機動戦士ガンダム:UC0081 異惑星重力戦線   作:izuminnー3305

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第3話:戦争への序曲

 ソフィアが士官学校に入学して五日後、婚約者関係と言う事で特別に寮の部屋はシンと一緒となった。

 

 それからはソフィアは軍医科を進み学内トップの成績となり、一方のシンは学校生活とソフィアとの付き合いを両立させながらザクⅠのテストを順調に行っていた。

 

 とある日の昼時。学内の食堂では多くの士官候補生達が縦長のテーブルで食事をしている中でシンは女子の士官学生服を着こなしたソフィアと一緒にカツカレー定食を食べていた。

 

「うん♪シン、この日本の料理って凄く美味しわ。衣で揚げた豚肉がピリ辛のルーとライスに合って、食べる手が止まらないわ」

 

 テーブルを挟んでソフィアの向かいに座るシンは自慢げな笑顔で頷く。

 

「そうだろう。ちなみに日本に存在して旧軍事組織である大日本帝国海軍と日本自衛隊で毎週金曜にはカレーを食べる習慣があったんだ。こいつは長い海上任務で曜日感覚を忘れない為なんだ」

 

 シンの話した軍事歴史の知識に食べながら聞いていた関した笑顔をする。

 

「へぇーーーーーーっそうなんだ。それは知らなったわ」

「すまないが、隣いいか?」

 

 二人の話しに割って入る様にハンバーグ定食が乗ったトレーを手に持ちサングラスを着け、男子の士官学生服を着こなしたシャアが笑顔で現れた。

 

「おお!シャア、いいぞ。それと・・・お!ガルマじゃないか!」

 

 シンが喜ぶ様な笑顔でシャアの後方で同じハンバーグ定食が乗ったトレーを手に持ち、男子の士官学生服を着こなしたガルマに声を掛けた。

 

「やぁ!シン!ソフィア!シャアと一緒にランチをしても?」

 

 ガルマが笑顔で問うとシンとソフィアは笑顔で頷く。

 

「ああ、いいよガルマ、シャア。一緒に食べよう」

「ええ、いいわよガルマ兄さん。一緒に食べましょう」

 

 こうしてシン、ソフィア、シャア、ガルマは共にランチを始めた。するとシャアはシン、ソフィアに小さな声で話し掛けた。

 

「二人共、この後、僕とガルマの寮室に来てくれ。大事な話がある」

 

 シャアからの唐突な誘いにシンとソフィアは少しキョトンとした表情をするが、すぐに頷く。

 

 その日の夜、シャアは寮室でガルマ、シン、ソフィアにガーディアン・バンチンの連邦軍駐屯地への攻撃計画を話した。

 

「凄いなぁ!もしかしてガルマも、この計画に参加するのか?」

 

 シンからの問い掛けにガルマは決意を固めた表情で頷く。

 

「ああ!これ以上、罪のないスペースノイドが連邦に蹂躙させる訳にはいかない!」

「決行は今夜だ。どいだ?ジオンの為に一緒に戦ってはくれないか?」

 

 シャアからの頼みにシンは一呼吸をしてから勇ましい表情で頷く。

 

「分かった!シャア、ガルマ。俺も一緒に戦うよ!ソフィア、君は寮に残っているんだ」

 

 シンが自身の左側に立つソフィアに自身の安全を優先する事を進めるとソフィアは反論した。

 

「ふざけないでシン!私も一緒に行くわ‼︎戦う事は出来なくても!傷付いた味方を救う事は出来るわ‼︎私をいつまでもか弱い女と思わないで!」

 

 ソフィアの固い決意に満ちた表情と眼差しにシンは一瞬、たじろぐが、すぐに真剣な表情と頷く。

 

「分かったソフィア。ただし決して俺の側を離れるなよ」

「ええ、分かったわ」

 

 こうしてシャア、ガルマ、シン、ソフィアは卒業を控えた学生達に今回のズム・シティの暴動治安を武力で制圧しようとするガーディアン・バンチンの連邦軍駐屯地への攻撃計画を話し、二百名以上の男女学生が参加する事となった。

 

