ある者、セイシュンを掴むまで SEISHUNTALE! 作:ケガレモ
ちょーと予定入ってしまいましたので、よろしくです。
「──良いよ」
そんな時、雪景色のように淡い、蕩けるような声が聞こえた。 だが、きっと幻聴か何かだろう。ルルにまだ生きる希望を与えるために、脳が作り出した幻の類。
今思うと、こうしてこの世界で死を間近に感じるのは二回目だ。一度目は神秘の使いすぎだった。あの時はとっさの行動だったが、もしルルがあの時『重力魔法』を使わなければ、多くの命が失われていただろう。 だから死ぬと思った時、後悔は無かった。
だが、これは違う。無意味な死だ。
「⋯⋯あれ? 聞こえてないかな」
再び、淡い雰囲気を纏う蕩けるような声が鼓膜を打った。 そしてやっと気付く、それは幻聴ではなかったのだと。その瞬間、ふと希望に唇が歪んだのを感じた。
「⋯⋯いや、聞こえてるよ。悪いな、幻聴だと思ったんだ」
「そっか。──じゃ、取り敢えず」
酷い耳鳴りに鎮まるように願いつつ、ルルはそこに居るであろう彼女に向けて、そう言った。それから返ってきた彼女からの言葉に、やはり幻覚ではなかったのだと安堵した。そして──、
「おおっ⋯⋯と?」
突然、身体が宙に浮いた。次に薄れていた意識で周りを確認してみると、いつもより視界が高いことに気付く。目線を下げると、頭のようなモノ──いや、間違えようのない人の頭がそこに見えた。
「なんでオイラをおんぶしたんだ?」
それが今のルルの状態と事実だった。その問いに「んん?」と首を傾げたように反応する彼女。
「まぁ、こういう時はお互い様ってやつじゃない?」
「いや、そうじゃなくて。なんでおんぶしたのかっていう──」
「だって、流石にまだ自分で動けないでしょ?」
顔は見えないが、微笑んだように感じた彼女。それを見て、ひとまず信用して良いな、とルルは思った。というか、信用以前に彼女が居なかったら真面目に死んでいた可能性があるので、感謝の念が絶えない。
「あー、そういうことか。確かに今のオイラは正直、自分で動けそうにないな」
「あんな炎天下の下で自力で動けない人を放置する訳にはいかないからねぇ〜。──あと、水は飲むよね?」
そう尋ねた彼女は、片手に持った水の入ったボトルを上──ルルに向かって手渡してきた。それをルルは「ああ」と肯定して受け取る。それからボトルの蓋を開き、ボトルを上に傾け、乱暴に喉に流し込んでいく。
「ぷはぁ。ほんとにありがとな、おかげで元気が戻ったぜ。一先ず、この恩はツケ払いにしとくから、今度困ったことがあったら言ってくれ」
感謝感激雨あられ──。この言葉の使い時は、こういう時なのかも知れない。ルルは水という、この状況ではポーションにも勝る回復アイテムによって、いつもの飄々とした調子を取り戻すことに成功した。
「うん。確かに、今の君、何にも返せそうなモノ持って無さそうだもんね」
「そういうのは分かってても言わないでおくのが、優しさってもんだぜ」
「えーと、それで、君はどこに向かってたのかな?」
ルルの物言いをスルーした彼女は、そう尋ねた。彼女の移動によって身体が上下に揺れるのを感じながら、ルルはその質問に答えるべく、口を動かし始めた。
「アビドス高等学校ってとこだ。ちょっとした予定があってな」
「──。へぇ、奇遇だなぁ。おじさんもそこに行くんだ。目的地は一緒だし、このまま君が大丈夫って言うまで、運んであげるよ」
「それは有難いね。ちなみに、アビドスってどんなとこなんだ? 知ってたらで良いから、教えてくれると嬉しいぜ」
頭部しか見えない彼女に感謝の言葉を投げ掛けて、続けて良かったらと、質問を飛ばす。それに彼女はルルに「良いよ」と笑い、
「良いところだよ、簡単に言えばね。まぁ、と言っても清掃も行き届いてないし、生徒の人数も少ない所だけどさ」
「そう、なんだな」
