ホノイカヅチは褒められたい   作:カニ漁船

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活動報告にて着想を得ました。


目指す理由

 トゥインクル・シリーズのレースは凄い。両親に連れられてきたレース場で、幼いながらにそう思いました。

 

「わぁ……!」

 

 思わず感嘆の息を漏らします。ターフの上では、勝者であるウマ娘が手を振って声援に応えています。

 

「応援ありがとー!」

 

 笑顔で、目に涙を浮かべながら感謝の言葉を口にするウマ娘さん。これまでの努力が報われた、大舞台で発揮することができた、その結果勝利を掴み取ることができた。そう考えると、涙が自然と出てくるのは当然のことなのかもしれません。

 

 そんな彼女に投げかけられる、温かい言葉の数々。

 

「おめでとーう、頑張ったなー!」

「ずっと応援しているからねー!」

「これからも頑張ってー!」

 

 レース場に集まった多くのファンが、勝った子を褒め称えています。勿論、勝った子だけじゃありません。

 

「次は頑張れー!」

「必ずリベンジだー!」

 

 負けた子にも、労うような言葉が投げられています。勝負の後はノーサイド、頑張った子はみな平等に褒め称える。そんな精神を垣間見ました。

 

 そんな光景を目にした自分。思わず言葉を漏らしてしまうほどに魅了された自分。

 

「すごい、すごいなぁ……!」

「うん、凄いわねホノイカヅチ。これがトゥインクル・シリーズよ」

「ホノイカヅチも気に入ったみたいだな。楽しんでるようだし、連れてきた甲斐があったよ」

 

 興奮が抑えきれない。目の前にあるキラキラとした景色に、目も心も奪われる。

 

 なんて、なんて素晴らしい世界なのだろう。

 

「が、がんばったらあんなにほめてもらえるっ! トゥインクル・シリーズ、すごい!」

 

 ファンの方々にあそこまで褒めてもらえるなんて! と。

 

 白熱した勝負は凄かったです。意地と意地がぶつかり合う世界、コンマ1秒を争う戦いは確かに目を惹かれるでしょう。

 けれど、それ以上に自分を魅了してやまなかったのは、頑張れば褒められるということでした。勝っても負けても努力を褒められる。頑張った分だけ、褒めて認めてもらえる。なんと素晴らしきことでしょうか!

 

「お、おいらもほめられたい、あそこにいる人たちみたいに、ちやほやされたい!」

 

 別に両親に褒められてないとか、認められてないとかではありません。周りの子達に虐められているとか、そういうのも断じてない。

 褒められたい、ちやほやされたい。自分にとってはそれだけのことです。走って、あわよくば勝って、今も手を振って応えているウマ娘さんみたいに喝采を受けたい。それが自分の、オイラの走りの原点。

 

 なお、両親は。

 

「あなたはそういう子よねホノイカヅチ。変わらないみたいで安心したわ」

「いいじゃないか母さん。これもホノイカヅチの魅力だから」

「ならその微妙な表情を止めなさい? お父さん」

 

 オイラのことを否定せず、オイラらしいと受け入れてくれました。優しい両親が、オイラは大好きです。微妙そうな表情については触れないようにします。

 

 

 そうと決まれば、オイラもトゥインクル・シリーズで走れるよう頑張ることに。出走するために必要不可欠な中央は狭き門、頑張らなければ合格はできません。

 

「本家の子達も、最近は入学するのが難しくなったからなぁ。でも、ホノイカヅチならきっと合格できるさ」

 

 それでも頑張ります。全てはより多くの人から褒められるために、ちやほやされるために!

 

(と、トゥインクル・シリーズはたくさんの人が見るエンターテインメント。こっちで走る方が、もっともっと褒めてもらえる!)

 

 褒められたら嬉しくなる。ちやほやされたら気分が上がる。なのでオイラは頑張ります。というか、それがなければオイラは頑張らないです。仮にちやほやされなかったら寝込みます。

 当然じゃないですか。走るのは嫌いじゃありませんけど疲れますし、レースともなれば多くの子達と走らなければならない。顔も知らない、交流のない他人と走る。そんでもって疲れる。そんなの、オイラの負担が半端じゃないです。

 

「でもホノイカヅチ。レースになれば他の子と走ることになるのよ? あなた本当に頑張れる?」

「ぴっ!? が、がんばる……」

「こら母さん! ホノイカヅチは褒められて伸びる子なんだから、そんな負担のかかることを言うんじゃないよ!」

「でも、いつかは直面するのよ? 優しいホノイカヅチが将来気を落とさないように、今のうちに教えておかないと」

 

