S級美少女たちから興味を持たれてる俺は、今日も二番目くらいに可愛いB級美少女たちと気軽にエッチする   作:黒い床

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#10 楽しい休日

 ぶるる、と枕元に置いてあるスマホが震える。俺はそのバイブレーションに起こされた。まだ気怠い体をよろよろと起こしながらスマホへ手を伸ばす。目覚ましアプリは入れてないので、きっと何かの通知だ。

 

「やっば……昼じゃん」と呟く。十一時半。ギリギリ正午じゃない、と言い訳したところで何の意味もないだろう。「寝すぎた……」

 

 それもこれも……と昨日のことを思い出す。ふーちゃんは相変わらず太陽みたいな女の子だった。話すのが嫌なわけではないし、幼馴染として尊敬も尊重もしているけど、どうしても疲れてしまう。

 

「って、そんなこと言ってる場合じゃなかった」

 

 どうも頭がぼーっとしているらしい。まぁ寝起きだしな。

 頭を切り替えてスマホの通知を確認しようとすると、再びスマホが震えた。

 着信通知。相手はコマコマ。これが狛井や文ちゃんなら『寝起きだから……』と出るのを迷うところだが、小町からの電話なら躊躇うことはなかった。

 

「あー」声がやばかった。「もしもし」

「……うがいしてきたら?」

「はい」問答無用だった。

 

 うん、ですよねー。自分でも声が掠れててやばいって思ったもん。ベッドから抜け出し、洗面台に向かう。

 くちゅくちゅ、ぺっ。「あー」ともう一度声を出す。多少はマシになった。もう一杯コップに水を汲み、今度はごくごくと飲み干す。

 

「悪い、待たせた」

「それはいいんだけどさ。……こういうときってミュートにしない?」

「部屋には俺しかいないんだし、わざわざミュートにする意味ないだろ」

「いや……」小町は気まずそうに言った。「うがいの音、丸聞こえだったんだけど」

「……」言われて、急に恥ずかしくなってくる。「聞くなよ」

 

 勝手な言い分だと自覚してるけど、言わずにはいられなかった。ミュートにしなかった俺が悪いのは百も承知。だが、スカートがめくれていたって下着を覗かないのがマナーなように、聞こえていても聞こえないふりをするのだって大事ではないだろうかっ!

 ムッとした声で小町が返してくる。

 

「どう考えても吾妻が悪い」

「だとしても聞かないようにするのがマナーだろ? なんか裸を見られるより恥ずかしいんだが……?」

「それは言い過ぎでしょ」

「へぇ、じゃあ試してみるか? 小町もうがいの音をライブ中継してくれよ」

「……」小町は黙った。「ごめん、言い過ぎじゃないかも」

 

 うがいの音を聞かせるシーンを想像してみたのだろう。小町がちょっと悔しそうに呟くので、「だろ?」と俺は勝ち誇ったように言う。

 ……これ、よく考えなくても俺の負けでは?

 

「汚いものを聞かせて悪かった。今後はミュートする」

「別に。……吾妻のなら、汚くはないけど」

「うがいで慰められてもなぁ……うがい音ASMR配信者を目指すくらいしかできないぞ」

「うがい音ASMR配信者」小町はぷっと失笑した。

 

 あまりにもキモすぎる職業が爆誕した。でも、美少女だったらワンチャンありそうだ。電話を繋いだまま調べてみると、マジで何件かヒットしたので二倍ウケた。

 って、そうじゃなくて!

 

「今日もどっかでやってるのか?」

「まだ。吾妻と連絡繋がってからにしようと思って」

「連絡?」

 

 慌ててトーク画面を確認する。何件かのメッセージと不在着信の表示。それらは、今朝の八時から続いていた。

「連絡くれてたのか」と呟けば、「そ」と短く返される。

 

「悪い、完全に今起きたばっかりだわ」

「知ってる。約束してたわけじゃないんだし、謝らなくていい。それが『ちょうどいい同盟』なんでしょ?」

「……だな」と苦笑する俺。

 

 謝罪もお礼も大切だけど、変に気負って重くなるのはちょうどよくはない。俺たちの関係には義務も権利もないのだから。

 そういうゆるいのがいいのだ。

 

