IS‐ターンXと行く月面開拓‐   作:かげう

30 / 44
30話ー戦乙女誕生ー

 

~前話から2年後~

 

 大地は、束と共にイタリアへ来ており第1回モンド・グロッソの観客席で千冬の勇姿を見ていた。

 

・・・・・

 

 何故ここまで時間が進んだのかと言うと、調査部隊の観測情報で火星地上でBETA vs モビルアーマーの戦いが繰り広げられているため、その間は地球への侵攻は本格的に行われないと判断したためである。

 大地的には両者が互いにつぶし合って滅んでくれれば理想であるが、どうせあの神の使い様の事だ、どちらかが生き残りこちらに来るのであろうと推測していた。

 

……大地君ちょっとひどくないかい?まぁその通りなんだけども。

 

 本格的な介入も検討したが、月と火星間の往復移動時間が約1年半という時間がかかってしまうため、こちらから火星に本格的な進軍よりかは、こちらに侵攻する兆しが見えたらこちらから迎撃部隊を派遣し地球圏へ到達前に迎撃を行った方が良いという考えの元、現状介入はしないことになっていた。。

 なお、ターンXのテレポートも考えたがそれを観測され模倣されない可能性が0ではないため使用はしないことにした。

 そのため、時間の猶予があると考えた大地は月面基地にて新たな迎撃部隊のための新たなアスピーテ級戦艦を3隻建造し、迎撃艦隊を編成。

 随時、資源余裕が出来次第増産を行い戦力を増強する予定になっていた。

 なお、9カ月ほど前に火星から新たな飛翔体個数1が地球へ向けて打ち上げられたがフォボスが火星の裏にいるタイミングで打ち上げられてしまったため、調査部隊が対応不可能だった事もあり、月哨戒部隊で対処することになっていた。

 

 念のための説明になるが、今回火星で発見された勢力のBETAとモビルアーマーについて簡単に説明する。

 

 BETAとはマブラヴに登場する地球外生命体で、正式和訳名称は『人類に敵対的な地球外起源種』である。

 ここでは割愛するが複数の種が存在し、作中では人類を物量で圧倒し億単位の犠牲者を出した存在であるが、驚くべき事にこのBETAは本来戦闘用ではない。

 惑星資源を採掘し、資源を使いBETAを生産し増殖、BETAの創造主と言われている存在の母星へ採掘資源を送る云わば『惑星資源採掘有機重機群』、採掘重機なのである。

 

 そして次にモビルアーマーとは、本来人型ではないMSより大型の有人機体であるが、今回登場したのはガンダム鉄血のオルフェンズに登場する大型無人兵器である。

 作中説明では、本編の約300年前に在ったとされる『厄災戦』において、主人公が搭乗するガンダムフレーム達と戦った存在とされている。

 人類が戦争の歴史の末、完全無人稼働な機動兵器を作ろうとした結果に作られ、人類を脅かす恐ろしい殺戮兵器として猛威を振るったとされている。

 今回調査で発見された『ハシュマル』と『プルーマ』に関しては主にモビルアーマーである母機と、その周辺にいる子機にあたる。

 彼らもBETAと似た性質を持ち、子機のプルーマが資源を採取し母機であるハシュマルに搭載されている生産ユニットを使い母機の修繕やプルーマの生産を行える。

 

 こんな資源がある限り増殖し、勝手に殺戮を行うユニット同士の戦いにMR社の現状戦力では多勢に無勢であろう。

 現状は、ムットゥー達火星調査部隊を火星第1衛星のフォボスに常駐させ、観測情報を随時送ってもらっている形になっていた。

 そして、大地は前話後すぐに第2陣として火星監視部隊の派兵を決定し追加で下記の部隊を送り込んでいた。

 

第2陣火星調査部隊

 ・ギャルセゾン   6機

 ・ムットゥー    2機

 ・ウォドム     2機

 ・ウァッド     4機

 ・偵察衛星     8機

 ・物資コンテナ   8個 

 ・小型生産プラント 1機

 

 これにより、現在フォボスには火星常駐部隊のための簡易基地が作られており、ウォドム護衛の下ウァッド達がゆっくりではあるがフォボスで採掘した物資を活用し基地の設備生産等を行っていた。

 

・・・・・

 

