大地は、2人からの告白に対して真剣な視線の中重くなった口を開いた。
「俺は……ナノマシンの身体になったおかげで、寿命って概念がなくなっているそうなんだ。」
「……は?」
「だー君……それって……」
口をぽかんと開ける千冬と、理解できたのか少し困惑した顔になる束。
それを見つつ、大地は言葉をつづけた。
「うん、さっきルナから聞いたけど、ルナかターンXのエネルギーとナノマシンが供給されている限り俺は死なないらしいんだ。」
「なっ……!?」
「やっぱりそうなんだね……もしかしてとは思っていたけど。」
「束、私にもわかるように説明しろ……」
簡単に説明する大地に対して、千冬は束に詳細を教えるよう聞いた。
その後束は、千冬にもわかりやすく言い聞かせるように説明していった。
大地の身体が、ルナの2次移行によりターンタイプとISによる膨大なエネルギーとナノマシンによって復元された結果、大地の心臓部にルナのISコアが配置され、身体のナノマシンへ身体を動かすためのエネルギー供給を行うようになり、身体の全てのデータがルナとターンXにリアルタイムでフィードバックされるようになっていた。
その結果、今後大地の身体に負傷や不調が見られた場合、即座にルナかターンXからナノマシンがオートで供給されて最善の状態に修復する仕様になっていた。
問題は、前話にて大地がルナに確認を取っていた内容に遡る。
~回想~
「俺の身体の事なんだけど、前に身体の負傷や不調が見られた場合オートで修復が始まるって言ったよね?その不調に『老い』も入っているのかい?」
<それは……そうだね……だから、大地は見た目を年齢に合わせて変えることもできるけど実質、私とターンXの両方が停止しない限り常に最高のパフォーマンスを発揮できる状態に維持されることになる。大地の脳の一部はまだ生身の時の状態だから、後で計測が必要だけど、現状のままだと単純計算200年以上、脳も完全にナノマシン化すれば少なく見積もっても数千年は生存できるね。>
「それは……束さんと千冬さんと仮に付き合って結婚しても、老いて今世から去ることになっても俺は一緒に行けないってことか?」
<そうなるね……>
「そのオート機能は切れないのか?」
<2次移行時の強い意志で作られた機能だから、解除できないんだ。>
「そうか……2人の思いには応えたいけど……この事を話して納得してくれるならってとこか……」
<そこに関しては私も考えてなかったよ……ごめん大地>
「いいよ、ルナ達は最善を尽くしてくれたんだ。後は二人に任せるさ。」
<応援しているよ大地>
「ありがとうルナ。」
~回想終了~
「……ってなわけなんだよちーちゃん!OK?」
「OK……と言いたいところだが、大地はとりあえず我々より長い時間を生きることになったという事でいいんだな?」
「そう言うことになるね~!」
束の、説明に完全に理解はし切れていないが持ち前のフィーリングで大体を把握した千冬は大地へと視線を向ける。
「それで、大地よ。それと私達の告白に応えれないと言うのはどう関係あるのだ?」
「……それは、時間の残酷さだよ。2人の思いに応えて、これから長い時間を共に過ごすことになった場合、俺はみんなと同じ時間で過ごすことができない。そして2人が俺の目の前からいなくなる未来を想像すると……俺は怖くてたまらないんだ。愛する人たちを次々と見送って、最後は俺一人だけ残されるってのは正直辛い。それに、それだけの時間を現代の世で過ごすってのは難しいことなんだ。どこかで俺の存在に気づく輩が出てくる。それにより無駄な争いが発生するし、きっと狙われる。だから……(だー君!)」
千冬に対して、まじめな表情で話す大地に対して、束が割って入る。
「だー君そんな事で悩んでたの~?束さん心外だな~~~!」
「え、だってそれは……」
「ふっふっふ~!この束さんに不可能はないのだよ!だー君が不老ならば、私達も不老になればいいだけなのだよ!」
「なっ……!?」
「束、それは本当に出来そうなのか?」
「そうだね~、私も初めはどうにかしようと考えていたことだったんだけどね~。実際目の前にISコアのエネルギーで動くナノマシン構成体のだー君って手本があるし!今度R&C社を使って医療用の再生ナノマシンを発表予定なのだ!時間はかかっちゃうだろうけど、だー君のような長寿の身体に自身の身体を作り替えることは可能だと思うよ!いや!だー君と長く一緒にいるために束さん頑張っちゃうよ!」
