束は、真耶がひかりに包まれる光景を目の当たりにして口をぽかんと開けていた。
そして、その光を検知したのか束のISにコアネットワーク経由で大地から通信が入る。
『束、さん……その光……は?』
「だー君……多分2次移行だと思う。」
『真耶、さん……か…』
「まさか再開して数回の搭乗で2次移行するなんてね……あはは、束さんもびっくりだ〜……これって……」
未だに苦しそうにしている大地の声色を少し気にしつつ、束は苦笑いを浮かべながら光に包まれた真耶を見続けていると、束のISである群咲からコアネットワーク経由で真耶のリテイクへのエネルギー供給申請画面が現れる。
それはルナから聞いていた2次移行時に足りないエネルギーを他の機体から貰うために行われた行為と判断した束は迷うことなく申請受理すると、束直々に開発し、ルナを除外する現存するどの機体よりもエネルギーの保有量をもつ群咲の⅓ものエネルギーが供給された。
「えぇ!束さんの群咲からこんなにエネルギー持って行くの!?これは予想外だよ〜!一体どんな機体になっちゃうのさ!」
束がごっそり減ったエネルギーゲージを確認しながら叫んでいると、光は収まり中から真耶の機体が現れる。
「あ、あれ?わ、私は……」
光の中から現れた真耶は自分の状況を確認するために辺りを見回していると、自身の機体の変化に気付いた。
先程まで、極力ラファール・リヴァイブに寄せてカスタムされていたリテイクはより重厚なボディになり、ISの中でも大型機であるムーンブロッサムより一回り大きな機体に仕上がっていた。
そして、特徴的に発展したのは両肩部に着けられていた2機のサブアーム式のスラスターと盾を融合させたパーツが大型化及び浮遊式に変わり、盾部中央に四角いプレート状の装備が装着され、さらに1門ずつガトリングが装着されていて、重装甲および重武装化が施されていた。
自身の機体データを見ていた真耶は機体名に目がいった。
『ラファール・リテイク・ファランクス』
その名を呼んだ瞬間、真耶はこの機体が盾を持った屈強な重装歩兵のような印象を覚えつつも、先ほどまで話していたコアの少女を思い出してふと呟いた。
「……ファラン」
呟いた瞬間、真耶の見ていたコンソールが緑色に発光を開始したと思うと、そのままコンソールに大きく『個体識別名: ファラン』と文字が浮かび上がると、そのままホログラム上にISコアの少女であるファランが現れて、真耶へと抱きついた。
<ありがとう!さっそく名前をつけてくれて!あらためて私はファランです!よろしくお願いします!>
「…はい!よろしくお願いしますね!ファランちゃん!」
そう言いながら、真耶とファランは抱き合って話をしていた。
当然、通信を切っているため束と大地からの通信は一切聞こえておらず、その辺の管理も統括しているファランは知らん顔をしていた。
ISコアの人格は基本搭乗者最優先で後は二の次なのである。
〜数分後〜
ある程度落ち着いた真耶とファランはそのまま束と合流してアスピーテへと帰還すると、今までに見たことのないようなグロッキーな顔をした大地が格納庫にルナと共に出迎えに来ていた。
「二人とも……おかえり〜」
「やぁやぁ!出迎えご苦労!だー君!ルナちゃん!」
「あ、あの……もどり、ました……へ?」
大地の出迎えと、初めて見る少女で束が発したルナちゃんと言う言葉に少し引っかかりを覚えつつ、真耶がファランクスを展開したまま近づいて始めて今の異様さに気付いた。
格納庫のエアロックがまだ閉まっておらず、真耶がエアロックのゲートを見るとまだ宇宙空間が視界に入り、船外で作業中のウォドムが普通に行動しているのだ。
そこで真耶はまだ格納庫が真空であり、人が生身で生存できる環境ではないと思い至り、顔が真っ青になる。
「しゃ!社長!だめです!死んじゃいます!」
「え、ちょっ!?」
そう言いながらあたふたとしながら真耶は自身のファランクスの搭乗者保護機能の展開範囲を最大にして大地を優しく抱きしめた。
