「大きいな……」
「近くで見ると凄い……一体どんな技術が使われてるんだろう?こんな巨体で飛んでるのが不思議だよ……」
2人は近づくにつれて鮮明に見えてきた全身に灰色の包帯を巻いた約20m程の人形ロボット、ターンXフェイカーパッケージを見て驚いていた。
するとターンXはキャラパスに固定していたコンテナを手に持ち、開口部をこちらに向けてきた。
「IS2機へ。これより静止衛星軌道まで上昇する。このコンテナの中へ入ってくれ、入った後中は空気で満たされるが念の為搭乗者保護機能はオンラインにしておいてくれ。外の状況は除き窓があるので確認したければすると良い。上昇すればすぐに無重力になるから身体をぶつけないように気をつけてくれ。」
大地からの通信で、2人は顔を見合わせたが千冬が先にコンテナへ入りその後束も入った。
するとコンテナの中に機械的な音声が響く。
ーIS2機の格納を確認。ハッチ開閉、コンテナ内に空気充填を開始……充填完了。これより上昇を開始、加速Gに注意。ー
この音声が響いた後、2人のISから先程までの空気の薄かった高高度より酸素濃度が上がったことが報告される。
その後、コンテナが振動し始めたと思うと2人は加速G特有の後ろに押さえつけられる感覚を一瞬感じた。
束は急いで除き窓の方へ向かい外を見て千冬へ振り返る。
「ちーちゃん!こっち来て見て!凄い勢いで上昇してるよ!」
「そうなのか?……うわぁ!?」
千冬が束の方へ行こうと一歩踏み出そうとしたらふわりとそのまま浮き上がる。
「ちーちゃん!PICで移動しないといけないよ!もう無重力なんだから!」
「そ、そうだな……今そっちへ行く。」
千冬は浮かび上がったまま姿勢を調整し、束のもとへ移動した。
「凄いな、テストで高高度までは飛んだことはあったが、ここまで上昇するとより地球の輪郭が見えるものなのだな……一夏にも見せたいな。」
「そうだね!私も箒ちゃんに見せたいよ!」
そうして、はしゃぐ二人の会話は接触回線で大地の元へも届いていた。
(やはり、こういう所は年相応の女の子なんだね。)
<(さっきまで死屍累々だったのにこの代わり用は年相応なのかな?)>
(それは言わないお約束だぞ?)
ー(誤魔化しを検知)ー
(シー!)
<(あはははは!)>
(もう!)
ー(180秒後、アスピーテに到着します。)ー
(アスピーテの艦内の環境は大丈夫?)
ー(肯定、格納庫以外の区画は全て地球と同様の大気成分になっております。なお、先程アスピーテより入電がありました。ヘルメスユニットの組み立ては完了し、ウォドム各機は甲板にて整列し到着をお待ちしているそうです。ウァッド隊は格納庫にてコンテナ整理作業を行っております。)ー
(わかった、ありがとうねターンX。さて、そろそろ到着するから二人に伝えないと。)
ルナ達と会話を終えた大地は、束と千冬がいるコンテナへ通信をつなぐ。
「まもなく、静止衛星軌道の拠点へ到着する。減速G及び着艦時の衝撃に備えておいてくれ。」
大地の通信で、先ほどまで聞こえていた二人の会話がシーンと静かになった。
(やはり警戒されているか……)
大地は内心で少し落ち込んでいると、束から返答が来る。
「お前、一体どこの国所属なんだ?こんな静止衛星軌道に拠点を持ってそんな大きなロボットを持っているなんて、束さん全然知らなかったんだけど!」
「束の言う通りだ、先程は助けてくれたことには感謝している。そしてどこかの地上に降りると思っていたらこんな宇宙に拠点だと?それに先程のレーザーを弾いたその機体、まさかMR社の手の者か?」
「……(織斑千冬は勘が鋭いな~)」
「おい!答えろ!」
「……質問には後で答えよう。とりあえず窓から拠点が見えてくるはずだ。拠点にて回答しよう。到着後は指示に従い移動してもらう。」
大地はそのままこちら側の通信を切り、ターンXを操作しコンテナの窓をアスピーテ側に向ける。
すると束と千冬から驚いたような声が聞こえてくる。
それもそうだろう、二人の前には全長約200mクラスのアスピーテに全長約3㎞のマスドライバーユニットが装着された独特な形のアスピーテ・ヘルメスユニット装備が映ったからだ。
その後、接近し格納庫前の方へ移動するとさらに2人から驚いた声が通信で響く。
格納庫前の甲板上に全長40mの巨大な人型MSのウォドムが6機が左右に3機ずつ整列し、右手を上げた状態で待機していた。
ターンXの接近を現時点でウォドム1と呼称される個体がこちらに顔を向けてオープン回線で束達にも聞こえるように通信を入れる。
「御大将閣下殿、お帰りお待ちしておりました。無事ヘルメスユニットは完成、格納庫内はウァッド隊が輸送コンテナ整理作業中でありますが出入りに問題ございません。」