「ははは、流石は束さんだ……」
「束、お前と言うやつは……」
「もちろんその方法が確立したらちーちゃんも一緒だよ?」
「……」
「…?千冬さん?」
束の提案に大地が唖然としていると、千冬が少し俯いて表情が曇っていた。
数秒の間が空き、束も気になったのか千冬へ視線が向くと、千冬は口を開いた。
「2人はすごいな……私は今のところ2人に並べる物がないなと思ったのだ。」
「ちーちゃんそれは……」
「束、お前はISを作り上げて世界を震撼させた。大地はMSを人に役立てて使ってもらい宇宙進出への夢を見せている……私は…ただ剣を振ることしかできていない……白騎士の搭乗者と言えど所詮はただの乗り手だ……そんな私が、弟の一夏を置いて不老になるなど烏滸がましいと思ったのだ。告白した手前言うのもなんだが、大地の隣に立つのに不相応な気がしてならなくなってきた。」
そう言うと千冬は俯いて黙り込んでしまった。
それを見て、束が何かを言おうとするもそれを大地が制し、優しい口調で千冬に話しかけた。
「そんなことないよ千冬さん。千冬さんは立派だし、表に出せないだけで凄いことをした人なんだよ?時間はたっぷりあるんだ。寿命の事はゆっくり考えればいいよ。それにね、千冬さんにしか出来ないこともあるんだよ?」
「で…きないこと?」
大地の言葉に、少し不安な表情ではあるが千冬は大地の顔を見つめる。
「さっき、剣を振ることしかできないって言ったよね?そこを伸ばそうよ。俺と束さんは、世間からは『作り手』として認められて世界に名を広めた。それなら千冬さんは『使い手』として世界に認められようよ!ルナから聞いていたけど、政府からモンド・グロッソの選手としてオファーが来ているんでしょ?」
「……知っていたのか。」
「うん、俺はそれを受けてもいいと思っているよ。おそらく、強化選手施設に行っちゃうとなかなか会う機会が減ってしまうかもしれないけど……千冬さんも、千冬さんの持てる力を世界に見せつけて認めさせてやろうよ!俺も支援は惜しまないからさ!」
「そうだよちーちゃん!束さんもR&C社としてちーちゃんの支援をするよ!」
「……ふ、2人とも…ありがとう。そこまで言ってくれたんだ。私も2人に並び立てる存在になるために、そして一夏に誇れる姉であるために頑張ろう。」
大地と束に言われ、不安だった表情から自信に満ちた表情へ戻った千冬はそのまま大地の右腕に抱き着いた。
武道を嗜んでいるせいか、束より少し筋肉質な感じではあるが女性特有の柔らかさも感じることができて大地はドキッとした。
その表情を確認した千冬は、少し肉食動物のように獲物を捕らえたような視線を大地に向けて微笑み言葉を発した。
「でだ、大地。私達はまだお前への告白の返事をもらっていないんだが?大地の懸念事項も私たちにとっては実質問題のない状態になったのだ。返事を聞かせてもらおうか。」
「そうだね~、だー君は束さん達を3年も待たせたんだもん~。ここで保留とかないよね~~?」
千冬の言葉に釣られるように、束も大地の左腕に抱き着いて大地の顔を見上げてくる。
2人の柔らかい感触をダイレクトに両腕で感じつつ、大地の脳はショート寸前だった。
(ル、ルナ……お、俺はどうすりゃいいんだ!?)
<(……)>
(き、聞こえてるんだろ?ターンXも!)
ー(……)ー
(え?ここでもしかして通信不調!?嘘だろおい!?)
<(大地……)>
ー(大地様……)ー
ー<(早く付き合えよヘタレ)>ー
(ぐはぁ……!)
<(本当、MS関係は素直なのに女性関係はなんでこんなヘタレなのか……)>
ー(ルナに同意です。本当ヘタレ御大将ですね……リア充爆発四散しろって奴です。)ー
(そ、そこまで……言われてもしょうがないよな……わかったよ。2人に俺の気持ちをちゃんと伝えるよ。)
ー(それでこそ御大将閣下殿。)ー
<(MR社着で避妊具沢山注文しておくね~)>
(まて!それは早すぎるだろ!)
<(知らな~~~い!)>
(あ!ルナ!返事しろ!それスコールたちに見られたらどうするんだ!)
ー(いっそあの二人も囲えばよいのでは?)ー
(囲うって!?流石に百合カプの間に入るのは南極百合カプ保護条約法違反だ!ってターンXも通信切りやがった!?あぁ~~~もう!)
