【IS×AC】殺戮者の唄   作:AIthe

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腰が痛い。

腰が…………死ぬ……………


感想等よろしくお願いします。


入学しちまったよ……

今日はIS学園初日。ここは1年1組。

織斑一夏は早速場の雰囲気にやられていた。周りが女子だらけと言うので彼のSAN値がゴリゴリ削られている上に、更に彼は初の男性にIS操縦者ということで好奇の目で見られており、もう一目散に逃げ出したくなった。

 

……あの日迷ってなければ…………うう、クロエ…………

 

隣はクロエが座っており、そちらに目線を向ける。それに気づいた彼女がこちらを向き、首を傾げる。

 

「何?」

「おうちかえりたい………」

「お母様に会えない。寂しい。」

 

彼女は何故か、オールドキングーーー彼は古王と呼んでいる濃緑色の髪を持つ少女を〝お母様〟と呼ぶ。彼の家に来た始めの頃は誰かを名前で呼ぶこともなかったが、いつしかそう呼ぶようになっていた。ちなみに彼は普通に〝一夏〟と呼ばれている。

 

「あの子、一夏見てる。」

「え?あ!」

 

言われた方向を見ると、そこには長い髪を一つ縛りにした日本人顏の少女がいた。

 

………箒!?何でここに?

 

その少女の名前は篠ノ之箒。彼はISについての知識が欠落しているため、〝篠ノ之〟という名字の意味が分かっていなかった。そのため何故彼女がここにいるかは分からなかったが、彼女は彼の幼馴染である。何の遠慮もなく手を振ってみた。

が、何故かそっぽを向かれてしまった。

 

……うわぁ、それが久しぶりに会った幼馴染への態度かよ………

 

溜息をつき、黄昏ていると、前の扉から緑色のショートヘアの女の子が入って来た。席は全て埋まっており、完全に教室を間違えたかと思ったが、よく見ると手には出席簿のようなものを持ってる上に服装は私服だ。教員なのかもしれない。

 

「はーい、皆さん席に着いてますか?最初のSHR(ショートホームルーム)を始めますよー。」

 

やはり教員だった。教壇に立ち、手をかざすとIS学園特製の空間投影型ディスプレイに彼女の名前が表示される。

 

「皆さん入学おめでとうございます。1年1組副担任の山田真耶です。」

 

はにかみながら挨拶をする。とても好印象な挨拶で、普通ならば一人くらい返事をしてもおかしくはないのだが、残念ながらこのクラスの全生徒の目線は彼に注がれていた。

 

「あの〜、皆さん?」

「「「「…………」」」」

 

返事がない、ただのしかばねのようだ。

 

「え、ええっと、じゃあ自己紹介をお願いします!しゅ、出席番号順で!」

 

「あ」から始まり、クラス内の生徒が自己紹介をしていく。そして、彼の順番が来て、机の上に三角柱型のディスプレイが出てくる。

 

………これからどうすればいいんだ?こんな女子ばっかりの学校でやってける気がしない……しかも学校で俺一人なんて………絶対廊下歩いたら「あれが唯一の男性IS操縦者だってー、プークスクス」みたいに言われるよ……この先生きのこれ「お、織斑君?織斑一夏君?」

「は、はい!?」

「ひいっ!?」

 

話しかけられているのにようやく気付き、素っ頓狂な声を上げながら立ち上がる。周りはくすくすと笑っていて、それが彼のSAN値を大きく削った。

 

「あ、あの、織斑君?自己紹介が「あ」から始まって次は織斑君の番なんですけど……や、やってもらえますか?」

「は、はい!やります、やりますから!」

 

目を閉じて、深呼吸をする。クロエの方を見ると、口パクで「応援」と言っている。

 

………よし、いくんだ俺!いけるぞ俺!

 

「お、織斑一夏です。よろしくお願いします。」

 

クラス内がシーンと静まり返る。全員が「まさかこれで終わりじゃないよな」という目で彼を見ていた。

 

……暗い奴というレッテルを貼られるのは、まずい!

 

周りを見渡し、机を叩く。

 

「以上です。」

 

このクラスのほぼ全員がずっこける。そのズコッという音に混じり、再び教室の扉が開かれていた。

 

パシィィィン!

 

「まともな挨拶もできんのか、馬鹿者。」

「げえっ!!千冬姉!?」

「織斑先生だ。」

 

出席簿による致死の一撃が繰り出され、彼の脳天を揺らす。二週間程ぶりに見た姉の姿は家のだらしないそれとは全く別物で、黒いスーツを着こなしていた。

 

……職業不詳で週末しか帰ってこない千冬姉がどうしてここに?もしかしてここの教員をやっていたのか!?

