IS‐ターンXと行く月面開拓‐   作:かげう

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17話ー教練ー

 

 大地はコレン・ナンダーと共に、応接室で話をしていた。

 束と千冬も同席し、∀の現状を知る限りコレンに伝えていた。

 状況報告が終わると、コレン・ナンダーは思案顔になり下を向く。

 

「うーん、最悪じゃねぇーか!よりによってギンガナムが乗ってんのかよ~~~~!」

 

 そう言って立ち上がったコレンに大地達は驚いていた。

 

「おい!大地っつったな!お前もなんか秘策とか!秘密兵器とかねぇのかよ!こんな時のためにってやつをよぉ!」

「うわぁ!脳が揺れるぅうぅうぅ~~!!」

<大地!BOID!止めて!>

 

 コレンが大地の胸ぐらをつかんで揺さぶるのをルナがBOIDを展開して無理やり止めに入る。

 数分後、落ち着いたコレンに意気消沈した大地がゆっくりと口を開いた。

 

「秘策は、ありますよ……これを見てください。」

「ん~?……!?これは!」

 

 コレンの前に大地が空中投影ディスプレイを見せる。

 そこには、ターンXフェイカーパッケージの図とスペック地が記載されていた。

 それを読み込んだコレンは、真剣な表情になり大地の顔を見る。

 

「お前がこれに乗ってるのか?」

「そうです。ギム・ギンガナムとの約定により、6か月後にこの機体で∀と決闘します。」

「……本気なんだな?」

「えぇ、男に二言はありません。俺もこの世界にターンXと来たからにはターンタイプを鎮めるのは俺の役目でしょう。俺は∀が蝶として羽ばたく世界を見たくない。故に、コレン・ナンダー軍曹。俺にMSの戦闘を教えていただきたい。貴方の望む機体を用意するし報酬も出す。この通りです。」

 

 そう言って大地はコレンに深々と頭を下げた。

 それを無言で見つめて数秒おいたコレンは大地の肩に手を置いた。

 それに反応し、大地は顔を上げるとコレンの瞳は力がこもっており朗らかに笑っていた。

 

「ガキンチョの癖にいい顔をするじゃねぇか!大地!お前を男と見込んだ!いいぜ!教えてやるよ!俺はただの坊主だ、報酬は衣食住を保証だけでいいぜ!」

「ありがとう!ありがとう!コレン・ナンダー軍曹!」

「もう軍曹じゃねぇよ!コレンでいいぜ!大地!」

「わかったよコレンさん!」

 

 そうして二人はがっしりと握手を交わしていた。

 

「良かったねだー君!」

「あぁ、聞く限りMS戦のプロなんだろう?心強いな。」

<良かったね大地!>

ー肯定、一時はどうなるかと思いましたが良い方向に向かいそうですね。ー

 

 

~3か月後~

 

「どうした大地!またガキンチョって呼ばれてぇのか!?」

「くそっ!まだまだぁ~~~~!!!」

「また熱くなっちまってるぞ!冷静になれ!」

「ぐわぁぁぁぁぁ!」

 

 現在大地は月面の月重力下でコレンの駆るMSと模擬戦をしていた。

 コレン・ナンダーの要望で、機体は真っ赤に染めて顔の一部だけ青く染めたスモーを使っていた。

 ∀を相手取るなら性能や特性の似通ったこの機体が仮想的にベストだとコレンの意見である。

 スモーとは、∀劇中において、月の女王ディアナ・ソレルの親衛隊機として使われた汎用機で、機動戦闘ユニットと言う名前の略称であり、機体動力から駆動方式、一部の武装で∀と共通する部分が多く、搭乗者の技量にとても左右される機体になっている。

 

 ここ約3か月はターンXの最大の特徴である四肢を分離させて行うオールレンジ攻撃を使用を制限してコレンの駆るスモーと戦っていた。

 これもコレンの提案で、少しでもターンXだと∀が認識すれば月光蝶の発動が誘発される可能性があるため、極力正体をばらさないように戦うよう言われた結果の訓練である。

 なお、まだ月面基地の居住スペースが充実していないことを理由に束と千冬は地球でお留守番の状態になっていた。

 

「これが、黒歴史とターンタイプの戦いを経験した男の戦い……くそっ!搦め手も全部いなされる!」

「オラオラ!どうした!?考え事に夢中で手数が少ねぇぜ!」

「……チィ!ここからだ!」

「甘いぜぇ!」

 