 そして宇宙世紀0077年の深夜。ガルマによる檄で武装した二百名以上のジオン士官学校の男女学生達がガーディアン・バンチンの連邦軍駐屯地への攻撃を開始。激しい戦闘の末に見事、連邦軍の軍事介入を防いだ。

 

 この“暁の決起”は多くのジオン国民を熱狂させる一方でジオンと地球連邦との間に軋轢を生んでしまい、後の人類史上最悪と呼ばれる“一年戦争”の発端となってしまった。

 

⬛︎

 

 その後、ガルマ達、暁の決起を起こした二百名以上の男女学生達は英雄のごとく凱旋パレードに参加。一方で連邦政府は即時、決起を起こした学生及び首謀者であるガルマの引き渡しを要求したが、デギンの計らいでガルマの引き渡しはなくなったが、その一方で再発防止とジオンと連邦との新しい関係の為に連邦側の資産没収と軍の完全撤収が条件となった。

 

 一方、シャアは士官学校の校長を務めるドズルの厳命で士官学校を除隊する事となったが、シンそしてソフィアからの説得で除隊は取り消され、その代わりキシリア配下のMSパイロットとなる事となった。

 

 暁の決起後、シン達は無事に士官学校を卒業しシャアとシンは共にMSパイロットへ、ソフィアは軍医へ、だがガルマは後方の安全な事務へと配属された。

 

 それからしばらく時が経ち、ジオンの採掘衛星、ア・バオア・クーでシンはツィマット社の藍色と浅葱色に塗装され、一本角が付けられた試作新型MSのEMS-04A2 ヅダⅠの試験運用が行っていた。

 

「フォーーーーーーーーーッ!流石、ザクⅠに対抗する為に作ったMSだ‼前期のモデルは木星エンジンが生み出す(ジー)に耐え切れなくて空中分解してしまったからな。しかし、キシリア閣下の鶴の一声とご自身の財布で主力の座をヅダに与えるとは」

 

 そう嬉しそうな表情と口調でジオン軍MSパイロット用のノーマルスーツを着こなしながらコックピット内で言うシン。

 

 ヅダはジオニック社よりも高い技術力を誇るツィマット社の渾身の機体でジオニック社のザクⅠを遥かに上回る機動力と性能を誇っていたが、大出力を誇る木星エンジンが生み出す(ジー)に前期型である04A1 ヅダ(ゼロ)は機体強度の不足から試験中に空中分解を起こした。またザクⅠに比べて生産コストが高い事が重なり、不採用となった。

 

 だがヅダの高い性能に目を付けたキシリアは何とかギレンを説得、そして自身の懐の財布を使って更に機体強度と量産コストを改善した04A2 ヅダⅠを開発した。その結果、ザクⅠを凌駕する機体となり主力機の座を勝ち取った。

 

 シンはジョイスティック型の操作レバーとフットペダルを動かし、ヅダⅠを動かし武装したMSAL-01 20mmザクマシンガンで無人宇宙戦艦を射撃し撃沈する。

 

「よし!射撃システムは問題なし。姿勢安定装置、バランス・ブースター、出力システム、動力ならびに駆動系、操作システム、コックピットシステム、レーダー、通信システム、モニターカメラ、金星エンジン、全て問題なしと」

 

 シンは着こなすノーマルスーツのヘッドバイザーを上げた状態でクリップボードに付けられた機能報告書にチェックとヅダⅠに対する自己報告をペンを使って書き込んでいると緊急の通信が入る。

 

HQ(司令部)!こちらジョウジ・シン特務曹長です‼」

 

 HQ(司令部)からの通信を受け取ったシンは内容を聞いて驚く。

 

「何ですって⁉分かりました!すぐにラル隊と合流します‼」

 

 そう言ってシンはバイザーを降ろし、ヅダⅠを動かしエンジン・ブースターを上げてジオンの高速宇宙艦へと向かった。シンがHQ(司令部)から受け取った任務はMS開発の第一人者である『ハイラム・ミノフスキー』博士が地球連邦側への亡命を画策し、連邦の兵器開発を担うアナハイム社に向かう事を阻止する任務であった。

 

 