 

「千冬姉、全然帰ってこないと思ったら、もしかしてこの学園の「織斑先生だ。」

 

彼に雷(衝撃的な意味で)が落ち、同時に出席簿による雷も落ちる。

 

「まったく、予想はしていたが……山田先生すいません。一人に任せてしまいまして。」

「いえ、私はそんな……」

 

織斑先生が前を向き、腕を組む。その鋭い目でクラス内を見渡し、その場の全員に向けてその口を開いた。

 

「諸君、私がこのクラスの担任を務める織斑千冬だ。お前たち新人をこれから三年で使い物になる操縦者に育てる為の基礎を徹底的に叩き込むのが仕事だ。私の言うことはよく聞き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。分からないことがあれば遠慮なく質問しろ、分からないのに黙っていれば力ずくで聞き出す。私の役目は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、それ相応の理由と実力、そして覚悟が要ることを理解しておけ。いいな?」

 

その半分ーーーいや、殆ど命令といえる彼女の言葉に、一瞬押し黙る。というより、一瞬しか黙っていることができなかった。

 

「キャアァァァァァ!!本物よ!本物の千冬様よ!」

「ずっと前からファンなんですっ!!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!!」

「あの千冬様にご指導いただけるなんて幸せです!!」

「お姉様のためなら死ねます!寧ろお姉様のために死にたいっ!!」

「会いたくて会いたくて震えてました!!」

 

やはり世界最強(プリュンヒルデ)、このクラスに彼女を知らない者はおらず、その上大変人気者だった。実際のところ、国際公式試合やモンド・グロッソなどで負け無し、そしてその圧倒的な強さを見せつけられれば誰でも彼女に憧れるだろう。

 

「はぁ……何で私のクラスにはこんな馬鹿ものばかりが集まるんだ………」

「キャアァァァァァ!!お姉様、もっと叱って!罵って!!」

「でも時には優しくして!!」

「そしてつけあがらないように躾て〜!!」

 

流石にこれは耳が痛い。彼が隣を見ると、クロエが耳を抑えていた。流石の彼女もこれは堪えたのだろう。

織斑先生はふぅとため息をつき、出席簿を地面に置く。

 

「実は、二日前にこの学園に特別講師が来ることが決定した。山田先生と共にこのクラスの副担任を務めることになっている。では、窓側の生徒。こちらに移動しろ。」

 

織斑先生の言うことに従い、全員が窓側から離れる。

 

「では、入ってこい。」

『はい、分かりました。』

 

突然クラス内にアナウンスが響き渡り、驚いた生徒がそちらを向く。

すると、突然窓の前に影が現れーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー窓を突き破って教室内に飛び込んできた。

 

「きゃあっ!?」

 

ガラスがパリィンという音と共に飛び割れ、クラス内に飛散する。その影は見事に机上に着地し、床に飛び降りる。

 

「よう、お前ら。オールドキングだ。IS学園にようこそ。歓迎しよう、盛大にな!」

 

その正体は、彼の家の居候ーーーオールドキングだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

オールドキングは職員室で会議をしていた。彼女にとっては初の顔合わせである。簡単な社交辞令を済ませると、緑色のショートヘアの女性が近づいてきた。

 

「こんにちは、私は山田真耶です改めて、一年間よろしくお願いします。」

「私はオールドキングです。一年間よろしくお願いします。」

 

彼女とは同じクラスの担当だ。二人で副担任を務めることになっているーーー勿論形式上だが。

 

……実際は担当の授業以外自由にしてていいらしいからな……千冬さんに感謝だな……

 

「言われた通り、窓を変えておきました。何をするんですか?」

「まあ、楽しみにしていて下さい。」

 

数日前に、織斑先生に窓の取り替えを頼んでおいた。勿論代金も払った。窓は特製の窓で、衝撃を与えると柔らかいビーズ上に弾け飛ぶ仕組みになっている。しかし、窓としての機能は全く果たすことが出来ない。

山田真耶ーーー山田先生と別れた後、屋上に上がり、1年1組の位置を確認する。ワイヤーを地面に取り付け、引き伸ばして固定する。アームを右腕に取り付け、その時を待つ。

 

「では、入ってこい。」

『はい、分かりました。』

 