 今後状況に応じて火星へ送る部隊をどうするかを考えていたが、大地の思考は目の前で湧き上がる歓声によって現実へ引き戻された。

 なおここで補足するが、スコールたち秘書組はMR社にとどまり業務に従事していたが実際はここ1年ほどの期間、MR社が販売を開始した頭部が簡易カメラアイに置き換えられ装甲もほぼ取り外されたウォドム通称『ウォーカー』の販売が開始されたためIS事業に興味のない分野の流通・建造・軍事企業連からの発注が相次いでおり、その事務処理を任されていた。

 出発にあたり、スコールからハイライトの消えた目で『一刻も早いお帰りをお待ちしておりますわ』と言われたのでだいぶキているのだろう……ターンXの処理割合を少し増やし帰りに美味しい茶菓子を買って帰ろうと決意した大地であった。

 そして、千冬の弟である一夏はこの場にはいなかった。

 本当は大地と束が同伴なら問題ないと言うことになっていたのだが、出発前日に同級生達と遊んでいた際に流行り病に感染してしまい現在MR社の医務室で柳韻さんと箒が付き添いの元で床に臥せっていた。

 そのため、モンド・グロッソ終了後簡単な記者会見などを受けた後はMR社のプライベートジェットを使用し即刻日本へ帰国予定であった。

 

「見てよだー君!ちーちゃんが暮桜のスペックを100%使い切っている雄姿を!」

「そうだね束さん。これ本当に単独総合優勝狙えるんじゃない?」

「そうだね!ちーちゃんならできるよ!頑張れちーちゃん!」

 

 隣で席から立ち上がり応援している束さんに現実に呼び戻された大地は観客席前方の空中で繰り広げられているIS同士の戦闘を視界に入れた。 

 現在はモンド・グロッソの最終項目にあたる、国家代表IS搭乗者によるトーナメント戦が行われており、今大地達の目の前で行われているのは決勝戦であった。

 ここで試合を解説している実況席からの大きな声が響く。

 

「おっと!ここで織斑選手!得意の爆発的な加速を披露!ジョセスターフ選手へ一気に肉薄した!ジョセスターフ選手も負けじと反撃をする!流石にこの早い近接攻撃の攻防は我々の目に追うことができない!流石2次移行したIS同士の戦いだ!」

 

 実況からの発言も事実、千冬とジョセスターフの戦闘は人の目線では追いきることのできない速度で切り結んでおり、何かよくわからないが凄いことが起きていると見た観客たちは歓声を上げていたが束と大地は普通にどう切り結んでいるかを見ており感嘆の声を上げていた。

 

「千冬さんとインファイトであそこまで打ち合えるジョセスターフって人凄いね……」

「そうだねー!ちーちゃんは凡人達にとって規格外だけどあの相手も中々だね~!後で生体データでも取らせてもらおうかな!」

「程々にね…」

 

 珍しく他人に興味を示している束に対して、大地は少し驚きながらも二人の試合に視線を戻した。

 

 現状、千冬が乗るISは試製・打鉄をR&C社主導により倉持技研と共同で大幅な改修が行われた『打鉄・先行量産型』に機体が変わっていたが今までの戦闘データのフィードバックと束が密かに白騎士のデータもフィードバックしたおかげか、ルナを除く世界初の2次移行を果たし『打鉄・暮桜』になっていた。

 それに相対するイタリア国家代表アリーシャ・ジョセスターフもイタリア第2世代IS『テンペスタ』の世界で2番目に2次移行をした機体『テンペスタ・スクード・ディ・ヴェント(風の盾)』と名称が変わっていた。

 

 空中では依然と激しい近接戦闘を行っている2機がおり、いつも近接戦において無類の強さを誇っていた千冬が何かに阻まれているかのように攻めあぐねている光景に大地はハイパーセンサーから送られてくる状況を網膜投影して分析を開始した。

 

(テンペスタの機体周辺の大気密度が異様に高い…スクード・ディ・ヴェント、確か日本語で風の盾……なるほど、あれがワンオフアビリティか……大気の壁を生成して千冬さんの攻撃を防いでいるのか。)

 

 そう思考している大地に対して、束も気づいていたようでこちらにISのコアネットワーク経由の思考通信を送ってくる。

 

『だー君も気づいた?』

『そうだね、大気の壁を作って千冬さんの決定打に成り得る攻撃を防いでいるから千冬さんも攻めきれずにいる感じかな?』

『そうだね、そのせいで大分焦っているみたいだけど相手も相当に焦ってるっぽいね。』

『確かに、千冬さんも焦ってるけど冷静さは欠いてないみたいだし、零落白夜を使ってないとこを見るにまだ温存はできているみたいだね。』

『そだね!まぁこのまま行けばちーちゃんの勝利は確実だね!』

 