聞いて、それはそうだろうな、と納得してる自分がいる。言い方は悪いかも知れないが、こんな廃れた場所に人が沢山いるとは思えない。だから、そんな場所に建てられている学校に、生徒だけは沢山いる──なんてことはないだろう。
「このままおんぶして貰って楽してたい気持ちはあるけど⋯⋯流石にこれ以上は申し訳ないから、もうそろそろ降ろしてくれると助かる」
少女が少女をおぶっているという絵面は、百合好きが声を上げて歓喜しそうなモノなのだが、おぶられている少女の中身が怠け腐った大人だと知ったら、話は変わってくるだろう。
それは当人も同じで、何とも言えぬ場違い感と己の情けなさに拍車が掛かっているようで、どうにも気が済まなかった。彼女に申し訳ないと思っているのも事実ではあるが、それと同じくらいにそんな感情が心に浮かんでいるのだ。
「ん? そう? じゃ、降ろすよ」
そんな軽い許可の声と同時に、ルルの太ももを下から支えていた両手はゆっくりと離される。ルルの小さな身体は物理法則に則って、地面に引き寄せられ着地するに至った。ちょっとまだ体がふらつくが、このくらいなら大丈夫だ。
「それでアビドス高等学校まで、あとどのくらい掛かるんだ?」
「あと十分くらいかな。いやぁ、君も災難だったねぇ。あんな道端で倒れちゃうなんてさ。おじさんがたまたま居合わせなかったら、危なかったんじゃない?」
「ああ、正直なところ危なかったと思うよ。だから、本当に感謝してるんだ、アンタにさ」
そう言って、ルルは目を伏せる。本当に、彼女には感謝しか出てこない。ルルの全身を
「──ん」
それからルルは、さっきまでおぶって貰っていて全身が見えなかった、その恩人である彼女を両目で正面に捉えた。身長は、ルルより幾分かだけ小さいだろうか。腰の辺りまで伸ばした桜色の髪の毛、その一部は頭頂部で重力に反逆するように不自然に反り立ち、いわゆるアホ毛になっている。
可憐と精巧、その極地のような美貌を持つ彼女は、小柄な体躯に見合ったあどけない童顔だ。このキヴォトスには美少女が多い。しかし彼女の一際目立つ特徴というべきそれに、ルルは目が離せなかった。
黄金色と深海色に染まった、世にも奇妙な色違いの瞳。確か、オッドアイなどと言われるモノで、それが自然に生まれる確率は万に一つもないらしい。その特異で神秘的な現実に、ルルの意識は寸刻に夢中へと連れ去られた。
「驚いた顔してるね。もしかしておじさんのこの目かな。珍しいでしょ?」
どこか
「⋯⋯まぁ、そうだな。正直、綺麗で見惚れちまったよ」
「それは嬉しい評価だね。──それじゃ、早く行こっか」
彼女はそうやって話を早々に切り上げて、ルルに呼び掛ける。それから、ふと思い出したようにルルは「そういや」と切り出す。
「まだアンタの名前聞いてなかったな。何て言うんだ?」
「んー? ああ、そう言えばまだ言ってなかったっけ」
クルリと半回転。背を向けて歩いていた彼女は、ルルに向けて顔を前に出した。そんな振る舞いに、彼女の少女としての可愛さをルルに認識させ、少し変な気分にさせられた。その突然込み上げた訳の分からない感情を首を振って忘却し、ルルは彼女に
「おじさんの名前はホシノ、小鳥遊ホシノだよ」
自らをおじさんと呼称する少女──ホシノに、ルルは不思議と嬉しいと感じた。微笑む表情に、淡く蕩けそうな透き通った声。それらはどこか懐かしく、どこか寂しく、どこか羨ましい。
可愛いらしいと、彼女にそう思ったのは事実だ。だが、感じた『それ』は別にあったのだと今はっきりと理解した。──彼女のその姿が、
なぜ、と疑問に思った。まだ名前しか知らない少女、それでもルルの中で特別だと叫んでいる何かがあって。尽きることを知らぬ疑問は、湧き水のように噴き出て来るのに、答えはこれぽっちも出やしない。だから、ルルは最後にこの不可思議に「分からない」という結論で区切りをつけ、考えることをひとまず止めることにした。
「ホシノか、良い名前だな。じゃあ、こっちも自己紹介と
「ルル『ちゃん』ね。うん、よろしくぅ」