強制的に思考通信を切られて、数瞬の時間をおいて大地は一度上を向いて一息吐いて2人に視線を向け直す。
「最終確認だけど本当に、俺でいいんだね?」
「うん!だー君がいいんだよ!」
「あぁ、私は大地がいいんだ。」
2人の意思を再度聞いた大地は、2人を両腕で抱き寄せて密着させる。
「わかった。俺は2人と比べて天才でもなければ強いわけでもない。ナノマシンの身体とルナとターンXがあって今の立場に居られるただの一般人だ。そんな俺に好意を持ってもらえて本当嬉しい。だから俺も束さんと千冬さんにはっきり言うよ。この世界で初めて会った時から2人に惹かれてたんだ。一人に決めきれない優柔不断な俺だけど……俺の全てを持って二人を幸せにするよ。よ、よろしくお願いします…!」
顔を真っ赤にしながらも言い切った大地に対して、千冬と束は抱き寄せられた大地の身体に腕を回して抱き返すことで返答するのであった。
なお、その光景を篠ノ之柳韻が通路角から慈愛の満ちた表情で見ていた。
~数日後~
大地がMR社に復帰した事で世間では少し大きなニュースとして取り上げられた。
大地の回復にMR社の子会社にあたるR&C社の新開発された医療用ナノマシンが大きく貢献したと発表されたのだ。
それはそうだろう、未だに医療分野で実績もなかった治療用ナノマシンでの治療成功例として親会社の代表に当たる大地の名前が出たのだから。
そのため、連日R&C社への問い合わせは全てMR社が対応する旨を公表すると鳴りやまない電話とメッセージの通知音が続き、代理代表業務から秘書ポジションに着いたスコールとオータム、そしてターンXが手を貸して対応する状態となっていた。
なお、R&C社の社長である束は「なんで私がそんな奴らの相手をしなきゃいけないのさ?」と言って研究室へ籠ってしまっていた。
引っ切り無しに鳴り響く電話にスコール達が必死に対応しているのを横目に、大地は応接用のソファーに腰掛、お気に入りのコーヒーを飲みつつ空中投影ディスプレイで資料を読み、スコールから快気祝いとして頂いたクッキーの詰め合わせを摘み舌鼓を打っていた。
流石は1日5セット限定でしか売られていない超が付く程の高級クッキー『シルバーフォレスト』、お気に入りのコーヒーとの相性が最高だと大地は幸せ気分だった。
ちなみに、ナノマシン構成体、通称ナノロイドとなった大地に食事や排泄、呼吸などする必要はない。
だが、食事も出来るし味覚もちゃんとある。
ただ、消化されて栄養になるのとは違い消化器官として分解炉が大地の体内に存在し、食べた食べ物は全てナノマシンにより分解されエネルギーとして大地の身体の稼働を助けている。
なお、生殖機能などの皆様気になっている要素についてはご都合主義として使用可能とさせていただく。大地も告白後、夜『そういえば……』と思い付きトイレにて確認したが無事マイサンの稼働テストは良好だったそうだ……『前世の時より大きくなね?』と思いルナ達に聞いてみたが知らぬ存ぜぬ顧みぬと返されたのであった。
そうして、クッキーを食べながら先日の事を思い出していた大地の元へ電話を終えたスコールが歩いてきて向かいのソファーへ疲れたように座る。
そして、ソファー前に置かれたローテーブルの上に置かれたクッキーを手に取り食べつつこちらにジト目を向けてきた。
「……コーヒー、淹れようか?」
「……秘書としてこう言うのもなんですが、お願いできますか?」
「いいよそのくらい、昔からコーヒーを淹れるのは好きだからね。少し待ってて~」
そう言って大地はソファーから立ち上がり給湯室へ行く。
数分すると給湯室の方からコーヒーの芳醇な香りが漂い、マグカップ2つを両手に持って大地が戻ってくる。
「あら?おかわりですか?」
「いや、君の彼女の分だよ。ほら来た。」
そう言って大地の視線の方へスコールが振り向くと、疲れ切った目のオータムがふらふら歩いてきてスコールに抱き着いた。
「スコールゥ~」
「あらあら、まだ業務時間内よ。」
「うぅ~」
「社長がコーヒーを淹れてくれたわ、少し休みましょう。」
「うん……おめぇ、居たのか……」
「あれま、口調が完全にオフモードですね……オータムさん。」
「もう、オータムったら……可愛い。」
「……惚気るなら休憩室でやってもらえるかな?」
大地の発言が聞こえていないようにイチャつく二人に、大地は溜息一つ吐くとコーヒーを卓上に置いて、自分のコーヒーカップを持ち自分のデスクへ戻る。