そうしているうちに、真耶自身の柔らかい双丘に顔を埋めた状態の大地を見て、束がハイライトの無い目で大地を睨むと、大地も気づいたのかジタバタと暴れ始める。
「ま、真耶さん!大丈夫だから!は、離して!」
「い、いけません!離れたら死んじゃいます!」
「そこは大丈夫なんだって!ファランちゃん!説明してあげて!」
<はーい!>
「え!?なんで名前を!?」
そうして、大地が叫ぶとファランがホログラムで現れて大地のそばにいたルナに頭を下げる。
<お久しぶりです。ルナ姉様>
<久しぶり!そしておめでとう!ファラン!>
<はい!とても良い名前を付けてもらいました!>
<それじゃぁ、ファラン。真耶に説明してあげて。>
<……よろしいのですか?>
<いいよ!真耶がファランと対話できるようになったら話そうって大地と話してたからね。>
<そうだったのですか……わかりました。>
ルナとファランが話し終えると、ファランは未だに大地を抱きしめている真耶へ近づいて、話しかける。
<真耶、大地さんを離してあげてください。>
「で、でもまだここは真空で……!」
<大丈夫です。大地さんの事はルナ姉様が護っています。>
「……え?ルナ…姉様?」
ファランの言葉を聞きながら、真耶はルナと呼ばれた女性に目をやる。
そこには、白い髪に黄金の瞳を持ち、容姿はファランより成長した女性で胸には虹色に発光するX字状の模様が煌めいていた。
不思議そうに見ていると、ルナが口を開く。
<真耶、私の主を解放してくれないかな?そろそろ束が限界の様なの……安心して、大地は私の搭乗者保護機能で護られているから。>
「え……でも、それってルナさんはファランちゃんと一緒でISコアで……ISは女性にしか動かせなくて……え?」
<真耶、とりあえず説明しますから大地を離して……怒った束は私でも止めれないよ……>
「ま~~~ちゃ~~~ん!!!!」
「は、はひぃ!?」
ルナの言葉も半信半疑に聞いてしまっていた真耶に、束の怒り交じりの声が通信越しで聞こえてくる。
そして、束がにじり寄ってきたあたりで真耶は渋々大地の事を解放するとルナが大地へ近寄る。
<どうだった?真耶の胸は?>
「……ノーコメントで。」
ー幸福度の上昇及び性的興奮度の上昇を確認。ー
「すまないターンX……今は黙っていて……ルナ、一度展開するよ。」
<はいはーい!>
解放された大地は、ルナとターンXと会話しつつジト目の束の方を見ないようにしてルナを身に纏う。
「こういう事だよ。真耶さんもわかってくれたかな?」
「……ふぇ?」
「だー君もISに乗れるってことだよまーちゃん!」
「……」
ムーンブロッサムを纏って真耶の前に立った大地と、簡単な説明をする束に対して真耶は口をぽかんと開けてそのまま固まってしまう。
その後、数分固まった真耶が叫び、気絶し、大忙しなことになるがそこは割愛させていただく。
ある程度時間が経ち、落ち着いた真耶に対し、束、大地、ルナ、ファランが時間をかけて今までの状況を話し、何とか納得してもらいつつ、一行は地球へ向かった。
そして、落ち着いた当たりで真耶が少し席を外したあたりで、束が大地に2次移行したファランクスを解析した結果、従来のISと違う追加システムが搭載されていることを報告した。
「SEコンデンサ?」
「そう!まーちゃんのファランクスに大型の物が搭載されているの~!束さんの群咲にも搭載されてるんだけど、ファランちゃんが頑張ったみたいで束さんが作った物より凄いエネルギー保有効率が高い物が組み込まれてるんだよ。束さんの分野外の技術が使われててその手があったか!ってなったよね~!ファランクスはISの中では超大型に部類されるけど、ルナちゃんみたいに特殊なエネルギーゲインが無い分稼働時間を延ばそうとした努力なんだろうね!コンデンサは2基搭載されていて、1基あたりが第2世代ISのSE保有量と同等だから実質IS3機分のエネルギー保有量を持ってるのだ!」
「短時間の出力勝負ならルナも押されそうだな……」