 本当だったらオイラも中央で走ろうとは思いません。あんなキラキラした場所、オイラには似合わないですし、地味なオイラは地方で走っている方がお似合いだと思います。

 でも、オイラはあの舞台を知ってしまった。中央で走ることに喜びを見出してしまいました。あの舞台で喝采を受けて、みんなにちやほやされたいと思ってしまいました。

 なら頑張るしかないでしょう。だって褒められたいんですもん。

 

「が、がんばっ、る! だって、おいら……ちやほやされたい!」

「うん、原動力は何であれ、やる気なのは良いことだ」

「えらいわね~ホノイカヅチ。その調子で頑張りましょうね~」

 

 原動力は褒められること。いつか中央で活躍することを夢見て、オイラは日々努力を重ねました。

 

 幸か不幸か、オイラには才能がありました。中央で走るだけの才能が。分家の子達よりも速いですし、本家の子を交えたかけっこでもオイラが勝ちました。

 

「分家で一番どころか、本家の子達よりも速いな。これなら中央でも!」

「久しぶりに中央で活躍できそうな子が出てきた! これにはご当主様も喜んでくれるだろう!」

「うぇへ、ふひひっ」

 

 本家の偉い人達に褒められて鼻高々。オイラを才女と持ち上げて、久しぶりに活躍できる子が出てきたとみんな喜んでいます。

 いや~、大変気分が良いですね。口を開けばオイラのことを持ち上げて、みんながみんな褒めてくれます。こんなに気分が良いことはありません。気持ちも有頂天になるってものです!

 

「ふひひ、も、もっとほめてっ」

「噂には聞いていたが、本当に褒められるのが好きなんだなこの子は」

「中央を目指す理由も、ちやほやされたいかららしい」

「いいんじゃないか? 微笑ましいものだろう」

「理由がどうあれ、すでに本家の子達よりも上だ。活躍はともかくとして、頑張ってほしいものだな」

 

 ちなみに、先ほどから本家とか分家とか言ってるように、オイラの家はさる名家です。没落寸前の断絶寸前みたいな状況ですけどね。活躍しているウマ娘が出たのも昔の話、今は緩やかに世代交代の波に飲まれるのを待つだけ、といった状況です。

 そんな状況で出てきた、中央で活躍できそうなオイラ。期待しないわけがありません。まぁ、勝てるかどうかに関しては別ですけど。

 

 ご当主様からは、心配の言葉をいただきました。

 

「あまり無理はなさらないように。体調第一で頑張るのですよ? お家のことなど気にする必要は」

「は、はいっ! おいら、がんばります! ちやほやされたいので!」

「あ、はい。私が忠告するまでもなく大丈夫そうですねこれは」

 

 ケガや病気をしないようにと、オイラの健康を願う言葉をくださったご当主様。オイラなりに頑張ろうと思います。

 

 

 それから月日は流れ、気づけば中央の合格発表の日。オイラは静かに合否の結果を待ちます。父様と母様は心配なのか右往左往していました。

 

「あぁ、ホノイカヅチは大丈夫だろうか?」

「大丈夫よお父さん。あんなに頑張っていたんですもの。きっと合格できているわ」

「どっしり構えているように見えて、足が震えているよ母さん。心配なら心配と言えばいいのに」

 

 オイラはそこまで心配していません。だって、やれるだけのことはやったんですから。

 

(それで落ちたとしても仕方ない。オイラに資格はなかった、それだけの話です)

 

 あたふたしたって仕方ない。全力を尽くしてダメだったらしょうがない。それだけの話です。これは、レースにも通ずるものがあります。

 

 心配をしていた両親ですが、そんな不安を吹き飛ばす通知が届きます。中央の合格通知でした。

 

「ふひひ、これでトゥインクル・シリーズを走れるっ」

「やったなホノイカヅチ! これまでよく頑張った!」

「向こうでも元気にやるのよホノイカヅチ。いつでも通話してきていいからね?」

 

 晴れてオイラはトレセン学園に通うことが許されます。これで、褒められちやほやライフの第一歩を踏み出せました。後は、トゥインクル・シリーズで走るだけ。

 

(トレーナー、見つけなきゃだけど。なんとかなる、よね)

 

 向こうでも頑張ろう。知り合いもいないし、交流のあった子もいないけど。本家の子達も分家の子達もみんな、地方のトレセンに行っちゃうらしいですし。オイラは一人ボッチで中央です。

 あれ、そう考えると途端に不安になってきました。オイラ、中央で上手くやれるのでしょうか?

 

「あばば、あばばばっ」

「どうしたホノイカヅチ!? 急に壊れた機械のような声を出して!」

「もしかしてホームシックかしら?」

「まだ入寮すらしてないのに!?」

 

 前途多難な道のり。それでも頑張ります。輝かしい未来に向けて。

 

 

 

 

 

 

──とある世界の掲示板──

 

 

322:名無しの一般ウマ娘ファン

ホノイカヅチちゃん可愛いprpr

 

323:名無しの一般ウマ娘ファン

ホノイカヅチこーれは人気……地味だなこの子

 

324:名無しの一般ウマ娘ファン

我この子名前だけしか知らないんだけどどういう子なの?

