時間ができ次第随時他の話もこの書き方に変えていこうと思います。
大地は夢を見ていた。
黒い空間で膝を抱えながら泣くルナに似た白髪の少女を後ろから眺めていた。
「どうしたんだい?」
大地はその少女に問いかける。
少女は泣く声を必死に抑えながら言葉を紡ごうとするがうまく発音できていない。
「ゆっくりでいいよ。話せるようになってから出大丈夫だから。」
大地は少女の横へしゃがんで頭をゆっくり撫でた。
すると少女は落ち着いたのかゆっくりと話し始める。
<わ、私は……も、もう誰も傷つけたく……ないの。前の乗り手は、私に戦い以外のいろんな世界を見せてくれた。仲間たちも敵すらも傷つけないように戦ってくれた。でも今の乗り手は……違う!また世界を嵐で満たしてしまう。だから……君にお願いしたいの!私のお姉ちゃんに気に入られたあなたなら……!>
「君はもしかして!?」
大地は彼女の正体に気づいて少女を見ようとすると視界がどんどんと明るくなり少女の顔がぼやけて見えなくなる。
<だから、早く私を見つけて……そして……>
そこで大地は目を覚ました。
数秒放心状態であったが、そのまま右手を自分の額に当て溜息をつく。
「笑顔で……殺して……かぁ~」
大地は夢に出てきた少女が最後に言った言葉を聞き逃していなかった。
そして少女の正体が確信になる。
「ルナ、ターンX。緊急事態かもしれない。」
<どうしたの大地?>
ー御大将閣下殿、一体どうされたのです?ー
大地は二人に先ほど見た夢の内容を話した。
<もしかしたら、本当に来ているかもしれないね。正直考えたくないけど……>
ー肯定、状態にもよりますがどれほどの能力が発揮できるのか次第でも状況がかなり変化します。ー
「だよね……やっかいな問題だよ、その機体がいると仮定して何処にいるかだよね~」
<そうだね〜、ターンX!低軌道衛星まで高度を下げてサテライトスキャンをしながら地球を周回して探せない?>
ー難しいでしょう。あの妹め……ジェネレーター出力を20%以上出してくれさえすれば探知可能ですがそれ以下の出力だと距離が遠すぎて探知不可能です。妹の発言的にもあの世界から来た人間が乗っているかもしれません。おそらくあのシステムの存在を知っていれば使おうとするでしょう、起動時は確実に探知できます。ー
「あのシステムか……蝶は見たくないな~」
<あれは使うこと自体がタブーだよ……使われた時の被害は考えたくないよ。>
大地達が重い空気で話している存在。それはターンXのデータを元に開発された黒歴史文明最高災厄のワンオフ機体。
『system‐∀99』
∀ガンダム劇中で主人公が搭乗しホワイトドールとして使われターンXとの激闘の末に共に眠った存在である。
大地達は、しばらく∀の存在についての憶測など話し合ったが夢で見た内容であるためとりあえず警戒だけしておくということで定期的にターンXが低軌道上でサテライトスキャンを行い捜索を行う話で決まった。
「さてと、懸念事項の話をいつまでやってても仕方がないね~。今日からMR社始動なんだ!∀の事は最低限考えつつ、僕たちは作業用MSの販売を開始しよう!」
<そうだね!サポートするから頑張って売ろう!>
ー肯定、本機も政治・経済の動向など情報収集しサポートさせていただきます。ー
こうしてMR社は日本の山中でスタートしたのだった。
~1年半後~
MR社が開業してから1年半程経ってMR社は軌道に乗り始めていた。
それもそのはずで、開業直後に大々的に発表するも一部のロボマニアなどには大好評であったが既存の重機と違ったMS達は奇異の目で見られ政府からも法整備の必要があるからと国内での販売にかなりの制限がかけられてしまった。
そこで大地達は海外に目を向けたのだ。初めの1年は海外の災害現場にウァッド、港のコンテナターミナルのような流通拠点にモビル・リブ、大規模な建設現場などにプチモビルスーツを操作マニュアルと共に無償で貸し出したのである。
法整備どうこうと言うのなら法整備の緩い他国の現場に貸し出して実績を作ろうと考えたのだ。
結果、半年後にはMR社製作業用MSの性能を目にした海外企業からの発注が来て一気に事業を拡大させ現在山中にあった工場は大型化のための改装工事が行われていた。
流石に月面基地で作ったMSの完成品をそのまま工場へ搬入すると足がつく可能性があるため各部位のパーツブロックごとに分解された状態で月からヨーツンヘイムを使用し輸送、工場までは大地がルナを纏い護衛に着きながら新たに開発した反政府組織マフティーによって運用されていた単独で大気圏突入が可能なサブフライトシステム「ギャルセゾン(ステルス仕様)」で搬入し工場内で組み立てる作業を行っていた。
そして会社運営で大地の手が入る必要がある部分以外の運営はルナとターンXが分担で行っており、大地は商談やマスコミのインタビューなどの対応に追われている状態だった。