 しばらくして高速宇宙艦で月に到着したシンはヅダⅠで降下、月面で待機していた浅葱色に塗装され、頭に一本角が付けられMSKL-01 20mmマシンガンとMS用シールドを装備したMS-04 ブグを操縦するMSパイロットの『ランバ・ラル』大尉の部隊と合流、徒歩でスミス海へと向かった。

 

「ねぇーーーーいっ!こう地べたを這いずる様に歩くのがじれったい‼」

 

 黒く塗装されザクマシンガンとMS用シールドを装備したザクⅠを操縦する黒いノーマルスーツを着こなすMSパイロットの『アルダ・オルテガ』准尉の苛立ちを茶色いノーマルスーツを着こなすラルが宥める。

 

「落ち着けオルテガ。ジャンピングをすると土埃が立つ。辛抱しろ」

 

 するとラルのブグの後ろに付く、ザクマシンガンとMS用シールドを装備したヅダⅠを操縦するシンが無線でラルに声を掛けた。

 

「ラル大尉、本当にミノフスキー博士は連邦に亡命をするのですか?自分には今だ信じられません」

 

 シンがそう言うとラルも納得していない様な口調で返した。

 

「ああ、事実らしい。俺も正直、納得していなよ特務曹長」

 

 すると二人の会話に割ってはいる様に黒く塗装されMSLB-01 50mmザクバズーカとMS用シールドを装備したザクⅠを操縦し、黒いノーマルスーツを着こなすMSパイロットの『ドゥバ・マッシュ』准尉がジュークを言い放つ。

 

「ジオニック社の安月給に不満が一杯になって亡命をしたくなっちゃったんじゃないですか大尉?」

 

 ジョークを言うマッシュにラルは一括する。

 

「おい!マッシュ‼いい加減にしろ!ガイアも二人の事を抑えろ!」

 

 ラルからの指示に黒く塗装されザクマシンガンとMS用シールドを装備したザクⅠを操縦する黒いノーマルスーツを着こなすMSパイロットの『ミゲル・ガイア』大尉が小さく笑う。

 

「我慢して下さいラル大尉。こいつらも早く戦いたくてウズウズしているんです」

 

 それからスミス海の淵に待機していた赤く塗装されザクマシンガンとMS用シールドを装備したザクⅠを操縦する赤いノーマルスーツを着こなすシャアがザクⅠの外に出て、月面の世界を見ていた。

 

「いいなぁ。赤と黒のコントラストが実にいい」

 

 そう言って瞳の色を隠す為に着けたバイザー越しからシャアはささやかな心の癒しを感じていた。

 

 するとそこにラル達が到着し、シンは無線でシャアに向かって声を掛けた。

 

「よぉ!シャア。俺達が着くまでに美味いコーヒーは入れてあるか?」

 

 シンからのジョークにシャアは向かって来るラル達のMSを見ながら笑顔で答えた(ボケ)

 

「すまない、シン。うっかりコーヒー豆を忘れてしまってね。インスタントならあるが」

「ハハハッ!んじゃ任務が終わった後にいただくよ。また会えて嬉しいよシャア」

 

 シンがそう言うとシャアも笑顔で返事を返した。

 

「ああ、私もだよ友よ」

 

 ラルが二人の会話をコックピット内の無線機で聞いて、ほくそ笑んでいると何かが近づく気配を感じ取る。

 

「二人共、再会の挨拶は後だ。どうやら兎が来たようだ」

 

 そう言うラルの言う通り、グラナダからフォンブラウンへと続く月面高速道路の東側からミノフスキー博士らが乗った六輪駆動のムーンカーがスピードを上げて迫って来ていた。

 

「よーーーし!皆、始めるぞ‼」

 

 ラルが大声で命令を出すとシャアは自機に乗り込み、シン、ガイア、マッシュ、オルテガはラルのブグと共に操縦するザクⅠ、ヅダⅠをジャンピングさせムーンカーへと迫った。

 

 ラル達、MS部隊の奇襲にミノフスキー博士らが乗ったムーンカーは混乱し、すぐに無線で連邦軍のMS揚陸宇宙艦に応援を要請し、これを受けた揚陸艦艦長はただちに12機のアナハイム社の新型MS、RX-76-02 ガンキャノン最初期型で編成された鉄騎兵中隊をスミス海へと降下させた。

