IS‐ターンXと行く月面開拓‐   作:かげう

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1話-転生-

 月乃大地(つきの だいち)28歳はあの邪知暴虐に予定をブッキングしまくる上司を許さぬと決意した。

 まぁ何かするわけでもなく嫌気がさしてやめるだけなんだけどね。

 退職届を破ろうとした上司に「破ったら社長と労基に訴える」と殺意マシマシの気迫で言ったらすんなり通った。

 今はたまりにたまった有休を消化中であったが、大地は仕事中以上に精神をすり減らし睡眠を削って作業していた。

 それは大地が出社最終日まで遡る。

 

 無事退職届が受理された大地は、上機嫌で帰路の道へ着いていた。

 そして最近全くできていなかった模型作りをするべく、昔毎日のように通っていた模型店へと立ち寄る。

 今ではオンラインでの予約注文や受注生産の予約戦争ばかりで忘れていた店舗の中で吟味して買うこの高揚感を大地は堪能していたい。

 すると店主から声がかけられ久方ぶりに話した。

 

「大地君!久しぶりだね~」

「お久しぶりです店長!良いの入ってますか?」

「君のために用意してたキットがあったんだよ~、でも最近来てくれてなかったからね。心配したよ~」

「俺のために?」

「そうそう~、ちょっと待っててね~」

そういいながら店長は店の奥へ行き、数分後戻ってきた。

「これだよ~、ずっと欲しいって言ってたよね~」

「こ…これは!?!?!?」

 

 店長は大地の前に1つの箱を出した。

 箱には独特な形状をしたMSの立ち絵と共に

 

『ConceptX-6-1-2』

 

 という文字が刻まれていた。

 

「ターンX…だと!?」

 

 そこには発売されてから約10年程再生産がかからずに一部の転売ヤーから高額で買うしか手に入れることのできなかった、作品「∀ガンダム」に登場する敵勢力御大将の駆るMSターンXのMGキットがそこにあった。

 大地は震える手で箱を手に持ち、ゆっくりと店長へ視線を向けた。

 

「これを…どこで?」

「お得意さんがね、引っ越すから詰みプラを整理したいと売りに来たんだよ。ここに来るお客さんは転売目的じゃなく本当に模型が好きで買いに来る人が殆どだからね。このキットも店長なら本当に欲しい人に売ってくれるって信じてると言われて託されたんだ。君ならちゃんと組み上げて大切にしてくれるって思ったから君に売ろうと決めてたんだ。口を開けばターンXの大地君♪」

「これは期待に応えないといけませんね!そしてその変なあだ名はやめてください!」

「ははは!いいじゃないか~」

「もう…で、まじめな話いくらです?店長からならいくらと言われても買う腹積もりですが」

「殊勝な心がけじゃないか~…ま、足元を見るつもりもない。買い取った額、定価でいいよ~」

「マジで!?買った!後数種類の塗料も買ってく!釣りはいらねぇ!バン!」(レジカウンタ-に叩きつける紙幣)

「いいよ~、毎度あり~♪今後ともご贔屓にね~」

 

 渡された紙幣を持ちつつ手を振る店長を背に、大地は小走りで帰路に就いた。

 自宅に着くと大地はスーツを脱ぎ捨て模型製作用の作業着に着替え早速作製机にターンXを置き、製作を開始した。

 

「もうしばらくは休みなんだ!完成するまで徹夜すんぞ!!」

そして大地は寝る間を惜しんで3日3晩徹夜をしてターンXの製作という戦いに身を投じた。

 

〜3日後〜

 

「やっと…できた…」

 

 そこには数日は休まないと消えない程の来いくまと瘦せこけた頬の大地と、作業台の真ん中に悠然と立つフル塗装とフルデカールの施されたターンXが立っていた。

 

「やべぇ…マジでかっこいい…あぁ~、いいな~」

 

 疲れ果てて思考低下している大地は時々ターンXを持ち上げていろんな角度で見ながら好きなターンXが目の前にあることに吊り上がる口元を隠しもせずほくそえんでいた。

 

「よし、ターンXを肴に酒飲むか!」

 

 そういって机から立ち上がり、キッチンへ行き秘蔵の酒へ手を伸ばす。

 そして机へ戻り、ターンXを前にグラスへなみなみと大地の大好物の18年物の梅酒を注ぐ。

 それを一気に煽り、ターンXを眺め思いはせる。

 

