機動戦士ガンダム:UC0081 異惑星重力戦線   作:izuminnー3305

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第5話:一年戦争(中)/重力戦線

 ルウム会戦後から数日後、公王庁の大広間では勝戦記念を祝してパーティーが行われていた。多くの清楚な衣服を着こなす人々はレッドカーペットを勇ましく堂々とシャア達、MSのエースパイロットの面々。

 

 そして勲章を付けたギレンが左手にシャンパンの入ったグラスを持ちながら演説台に立ち、参加者達に向かって勝戦の言葉を述べ始めた。

 

「諸君!ルウムの戦いは我々、ジオンにとって大きな勝利であり!独立を勝ち取る大きな一歩でもある‼しかし今日は勇敢に戦った戦士達の労をねぎらいたい!思う存分、戦いの疲れを癒してくれ‼それと今日はもう一つ、大切な知らせをここで発表したい」

 

 そう言ってギレンは笑顔で後方の陰に待つ勲章を付けた軍服を着こなしたシンとソフィアが手を繋いで笑顔で歩いて現れ、そしてギレンが立っていた場所に立つ。

 

 姿を現れた二人に参加者達は歓声の様な声が上がり、そして二人の右横に立つギレンが笑顔で皆に向かって知らせを述べ始めた。

 

「諸君!分かっていると思うが、我が妹、ソフィアはルウムの英雄であるジョウジ・シンと婚約している。そしてこのパーティーの明後日には二人の結婚式を執り行う!結婚式については明日、細かい知らせをする。それでは諸君!我らの勝利と!二人の幸せを願って・・・乾杯っ‼」

 

 ギレンが高々とグラスを上げると参加者達も持っているグラスを高々に上げた。

 

「「「「「「「「「「乾杯っ!」」」」」」」」」」

 

 その後、参加者達は楽しく談笑する中でソフィアは綺麗なドレスを着こなす友人達からお祝いの言葉を受け取っていた。

 

「ソフィア、おめでとう。よかったわね」

「おめでとう、ソフィア。お相手があのジョウジさんなんて」

「ええ、本当に。ジョウジさんってジオン本国へ攻め込もうとした連邦軍を未然に防いだ英雄よね」

「流石、ソフィアね。ザビ家のお嬢様は私達、上流階級とは格が違うわね」

 

 彼女達の褒め言葉の嵐にソフィアは少し困った表情をしながら彼女達にお礼の言葉を言った。

 

「ありがとう、皆。私とシンを祝ってくれて」

 

 一方、シンは別な場所でバイザーを着けたシャアから祝福の言葉を受け取っていた。

 

「シン、結婚おめでとう。色々あると思うが、私は心から二人の幸せを願っているよ」

 

 笑顔で祝福するシャアにシンも笑顔で頷き、礼を述べた。

 

「ありがとう、シャア。お前は俺の人生の中で最高の友人だよ」

 

 するとそこに軍服を着こなしたガルマが現れ、シャアとシンに声を掛けた。

 

「シャア!シン!久しぶりだな」

「おお!ガルマか。そう言えば開戦以来、会っていなかったなぁ。元気だったか?」

 

 シャアからの問い掛けにガルマは笑顔で答えた。

 

「ああ、変わらず元気さぁ。それとシン、結婚おめでとう。妹を、ソフィアを誰よりも幸せにしてやってくれ」

 

 ガルマからの祝福の言葉にシンは笑顔でお礼を述べた。

 

「ありがとう、ガルマ。そう言えば君も指揮官として前線に出るってキシリア様から聞いたぞ」

「ああ、MSを主力とした一個装甲師団さぁ。地球での戦いが始まればいち早く最前線に出る予定さぁ」

 

 自身の髪を靡かせながら語るガルマにシャアは笑顔で言葉を掛けた。

 

「それはおめでとう、ガルマ。では祝福の乾杯をしよう」

「そうだな」

「ああ、そうしよう」

 

 笑顔でそう言うガルマとシンは右手に持つシャンパンの入ったグラスを少し高く上げて、互いの祝福を祝った。

 