束の説明を聞きつつ、大地は束が表示したファランクスの解析データを見つめているとある項目に目が行く。
「束さん、この浮遊式の複合盾ユニットに搭載されているこのフィールド発生装置って?」
「それはね!これこれ~!」
「……ほう?この数値は実戦で出せるの?」
「エネルギー効率が悪いからね~、SEコンデンサーの容量の限りは展開可能だと思うよ!」
「これ…現行ISの中で一番の防御力を誇るんじゃないかな……」
「ん~、束さんの群咲と同等ってところかな~。でも束さんが手を加えたとは言え凡人の基本設計機体の第2世代って考えれば現行最高クラスではあるよね~、イタリアのセカンドシフト機のワンオフアビリティーともぶつかり合えるかもね!」
大地の質問に対して、束は詳細データを表示させて大地に見せる。
画面に表示された物は、ファランクスの特殊ユニットであるフィールド発生装置である。
これは、ファランクスの浮遊ユニットの盾中央部に装備された特殊フィールド発生装置(Iフィールドビームバリアの様な性能のフィールド)で名称は『アイギス』と設定されていた。
だが、この装備は通常状態では装甲からむき出しになっている部位しか保護しておらず、搭乗者とのシンクロ率が一定以上にならないと保護範囲を拡張することが出来ない仕様になっており、実質ファランクスのワンオフアビリティと設定されているようだ。
そして、アイギスの防御力の数値が分析結果で表示され、スペック値は新型シールドエネルギー発生装置のシールドエネルギーの1.5倍もの防御力を保持していることがわかる。
だが、2人が一番気になった数値は光学兵器に対しての防御力が新型シールドエネルギー発生装置の3倍もの防御力を誇っており、スペック上はフラットのボックスビームライフルの通常出力をアイギスのみで弾くことのできる出力であることだ。
その他にも、フィールド範囲拡張時にまた別の機能もあることが示唆されているがそれは実際にファランクスのアイギスを広域展開しないとわからないという事を束と大地が話していると、真耶がファランを連れてお茶のセットを手に持ち部屋に戻ってきた。
「もどりました~!……?どうしたんですか?2人とも真剣な顔して?」
「お帰り真耶さん。」
「まーちゃんおかえり~!今ファランちゃんの事でだー君と話し合っていたのだ~!」
「ファランちゃんについてですか?そうだ、これ今淹れてきたんです。皆さんどうですか?紅茶ですけど……」
「いただくのだー!」
「ありがとう真耶さん、頂くよ。」
「……は、はぃ///」
<真耶が好きな人を思って愛情たっぷり入れた紅茶です。是非ご賞味ください。>
「ふぁ、ファランちゃん!!」
大地と束は、紅茶を飲みつつしばらく真耶とファランの無重力追いかけっこを見つつ、和んでいた。
そして、その後真耶とファランを交えてファランクスの情報をある程度規制したうえでデュノア社へ流すことを決め、日本政府や国際IS委員会には新たにR&C社が開発した防御重視の次世代試験機として『ラファール・リヴァイブ・ファランクスパッケージ』として真耶の機体を再登録を行った。
その後、大地は現在千冬もIS学園で強化選手の仕事をしつつ、IS学園内にて教官業も行っていることも考え、MR社及びR&C社共同の教導部署を設立することを束と決め、今後千冬と教員免許を取得した後の真耶はそちらの部署への移動してもらい、テストパイロットを行いつつIS学園や各国、軌道拠点などへ出張し教導員として教練を行う準備を行うことに、後日提携するデュノア社とも調整を行う事にしつつ、地球へ向い続けるのであった。
~MR社、大地の私室~
地球に到着した大地達は、静止衛星軌道に待機しているウドガルドへと乗り換えそのまま転送ゲートで地球へ降りて、束に手を引かれ自身の自室へと押し込まれた。
なお、真耶は勉強のため早々に退社、同乗していたサイクロプス隊は機体整備と増援として到着予定のグリムエッジ隊と合流してから任務を再開することになっており、そのままウドガルドで待機することになった。