(こいつは兵器として劇中で活躍してたけど、もしかしたら戦闘用ではない量産機で惑星間航行用とか探査用とか工作機とかだったかもしれないと言われてたな…こいつが本当にそういう運用だったのなら好きな作品であるインフィニットストラトスのような運命をたどってしまった悲しい機体なのかもしれないな…こいつに乗れたのなら戦いだけでなく宇宙開発をして色んな銀河系や惑星を探索したいな…本当俺はターンXが好きだ…)

 

 そう考えていると、疲労と飲酒のせいか急な胸の苦しみと眠気に襲われた。

 これはやばいかもと思った時には大地はすでに意識を失っていた。

 だが、意識を失う直前にふと幻聴のようなものが聞こえた。

 

ー叶えてやろうかその願い。ー

 

 気づくと、全方位見渡しても距離感のつかめない白い空間にいた。

 

(これ…もしかして転生系?俺さっきのあれで死んだんか?)

 

 と考えつつあたりを見渡すと背後から声が聞こえた。

 

ーその願叶えてやろうか?ー

 

 振り返ると、人の形をした白いのがいた。

 

(え?ハガ〇ンで見たぞこれ…何か差し出さないといけないのかこれ?)

 

 と変な考えを見ながらしていると話しかけられる。

 

ーハガ〇ンって…まぁ差し出すも何も君もう死んでるし戻れないよー

(あぁ…やっぱり死んだんだね…)

ーそう、まさかターンXの作製にともなう過労と一気に煽った梅酒で急性アルコール中毒による心臓発作で死ぬとはね…馬鹿かね君ー

(言い返す言葉がないわ…というか考えてること全部筒抜けなのね)

ーまぁともあれ君の察する通り転生前の面接的な奴だよ。まぁ、僕は神のみつかい的な奴さ。君の今までの人生で積んだ徳と生きるはずだった残りの寿命を対価にしても好きな世界に転生できる特典と他にも色々もらえるよ~ー

(ほほう?それだったら好きな物語の世界とかでもいいのかい?)

ーそうだね、物語の世界も可能だ。だけど世界観次第では残りの特典の量が変わるから慎重にね。正直君の頭の中覗いても殆どターンXに占められてるから候補は少なそうだけどー

 

 数分試案してから大地は

 

(なるほどな~、それだったらインフィニットストラトスの世界でターンXが使いたいかな。宇宙開発とかしたい)

ーあら、てっきり∀ガンダムの世界というと思ってたけどー

(あの世界での宇宙開発は苦労しそうだと思ってね…ISの話も好きだからそっちの世界がいいかな、開発者の篠ノ之束は宇宙進出したいみたいだし話が合いそうって思ってね。)

ーなるほどね、それだと世界はISで特典にターンXだとISサイズのターンXとMSサイズのターンXの2機をプレゼントしよう。後は無人機のウォドムとかウァッドとかつけれるけどどうする?ー

(マジか…それだったら月面スタートの少しの居住施設と生産プラント、ウォドムとウァッド数機つけれる?)

ーちょっときついかな、ターンX自体がオーパーツだし…代償を付ければなんとかー

(代償?)

ー世界の難易度を上げるんだ、メインストーリーとの乖離が増えるけどそれだったら君の要望は通るよ!なんなら君のISコアとの対話できる特典も付けよう!ただどう難易度が上がるかは明かせないけどねー

(ふむ、リスクはあるが初動は早くできるか…少し難しくなるくらいだったら了承する!)

ーよし!ならこの特典で転生しよう。ではこの扉をくぐればISの世界の月地下に作った居住施設だ!幸運を祈るよ!ー

(ありがとう!じゃぁ行ってきまーす!)

 

 そういって、大地は扉をくぐり消えていった。

 

ーあぁ、言い忘れてたよ大地君。君の行くISはね、他の作品に登場する強敵がいるんだ。誰も少しだけ世界難易度を上げるなんて言ってないんだよ。まぁ頑張りたまえwー

 

 そして神のみ使いと名乗った存在はただただ笑うのであった。

 

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。
初めて書いたので、上手く書き進めれるか不安ですがゆっくり更新で進めていく予定です。
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