 その後、朝の十時に公王庁の中庭に用意された結婚式場には多くの参列者が集まり、また二人の結婚式を放送する為にテレビ局の者も居た。

 

「ふぅーーーーーーっ改めて結婚式を行うってなると変に緊張するなぁ」

 

 緊張を口に出す純白の洋服を着こなすシンに対して彼の左側に立つ、純白のウェディングドレスを着こなすソフィアが笑顔で声を掛けた。

 

「大丈夫よシン。何も心配する必要はないから、ねっ」

 

 ソフィアの励ましでシンの緊張は和らぎ、明るい笑顔となった。

 

「ありがとう、ソフィア。助かったよ」

 

 シンがソフィアに対してお礼を言うと目の前の扉が開く。そして二人は手を繋いでレッドカーペットを歩き出す。そして神父と参列者達の前で二人は愛を誓い合い、結婚したのであった。

 

⬛︎

 

 シンとソフィアの結婚式から数日後、ジオンの捕虜収容所に入れられていたレビルがサイド3に潜り込んでいた連邦の工作部隊の手で脱出に成功。これを受けた連邦とジオンは南極条約の内容を急遽、変更して戦時下における非人道的な兵器運用の禁止とハーグ戦時条約を元にした人道的な扱いを行う戦時法として締結された。

 

 一方、サイド3は昼時。結婚祝いでキシリアから貰った屋敷で一緒に住む事となったシンとソフィアはリビングに置かれたテレビに映し出されていた南極条約会場の生放送に私服を着こなし、椅子に座って観ていたソフィアは不安そうな表情をする。

 

「そんな⁉・・・戦争がまだ続くなんて!どうして人達は争いを続けるの?」

 

 そう悲しげな表情で言うソフィアに対して彼女の左側の椅子に私服を着こなして座るは少し難しい表情で答えた。

 

「それはなソフィア、色々な理由があるが、もっとな理由は“正しさのぶつかり合い”だな」

「正しさのぶつかり合い・・・?」

 

 ソフィアは少し理解できない表情で首を傾げるとシンは話しを続けた。

 

「ああ。ギレン総帥は地球連邦をジオンの自由を奪う悪であり、自分達こそ自由を愛する正義であると言っているが、実際はどっちも正しいんだ。地球連邦も私利私欲でスペースノイドを支配したいんじゃなく、純粋に戦争のない世界を実現したくて抑圧的な態度をしているんだ。中にはそうでない人間もいるが、殆どの地球連邦の人間は自分達が信じる正義の為に戦っているんだ」

 

 シンの話しを聞いていたソフィアは彼が何を言いたいのかが、少し理解した。

 

「それじゃ戦争が続く、いいえ人々が争いを続けるのは自分達の信じる正義の違いがあるから?」

 

 ソフィアの疑問にシンは少し悲しい表情で頷く。

 

「ああ、そうさ。悲しい事にな」

 

 シンの肯定にソフィアは納得しつつ人間の複雑さに悲しみを覚えた。

 

 それからジオンは地球に向けての大規模な降下作戦を決定し、その第一波としてキシリアが指揮をするジオン軍第1機動地上軍をヨーロッパ方面に降下させた。

 

 今回の地球降下作戦でもジオン軍は陸戦用に改修されたザクⅠ、ザクⅡ、ドム、そして新型の“MS-07B3 グフ・カスタム”、“MSM-04F アッガイ”、“MS-06K ザクキャノン”、“MS-05L ザク・スナイパー”、“MS-06V ザクタンク”を投入。さらに続く第二波の北アメリカ方面に対する第二次降下作戦に投入したジオン軍第2機動地上軍には更に新型の“MS-06D ザク・デザートタイプ”、“MS-09G ドワッジ”、“MS-08TX イフリート”、“MSM-07 ズゴック”、“MS-07H8 グフ・フライトタイプ”が投入された。

 

 一方の地球を守る連邦陸軍はMSの開発が大きく遅れていた為、ジオン地上軍が投入した陸戦型MSの前に太刀打ち出来ず、大きく戦線を後退。ジオン地上軍の地球降下によって始まった“重力戦線”の初戦はジオンの快進撃となった。