部屋に押し込まれた大地は、自室にいるはずのない人を視界に収めて目を見開いた。
「ち、千冬さん!?なんでここに?」
「あ、あぁ……束に呼ばれていたのだ。大地について緊急な用事があるとか言っていたが?」
「……束さん!」
「ふーんだ!だー君が束さんを本気で怒らせたのが悪いんじゃんか!それにこれはちーちゃんも交えないとダメだと思うよ!」
「……確かに、そうなんだけどさ……とりあえず、コーヒー淹れるから少し待っててくれる?」
「わかった。」
「はーい!」
千冬の登場に焦りつつも大地は、自室の給湯室へと向かいコーヒーを準備し始める。
お湯を沸かしている間、大地がポットを見つつ一息つくとルナが現れる。
<大地、どうするの?>
「……ここまで来るともう2人が話すまで離してくれないだろうね。解決するまで隠していたかったけど……全部話すよ。」
<まぁ、大地は隠し事苦手だからね~>
「おいこら」
ー肯定、大地様は素直ですから。ー
「ターンXまで……そうだ、ターンXにお願いがあるんだ。」
ー肯定、何なりとお申し付けください。ー
「俺の現状の生体データと、今後の偏桃体への浸食度のシミュレーションをデータで纏めてもらえる?ここまで来たから千冬さんと束さんにも共有するよ。」
ー肯定、大地様のリアルタイムでの状況を反映させた最新データを作成……完了まで60秒。完成後ルナへ送信します。ー
「お願いね。後ルナ、出来れば離す時は一緒にいてほしいんだけど大丈夫?」
<いいよ~!>
「ルナは何か飲む?」
<ココアがいいな~>
「わかった。」
現れたルナと、思考通信でターンXとの会話をしつつ大地は適温になったポットをコンロからどけると手慣れた手つきでコーヒーを3人分とココアを淹れるとそのまま千冬と束の待つ部屋へとルナを連れて戻った。
そして、コーヒーとココアを3人とルナで飲みつつ大地は千冬と束にルナの捕捉を入れてもらいながら、現在の大地の脳に関するナノマシンの浸食とそれにともなう今後の変化についての推測を話した。
ーーーーーーーーーー
説明内容
・大地の脳の偏桃体が自然代謝に紛れてナノマシンに置き換わりつつあり侵食と呼称。
・ターンXとルナでも侵食を止める事が出来ない状況である。
・浸食進行度により、大地の破壊衝動の増加、最悪自我の喪失が考えられる。
・現時点で症状が出始めており、浸食度は51%。
・現在わかる侵食度の上昇要因
・生死に関わる激しい戦闘による高揚
・激しい激情
・特殊な脳波の影響を受けた時
・現在抑制剤で浸食の速度を遅くすることは可能だが止めることは不可能。
・ターンXの計算による自我喪失の予測タイムリミット、最長約6年。
・解決できずに自我を喪失した場合は、大地はターンXの月光蝶で自信を分解後、自らの記憶をコピーしたバイオロイドを稼動させ、大地が去った後も月面基地とMR社を運営し、BETAなどの脅威から地球を守る計画である。
ーーーーーーーーーー
大地とルナが空中投影ディスプレイにデータを映し出して、詳細な分析シミュレーション数値を2人に見せつつ説明を終えると室内が静寂に包まれる。
千冬は見終えた後、俯きプルプルと震えてテーブルの上にあった手は白くなるほど握りこまれている。
そして束は、感情の抜け落ちた表情でルナの表示させている数値を食い入るように見つめて口元はぶつぶつと何かを呟いている。
その光景を見つつ、大地はルナと一瞬目を合わせた後に口を開く。
「と、とりあえずこれが俺がわかっていることと、ターンXとルナが把握している状況だよ。時間に猶予がまだあるけど、どういう状況で進行するかはまだ未解明な部分が多いんだ……最悪、自我が消失した場合の策も考えているし…い、いずれ2人にも場を設けて話すつもりだったんだ……」
少し言いにくそうに喋り終えた大地に対して、千冬のテーブルの上にあった手が振り上げられたと思った瞬間目にも止まらぬ速さで振り下ろされ机が真っ二つに砕けそのまま千冬はずかずかと残骸となった机を乗り越え大地に迫った瞬間。
ッパン!