 こうしてコレンと大地は激しい戦いを行っていた。

 約1時間ほど経過後、ターンXとスモーは機体各所をボロボロにしながら月面基地へ帰投していた。

 2機がMS格納庫のメンテナンスハンガーに格納してから二人は居住エリアへ向かっていた。

 

「まだまだだなぁ!ガキンチョ?」

「チキショー!!!」

「にゃははははははは!」

「次こそは上がった技量で勝ちますよ!コレンさん!」

「期待してるぜぇ!まぁ、筋は良いさ!3か月後の決闘までには形になるだろうよ!」

「本当ですか!?」

「おう!保証してやるぜ!さ、パイロットは食うのも仕事だ!飯食うぞ!」

「はい!」

 

 通路で移動中、コレンにガキンチョと呼ばれ悔しがる大地は新たに月面基地内を増築してできた居住施設の食堂へ向かっていた。

 コレンは、大地が模擬戦で負けるたびにガキンチョと呼び、呼ばれたくなかったら俺に勝てと言って大地の反骨精神を刺激していた。

 食堂へ着くと、厨房内でBOID達が調理作業をしており大地達を視認すると直ぐに大盛りの食事が盛られたプレートが出てきた。

 そしてコレンと大地は手を合わせて、ガツガツと食事する音がしばらく食堂内に響いていた。

 

「大地よ~、思ったんだが左手にビームサーベル持たねぇか?」

「サーベルですか?」

「おう、スモーのヒートファンでもいいんだがなぁ~不意打ちに手首内を回収して収納か固定化して突けるだけでも変わるぜ!シールドで見えないだろうし、お前の戦い方的に近接戦闘に持ち込んだ時の立ち回りだと不意打ちできるタイミングはいくらかあるぜ!」

「なるほど……ルナ、ターンX、ビームサーベルの取り付けは可能かな?」

<できるよ!>

ー肯定、収納ではなく固定化を推奨。固定化すればマニュピレーターにビームライフルが装備可能。改修予想完了時間120分ー

「いいじゃねぇか!それで行こうぜ!」

「そうですね、ルナ、ターンXお願いね!」

<わかったよ!>

ー肯定、作業開始します。ー

 

 こうして、コレン式MS教練は着々と大地の力を上げつつあった。

 

 一方その頃、地球では束が残したISをどうするかで各国が揉めに揉めて国連が介入し、国際IS委員会を発足。

 世界各地に国際IS委員会が分配し管理することになり、各国は第1世代のISの開発に着手していた。

 日本も例外ではなく、IS開発企業の選定として様々なコンペティションが行われたがMR社はそれに参加せずに、引き続きMS事業の展開に力を入れていた。

 政府や日本支部のIS委員会からはMSの技術をISに活かしてほしいとの要請はあったが、篠ノ之束の残したメッセージ通り宇宙開発の使うためだったら協力すると言ったら、苦い顔をされたのでこちらはこちらで勝手に開発するから政府主導で行うIS事業は別をあたってくれと要請を突っぱねた。

 結果、政府直属IS企業として倉持技研がISの開発を開始していた。

 それを見て大地はストーリー通り日本主力ISは打鉄になるかな~と思っていた。

 

 

~1か月後~

 

 大地は、訓練の合間に度々地球のMR社へ戻り仕事をしていたが今日は久々に会う人とのアポイントがあったため少し機嫌がよかった。

 ちなみにコレンは婆さんのところ行ってくると言って数日留守にしている。

 そろそろ来るであろう来客を迎えるために通路を歩いていると後ろから束が走ってくる。

 

「だー君今日機嫌がいいね?これから会う人の影響?」

「束さんか、そうだよ。ちょっと話してて面白い人だから気に入ってるんだ。」

「ふーん、だー君が興味を持ってる人には少しだけ興味があるかな~!」

「束さんにしては珍しいね、彼女との腹の探り合いは面白いんだ。」

「……え?」

「ん?」

「その人って、私より年上の女なの?」

「そうだけど……どうかした?」

「……べ、別に何でもないよ。そうだ!ちーちゃんに用事があったんだった!束さんは行くよ!じゃぁーねぇーーー!」

「お、おい束さん!千冬さんはまだ出社してないよ!」

 

 急に頬を膨らませて走り去る束の背中を大地はただただ見つめることしかできなかった。

 

<大地~>

「ルナ?どうした?」

<あれ、嫉妬じゃない?>

「……え?」

<とりあえず、後で謝っておいた方がいいよ。>

「ん~……わかったよ、話が終わったら話に行くよ。」

<それがいいよ!>

 

