最前線クラス(だいたいレベル99)だろう。

 

「いったい何の用で?」

 

後ろからドスッっと来なかったところから、会話が可能と考えて試みる。

もし続けられたら頭と舌を回し続けてできる限りの情報を引き出して逃げる。

卵の所属クランがちょうどこの街にいるらしいからそっちまで行ければ上々・・・だな。

相手の得物に意識を向けつつ、すり足で後ろに下がる。そのまま目線を(ネームタグ)に向け――想定通り、だがそうであってほしくなかった色が見え。

 

「いや~珍しい刀を持ってるなって思ってね・・・プレイヤーメイド?」

「あぁ。別ゲーの仲間(昔の知り合い)が親衛隊に居てね?そのよしみで作ってもらったんだよ」

 

刀使いのお嬢さんの問いかけに答えつつ、現状を打破する方法を考え続ける。

リス地はサードレマに変更済だからデスペナ覚悟で戦うべきか・・・この二振りを失うのが惜し過ぎるので却下。

であれば逃走一択。だがどうやってどこまで?

wikiで見た要注意プレイヤー情報を思い出す。阿修羅会・・・上位ランカー。

自身の記憶力の良さを呪いながら、何とか会話を――

 

「キミ、そういうタイプか・・・じゃあねお姉さんから本題を言うね?」

 

こいつ―天音永遠似のアバターを使っている『アーサー・ペンシルゴン』。訴えられてしまえ―は策略タイプのPKみたいだね。

 

「単刀直入に言おう。"私たちの仲間にならない"?」

 

・・・は?

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