 

 今回の地球降下でガルマが北アメリカ方面の第2機動地上軍の指揮官として実戦に参加、一方のシャアはドズルの下で重力戦線に参加せず特殊任務に当たる事となった。

 

⬛︎

 

 重力戦線が始まって約三週間後の昼。極東アジアの日本は戦時中であってもいつも通りの日常が流れていた。

 

 東京都秋葉原。ここは宇宙世紀が始まって以降も変わらず、多くの人々が行き来していた。

 

「いやぁーーーーっ今回のイベントも凄かったなぁ」

 

 爽やかなファッションで肩掛けバックを身に付けた若者が笑顔でそう言うと古典的なヲタク姿をする若者が笑顔で頷く。

 

「そうでござるなぁ。流石、宇宙世紀始まって以来の歌姫、“セイリュウイン・アカネ”殿(どの)でしたね」

 

 二人は熱く人気アイドルのイベントを語り合っていると突然と空が暗くなった。

 

「んんんっ⁉︎雨雲ですか?・・・っ⁉︎兄殿(どの)!あれを‼︎」

「ん〜〜〜〜〜っ?・・・・・っ⁉︎‼︎⁉︎あれは‼︎」

 

 二人は驚愕する。何とザクマシンガンと両脚に3連装ロケット・ポッドを装備し、展開したMS用パラシュートで次々と降下するザクⅠB型とザクⅡJ型、ドム、グフ・カスタムが現れた。

 

 そして地面に到達する寸前にジオンの各MSはブースターを使って減速し、展開していたパラシュートを切り離し着地した。

 

「秋葉か。ここに来るのも何年ぶりなのに当時と全く変わっていないなぁーっ」

 

 ノーマルスーツを着て、120mmMSマシンガンを装備する青色にカラーリングされたドムを操縦するシンはモニターに映る秋葉原の変わらない街並みに少しホッとする。

 

「よーーーーーし!全機、大通りを制圧しつつ横道を警戒!ただし戦時条約の元、民間人に向かっての攻撃行為は禁止だ‼︎いいな!」

 

 シンからの命令にザクマシンガンを装備したザクⅡJとグフ・カスタムを操縦するパイロットは返事をした。

 

「「了解!」」

 

 そしてシンはゆっくりとドムを歩行移動させ逃げ行く人々に気を付けながら大通りの制圧を開始した。

 

 突然のMSの降下に秋葉の人々は驚愕し、混乱する中で降下したMS部隊は降下ポイントを確保し、パラシュートを展開したHRSLが次々と降下し、機動部隊が展開される。

 

 一方、習志野にある地球連邦極東軍第31機械化混成連隊第663戦車中隊はジオン軍のMSで構成された三個大隊の降下奇襲に対応する為に61式戦車5型を出動させた。

 

 まだ民間人が残っている状況下でシンはザク・バズーカで的確に61式戦車を撃破する。

 

「よし!これで三両目・・・っ‼︎」

 

 シンは自身が操縦するドムの左横でザクⅡJ型がザク・マシンガンを連射させながら筆でなぞる様に横の建物を撃つ抜きながら61式戦車、二両を撃破する。

 

 その光景にシンは思わず声を荒げて無線で制止させる。

 

「アルディー伍長!民間人がまだ建物内に居る可能性がある‼︎連射ではなく!単発で的確に敵を倒せ‼︎戦闘時の民間人の犠牲は許さん!」

 

 シンの怒りの籠った無線にアルディーは思わず萎縮してしまった。

 

「も!申し訳ありません、隊長‼︎」

 

 そう慌てながらアルディーは言い返す。それを聞いたシンは何も言わず目の前の敵を倒すのであった。

 

⬛︎

 

 ジオン軍が日本を占領して二ヶ月が経った夏が近づきつつある六月の昼時。

 

 お台場の近くに新たに作られた第13基地では駐留するジオン第3機動地上軍所属第5機甲師団隷下第202MS機動大隊が作戦行動まで待機していた。

 

 そんな第13基地の格納庫に入れられた自身の専用機であるドムをシンは一人、ジオン軍の地上戦闘軍服を着こなして点検をしていた。

 