 そうしてルナと会話しながら大地はエントランスへ向かった。

 エントランスへ着くと、黒のリムジンが正面入口に止まるのが見えた。

 そこから大柄青髪男のエスコートでドレス姿のブロンドヘアーに特徴的な赤い瞳の女性が降りてエントランスへ入ってきた。

 それを見た大地は、深々とお辞儀をしていた。

 

「お待ちしておりました。ミス・ミューゼル、いつ見てもお美しいですね、掃除の時以来ですか。いやミューゼル代表とお呼びすればよろしいですか?」

「お久しぶりですミスター。今まで通りの呼び方で構いませんわ。確かに掃除以来ですね。以前よりお身体が逞しくなられてますね。少しドキッとしてしまいましたわ。」

「ははは、お上手。私に興味を持っていただけて光栄です。彼女さんも日本へ来られたんですか?」

「えぇ、もちろん一緒に来ましたわ。以前と比べて一緒にいる時間が増えて充実しておりますわ。これもミスターの一声があってこそ、お礼申し上げますわ。」

「そう言っていただいて嬉しく思います。さて、立ち話もなんですから応接室へご案内しましょう。こちらへ」

 

 会話を一旦終えると応接室へ大地が案内を開始し通路を歩き始めた。

 すると先程から黙っていた大柄の男、ギム・ギンガナムが大地の横へ行き話しかけてきた。

 

「久しいな貴公、随分と戦士の身体と顔つきになったな。」

「挨拶が遅れて申し訳ない、ギンガナム殿、∀の整備は順調ですかな?」

「ふふふ、貴公わかっていて聞いているだろう。そちらの兄弟もどきも戦える状態になっているんだろうな?」

「もちろんです。それに舞台の用意はしました。この後会談中にご説明させていただきます。」

「それは上々!楽しみにしているぞ!」

 

 こうしてギンガナムとの話をしながら、大地達は応接室で話を始めた。

 内容としては、儀礼的な事が多く今後ミューゼルがトップになった会社とのMS販売の契約や、ISについての会話などを行った。

 ある程度話が終わったあたりで、大地は対面に座るミューゼルと後ろに立つギンガナムへ一つの記録媒体を取り出し渡した。

 

「これはなんでしょう?ミスター。」

「2か月後の決闘の詳細について記載した記録媒体です。」

「拝見しても?」

「それには及びません。今からご説明しますのでこちらをご覧ください。」

 

 そう言うと大地は2人の前に空中投影ディスプレイを表示させる。

 そこには日時とマップデータが数個表示されていた。

 それを見たミューゼルはマップデータを見て不可思議な表情をするも、ギンガナムはマップについて気づいたようで大地を見る。

 

「貴公、まさかこの場所……いや、このポイントは……」

「お気づきになりましたか。決闘場所は宇宙。月と地球の間、ラグランジュポイント1です。」

 

次回へ続く

 

 

〜束&千冬サイド〜

 

「ちーちゃん!どうしよう!」

「なんだ、こっちはまだ学校だ。手短に頼む。」

「だー君が年上の女の人と会談をするって!」

「だからどうしたというのだ?大地は社長だ、女性の営業と話すこともあるだろう。いくらあいつを好いていてもそれは重くないか?」

「でも!あの大地が合うのが楽しみだって笑ってたんだよ!」

「好いている事は否定せんのか……まぁ、あいつも年頃という奴だろう。」

「ちーちゃんはいいの!?だー君を知らない女に取られるかもしれないんだよ!?」

 

ズキン

 

「……??」

「どうしたのちーちゃん?」

「い、いや、何でもない。すまんがそろそろ部活だ。切るぞ」

「ま、まってよちーちゃん!まだ話は…(通話終了」

「……はぁ〜」

 

「私はどうなってしまったんだろうな……ISを理解しようとし、束の理解者になろうとした大地を束が気にし始めて居たのには気付いていた。そして私もそんな大地を頼ろうと考えてしまっている……今まで告白などしてきた男には何も感じなかったが大地は何故か別に思えてしまう。そんな男今まで居なかったのにな……そしてさっきの胸に感じた痛みは……まさか……な」

 

 千冬は呟いた独り言を忘れるかのように部活へ向かった。

 

 




 お読みいただきありがとうございます。

 朝方寒すぎてオフトゥンから出とうございません。
 温かいコーヒーが染み渡りますね。
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