 

 先手を取った鉄騎兵中隊は隊長の『エルドゥシュ・アレッツ』中尉は自機を含めた四機のガンキャノン最初期型は固定武装の110mmショルダーキャノンで先制砲撃を行った。

 

 だが砲撃の着弾と同時に発生した土煙を使ってグブ、ザクⅠ、ヅダⅠは大きくジャンピングを行い一気に鉄騎兵中隊との距離を詰めながらマシンガンでガンキャノン最初期型を頭上から攻撃を与えた。

 

 一方、シャアは空中を飛行する連邦軍の宇宙攻撃機を攻撃し正確な射撃と機動力で次々と撃墜していた。

 

 また黒い三連星は荒々しく、また息の合ったチームワークによるアクロバティックな機動でガンキャノン最初期型を攻撃するが、止め刺そうとする時にシンが操縦するヅダⅠの横やりでキルアシストする方で撃破を横取りされていた。

 

「てめぇーーーーーーーーーーっ!何で俺達の獲物を横取りするんだ‼」

「おい!新顔‼どんな世界でも先輩に譲るのが社会のルールっての聞いた事がないのか?」

「戦果が欲しいのは分かるが、少しは遠慮するのも人付き合いには必要だぜ、新人」

 

 オルテガ、マッシュ、ガイアから無線でそう言われるとシンは小さく溜息を吐いた。

 

「いいですか三連星の皆さん、ここは戦場です。そんな曲芸まがいな動きをする前に確実に敵を倒して下さい。そんなに目立ちたいなら他所でやって下さい」

 

 そう言ってシンはブースターを着けて大きくヅダⅠをジャンピングさせると降下しながら三機のガンキャノン最初期型を確実に撃破し、一方でガイア達はシンからの正論にぐうの音も出ず、ただ彼に苛立ちを覚えた。

 

「そんな⁉こんな事が‼」

 

 連邦軍の宇宙揚陸艦の艦長は目の前に広がる壊滅寸前となった鉄騎兵中隊の光景に目を疑っていた。

 

「艦長!前へ‼」

 

 操縦手がそう叫ぶとブリッジの目の前にシンのヅダⅠとシャアのザクⅠが共に連邦軍の宇宙揚陸艦の目前に現れる。

 

「やるぞシン!」

「ああシャア!」

 

 そう言って、まずシャアが先行してブリッジをザクマシンガンで攻撃し、次にシンが前に出て揚陸艦の右翼を飛びながらガンキャノン最初期型が収納していた格納ブロックをザクマシンガンで流れる様に攻撃しながら後部の三連式対空機関砲一基を撃破、そして最後にシャアとシンは共に揚陸艦の後方に回るとエンジンブロック目掛けてザクマシンガンを照射し揚陸艦を撃沈させる。

 

 僅か四十分間の戦闘で連邦軍の虎の子と謡われた鉄騎兵中隊はたった6機のジオンのMS部隊に完膚なきまで撃破され、全滅。また亡命しようとしていたミノフスキー博士は無事にラルに保護された。

 

 この人類初となる対MS戦闘と呼ばれる“スミス海の虐殺事件”はラルは5機、黒い三連星は2機、シンは5機のガンキャノン最初期型を撃破、一方のシャアは6機の連邦軍攻撃機隊を全機撃墜と言う華々しい戦果となり、ジオンと地球連邦との全面戦争は一気に加速した。

 

 一方で連邦軍は12機のガンキャノン最初期型と6機の攻撃機、1隻の揚陸艦を撃破されると言う悲惨な戦果となった。しかし、この大敗をきっかけにミノフスキー博士の弟子であったアナハイム社のMS開発部長の『テム・レイ』が進める新型のMSであるコードネーム、“ガンダム”を主軸とした計画、“V作戦”が始動した。




正規では不採用となった不遇の名機、ヅダの活躍を描きました。自分は何気にMSの中でヅダが好きです。

次回は序章の最終部、一年戦争となります。乞うご期待、下さい。
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