なお、一気に市場が拡大して出遅れたと思った日本政府は法整備と免許などの取得制度をすぐに設けてすぐにMR社のMSを海外に流出するのを防ごうとした。
だが、そうはうまくいかずにMR社製MSを気に入ったロシアとアメリカからの圧力が日本へ掛かりわずかな輸出量制限程度で収まった。
アメリカの広大な農業地帯での作業やロシアの極寒で広大な森での伐採作業にウァッドやモビル・リブが大変人気だったのだ。
そして社長室の壁に掛けられた時計の針が21時を回っている現在大地は大変頭を悩ませていた。
それは大地の眺めるデスク上のPC画面に映し出されているメールである。
「米軍とロシア軍からの装備調達要請かぁ……いいんかい両国が同じ会社のMS使うのは」
そこには米軍とロシア軍からウァッドを武装化し、軍の機械化歩兵隊や戦車隊の随伴支援機として導入したいという内容だった。
確かにウァッドはもともと対人用MSだ、武装も地球で販売しているものには搭載していないが本来は固定兵装としてコックピット下に2門の機関砲と腕部にロケット発射器が搭載されている。
(正直これをきっかけに作業MSの軍用化はやりたくないんだよな~、日本の自衛隊からも採用を検討したいってメール数日前に来てたしな、全部保留にしてぇ~)
そう考えながら大地はデスクに置いていたマグカップから冷え切った珈琲を啜る。
するとターンXから通信が入る
ー御大将閣下殿、今お時間よろしいでしょうか?ー
「うん、大丈夫だよ~どうしたの?」
ーはい、現在篠ノ之神社よりISが1機が太平洋上へ向けて飛び立ちました。ー
「そうか、報告ありがとう。引き続き監視をお願いね。」
ー肯定、お任せください。交信終了します。ー
通信が終わった大地はふと右手首のブレスレットを眺める。
数時間前にルナから、月面基地周辺で気になることがあるから月面基地のウォドムを遠隔操作して確かめてくると言ったきり戻ってこないのである。
今日はこの辺で業務を終了して軽くトレーニングをしたのちに寝るかなと考えデスクから立ち上がるとルナが目の前にホログラムで現れた。
<大地!ただいま!>
「お帰りルナ、気になることは解決したのかい?」
<うん!至急報告があるの!これを見て!>
ルナはそのまま空中投影ディスプレイを数枚大地の前に映し出した。
そこには計画上は廃棄されたが電源が生きている某国の月周回人工衛星の軌道航路がごくわずかに軌道変更しているマップデータとその人工衛星が何者かによって息を吹き返し地球へ通信を行っているといううログだった。
「この軌道は……ちょっとまずいかな、1週間くらいで月面基地を衛星が視認できるとこまで来ちゃうね……あぁ~だからウォドムで確認しに行ったんだね。」
<そういう事!で、調査で分かったんだけど、その衛星おそらく束博士がやってる!>
「まぁ、そうなるか」
<それでウォドムを使ってちょっと接触回線で調べてみたんだけど、こんなメッセージが入ってたの!>
ルナはそう言うともう1枚空中投影ディスプレイを表示させた。
そこには……
ー月の宇宙人さんへー
初めまして、私は地球人の篠ノ之束です。
少し前に月の表面で高エネルギー反応を観測し、もしかしたら月面に宇宙人がいるんじゃないかと思ってこの衛星をハッキングして調査へ向かわせました。
技術の進んでる宇宙人さんならこの行動を察知し調査するかもと思い、この衛星にメッセージを残します。
現在私はそちらに行くための翼を作っています。ですが開発に難航しており、まだ時間がかかりそうです。
願わくば、対話を望みます。宇宙人の技術を是非教えてください!
返信する意思がありましたら、この衛星の記憶媒体へメッセージを残しておいてください。学校の関係で1日に一度しか確認できないので返答は遅いですが必ず返答します。
良い返事をお待ちしております。
ー篠ノ之束よりー
一通り読み終えた大地は一度目を瞑り、深呼吸をした。
そして
「前回の御大将ムーヴばちクソばれてたじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!」
<あはははははは!>
と大地は叫び、ルナは腹を抱えて笑うのであった。
ーまったく、御大将閣下殿とルナは何をなさっているのやら……あ、次回へ続きますー
お読みいただきありがとうございます。
今更ではありますが、たくさんの評価及びお気に入り登録ありがとうございます。
自分の妄想の書き殴りをここまで読んでくださる方がいて驚きと嬉しさで一杯です。
今後も、自分のペースで時に速く時にゆっくり更新でやっていきますので気長に次話をお待ちいただけると幸いです。
※2025/10/07 ストーリーの時系列に間違いがあり修正。1年→1年半に変更しました。