作業の続きを始めようとすると、一通りイチャついたスコールがこちらに声をかける。
「あら?社長は混ざらないのですか?」
「……え?」
「ふふふ、冗談ですよ社長。そんなことしたら私が彼女たちに何をされるか……ルナちゃんの他に、あの2人と関係を持たれたのでしょう?やはり夜の方もあの時の決闘時のような狂暴性で2人を組み伏せたので?それとも、年齢を私に隠し通しあまつさえ私を魅入らせたその上手な口で口説き落としたのですか?実際の年齢を聞いて驚きましたが、社長は口説き上手なようですね。」
「ルナはそういう関係じゃないけど2人の事、気づいていたんだね。後まだ昼なんだからそう言う話は夜が更けてからね!流石に俺もそんな話で昼間っから盛り上がりたくないし……それに、口説き上手とは何だい…俺はそんな大層な者じゃないよ。偶然が重なって、2人の女性が双方同意の上で同時に告白を受けてそれを受けただけに過ぎないよ。口説き落とした覚えなんて微塵もない。」
「本当、ミスターはご自覚がない……」
「その呼び方は久々だね?ミス?」
「ふふふ、やはりお上手……私も狙おうかしら。」
「スコール……おいてめぇ!スコールに手を出したらわかってんだろうな!」
スコールと大地の話に対してオータムが嫉妬して大地に噛みつく。
なお、大地の年齢についてだが、快気祝いを持ってきたスコールと相対した時に見た目を偽ることを忘れており、そこを必用に聞かれてしまい仕方がなく白状していた。
「大丈夫だよオータムさん。俺だってもう心に決めた二人がいるんだ。これ以上は望まないし……あの二人がそれを許すと思っているのかい?」
「あぁ~、そうだったな……あの二人が出てくるんじゃ流石に私にも勝ち目がねぇ……スコールはあたしだけを見てればいいんだよ。」
「そうね、あの二人が許せば話は別だけど、分が悪いわね~。でも許されたその時はオータムも、勿論ついていくわよ。」
「はぁ!?なんで私があんな男の所に……!」
「あら?昨日届いた大量の避妊具は私達も食べるつもりでと解釈していましたが……違うのですか?」
「はぁ!?お前本気なのか!?わ、私は嫌だぞ!」
スコールの一言で驚いたオータムに対して、大地は更に驚いてデスクから立ち上がる。
「み、見たのか!?」
「えぇ、入荷予定のない配送物でしたからトラップを警戒して慎重に開けてみれば……やはりミスターはそこそこ色を好む様子で……」
「あ、あれは!ルナが勝手に注文してだな!決して俺が使いたくて頼んだんじゃないぞ!」
「ミスターも案外そっちの方は初心なんですね…ふふふ」
「んあぁぁぁぁぁぁ~~!」
気づけば、スコールのペースに乗せられて頭をガシガシと搔きながらのけ反った姿勢の大地がうなりを上げていると、部屋の入り口が開いて2人の女性が入ってきた。
「随分と楽しいそうだな~大地?私は今、準備ができたぞ。」
「ヤッホーだー君!さぁ!束さんと愛を確かめ合うのだ~~~!」
入ってきた2人は勿論、束と千冬だった。
千冬は大きなキャリーケースとボストンバッグを持っており、束はいつものように数歩助走をつけてジャンプして大地に飛びついたが、大地は微動だにしなかった。
それを見て、オータムが訝しんだ表情になるが束が話し始める。
「あはは、束さんは相変わらずスキンシップが激しいね……千冬さん準備万端みたいだね。」
「ふっふっふ~、だー君の成分、ダーニウムを摂取するのだ~!」
「あぁ、後は一夏が来ているからな、出発前に話したらそのまま行く予定だ。一夏のわがままとはいえ、私がいない間、迷惑をかける。」
「大丈夫だよ。一夏君の事はしっかり見守るから。それにしても、千冬さんとしばらく会えないのは寂しいな……」
「…っ!?ま、まぁ……月に数回は帰るんだ。そ、その時に……沢山埋め合わせをしてくれれば……だな……!」
「う、うん…!俺も楽しみにしてるよ。」
「むー!ちーちゃんとだー君だけずるい!その時は束さんも一緒だからね!」
2人が入室してから、先程のスコール達のようにイチャつき始めたせいでスコールたちはあらあら~と擬音が聞こえてきそうな程、微笑ましい表情で見ていた。
そう、今日から千冬が倉持技研へ出向となり倉持技研テストパイロットとして日本政府が急遽作った全寮制のモンド・グロッソ強化選手育成施設「日本IS戦技訓練校」(後のIS学園)に行くことになっていた。
そして、家に一人残ることになった一夏に関してだが、大地がMR社で一緒に住むか篠ノ之家にて預かってもらうかの提案を一夏にしたところ。