 二人の思考通信をしていると、テンペスタの風の盾に揺らぎが起き始めていることを検知したとルナが報告し、束との思考通信を終えて試合に集中した。

 視線の先では鍔迫り合いが起きていたが、千冬の愛刀である雪片壱型がジョセスターフのテンペスタの持つロングソードに触れる寸前のところで止まっている状態だったが互いにもつれ合っていた。

 

「やるな!ジョセスターフ!だが、ご自慢の風の壁もそろそろ限界じゃないのか?」

「はは!何を言うかと思えば、チフユ!アタシの盾を破れずに遂に焦ったのかい?そろそろご自慢のレーザーブレードを出したらどうだい?」

「ふん!減らず口を!だが、そろそろお前にもこの愛刀の切れ味を思い知ってもらおう……来い!零落白夜!」

 

 そう言いつつ、ジョセスターフを一度押しのけると雪片壱型の刀身が半分に割れて収縮すると割れた部分からは白く発光したレーザー状の刀身が生えてきて切っ先をジョセスターフへ向けた。。

 これが、千冬の暮桜のワンオフアビリティ『零落白夜』である。

 シールドエネルギーのシステムを応用し、自身のシールドエネルギーを消費する対価に刀身に触れるエネルギーを消滅させる能力を持つ強力な近接格闘兵装となっている。

 

「はは!それでこそチフユだ!」

「抜かせ、この一撃でお前を確実に仕留める。」

「やれるもんならやってみるさね!」

 

 二人の掛け合い後、二人は互いに瞬時加速を行って接近する。

 ジョセスターフは風の盾を前面に円錐のような形状に展開させて千冬へ体当たりをしようとし、千冬は零落白夜の刀身を振り上げたまま突っ込む。

 互いにぶつかり合う瞬間、千冬が機体を右側にロールさせてすれ違う。

 勢いと風の盾の影響で即座に反転できなかったジョセスターフは減速し旋回しようと千冬の方へ視線を向けると

 

「なにぃ!?」

 

 ジョセスターフはその言葉を吐くのが精一杯だった。

 眼前には先ほどすれ違ったばかりの千冬がこちらに零落白夜の刀身を振り下ろす光景でいっぱいになっていた。

 

「これで……終わりだぁ!」

「チ、チフユウウウウウウウ!!!」

 

 咄嗟に振り下ろされる零落白夜に対して風の盾を展開するが、エネルギー自体を切り裂く零落白夜を防ぐのに必要なエネルギーは消耗しきっていたテンペスタには残っておらず、そのままテンペスタの装甲とシールドエネルギーは切り裂かれて絶対防御が発動。

 数秒の後、ビー!と試合を終了するブザーが響き会場は盛大な歓声に包まれた。

 

~数十分後~

 

 会場では現在表彰式が行われていた。

 順に各部門の選手が表彰されていき、最後に総合優勝した者として千冬が表彰台へ登壇した。

 

「第1回モンド・グロッソ総合優勝者、日本代表 織斑千冬 此度のモンド・グロッソにおいて類まれなる成績を収めたことをここに表彰する。総合優勝の君には戦乙女『ワルキューレ』の称号の中でも最上位の『ブリュンヒルデ』の称号を授ける。この称号に恥じぬよう、今後ともIS競技の先駆けとしての貢献を期待する。」

「はい、ありがとうございます。」

 

 千冬は、大会委員長である国際IS委員会の委員長から賞状とトロフィーを受け取り、観客に向けて大きく見せつけた。

 そこで、割れんばかりの歓声と拍手が上がりその中には万年の笑みの束と微笑んでいる大地の姿があった。

 

 表彰式と閉会式が終わったモンド・グロッソ会場で千冬は大地達と合流しようとしていたのだが、流石に総合優勝者のせいかマスコミなどの人達に囲まれていて悪戦苦闘していた。

 

「ミス織斑!ぜひ今回の優勝の喜びを一言!」

「ミス!今回ジョセスターフ選手に勝った際に使った技について!」

「織斑選手!この喜びを今誰に伝えたいですか!」

「ミス!……etc」

 

「えぇい!騒がしい!」

 

 ついに千冬がキレて叫びこぶしを握り締めていると、マスコミ達の後ろから声が響いた。

 

