IS‐ターンXと行く月面開拓‐   作:かげう

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45話ー渡仏ー

 

 亡国企業への襲撃を完遂した大地達がMR社に帰還してから数日が経ち、大地はケッサリアの中で空を呆然と眺めていた。

 現在、大地は以前鹵獲したフランス製第2世代IS『ラファール』をデュノア社に護送しているケッサリアの機内にいるのだ。

 そして大地は数日前の事を思い出していた。

 

・・・・・・・・・・

 

ー抑制剤の構築が完了しました。これより投与します。ー

「うん、お願いね。」

 

 大地の返答後、首筋から何か冷たいものが入る感覚を覚えてから大地の思考の中にあったドロドロとした破壊衝動のような熱が急激に下がっていくのを感じた。

 

<大地、大丈夫そう?>

「あぁ、なんか思考がクリアになったよ。これで大丈夫そうだ。」

<よかった……念のため私とターンXで再スキャンするね。>

 

 ルナの一言から、また数分の時間が経ってスキャンが完了するとターンXからの報告が上がる。

 

ースキャニング完了。投与ナノマシンの正常可動を確認。偏桃体へのナノマシン浸食の抑制を確認しました。今後の生活にて感情のトリガーなどを検証していきます。ルナの拡張領域に抑制剤のストックと検知器をインストールします。代謝速度を考えて1~2日に1度の投与を行います。可能であれば1ヶ月間は週1回の本機にて検査を行い、それ以降は月に1回の検査で経過を見ることを推奨します。ー

「わかったよ、ありがとう。」

 

 こうして、一時的な処置を終えた大地はテレポートでギャルセゾンの近くへ転移し再合流、MR社へ帰還した。

 

・・・・・・・・・・

 

 そんなことを思い出しながら、大地は自分の顔を片手で覆う。

 

(一時的な処置で何とかなったみたいだったけど、やっぱりちょっと不安は残る。今後進行する浸食度とどう向き合うか……それに束と千冬になんて言って説明するべきか……あの二人を傷つける事だけは、したくない……ルナとターンXに保険は掛けたけど……やっぱり嫌だな……とりあえず今はできることをするか…俺がいなくなっても何とかできるように…)

 

 大地が思考していると、束から借りてケッサリア周辺を飛行している護衛のISである打鉄の姿をしたゴーレム達から、フランスのパリから少し西側に位置するエヴルー=フォヴィル空軍基地の管制下に入った事が報告される。

 

「社長、間もなくエヴルー=フォヴィル空軍基地へ着陸します。シートベルトを。」

「はい、わかりました。シュタイナーさん。」

 

 そんな中、操縦席の方からシュタイナーの声が響いて大地は座席のシートベルトを装着してしばらくするとケッサリアは無事にフランスの地へと降り立った。

 今回の渡仏に関して、大地は秘書のスコールかオータムを引き連れていく予定だったが亡国企業のスコールをトップに置く新体制の動きが予想より早く、2人の業務量がうなぎ登りしたために動向を取りやめてスーツ姿のシュタイナーを引き連れてやってきていたのだ。

 着陸が完了して、降機手続きを行っている中で大地はシュタイナーへ声をかける。

 

「すみません、任務明けだというのに……」

「気にせんでください。私もこういう仕事には少しあこがれを持っていたのです。それになんちゃっての秘書業です。息抜きみたいなものです。」

「そう言ってもらって助かります。」

 

 話しているうちに降機手続きが完了したのか、ケッサリアの元へリムジンが到着してスーツ姿の初老の男性が降りてきてこちらに頭を下げた状態で待機し始めた。

 それを機内の外部カメラから確認した大地はタラップを降ろして機体から降りると、そのまま初老の男性の元へと歩み寄る。

 足音で確認したのか、初老の男性はゆっくりと頭を上げてこちら見て微笑む。

 

「お初にお目にかかります。ムーンレイス社の代表、月乃大地様でいらっしゃいますね。私、デュノア社代表、アルベール・デュノア様の専属執事でございます。現在主人は多忙の身、本社から出ることが叶わないため、不肖ながら私がお迎えに上がりました。どうぞ、こちらへ。」

 

 執事はそう言いながら、後ろで待機しているリムジンの扉を開き乗ることを促してきたので大地とシュタイナーはそのままリムジンへと乗り込んだ。

 そして、リムジンはエブルーから数十㎞程移動しパリ郊外に位置する大きな敷地の会社の正面入り口前で停車し、また執事の誘導のデュノア社へと入った。

 