「よし!メイン及びサイドスラスターのシステムは問題なし。レーダー、無線、モニターもOKと。レバー及びペダルの動作も良好と」

 

 コックピットをオープンにした状態でシンは一つ一つのシステムチェックを終えて目の前のコンピューターデッキに置かれたタブレットを取ってシステムチェック表にチェックを入れていく。

 

「中尉ぃーーーーーーーーーーっ!シン中尉‼︎居ますかぁーーーーーーーーーーーーっ‼︎」

 

 外から聞こえてくる呼び声にシンはタブレットをデッキに置き、ドムのコックピットから出る。

 

「どうした伍長?何か用かぁーーーーーーっ?」

 

 シンは大声でそう言いながらレフトに乗って下に降りる。そして軍服を着こなす青年風の伍長は笑顔でシンにチケットを渡す。

 

「今日の13時から地球のトップアイドル!セイリュウイン・アカネのライブがあるんですよ!一緒に行きましょうよ」

 

 喜びながら誘う伍長に対してシンは貰ったチケットを丁寧に返す。

 

「すまないが、俺は行けない。これから大事な用があってなぁ」

「ええぇーーーーっ⁉何でですか?」

 

 戸惑う伍長に対して連れの女性上等兵は彼の右肩を自身の右手で掴み止める。

 

「伍長!やめて下さい‼ほら!中尉は‼」

 

 上等兵が最後に言いたかった事に気付いた伍長は慌てながらシンに向かって頭を深く下げた。

 

「申し訳ありません!中尉‼︎そう言えば、この後にソフィア様が来られるのですね!大変!失礼致しました‼︎」

 

 するとシンは少し困った笑顔で首を横に振った。

 

「気にするな伍長。お前らはお前らで楽しんで来い」

 

 シンが前向きに二人を後押しする様に言うと二人は姿勢を整え、笑顔で敬礼をした。

 

「「ありがとうございます、中尉」」

 

 その後、二人が去った後もシンは自機のドムの関節可動のチェックを行った。

 

 そして約束の13時。一機のコムサイが第13基地の滑走路に着陸し、下士官服を着こなし立って待っていたシンの前にあるコムサイの側面ドアが開く。

 

「シン!」

 

 水色の下級将校の制服を着こなし、嬉しい笑顔で飛び出す様にコムサイから下りて来たソフィアをシンは優しく抱き締める。

 

「よく来たなソフィア。おや!制服を新調したのか」

 

 シンが着ている服の変化に気付くとソフィアは舞う様に体をゆっくり回転させた。

 

「そうなの。前のはあくまでも公族用だから。軍職中の正式な物が渡されたの可愛いでしょう?」

「ああ、可愛いよソフィア」

 

 笑顔で褒めるシンからの言葉にソフィアは嬉しくなる。

 

「ありがとう、シン。それと私の階級は衛生少佐だから」

 

 シンがソフィアの制服の首元にある階級章を見て、笑顔で敬礼した。

 

「失礼しました少佐殿」

「もぉ〜〜〜〜っ私の前では堅苦しい態度はやめて。これは命令よシン中尉」

 

 ソフィアが笑顔で命令するとシンは敬礼をやめて、軽く頷いた。

 

「分かったよソフィア」

「よろしい。それじゃあ、早く東京観光しましょう」

「ちょっと待てソフィア。まず、お前の荷物を俺の部屋に持って行かないと」

 

 ソフィアに腕を掴まれ引っ張られるシンの光景は平和その物であった。その後、シンとソフィアはお台場、新都心、池袋、有楽町、上野と様々な場所を観光した。

 

 それから二週間が経ったある日の昼時。基地内にあるやや大きなシンの部屋で過ごすシンとソフィアは楽しく日本のお菓子を食べながら可愛いアイドルが活躍する某戦闘機型のスーパーロボットを観ていた。

 

「いいわねぇ。あの二人が歌う曲、凄く気に入ったはシン」

 

 子供の様に嬉しそうに語るソフィアに対してシンは笑顔で頷く。

 