「いや、ルルって呼び捨てにしてくれ。⋯⋯何つーか、むず痒さって言うのか? 取り敢えずそうしてくれると助かる」
今のルルの見た目は可愛げのある少女であるため、そう言われるのは普通のことだろう。だが、中身は変わらず『オレ』なのだ。つまり何が言いたいのかというと、この見た目だが、中身の性自認は男なのでちゃん付けは辞めて欲しいということだが、そういうことはあまり言いたくない。
「え〜、そう言われちゃったら、もうルルちゃんって呼ぶしかないかなぁ〜」
ルルのその要求は、彼女に届かなかった。どこか嗜虐的に微笑む彼女に、ルルは簡単に交渉の気力を奪われた。これ、いくら言っても意味ないなと直感で理解したからだ。どうしようもない現実に下へと溜息を吐き捨てて、それから再び歩みを開始したホシノの背を追い始める。
「それで、もうそろそろ着く頃じゃないか?」
「えーとね。ほら、あっちに校舎が見えない?」
ホシノの右手が指差す方向に視線を向けると、風に流れる砂に所々隠されながらも、そこに見えたのは確かに校舎の形をした建造物だった。
「あー、ほんとだ。あと二百メートルいかないくらいだな」
そう言うと、ルルは制服の裏にしまっていたスマホを取り出した。そこに顔を向け、画面の中心に見える短い文字列を瞳で捉える。
「今は、八時十七分か。これなら余裕持って間に合いそうだな、五分前行動込みでも」
アビドス高等学校に八時三十分までに来ること、それが先生と交わした約束だった。それがしっかり今回は守れそうで、ルルは安堵に吐息を漏らした。不安材料があるとすれば、スマホの充電がもう一パーセントしか残ってないことだが──まぁ、大丈夫だろう。
「そうだねぇ。まぁ、間に合わなくて遅刻になったら君のせいにする気だったから、別に良いんだけど」
「ハハ。そうならなくて良かったよ」
ホシノの心ない言葉は軽く流して、ルルは笑う。そんなこんなで、不思議な雰囲気の彼女と雑談を交わしているうちに、アビドス高校に到着した。眼前、そこにあるのは学校の入り口──校門だ。その奥には大きな校舎が見え、校庭に舞う砂々が風景を神秘的に彩っている。──それにしても、
「⋯⋯デカいな」
流石は元々、キヴォトス三大学園に劣らない栄光を手にしていた学校という事なのだろう。それが今や砂に包まれて衰廃しているのだから、何とも言えぬ喪失感のような感情を抱いた。感傷に浸るのも僅かにして、ルルは再び目の前の校門へと視線を戻して、
「それで、これは一体どういう風の吹き回しなんだ?」
ルルの前に立ち塞がるように、ホシノの姿がそこにある事に気付く。彼女の表情には変わらず、接しやすいな笑顔のようなモノが顔に張り付いている。だというのに、彼女はそこにいる。それは拒絶に他ならなかった。翡翠の瞳を細めたルルに、ホシノは一瞬の沈黙をその場に拡げてから、
「──一つ質問するね。君はどういった要件でここに来たのかな?」
「質問を質問で返さないでくれ、って言いたい気持ちはあるけど⋯⋯良いぜ。オイラはここにいる先生の付き添いに来たんだ。オイラは先生の助手でな、呼ばれたから来ることになったんだ、面倒臭いけどな」
「ふーん? そうなんだ。でもおじさん、先生に助手がいるなんて話、聞いたことがないんだ。その砂で汚れちゃった連邦生徒会の制服も偽物かも知れないよね」
肩をすくめ、首をゆるゆると横に振るホシノ。その黄色と青の色違いの瞳には、隠し切れぬ懐疑的な黒さが見えた。その深く、
「つまりアンタはオイラを疑ってるって訳だな? それならオイラが先生の助手だって証明すれば、そこをどいてくれるって認識で大丈夫だよな?」
「うん、そうそう。いやぁ、ごめんね? おじさんもさ、あんまり人は疑いたくはないんだけど、同じ
それは、冷たさを帯びた言葉だった。それはとても冷徹で、それでいてどこか
「人を疑うこと、それ自体は別に良いことだと思うぜ。じゃないと詐欺なんかに引っ掛かって損をしちまう。オイラだって、アンタを心から信用してる訳でもないしな」