 大地とシュタイナーはそのまま豪華絢爛に彩られた応接室へと通される。

 そこに並べられている絵画や調度品達を大地はルナを通して検索をかけるも、オークションに出品されたならば億単位の値がポンポンと言われて競り合うほどの物ばかりで大地は、以前会った時のアルベール・デュノアの印象的にここまでひけらかす存在だったかと思い少し引いていた。

 シュタイナーも同じ気持ちなのか、居心地の悪そうな雰囲気を凄く感じつつ室内にいたメイドが淹れた紅茶に口をつけてる。

 アールグレイの素敵な香りが鼻孔を通り抜けて洗礼された味わいを感じ、一息ついた大地はメイドに銘柄を聞いて後でMR社のお土産に買って帰ろうと思いつつおかわりを頂いたタイミングで応接室の扉がノックされ執事が入室した。

 

「月乃大地様、お待たせいたしました。主人のアルベール・デュノア様のご到着でございます。」

 

 恭しく扉の前でお辞儀をした執事がそのまま横にずれると、質の良いスーツを纏う中年の男性が入室し大地へ微笑んだ。

 

「こちらからお呼びしたのにこうして待たせしてしまってすまなかった。そしてお久しぶりですムッシュ・月乃。」

「いえいえ、お気になさらず。こちらも一息付ける時間があってよかったと思っています。にしても大分忙しそうですね?ムッシュ・デュノアも現場ですか?」

「そんなところだ、競合が多いので毎日工場は戦場のような物さ。そちらこそアメリカとドイツが純国産MSを発表したようだが?トップシェアを誇るMR社は大変ではないのか?」

「ははは、あちらは軍用でしょう?我々はそもそも作業用が主体なのです。軍関係の仕事より一般の方が需要もあります。」

「それもそうか、我が社でも物資輸送などでMR社のウァッドはとても重宝していますよ。」

「我が社の製品をご利用いただきありがとうございます。今後とも良しなに。」

 

 他愛のない話をしているうちに、席についたアルベールの前にも紅茶が置かれ給仕をしていたメイドが退出し、執事が応接室の鍵を閉めたのを確認すると、アルベールの表情が険しくなった。

 すこしの間をおいてアルベールは大地へと深々と頭を下げた。

 

「まずは謝罪から。今回の我が社の不祥事に対処していただき誠に感謝する。よくぞ我が社のラファールを捕獲して輸送していただいた。」

「謝罪を受け入れます。こちらとしても護衛対象への攻撃行為を確認し対応したまでです。仕事をしたまでですので、お気になさらないでください。」

 

 深々と礼をするアルベールに対して、大地が返答するとアルベールは頭を上げて言葉を続ける。

 

「それでは時間も限られているので本題へ移ろう。ラファールの返還に対しての件だ。此度の件、捕獲した2機のうち1機だけを護送してきたと聞いている。あれは我々フランスに分配された貴重なコアを使用している。もちろん今回の報奨金にも色を付けようじゃないか……もう1機も速やかに変換していただきたいのだが可能だろうか?」

 

 アルベールの言葉に、大地はゆっくりと紅茶を1口飲んでからゆっくりとアルベールを見つめて観察する。

 大地の強化された視野はアルベールがかなり焦っている様子だと判断し、口を開く。

 

「そうですね、現在ISは1機だけでもその価値は計り知れないものとなっている……MSとは違いコアが量産できない代物ですからね。我々とて現在日本の倉持技研から貸与されたISコアを使用してIS用の装備開発を行っています。もちろん、こちらとしてもラファールのデータを取らせていただきました……あまり褒められたことはしていない御様子ですね?ムッシュ・デュノア?」

「……っ!?まさか…!」

 

 大地がカップをソーサーへ戻しながら言った言葉に、アルベールの顔は驚愕なものに変わる。

 

「公開スペックではラファールにはR&C社のISナノスキン装甲、または同性能の防御力を誇る特殊鋼版が採用されていると記載されていましたが……いくらコスト削減とはいえ、なぜあんなただの鉄板が採用されているのですか?」

「そ、それは……」

 

 言いよどむアルベールに対して、大地は座っているソファーで足を組みながらアルベールを見つめる。

 

「それにシールドエネルギーのシールド発生装置も随分とお粗末な設定だ……R&C社の主任が嘆いておりましたよ?」

 

 大地は、そう言いながら調査を行ってくれた束の言葉を思い出していた。

 

・・・・・・・・・・

 