「で、今日は何やるんだ?」

 

 だいたい小町の用件が何かは分かっているので、俺はさくっと聞いた。謝ったことへの謝罪だって結局は重くなるだけだしな。

 

 俺と小町は、エッチをするだけの関係ではない。俺たちはよく一緒に運動をしている。お互い部活はやってないけど運動は好きなので、ちょうどいいのだ。

 ……まぁ、ひとしきり汗を掻いた後にうちでエッチをすることも多いが。

 

「ん」と満足そうな一音が電波を通る。そして小町は答えた。

 

「今日はバスケの気分。吾妻もくる?」

「バスケかぁ」頭の奥でだむだむとドリブルの音が鳴る。「行く」

 

 ちなみに、俺たちがやることはその日の気分によって変わる。キャッチボールのときもあれば、二人きりの鬼ごっこで二時間近く潰したこともあった。

 バスケはよくやることのうちの一つだ。

 

「了解。ボールは私が持っていく」

「飲み物は準備するわ。いつものでいいよな?」

「ん。お互い、お昼を食べてから集合で」

「お昼」俺は部屋の時計を見遣った。「俺は朝ご飯だけどな」

「……はぁ」

「ごめんなさい呆れないで。……っていうか、小町が規則正しい生活を送りすぎなんだからな!? 健全な高校生はこんなもんだぞ!」

「舞は五時起きで朝練してるけどね」

 

 狛井家の朝が早すぎる。なお名誉のために言っておくが、俺も普段はもう少し起きるのが早い。休みの日でも八時くらいには起きてるのが普通だ。だからこそ小町も連絡してきたんだと思う。

 でもまぁ、土日の五時起きは流石すぎるよなぁ……。

 理不尽にドン引きしつつ、電話を切る。

 

「さて、それじゃあ準備しますか」

 

 小町と喋ったおかげか、頭はだいぶ冴えていた。

 ぐいーっと大きく伸びをしてから、さっさと腹に物を入れようと思い、キッチンへ向かう。

 

 朝からややこしいことを考え始めてしまった日は、頭が空っぽになるまで運動するに限る。全力で運動すれば、汗と一緒にもやもやも流れていってくれるはずだ。

 そういうわけで、朝昼兼用の飯を食い、バスケに行く準備を整えるのだった。

 

 

 ◇

 

 

 いつも使っている東公園のバスケコートに向かうと、小町が準備運動をしていた。彼女がこちらに気付いたので、「よう」と手を挙げる。

 

「ん、喉渇いた」

「へいへい」

 

 狛井家はもともとスポーツ一家らしく、色んなスポーツの道具が揃っている。バスケみたいな道具を必要とするスポーツをやるときにはそれを借りる代わりに、俺が飲み物を準備することになっていた。

 俺はコンビニで買ったスポーツドリンクを一本、小町に渡す。一瞬投げようかと迷ったが、流石に2Lの大きいやつなのでそうもいかなかった。

 

「んっ、んっ……」と美味しそうにスポドリを飲む小町。

 ペットボトルから口を外すと、口の端から零れた水滴を舌でぺろりと舐め取った。口元の艶ぼくろのせいか、その仕草がめちゃくちゃ色っぽく見えて、すごくモクモクする。

 

「吾妻も早く準備運動したら?」

「あっ、おう。そうだな」

「……私のこと、エッチな目で見てたでしょ」

「うぐっ」言葉に詰まって目を逸らす。

「エッチ」小町は優越感に満ちた笑顔を浮かべた。「バスケは後にして、シちゃう?」

 

 小町が視線を向けるのは、バスケコートの近くにあるトイレだった。言わんとしていることをすぐに理解できてしまい、「なっ……!?」と声を漏らしてしまう。

 

「ヤるわけないだろ!? ほら、さっさと運動して煩悩を吹っ飛ばすぞ」

「運動した後に煩悩まみれなことをするくせに」

「んんっ」俺は咳払いをした。「準備運動してくる」

「準備運動が下ネタに聞こえてきたんだけど」

「誰のせいだよ!?」

 

 ……ともあれ楽しい休日の始まりだ。

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