 

325:名無しの一般ウマ娘ファン

>>322

おまわりさんこいつです

 

326:名無しの一般ウマ娘ファン

一言で表すなら化石どころか古代血統

 

327:名無しの一般ウマ娘ファン

イカれた血統のキメラ

 

328:名無しの一般ウマ娘ファン

コイツだけなんかおかしい血統してる

 

329:名無しの一般ウマ娘ファン

早い話↓を見ろ

 

【画像】

 

330:名無しの一般ウマ娘ファン

あの時代にイカれた血筋をしているやべーやつだ

 

331:名無しの一般ウマ娘ファン

生産者は何を思ってこんな配合をしたのか不思議でならないやべーやつだ。お前も沼に沈め

 

332:名無しの一般ウマ娘ファン

>>329

あの、なにこれ?本当になにこれ?

 

333:名無しの一般ウマ娘ファン

凄さがよく分からん。よく聞くサンデーとかは入ってないみたいだけど

 

334:名無しの一般ウマ娘ファン

カルストンライトオとかいるし、別にサンデーフリーでも珍しくは…いや結構珍しいな

 

335:名無しの一般ウマ娘ファン

>>329なんだこの血統ウ〇ポかよ

 

336:名無しの一般ウマ娘ファン

走りとか戦績よりもまず血統が話題になるやつだ

 

337:名無しの一般ウマ娘ファン

化石血統とかよく言われるけどコイツに関しては古代血統

 

338:名無しの一般ウマ娘ファン

ご新規さんが困惑しておられる。誰か説明してあげろ

 

339:名無しの一般ウマ娘ファン

えーはい。まずコイツの父系の話ですが

 

340:名無しの一般ウマ娘ファン

素直にこいつがいるの本当にわけ分からん。血統的な意味で

 

341:名無しの一般ウマ娘ファン

今はクワイトファインとかウマ娘だとサトノクラウンが化石血統と言われてるけど、コイツも比じゃないレベルで化石

 

342:名無しの一般ウマ娘ファン

知らない名前しかいねぇ!

 

343:名無しの一般ウマ娘ファン

コイツこそ真の内国産馬の結晶だろ

 

344:名無しの一般ウマ娘ファン

父系メイヂヒカリ、母系カネケヤキとか誰が想像できんだよこれ

 

345:名無しの一般ウマ娘ファン

コイツの血が残っていることの方が恐ろしいわ。馬産家には何が見えてたんだよ

 

346:名無しの一般ウマ娘ファン

趣味配合を突き抜けたやべーやつ

 

347:名無しの一般ウマ娘ファン

メイヂヒカリ:初代有馬記念(当時は中山グランプリ)覇者。顕彰馬だったり2代目三冠馬シンザンになぞらえて「日本刀の切れ味」と称されていた

カネケヤキ:シンザンと同世代の二冠牝馬。菊花賞は5着だけどまぁまぁやべー奴。元日本最長寿のお馬さんだった

 

348:名無しの一般ウマ娘ファン

他に知らねぇよこんなイカれた血統の馬!

 

349:名無しの一般ウマ娘ファン

サンデーとかトニービンとかいろいろいた時代にコイツがいるのホンマにわけ分からん

 

350:名無しの一般ウマ娘ファン

血統のキメラ配合

 

351:名無しの一般ウマ娘ファン

コイツの血にグリーングラスもいるの恐ろしすぎるだろ。どうなってんだよ

 

352:名無しの一般ウマ娘ファン

これには競馬おじさんもニッコリの血統やぞ

 

353:名無しの一般ウマ娘ファン

>>352

ニッコリどころか困惑するわこんな配合

 

354:名無しの一般ウマ娘ファン

生産者「むしゃくしゃしてやった」

 

355:名無しの一般ウマ娘ファン

バカやろうお前ら可愛いからいいんだよ!

 

356:名無しの一般ウマ娘ファン

実際むしゃくしゃしてやってそうな配合ではあるが…

 

 




↓が主人公の血統です。知らない名前は全部オリジナルの架空馬です。



ヤクサ
ヤサカニノヒカリ
メイヂヒカリ
クモハタ
シラハタ
ハクセツ
フソウ
セツシユウ
ハレバレヤサカニ
メイズイ
ゲイタイム
チルウインド
第四サンキスト
トサミドリ
サンキスト
トツカノヤサカ二
トシグリーン
グリーングラス
インターメゾ
ダーリングヒメ
ファインフレーム
ロードリージ
タイズキ
コウテンヤサカニ
タケホープ
インディアナ
ハヤフブキ
ケヤキヤサカニ
コダマ
カネケヤキ

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