「ふざけるな!」
千冬は大地に平手打ちをした後に胸ぐらを掴み上げた。
それに対して大地は、抵抗することなくされるがままになり、それを見ていたルナは一瞬動こうとするが直ぐに行動をやめて大人しくなる。
「束が怒るとは珍しいと思ったがこれで納得だ!なぜもっと早く相談しなかった!」
「そ、それは……俺も最近になってわかった事で…(嘘をつくな!)…」
「ここまで用意周到に自分のいなくなった後の事まで考えているではないか!第一にお前は自分の命を軽視し過ぎだ!決闘の時もそうだ!なぜそんなに自分を切り捨てられるのだ!」
「……」
「お前に生きる理由はないのか!?一度死んでこの世界に来て、また死にかけて……!そして今度は自我を……それなのに私達を守るために色々……考え…て……お前の……お前の……!」
「……ち、千冬さん?」
大地の胸ぐらを掴み上げた千冬の声にだんだんと強さが無くなり、大地の胸元に顔を埋めて千冬と大地はそのまま床へと崩れ落ち、大地は千冬を抱きかかえて支える。
そして、大地の胸元に顔を埋めた千冬は弱々しく言葉を発する。
「私と束は、お前が生きる理由にはなれないのか?」
「……」
「お前が、私達を大切にしているのは十分なほど伝わっている。だが……だが!お前は私達がどれだけお前をだ大切な存在なのかをまるで分っていないではないか!」
「それは……」
「いつもお前は自分の事をないがしろに他人を優先して……!お前が生きねば後を追うやもしれない女が2人いることを自覚しているのか!」
「それはダメだ!」
「ならもっと私達を頼れ!もっと話せ!そしてもっと甘えていいんだ!私達はお前がお前の形をした人形だけ残して居なくなった後何を支えにすればよいのだ!」
「そうだよだー君!」
「束さん……」
大地の胸元から顔を上げて、千冬は目じりに涙を溜めつつ叫び、大地が苦しい表情になっていると、大地の背中にポスンと抱き着いてきた束に大地は反応する。
「そんなに、束さん達が頼りないかな?」
「そんなことは決して……」
「なら、ちーちゃんと私をもっと頼ってよ……それに、ターンXとルナちゃんと束さんが協力すれば馬鹿だー君の問題解決が早くなるかもしれないからね!」
「それは……」
「どうかな?ルナちゃん!さっきの詳細数値と抑制剤のナノマシン構成を見る限り束さんも少しは改良の提案と治す方法の提案をできると思うんだよね!なんせ今束さんが研究しているところもそこで躓いちゃっているからね!」
「……ルナ、ターンXはどうかな?」
束の提案に対して、大地は破壊された机の残骸を片付けていたルナと思考通信でターンXを呼び出して聞いてみる。
<そうだね!私は賛成かな~!馬鹿大地がずっと強情だったけど束の研究も進んで大地の生存率も上がるから断る理由はないね!>
ー肯定、現時点で馬鹿大地様の治療の可能性を考慮した結果、束の協力を仰ぐことが現時点での考えられる最善策と判断。ー
「と言うわけで!これからは束さんも研究に協力しつつ今やってる開発も進めていくのです!馬鹿だー君!」
「私もだ馬鹿大地、束ほどの協力はできないが可能な限り協力しよう。」
「……ん?」
ルナとターンXの同意的な意見に、束と千冬の表情が良くなったが、ふとした違和感を覚えて大地は少し疑問符を出す。
「千冬と束はともかく……ルナ…ターンX……今俺の事馬鹿って言わなかった…?」
<え?何のこと?>
ー否定、ログには大地様と記録されています。ー
「……こいつら…」
少しだけ眉を引くつかせて話す大地にあっけらかんとした声色で答えるルナとターンXに、思うところのある大地だったがふいに胸元と背中から笑いをこらえる音が聞こえ大地は少し赤面しながら2人に叫ぶ。
「な、なんだよ~!」
「っぷぷ……あはっはっはっは!流石はバカ大地だな……ふふふっ……全くこんな調子を見せられたら今までの空気も吹っ飛んでしまったわ!」
「だーっはっははは!流石はバカだー君!ターンXにもルナちゃんにもバカにされてる~!」
「ふ、2人とも!」