「だー君!これ作った奴にあったらとっちめておいて!」

「え?ど、どうしたのさ束さん。」

「このラファ……なんだっけ…、まぁいいや!このIS!装甲も低コストでSEとの愛称が全然悪いんだよ!それにこのSE発生装置の設定!全然装甲との兼ね合いを考えてない低燃費すぎる設定!物理装甲もエネルギー装甲も低出力とか宇宙での放射線の防止もできやしない!宇宙で使用なんてした時にはデブリの直撃以前に即死だよ!エンジニアとしては下の下!こんなエンジニアに私のISを触らせたくないね!いっそフランスで稼働しているISコア全部機能停止に……」

「待って待って!そんなことしたらさらに面倒なことになるから!俺が言っておくから!ちゃんと!確実に……ネイビー」

「もう!だー君のバーカー!しっかり言っておくんだよ!」

 

・・・・・・・・・・

 

 過去の出来事に想いを馳せていると、アルベールがゆっくりと口を開いた。

 

「それは、その通りだ……我々は、褒められたことをしていない。だが、先日自体が急に解決したので今後このようなことは起きない……現在、出荷したラファールの点検と称して回収及び装甲材などの交換作業及び再セットアップ作業を始めている。どうか、この事はご内密にしていただけないだろうか。」

「……自体……今後起きないとは?」

「あぁ、この件にはフランスの女性権利団体とIS委員会、そして私の妻の実家である我が社のスポンサー企業が関わっている……そして全てがある企業と繋がっていた。今回の件はその企業への資金提供とISコアの供出のために我が社が搾取され、粗悪な装甲を採用せざる負えない形になった。だが、先日突如その企業のトップが変わり態勢が変わった。そのおかげで資金提供の件はなくなりISコアの供出もなくなったが今度は女性権利団体とIS委員会からの紛失したISコアについての言及が来るようになった……我々は都合の良い尻尾切りに使われたのだよ。」

 

 苦々しい表情でアルベールは下を向いて両手を組む体制になる。

 

「そのために、コアを一刻も早く回収し面子を保たないと我が社のISコア紛失の件を公にすると……そして私個人の秘密も公にすると……そうあちらは言ってきたのだ。そして私にとっては、会社の事より秘密の方が今バレるとまずいのだ……こうして命の恩人に対する無礼は分かり切っている……だが、今回のもう一つのISコアの返還……お願いできないだろうか……」

 

 言い終わるやいなやアルベールはソファから立ち上がるとそのまま心身と頭を下げた。

 それに対し少しの違和感を覚えつつも、それを一旦脇に置いて大地はゆっくりとアルベールを見据えて口を開いた。

 

「ムッシュ・デュノア…貴方の、誠意は伝わりました。故に、こちらから良い話の提案をさせて頂きたい。」

「……それは一体?」

「シュタイナーさん」

「はい、社長。」

 

 大地が、シュタイナーに声をかけるとシュタイナーは手に持っていた少し重そうなアタッシュケースを大地へと渡す。

 受け取った大地は、シュタイナーと違い重さを感じないように軽々と持ち上げてそのままゆっくりとアルベールとの間にあるローテーブルの上に置き開封する。

 ケースの中には、長方形状に切り出された装甲板のような物が入っており、アルベールはそれをケースから取り出すと、装甲板を凝視しつつ指先で感触を確かめる。

 

「こ、これは……ISナノスキン?」

「やはり、技術畑から出てきた方だ…わかりますか?」

「あぁ、だが私の知っているISナノスキンではないようだが…?」

 

 アルベールの言葉に大地はニヤリと笑う。

 

「流石のご慧眼ですムッシュ・デュノア。これは、本日護送してきたISが被弾した際のデータを元に製作されたまだ未発表の新型ISナノスキンになります。」

「なんと……!」

「詳細はこちらになります。」

 

 驚愕して装甲板を見つめるアルベールに対して、大地は空中投影ディスプレイを表示せる。

 そこには、従来のISナノスキンと新型ISナノスキンの粒子構造の違いが表示される。

 

「今回、ラファールの被弾により新型ISナノスキンは従来の装甲と重量をそのままに更なる防御力の向上と高い熱への耐性の付与を実現しました。そして、これを我が社はデュノア社と共同開発を行ったと発表する準備があります。そのサンプルは差し上げますので是非検証なさってください。」

「それは……」

「それに、発表と同時に新型ISナノスキンをデュノア社へ優先的に納品しましょう。是非ラファールの名を世界に広めてください。それと引き換えに、もう1機のラファールをR&C社との新型ISナノスキンの共同開発のためにR&C社へ貸与したと言う形に話をまとめていただいたうえで、MR社との宇宙開発への協力をしていただきたい。もちろん、こちらで貸与されたラファールはR&C社にて改修等を行った際のデータはすべてお渡しいたします。いかがです?悪い話ではないと思いますが?」

 