「申し訳ないが道を開けるんだ。」

 

 それは声量はそこまで大きくなかったが、低く響く声色だった。

 マスコミたちは一気に千冬から後ろへ視線を向けて気づいた者からざわつき始める。

 

「あれって……」

「あぁ、少し見た目が変わってるがMR社の……」

「そうだ、代表のミスター月乃じゃ……」

「なんでMR社の代表がこんなところに……」

 

 ざわつくマスコミたちなどに気にも留めずに大地は歩き千冬へ近づく。

 それに伴い、マスコミたちは現状を把握できずにただただ道を開けるだけになった。

 千冬の前まで行くと、大地は微笑み千冬に話しかける。

 

「千冬さん、総合優勝おめでとう。千冬さんの『使い手』として世界に名を轟かせた瞬間をこの目に焼き付けれたことを光栄に思うよ。」

「大地……あぁ、私もこれでお前の横に並べる存在になったか?」

 

 大地の言葉に対して、千冬はマスコミ達には聞こえない声量で大地へ話しかけ、大地は『元から並び立っていたよ。』と小さく呟いて微笑んだ。

 そして大地は、少し大きめの声量でマスコミ達から千冬を連れ出すために声を出した。

 

「さぁ、織斑千冬選手、帰りの飛行機の手配を終えています。お早くご帰国を。」

「あ、あぁ……よろしくお願いします。」

 

 急な態度の変化に少したじろぎながらも応えて、2人がこの場を後にしようとするがその光景にマスコミたちは待ったをかける。

 

「待ってください!まだ話は終わっていません!是非インタビューを!」

「そうです!ミスター月乃!なぜミス織斑選手を連れて行くのです!」

「なぜISの試合にMSなんて機械人形の企業なんかが来ているんです!」

 

 千冬をとどまらせようとするマスコミの中になんか違うのも混じっているなと思いながら大地は声を上げた。

 

「お静かに、先に言っておきますがこちらの織斑千冬選手は我がMR社の子会社R&C社より倉持技研へ出向している身であります。ここまでの道中の雑事を手配したのも我々でありますし、今回のモンド・グロッソには協賛企業として招待されておりますので居て当然でしょう。」

「……ですが!」

「それに、現在、織斑選手のプライバシーの観点から詳しくはお伝え出来ませんが。身内の方で床に臥せっている方がいるため速やかな帰国を彼女は望んでいます。優勝に関する記者会見の場を改めて設けますのでインタビューはその時にしていただきたい。」

 

 大地の発言中にどんどんと増していく威圧でマスコミ達は強く言えずに、渋々と千冬達を通す道が開かれた。

 

「記者の方々、申し訳ありませんが社長の言う通りです。今は、家族の元へいち早く駆け付けたいのです。どうかご配慮のほどよろしくお願いします。」 

「では行きましょう。」

「あぁ……では失礼する。」

 

 そして、千冬はマスコミ達へ謝罪の一言を言った後、大地の後ろをついて会場を後にするのであった。

 

~数十分後~

 

 大地は、束と千冬を引き連れて空港に駐機していたMR社プライベートジェットに乗り込み離陸のために移動を開始していた。

 豪華な1人掛けソファーのような座席に、3人はそれぞれ腰掛ていると千冬の緊張が途切れたのか大きなため息をついた。

 

「大地、先程は助かった。あのマスコミ達の執着力はジョセスターフ並みだった……疲労が一気に来てしまった。」

「あはは、世界大会の優勝者だもん。仕方がないよ……お疲れ様。」

「あぁ、ありがとう。これで私もお前達に並ぶ存在に成れたか?」

「もうとっくになってるけど、世界に知らしめる意味では今なったかな?ようこそこちら側へ?とでも言っておこうか。」

「ふふふ、いずれ大地、お前も超えて見せるさ。」

「それは楽しみだよ。」

「そうだ、大地……一夏は大丈夫なのか?」

「あぁ、それなら現在一夏君の容態は安定して回復に向かっているよ。今は箒ちゃんと最近学校で知り合ったって言う鳳鈴音ちゃんって子が毎日見舞いに来て病室でよくケンカしているみたい……元気なものだね、あはは」