そう言い捨て、さっき使っていたスマホを取り出す。これで先生に連絡し、ここに来てくれれば、先生がルルが助手だと証明してくれると思っての行動だ。──だが、
「──マジか」
思わず、といった様子でルルはそう呟いた。しかし、それも仕方のないことだろう。なぜなら、スマホの電源が付かなかったのだから。画面中央には、赤いラインのある電池のようなデザインが表示され、それはスマホの充電が尽きたことを意味していた。
さっきの時間確認が、残ったエネルギーをギリギリまで消費したのだろう。だから必要なエネルギーが足りず、スマホが起動できなかったのだ。その事実を理解して、ルルは現状が芳しくないことに若干の焦りを感じ始める。
「────」
──さぁ、どうする? 神楽ルル。
スマホの充電を
ホシノに校舎まで行って、先生を呼んできて貰うのは難しいだろう。ここを離れる事になり、ルルが自由になってしまう。ルルが呼びにいくのもまた、他にもいるだろうアビドスの生徒達のいる校舎への侵入を許す事になり、それを彼女が許容するとは思えない。──だから、
「どうやら、悲しいことにスマホの充電がもうなくて、先生を呼べないみたいだ。だから、アンタが連絡して呼んできてくれないか? 中に他の生徒も居るんだろ?」
彼女に頼み、アビドスの校舎中にいるであろう、他の生徒達に連絡を取って貰い、先生を呼んで来て貰う。それが、ルルのできる最適な提案だろう。ホシノは少し考えるように視線を逸らしてから、
「確かに、それなら君が助手だって先生が証明してくれるだろうね。でもさ、さっき自分のスマホで時間を確認してたよね。それで今は充電切れ? 嘘にしては見え透いてて、出来損ないなんじゃない?」
「そういうことも人生あるもんだと、オイラは思うぜ。──ほら、見てみろよ」
そう言って、ホシノに向けて電源の付かないスマホを放りなげる。それをホシノは片手で軽くキャッチしてみせると、電源のスイッチをカチカチと動かし、ルルの発言がでまかせではないことをその
「⋯⋯本当みたいだね。じゃあさ、学校にいるみんなに連絡して見るから、君は一度家に帰ったらどうかな?」
「それはできないな。だって、そしたら遅刻になっちまうだろ? それは良くない」
「うへぇ⋯⋯でもさ、おじさんがみんなに連絡する時に隙ができちゃうでしょ? それはちょーとできないかなぁ」
ルルの提案を却下したホシノ。こうなってしまえば、もはやルルにできることは無かった。校舎に向けて大声で叫んでみようかと、こうなることを予想して考えてもいたが、怪しまれる行為に走るのは賢明な判断とは言えない。──それに、
「────」
ガチャと目の前の少女の方から金属的なパーツが擦れるような音が、響き渡る。その音の主は、一丁のショットガンだった。白を基調とした配色には、彼女の頭髪と同じく桃色のラインが銃身を迸っている。
グリップはホシノの右手に強く握られ、残った左手はその長い銃身を支えるように柔らかくも、射撃の衝撃に吹き飛ばされぬよう、正確な位置に添えられている。なにより、忘れてはいけないのは──その銃口の先が、ルルに真っ直ぐと向いていることだ。
「そいつを使わない選択肢もあったんじゃないか? ラブ&ピース、平和的に行こうぜ、ホシノ。ほら、銃を降ろして早く一緒に校舎に入ろうぜ」
銃を自分に向けた、それだけで然程考える必要もなく、彼女のルルに向ける敵意が理解できるというものだ。それでも、こうしてルルが軽口を叩くのは変えられない性分なのかも知れない。だが、今はそれで好都合だ。
「できればそうしたいんだけど、君が助手だって証明できない以上、それは難しいかな」
変わらず、可愛げな笑顔をルルに向ける桃髪の少女。しかし、その目は少しも笑っていない。不気味な気配を静かに振り撒くその表情に、ルルは息を詰め、しかし態度は悠然なものにして崩さない。
「困ったな。もしかすると、オイラは悲しいことに危機的状況ってやつみたいだな」