『俺は千冬姉に迷惑をかけない男になるために自立を頑張る!』と言い、一人暮らしをすると豪語した。
それに対して大地は少し悩んだ末に千冬の了承もあり承諾、だが定期的に大地が見に行くことを条件として出した。
一夏もそこは了承してくれて、今日から一夏は一人暮らしをすることになっていた。
なお、大地が密かに織斑宅内に千冬了解の元でBOIDを配置して万が一の護衛体制を整えていた。
大地含めた3人で少しの間イチャついた後に、3人はスコールとオータムに少し出てくることを言ってMR社正面入り口に着いた。
そこで、フロントのソファーで箒と本を読んでいた一夏と箒が近づいてきて、しばらく会えないことを惜しむように兄弟の会話をしていた。
会話を終えた一夏達は、篠ノ之道場の練習があったため柳韻が迎えに来たのでそのまま道場の方へ移動していった。
その後、数分経つとそろそろだなと、大地が腕時計を見ていると黒塗りの大きなセダンが止まり、1人のスーツ姿にサングラスをかけた女性が降りてきて近づくと深々とお辞儀をしてきた。
「お初にお目にかかります。国際IS委員会日本支部の者です。本日はMR社所属、織斑千冬さんのお迎えに上がりました。失礼ですが、月乃代表でいらっしゃいますか?」
「こちらこそお初にお目にかかる。いかにも私は月乃です。この姿は、医療用ナノマシンの副作用の影響ですのでご容赦を。」
「いえ、こちらこそ失礼いたしました。それではお話はここまでに、織斑千冬選手。ご同道願えますか?」
大地と数度言葉を交わすと、大地と束(偽装中)には目もくれずに大地の斜め後方に立っていた千冬の前へ行き、車へ行くように促す。
それを見た千冬はポーカーフェイスだったが、大地と束からすると明らかにむっとした表情で軽く言葉を交わすと、そのまま黒いセダンの後部座席へと乗り込んだ。
少しすると窓が開き、千冬がこちらに向かって口を開いた。
「また、連絡するからな。少しのお別れだ……」
「うん、落ち着いたら連絡してね。」
「ちーちゃん元気でね!」
「あぁ。一夏のこと頼んだぞ。(そろそろお時間です)あぁ……ではな。」
「わかった。任せてくれ。」
そうして、会話をしていると先ほどの女性から声をかけられて会話は中断し、窓が閉まるとそのままセダンは走り去っていった。
セダンがMR社の敷地から出ていくのを大地と束は静かに見送っていた。
セダンが見えなくなった辺りで、束は大地の方へ顔を向けると久しく見ていなかったムスッと明らかに怒っていますって表情になっていた。
「ねぇ、だー君。」
「ど、どうしたの束さん。」
「ちーちゃん大丈夫だよね?迎えに来た人なんか態度悪かったし……それにだー君をあんなないがしろに扱うなんて本当に国際IS委員会だか何だかよくわかんない組織の人間なの?」
「あぁ……千冬さんは大丈夫だと思うよ。国際IS委員会側からするとMSってただの機械人形って扱いだしね、敵視する人もいるかも……俺への態度はそれも起因するけど、多分始まったんだよ。」
「何が?」
「おそらく、本格的に女尊男卑社会を作ろうとする動きがね。」
「それ、どうにかならないの?」
「うーん、難しいかな……純戦闘用の軍用MSを作って世界中に配備されれば軍事バランス的にはどうにかなるとは思うけど……今更男もISに乗れますってのを大々的に束さんが設定し直しても、それはそれでさらに世界が混乱の渦になるし……ちょっと俺も手段を間違えた感はぬぐえないね。」
「……束さん達って、時代が違えば大罪人だね。」
「そうなるかもね、でもそれを受け入れて今後の世界のバランスを調整できるように努力していこう。」
「そうだね、だー君。」
大地の言葉を聞いて、少し暗い表情になった束に対して大地は静かに手を取り、恋人繋ぎにした。
手を繋いだことにより、暗い表情から少し頬を赤らめた束は大地を見上げて軽く微笑む。
「これからだね、だー君。」
「あぁ、忙しくなるよ。束さん。」
2人はその場で軽いハグをした後に、MR社内へと戻っていったのであった。
次回へ続く
お読みいただきありがとうございます。
色々ありましたが、無事に方がついたので投稿再開になります。
にしても、ここまで長文になるとは思っておりませんでした。
妄想全開で書き続けてたら切りどころわからなくなったんですよね……ははは
次の話はまた思いっきり時間が飛ぶかもしれません。