「あいつら……それに一夏も一夏だ……女子を複数引っ掛けるとは誰に似たんだか…」

「……千冬さん、なんで俺を見るんだい?」

「お前のようなヘタレにだけはなってほしくないと思ったまでだ。」

「ひどい!へ、ヘタレちゃうわ!」

「ならもっと恋人である私達に積極的なスキンシップの一つでもしたらどうだ?」

「うぐぅ……言い返す言葉もございません。」

 

 大地の項垂れる姿を見て千冬はそう言いながらにやりと笑った。

 

 ここで、大地も想定していたが原作改変が起きた。

 箒が要人保護プログラムが条件付きで解除されたことに伴い、一夏とまた同じ学び舎で過ごすことになり、本来原作開始後にお互いが出会うはずだった中国からの転校生、鳳鈴音と箒がこの時点で出会っていた。

 原作と同様、日本語がまだ不得手だった鈴に対してちょっかいをかける同級生達に怒った一夏と箒が鈴を助けて鈴は一夏へ恋慕を抱くようになり、度々箒とぶつかるようになった。

 だが、互いが好敵手と認めているせいか他の女子生徒が一夏へのアタックするのを共同戦線で死守し何時しか学校内では『一夏の鬼嫁』『一夏のチビ嫁』と2人は呼ばれるようになっていたが流石の唐変木ワンサマー事織斑一夏、得意の御都合難聴で知る由もなかった。

 

 大地と千冬が会話をしていると千冬の後ろの席から声がかかる。

 

「もー!ちーちゃんもだー君も束さんの事放っておかないでよ!束さんだってちーちゃんを称賛したいのにー!」

 

 ムッスーと効果音が聞こえてきそうな程に頬を膨らませた束が千冬を後ろから手を伸ばして抱きしめながらこちらを睨んでくる。

 

「あぁ、束もありがとう。お前の機体整備のおかげで打鉄が暮桜に2次移行できたし私に合わせた完璧な調整のおかげでジョセスターフに勝つこともできたのだからな。」

「むっふー!束さんの手にかかればこんなものなのだよ!にしてもちーちゃん一発勝負とはいえイグニッションターンを決めるとは流石はちーちゃんだね!」

「私も正直成功率五分だと思っていたがうまく言って本当によかったよ。大地の仮説を信じた甲斐があったものだ。」

「俺もまさか練習1回でぶっつけ本番でやるとは思ってもいなかったよ。でもそれが逆に相手の不意を付けたのも事実だよね。今後もっと高等テクニックを千冬さんが考案しそうだね……あはは」

 

 大地と束の指摘通り、試合の最後に千冬が高速のUターンを行ったが、それは束命名の『イグニッションターン』である。

 これはイグニッションブーストを計3回行なう高等技術で、1度目で加速し接近、2度目ですれ違いざまに急制動し反転、3度目で加速し距離を詰める技で本人へ凄まじい対G能力が要求される高等テクニックである。

 それをやってみないかと大地が提案し、千冬はそれを一度練習しただけで検討すると言い、ジョセフターフへ使用し見事に勝利を勝ち取ったのである。

 

 3人はその後、他愛のない会話をしつつ、プライベートジェットは離陸し日本へ進路を取った。

 

次回へ続く

 

~月~

 

「こちら、月哨戒部隊エトナ、火星より飛来した飛来物をレーダーにより捕捉。」

「こちら、月哨戒部隊マウナケア、こちらも飛来物を補足。」

「エトナよりマウナケアへ、これより当艦がメガ粒子砲による先制砲撃を行う。大地様からの懸念事項があるためサポートを要請。」

「マウナケアよりエトナへ、要請を受諾。メガ粒子砲および対艦ミサイル発射準備完了。」

「エトナ了解、これより砲撃を開始する。メガ粒子砲、発射。」

「マウナケアよりエトナへ、観測情報を共有。大地様の懸念事項が的中したと判断。」

「エトナよりマウナケアへ、こちらも観測確認。マウナケアに支援要請。当艦との対艦ミサイル発射タイミングを同期せよ。」

「マウナケアよりエトナへ、対艦ミサイルの発射タイミングをエトナへ譲渡。ターンX様へ緊急通信をする。」

 




 お読みいただきありがとうございます。

 降雪地域に住んでいるため、朝晩除雪作業で肉体的に疲労が思いのほか凄いです。
 温かいコーヒーとお菓子が癒しです。

 前話、かなりの誤字を発見いたしましたので後日修整させていだきます。

【御礼】
 前話の誤字のご指摘ありがとうございます。
 また、見つけた際は是非ご指摘くださると助かります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。