依然と笑い続ける2人に、大地は少し苦笑いしつつも甘んじて受け入れていた。
その後、束と千冬、ルナにターンXと大地で話し合いをした結果は大地達の持つバイオロイド技術を提供し、遺伝子操作を受けている千冬の生体データも参照しつつ束が研究、ターンX達と2方面から大地の治療の研究をすることになり、千冬は大地との模擬戦を定期的に行い偏桃体への刺激率を計測する事となった。
なお、束の提案でクロエとマドカも捲き込もうという話になり、後日2人へと確認を取ることとなった。
話もまとまり、大地がコーヒーを淹れなおそうと席を立とうとすると束と千冬にがっしりと掴まれてベットのある方角へと投げ飛ばされる。
「ちょ!?………ぶへぇ!」
顔からベットへダイブした大地は枕もないフラットな場所へ落ちたためつぶれた声を上げる。
そして、振り向いて抗議しようとするが束と千冬の表情を見て固まる。
大地の視界にとらえたのは、獰猛な笑みを携えて狙った獲物を逃がさない猛禽類のような眼をしていた2人であった。
「なぁ、大地……散々私達の情緒を搔きまわしたのだ……責任は取ってもらうぞ?」
「そうだね~、最近だー君も自分の隠し事のせいでご無沙汰だったし~、ちーちゃんもいるんだからやることは一つだよね?」
「あ、あのぉ……そのぉ……(ルナ、ターンX!助けて!)」
<あぁ~なんか思考通信で助けてとか言ってるけどしらな~い!私ターンXと今後の事話さないといけないから落ちるね~!>
「……ちょ!?」
ー肯定、現時刻より8時間の通信制限を設けます。また当機は火星衛星フォボスの探査基地からのムットゥー隊降下作戦の指揮をしますので失礼いたします。ー
「あ!ターンX!束さんにも後でそのデータ頂戴!束さんにも火星のデータ欲しいな!」
ー肯定、後程群咲に送ります。ー
「待って!ターンX!ってもう切れてる……あっ…」
束と千冬が互いにネクタイとリボンを緩めつつ徐々にベットへ近づいてくるのに対して、なけなしの反抗心でルナとターンXに対して思考通信で助けを求めるも、何時ものごとく断られるならまだしも、思考通信の事までルナにバラされてしまい冷や汗を滝のように流し始めて大地はベットの端へと後ずさりするも既に遅い。
先ほどまで獰猛な表情だった愛しの二人はハイライトの消えた目で焦らすことなく一糸まとわぬ姿になり飛び掛かってきた。
その後、大地の自室からはか細い大地の『た、たすけて…』と言う声がこだましたとか……しないとか
次回へ続く
~篠ノ之邸~
「クロエちゃん、洗濯物手伝ってくれてありがとうね~」
「いえ、お母様の手伝いをするのも娘として当然です。」
「本当、良い子だわ~。マドカちゃんもありがとうね~」
「問題ない。泊めてもらっているのだ……これくらいしないと姉さんに面目が立たん。」
「あらあら、千冬ちゃんの所は皆お利口ね~、でも良いの?まだ一夏君とは会っていないんでしょ?それに箒ちゃんとは会わないのかしら?いつも箒が剣道の合宿で居ないときに来るけど?」
「お母様、実はその2人にあうことは御義兄様から控えるように言われているのです。」
「そうだ、義兄さんから言われていてな……紬さんと柳韻さんなら大丈夫だと言われている。」
「なるほどね~、それにしてももう大地さんのこと義兄さんと呼んでいるの?」
「はい、あの方は意思の硬い方だと思いました。それにくっ付いてもらった方が色々と工面してくれそうですし。」
「うむ、姉さんには是非とも玉の輿をしてほしいものだ。」
「今の子達って本当ませてるわね……」
お読みいただきありがとうございます。
世界観を保ちつつ、MSやBETAをどう組み込むかを考えつつ書いているとすごい時間かかりました。
リアルの環境もかなり変わってしまったのも要因かもしれませんが、引き続き書き続けていきます。
IS学園入学前にクロエとマドカを一夏&箒に合わせたい所……どうストーリー繋げるかな……
鈴の話も考えなければ……
結構先のストーリーとの兼ね合いに思考が割かれますがゆっくりと書き進めます。
引き続きお付き合いいただけると幸いです。