「うん、そういうことだね。ルルちゃんも怪我したくはないでしょ? だから、早くここから立ち去って欲しいんだ。今なら携帯食料もおまけにつけるけど⋯⋯どうかな?」
「怪我はしたくないな、痛いのは嫌だからな。でも、オイラは強欲なんだ。それでも銃を降ろして欲しいと思ってるし、中にも入れて欲しいと思ってる。引くつもりはないよ」
ルルとホシノの互いに交わし合う軽い口調とは裏腹に、
ホシノの
「──そっか。君は、痛い目を見ないと分からないタイプなんだね」
「あー、もしかしたらそうなのかもな。でも、おかしいな。オイラ、これまでイタい視線は何度も浴びてきた筈なんだけどな」
自嘲するように軽口を叩いたルル。最後まで飄々とおどけた態度を崩さない少女の姿に、ホシノの人差し指がルルに向けられた銃のトリガーにかけ直され──次の瞬間。
「私が、来たぁ──ッッ!!!」
引き金を引かれると思われたその瞬間、突如視界の端から大声を上げながら両者の間に滑り込んだ大人によって、それは未遂となった。
「先生!?」
ホシノの驚愕と動揺に満ちた声が辺りに響く。目の前の大人はそのホシノの反応を見て、格好つけたようにゆっくりと顔を上げた。
「うん。みんなのヒーロー、ナイスガイこと先生だよ」
そう言って二人をそれぞれ一瞥し、先生は状況を察したように微笑む。いつもの彼の笑顔にここまでルルは安堵するとは思わず一瞬、相好が崩れてしまったが、すぐに正した。
「ホシノ、彼女は私の助手だから、できればその物騒な物をしまってくれると助かるんだけど」
それからルルの傍に移動した先生は軽い口調で、しかし有無を言わさない圧を伴った声をホシノへと向けた。
「うん、分かってる」
彼の言葉に素直に従い、ホシノは銃口を下げる。それと同時に、ホシノの視線が先生からルルへと向き、
「本当にごめんね、ルルちゃん。おじさん、勘違いしちゃってたみたい。おじさんにできることなら何でもするなら、許してくれると嬉しいんだけど⋯⋯」
「いや、ホシノが謝る筋合いなんてない。素性の知れない怪しい奴が、自分の学校に入ろうとしたんだ。銃を向けて当然だよ」
そう、彼女から見ればさっきのルルは頑なに自分の学校に侵入しようとした怪しい不審者でしかない。警戒して当然で、ホシノの対応は至極当然のものだ。いや、銃を向けても直ぐに弾かず、最後に忠告してくれていたため、相当慈悲のある対応だろう。
「⋯⋯まぁ、確かにそうだね」
「じゃ、話は終わった感じかな?」
話を終えた様子のルルとホシノの二人を見て、先生はそう問い掛ける。と、そこでルルは一つ彼に疑問に思う点があり、先生に質問する。
「そういや先生、一つ聞きたいんだけどさ。事前にオイラが来ることをホシノとか、アビドスの生徒達に言ってなかったのか?」
「うん、言ってなかったね。言ってたら君をちゃんと歓迎してたよ?」
先生の代わりに返答したホシノ。その発言の後半の真偽は不明だが、「やっぱり、そうなのか」とルルは納得する。それからホシノも、ルルと同じく先生に眉を寄せて見つめた。
「申し訳ないです⋯⋯」
それから二名の視線に耐えかねた先生は、ぐぅの音もでませんと謝罪の言葉にした。さっきまでの格好良さは何処へ行ってしまったのか。その大人は、己より二回りも小さい二人の少女に、渾身の土下座を披露したのであった。
この世界だといくらアニメネタぶっ込んでも誰も知らないので、先生の決め台詞はクソかっこよくなるんでしょうね。
あまり強い言葉を使うなよ⋯⋯弱く見えるよ?
撃って良いのは、撃たれる覚悟のある奴だけだぜ?
とか、痺れますね?憧れますね?
ルルさんとホシノさん、戦わせたいって人〜
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ワンッ!(イエス)
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バウッ!(ノー)