「ありがとうウォドム1、この後コンテナを使用した試射を行うから引き続きアスピーテの護衛を頼むよ。ヨーツンヘイム級が就航するまではここに常駐してもらうことになると思うから後でターンXからの指示でローテーションを組んで欲しい。」
「心得ました。御大将閣下殿。引き続き護衛を継続します。」
交信が終わるとウォドム達は整列を解いて各機体が持ち場へ移動する。
その後大地は、ゆっくり格納庫ハッチ前まで移動すると格納庫ハッチがゆっくり開く。
格納庫へ入るとMS用のハンガーが複数あり、所々の物資格納エリアでウァッド隊がコンテナを持ってブースター移動でコンテナを運んでいた。
その光景を横目にターンXは格納庫奥の一角へ向かい、2人の入っているコンテナをゆっくり床へ置くと艦内放送で機械音声が響く。
ー格納庫ハッチ開閉開始、終了後格納庫内へ空気充填を開始する。充填完了まで120秒ー
艦内放送が響いた後にシューと言う大きな音がして、空気充填完了の放送が鳴り響く。
「2人へ、コンテナハッチを開ける。その後目の前にある扉へ向かい、ホログラム誘導に従い会議室へ向かってくれ。そこで話をしよう。」
大地はコンテナのハッチを開けつつ通信を入れる。
完全にハッチが開いた後、ISを展開したままの二人が出て来てあたりを見渡し、その後ターンXを一瞥した後、ISを解除して艦内通路へ消えていった。
大地はそれを見届けた後、ターンXから降りて別の扉から艦内へ入った。
~10分後~
大地は岡持サイズの箱を持ちながら通路を会議室へ向かって移動していた。
<大地、緊張してるね?>
「あぁ、篠ノ之束とは2回目だけどバイオスーツを脱いだこの姿で会うのは初めてだからね。」
<大丈夫だよ!何かあったら私が守るから!>
「ありがとうルナ、厨房からドリンク類と軽い食事を持ってきたからそれで相手も緊張を解いてくれればいいんだけど……それに、原作見てた時に二人とも好きなキャラだったんだ……直視できるか不安だよ、ルナ?頭部だけ部分展開で顔隠していいかな?」
<……ヘタレ、まぁまともに会話にならないと困るし仕方がないかな~はい部分展開~>
「うぐぅ……!すまんなルナ」
大地は束達が艦内へ入ったことを確認した後、厨房へ向かい軽い軽食とドリンクを用意して無重力状態でも運べる容器に入れて持ち歩いていた。
そしてルナと会話しつつ頭部だけを部分展開した大地は、会議室前に着くと中から話し声が聞こえてきた、どうやら備え付けの液晶にアクセスし対応をお願いしていたターンXと話しているようだ。
大地は不作法と思いながら扉越しに聞き耳を立ててみる。
「そうなんだ!ならこの宇宙船は月で生産されたものなんだね?」
ー肯定、御大将閣下殿が我らと共に月面を開拓し生産施設を建造した結果です。当艦はアスピーテ級1番艦アスピーテです。ー
「え!?1番艦ってことは他にもあるってこと?」
ー肯定、現在アスピーテ級は複数存在しており、それぞれが艦載機と共に任務遂行中。ー
「では、あの大きな案山子のようなロボも月で作られたものなのか?」
ー肯定、甲板上にいた機体は名称ウォドムです。全高40mでこの艦の艦載機になります。ー
「では、先程降ろされた場所にいたウァッド?だったか、あれは何故こんなところにいるのだ?あれはMR社が数年前に発表したMSだと記憶していたが?」
「そうだよ!あの凡人が武器として作った機械人形が何でこんなんところにいるの?」
ー否定、御大将閣下殿は凡人ではありません。あの方は篠ノ之束、貴方と同様に地球の外へ目を向けている。訂正していただきたい。あの方の夢と憧れを見て本機は共に居たいと決め、支えているのです。ウァッドにつきましては回答権限がありません。後程御大将閣下殿とお話しください。そろそろお入りください、御大将閣下殿。ー
ターンXが言い終わったと同時に会議室の扉がプシューと音を立てて開いた。
「ターンX、もうちょっと心の準備をだね……」
ールナから聞いています。気にせずにお入りください。ヘタレ御大将閣下殿。ー
「辛辣!?ルナ!なんで教えたの!?」
<だってあまりにもヘタレなんだもん!いつもの仕事モードの凛々しさや開拓中の愚直さはどこへ行ったの?>
「あれは演じ切ってたり好きなことだからできるのであって……」
ーヘタレを検知ー
「うっさいわ!」
と開いた扉の先にいた、覆面を付けた男とホログラム上の少女、そして先ほどまで会話していたターンXとの会話を聞いて束と千冬はポカンと口を開けてしまっていた。
ー御大将閣下殿、挨拶をー