 大地の提案に、アルベールは下を向いて考え始める。

 数十秒の時間が経っても返答のないアルベールに対して、大地はもう一つの空中投影ディスプレイを展開しアルベールに見せる。

 

「あと、今回護送したラファールですが全体像はこうなっています。どうです?実機データ欲しいとは思いませんか?この攻撃を想定した装甲ですよ?」

「……!?こ、これは……!」

 

 アルベールは本日何度目かわからない驚愕の表情になる。

 ディスプレイに映し出されたのは左腕部装甲とラファール用物理装甲盾がどろどろに融解し、至る所の装甲が焦げている状態のラファールだった。

 

「ま、まて……この威力の熱量兵器など聞いたことが…搭乗者はどうなったのだ!?」

「ご安心ください、搭乗者は瀕死の重傷でしたが現在は我が社の医療設備で回復し、こちらで保護しています。」

「……そ、そうか……その事象を起こした兵器?については…?」

「こちら最高機密になっており、お教えすることはできません。」

「そうか……」

 

 食い入るように聞いてきたアルベールに対して、大地は淡々と答えるとそのままアルベールは少しショックを受けたような表情になるが視線は空中投影ディスプレイに表示されている大破したラファールに釘付けだった。

 被弾したであろう左腕に装甲はユニットごと融解したためか、無理やり作業工具等で切り開かれた跡があり、無事な装甲も表面を高温の物が通り過ぎたのか塗装が泡立ったかのように焦げている状況を見て、超高温が極短時間でこの機体に襲い掛かったことをアルベールは想像して身震いする。

 そして、この事象を起こした兵器を極秘裏に所持しているであろうMR社にこれ以上ISコアの譲歩を願うのは無理と判断したアルベールはそのまま深いため息をつくと、そのままソファーへもたれかかるように座った。

 

「……私の負けだな、ムッシュ・月乃。」

 

 そう呟いてアルベールは、湯気も経たなくなった紅茶を飲み干して大地へ向き合う。

 

「君の提示した条件を飲もう。確かに、MS及びISの装甲材などの技術の最前線を歩くMR社との技術提携……今後の利益を考えればおつりどころではない利益が我が社に舞い込む……どの企業も喉から手が出るほど欲しいの案件だろう。そのテストベットに我が社のラファールを使ってくれるのは光栄だ。宇宙開発に関しては専門外なので後日改めて調整という形になるが、問題ないだろう。書類上、本日2機のISコアを返還を確認し、MR社との技術提携としてISコアとラファールを1機をMR社へ貸与したという形でよろしいか?勿論、今回はIS2機分の返還謝礼をさせていただく。」

「えぇ、我々は問題ありません。ですが、随分太っ腹な対応ですね?」

 

 アルベールの話に大地は微笑んで返答するが、アルベールの言葉はまだ終わらなかった。

 

「だが、私個人のお願いとして一つ頼みたいことがある。聞いていただけるなら今の話通りに進める。聞いていただけなければ私は今回の一件を私の責任として公の場に公開する。この話も無しになる。これは私の秘密に関係するのだ。」

 

 その言葉で、大地はうっすらとある人物が頭をよぎり背中に嫌な汗が出る感覚を覚えた。

 

「穏やかではありませんね?お願いの内容を聞かせていただいても?」

 

 平然を装って大地はアルベールへ問いかける。

 

「ある2人を、MR社の庇護下に……日本で保護してほしい。」

「ほう?2人ですか?」

「あぁ……私の大切な人たちだ。」

「それが、貴方の秘密、そして私を命の恩人と言ったことに関係があるのですか?ムッシュ・デュノア?」

「あぁ、ここから先は他言無用でお願いする。」

 

 アルベールの真剣な眼差しに大地は無言で肯定する。

 すると、数秒おいてアルベールは口を開いた。

 

「実は、私には今の妻の前に愛し合った女性がいた……もう十数年前の話だ…彼女が私が家の都合で結婚をすることになった際に自ら身を引いて私の元から去ったのだが、調査をしてもらった結果彼女は私の子を身ごもっていた……恥ずかしい話だが家の都合で認知することも叶わなかった。だが、彼女は私との子を産んだ……娘だった。だから影ながら彼女と生まれた娘の2人家族で生活をしているのを支援していた。だが、去年に彼女が難病に指定された病気にかかり余命いくばくもない時にR&C社の治療用ナノマシンの継続投与によって完治するまでに至った。だから、君は私の大切な人の命の恩人なのだよ。そんな人にお願いをするのは申し訳ないのだが……この方法が一番安全だと思ったのだ。今の我が社の状況を考えるとな。」