「そうだろう。今も愛され続けられているのも日本の独自の娯楽文化の賜物さ。さてと!次はこいつだ」

 

 そう言ってシンはヲタク、巫女姉妹、優等生の四人の女子高生が織り成す学園日常アニメを再生する。

 

⬛︎

 

 シンがソフィアを連れて東京巡りをしてから二日後。まだ宇宙に居るシャアは公族家専用の小型シャトルの中でドズルから極秘命令を受け取っていた。

 

「サイド7で行われている連邦軍の新型MS開発を妨害ですか」

 

 ソファーに座り、一枚の命令書の内容を閲覧するシャアに向かってドズルは頷く。

 

「そうだ。連邦もMS開発に力を入れ始めている。すでに完成したMSを操縦するテスト・パイロットまでも用意されているようだ。奴にMSを配備させる訳にはいかん。やってくれるなぁ?」

 

 ドズルからの返答にシャアは命令書をシュレッターに入れ、立ち上がって敬礼をする。

 

「了解しました。必ずご期待に応えます」

「よろしい」

 

 そしてドズルはシャアの任務の為に用意したムサイと部隊を与えて、サイド7へと向かわせた。

 

 一方のシンもドズルとは別にキシリアからの極秘命令を受けた事で急遽、ソフィアと共にコムサイで宇宙に上がる事となった。

 

「ねぇシン、キシリア姉様からの命令って何なの?」

 

 ノーマルスーツを着こなし、座席に座るソフィアからの問い掛けに向かいの座席に座り、ノーマルスーツを着こなすシンは首を横に振った。

 

「それが極秘以外には何も聞かれていないんだ。恐らくかなり重要な任務なのは間違いない」

 

 シンがそう答えるとソフィアは少し納得した表情で軽く頷く。

 

「そうなの」

 

 そうしているとコムサイはアフターバーナーを全開にして猛スピードで滑走路を走り出し、地球圏を脱出し衛星軌道上に待機していたムサイと合流、月面のグラナダへと向かった。

 

 グラナダへと着いたシンとソフィアは軍服へ着替えてグラナダ基地にあるキシリアのオフィスへと向かった。

 

「ジョウジ・シン中尉!着任しました」

「ソフィア・ザビ特技兵!着任しました」

 

 二人はデスクに座るキシリアに向かって敬礼をし、キシリアも敬礼をした。

 

「よろしい二人共。休め」

 

 キシリアの命令にシンとソフィアは敬礼を解くとキシリアは後ろにあるテレビの電源を入れた。

 

「早速だが中尉、君ら両名は私が編成した特別部隊、サイクロプス隊と共にこの採掘衛星に偽造した連邦軍の秘密開発施設を強襲、新型兵器の破壊を命ずる。詳細はこのファイルにある」

 

 キシリアはデスクに引き出しからファイルを取り出し、シンの前に置く。

 

「何か質問は中尉」

 

 キシリアから問い掛けにシンは首を横に振った。

 

「いいえ、ありません閣下。ジョウジ・シン、必ず任務を遂行します」

 

 シンは迷いのない姿勢で一歩前へ出てファイルを受け取り、また一歩下がる。

 

「期待しているぞ中尉」

 

 そして三人はお互いに敬礼をし、回れ右をしてキシリアのオフィスを後にする。

 

「ソフィア、ちょっと待て」

 

 キシリアが声を掛けた二人は立ち止まり、振り返る。

 

「気を付けてなぁ、何があってもシンの側を離れるなよ」

 

 キシリアからの武運にシンとソフィアは再度、敬礼をしてオフィスを後にした。

 

 その後、オフィスで一人になったキシリアはマスクを外しヘルムを取るとぐったりとして溜め息を吐き、何処か罪悪感を感じる悲しい表情をする。

 

「私は酷い姉だなぁ。ガルマだけでなくソフィアまでも最前線に送るとは・・・やはり、ダイクンの血を断った事が間違いだったのか」

 

 キリストはそう独り言を言っていると一本の内通電話が鳴り、それを取る。それは彼女にとってギレンとは違うスペースノイド、延いてはニュータイプのあるべき未来を決める物であった。

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