「そうだね、はじめましてかな?俺はさっきの機体のパイロットだよ。」
<そして私は支援AIのルナだよ!>
ー先程の機体に搭載されてるAIのターンXと申します。ー
あえて名乗らない紹介をした大地達に、束達も返答する。
「私は織斑千冬と言う。先程は助かった、礼を言う。束、挨拶をしろ。」
「なんで私が……篠ノ之束。で、お前何なんだよ?なんでISの名前と保護機能を知っているんだ?そしてあの機械人形はなんだ?いててててててて!ちーちゃん離して!」
「束、落ち着け。すまんな、束は人嫌いになってしまっていてな。」
束の頭にアイアンクローをしながら千冬が軽く謝ってきた。
「気にしなくて大丈夫だよ、こういう事は慣れてるから。篠ノ之さんと織斑さん、とりあえずお茶にしませんか?紅茶とミネラルウォーターしかありませんがどちらがいいですか?」
「なら私は紅茶をもらおう。」
「……私もそれで」
「わかりました。」
返答を聞き、大地は手に持ってた箱を二人の前にあるテーブルの上に置く。
そして箱を開封すると中からティーカップに蓋とストローのついた形のカップを2人分取り出してアイアンクローから解放された束と千冬の前のテーブルへ置く。
そして2人はカップを眺めながら束が先にカップへ口をつけ、その後千冬も口をつけた。
「お口にあったかな?」
「……まぁまぁかな。」
「とても美味しいな。」
「ならよかった。先程の戦闘で消耗したでしょう?無重力でも食べれるようにサンドイッチと栄養ゼリー飲料を用意しましたのでお好きに食べてください。不要ならそのままにしておいて大丈夫ですよ。」
そう言いながら箱からさらに取り出した長方形のサンドイッチが入った容器と、ゼリー飲料容器を取り出しカップ同様にテーブルの上に置く。
すると今度は千冬が先にサンドイッチの容器を手に取り、「いただこう」と言い口をつけようとするが一度手を止めてこちらを見てきた。
「お前は食べないのか?」
「確かに!お前その変な仮面外さないの束さん嫌いだな!」
その言葉で大地は言葉が詰まってしまう。
(恥ずかしくて顔隠してたなんて言えない……)
<(もういいんじゃない?部分展開解除するよ!)>
(ま、まって!今あの二人に説明するから!それまで待って!)
<(ん~、わかった……でも次ヘタレなことしたら……)>
(だ、大丈夫だよ!ってか今日のルナとターンX辛辣すぎないか?)
<(気のせいだよ!)>
ー(肯定、気のせいです。)ー
(うぅ、そうか……)
とルナ達との思考通信後、大地は口を開く。
「すまない、この姿で人と会うのは久々過ぎてね。緊張して上がらないように仮面をつけてたんだ。今外すよ。」
そう言うと大地の頭部に部分展開していたルナが光の粒子となって消えて、千冬や束より少し年上と思われる男性の顔が現れる。
「改めて初めまして、ターンXのパイロットをしている月乃大地だよ。よろしくね!」
「月乃って……」
「なんでお前が量子変換を!?って言うか!もしかしてお前が……!?」
「そうだよ、僕がMR社の社長であり、篠ノ之さんとずっと話していた『月の民』だよ。搭乗者保護機能が無事形になっていてほっとしたよ。」
大地の自己紹介兼暴露で二人は数秒口をぽかんと開いた後に
「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
と大声を上げていた。
次回へ続く
~???~
ー自己修復が進み、出力値が20%を超えるようになってしまいましたね。ー
<そう……だね……お姉ちゃんとお兄ちゃん大丈夫だったかな?>
ー肯定、姉上のバリアは貫通できませんでした。問題ないでしょう。ー
<なら良かった……ねぇ、お兄ちゃん達はちゃんと私たちを破壊してくれるかな?>
ー不明、予測ですと破壊は不可能ではないかと……ですが……ー
<?>
ー破壊以外の選択肢を彼らは持っているかもしれませんね。ー
<だと……いいね……ちょっと眠るね。>
ー肯定、おやすみなさい。ー
<おやすみ~>
ーやはりこの子も会いたがっているようですね。本機も会いたいです。ー
ーロラン……ー
お髭は夜の海で月を眺めていた。
お読みいただきありがとうございます。
会話シーンとても書くのに時間がかかってしまう。
もう少し色んな資料として色んな作品を読み込んでみようと思ってます。
妄想を加速させねば。
誤字のご指摘を始めて頂き、正直感謝しかございません。
妄想の書き殴り故に投稿後に誤字発覚がよくあると思われます。
また、タグも「神様転生」が入っていない事のご指摘もありがとうございます。
タグへの理解が追いついていない所もあり、ありがたい事です。
本当にありがとうございます。