「まさか、その情報が女性権利団体に?」

「その通りだ……そのため、あの団体は私を駒として扱うためにあの2人を探しているという情報を先日入手した。私の信頼できる部下たちを秘密裏に派遣して護衛してもらっているが、時間の問題だろう。この問題が解決するまでの期間だけでもそちらで保護していただけないだろうか?ISの分野とは違うMSの企業なら女権団も簡単には手は出せないだろう。そして、病み上がりの彼女と国外を知らない娘に日本という国を見せてやりたいのだ。どうだろうか?」

 

 真剣な眼差しのアルベールに大地は思考した。

 

(保護についても問題なし、2人と言うのはシャルロットとその母親だろうな……まさか、原作で死亡しているキャラが生存か……これは嬉しい誤算だが、貴公子転入展開が無くなってしまうか……一夏君は……まぁいいか、あの子はそれでも色々捲き込むだろうし。とりあえず、フランスの女権団はやりやがったって事か……アメリカの一件と言い…アイツラ…)ゾワリ

<(大地!落ち着いて!抑制剤強制投与!)>

(……ありがとうルナ。落ち着いたよ。まさかこんなに早く症状が出るなんてな。怒りの感情はやっぱりトリガーか。)

<(みたいだね、こっちでも確認はするけど気を付けて。)>

(ありがとう、気を付けるよ。さて、話を続けないと。)

 

 落ち着きを取り戻した大地は、少し下げていた視線をアルベールへ合わせる。

 

「……わかりました。お二人はこちらで最大限の保護を致しましょう。確認ですが、この事について正妻様はご存じで?」

「……あ、あぁ…先日話した。実は、妻と彼女は幼馴染だったらしくてな……その後3人で話したよ。妻は子供のできにくい体質で実質隠し子に当たる彼女に私との子がいた事実にかなり感情的に彼女に当たっていたが、何とか和解している。妻も彼女が私達を利用する駒に使われることを望んでいないと了承してくれているよ。」

「そうですか、でしたらこちらから言う事はありません。いつ頃来日予定ですか?」

「今からでも構わんよ。実は君が了承してくれる前提で話を進めていたのだ。ムッシュ・月乃?」

 

 ニヤリと表情を変えたアルベールに大地は苦笑いしかできなかった。

 

「ははは、これは一本取られましたな。」

「進んで孤児院などの支援を行い、困っている人たちへの支援を惜しまない君の人柄は世に知れ渡っているよ。だから信用できるというもの……どうか私の大切な家族をよろしく頼む。」

「分かりました。自体が解決するまでお預かりましょう。精一杯のおもてなしをさせていただきます。」

 

 そう言いながら大地は、アルベールと握手を交わした。

 そして、大地はアルベールへ一応知っている事だが確認のため聞くことにした。

 

「そういえば、その二人のお名前を伺っていませんでした。この後、ご予定が合えばお迎えの挨拶に伺いたいのですがお教えしてもらっても?」

「あぁ、ずっと言っていなかったね。彼女はエレーヌ・ルメール、娘はシャルロット・ルメールだ。」

 

 アルベールの言葉を聞いて、やっぱりシャルロットかと天を仰ぎたい気分になった大地であった。

 

 

次回へ続く

 

 

~フランスの古民家~ 

 

「お母さん!準備終わったからいつでも行けるよ。」

「そう、私もさっき終わったと所よ。」

「それじゃお茶淹れるね。」

「いつもありがとう。」

「気にしないで、まだ病み上がりなんだから。でも、長期の旅行なんて急だね?」

「そうね、知り合いから急に旅行券をもらったのよ。療養にもいい国と聞いているし、その国にいる知り合いの懇意にしてる方がね、良くしてくれるよう取り計らってくれることになっているわ。」

「お母さん一体どんな知り合いなのそれ……怪しい人じゃないよね?」

「ふふふ、心配しなくても大丈夫よ。古い知り合いで今社長をしている方なのよ。急用で行けなくなったから是非にと頂いたの。」

「ふーん……」

「それに……あら…お迎えの方が今から来てくれるらしいわ。到着までゆっくり待ちましょうか、シャル。」

 

 




 お読みいただきありがとうございます。

 ここ最近、脳内で話が進むのに文章化できない現象が起きてます。
 これスランプとかプラトーとか言われていやつでしょうか……
 リアルの環境もすごく変わってるのもあるかもしれませんね。

 更新ゆっくりですが、今後ともお付き合いいただけると幸いです。

【御礼】

 前話にて、誤字のご指摘本当にありがとうございます。
 また、見つけてくださった際は是非ご指摘の程よろしくお願いします。
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