彼女が用意した録音音声が流れる。そのタイミングに合わせ、助走をつけて屋上から飛び立つ。ワイヤーが伸びきり、壁に引っかかって彼女を振り子として円運動を始める。窓に当たる直前にストレイド(迷える者)のパワーアシストを起動し、顔を庇いながら突っ込む。

 

(作戦成功ですね。)

 

ガラスが衝撃で割れ、それと同時にアームを力任せに引き剥がす。ビーズを踏み潰しながら足に力を向け、衝撃を殺す。机上から飛び降り、ポケットに手を突っ込む。

 

「よう、お前ら。オールドキングだ。IS学園にようこそ。歓迎しよう、盛大にな!」

 

高らかに宣言する。が、クロエ以外の全員が彼女が特別講師という事よりも窓が割られたことの衝撃の方が大きかった。完全に作戦失敗である。

 

「お母様。忘れ物。」

 

クロエが場の空気をぶち破って制服のポケットから多種多様なイヤホンを取り出す。

 

「クロエ、その呼び方はやめろ……っと、サンキュー。じゃあお前ら、席に着け。」

 

この場のほぼ全員が困惑したまま席に着く。

 

(オールドキングさん、頼みますよ?)

 

「お前らよく聞け。お前らは今からーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー人殺しになる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

「ISってのは現在単騎最強の兵器だ。兵器は人を殺す為に作られる。意味はわかるな?」

 

織斑一夏は驚いていた。突然窓を割って飛び込んできたのもそうだが、教壇に立ったかと思えば一番に「お前らは今から人殺し」などと言うのだ。その意味は彼のようなISに興味の無かった人でも分かる。

彼女は警告しているのだ。ISをファッション感覚で見るなと。現実を見ろと。

 

「ISを競技として見るのもいい。だが、現にISは戦争の兵器として使われている。それが製作者の意図に反していようがな。」

「で、でも私達は「そんなつもりはないと?じゃあ考えてみろ。武器を持つ者と持たざる者。どちらが危険だと思う?」

 

押し黙ってしまう。どう考えても前者だ。つまり、「ISという武器を一度でも使う以上、誰かに殺される危険だって0じゃない。」という事だ。

 

「お前は殺されそうになっているのに抵抗すらしないのか?つまりそういうことだ。整備に携わる者も同じ、武器を整備してるんだ。危険視されれば殺されもする。」

 

彼女は一拍置く。

 

「まあ、これはあくまで〝兵士としての〟理想論だ。学園に入ったら絶対人を殺さなければならないわけじゃない。……まだ三年間ある。各々の目指すもののために努力しろ。以上だ。」

 

彼女は教壇から降りる。と、同時にこちらを向く。

 

「一夏。お前は巻き込まれただけだがお前も同じだ。お前はISと言う名の戦争に巻き込まれた。必死に生き延びろ。分かったな?」

「う、うん。」

 

キーンコーンカーンコーン

 

チャイムが鳴り、SHRの終わりを告げる。クラスの半分程がホッとした顔をし、残りの半分は魂が抜けていた。

 

……やり過ぎたな、古王………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

その後一時限目の授業があり、それが終わると一夏の幼馴染ーーー篠ノ之箒が彼を連れ去っていった。それを知らないオールドキングは教室内でクロエと話し込んでいた。

 

「さっきのあいつ誰だったんだろうな?」

「多分、一夏の知り合い。」

「へぇー、じゃあもう惚れてるって言ってるようなもんだな。」

 

彼は歩く旗立師(フラグメイカー)だ。彼の魔の手にかかった女子は数知れず、その上彼は異常に鈍感なので、知らずに折ったフラグ達もそれと同様に数知れない。もうこいつホモなんじゃないかと思ってしまう程だ。

 

(ちなみにオールドキングさんもゲイヴンですよね。)

 

……すごい風評被害だな………涙出てきたわ………

 

「お母様。」

「だからその呼び方止めろって。どうした?」

 

黒と金の瞳が、彼女を真っ直ぐと見つめる。

 

「制服、改造したい。」

「どういう風に?」

「ドレスみたいに。」

 

クロエはドレスの様な服装を好む傾向がある。彼女は暮らしている間に人間味を増してゆき、普通の女の子の様に服や装飾品を欲しがるようになった。喋り方と好きな本が「年代記」というのが問題だが。

 

「一夏、家族。お母様も、家族。」

「ああ、そうだな。私達は家族だ。」

 

彼女は足に手を置き、ニコリと微笑む。その笑みは儚く、美しいーーー〝彼女〟を思い出させた。思わず胃から逆流する何かを感じ、口元を抑える。

 

「だ、大丈夫?」

 

クロエが両手をバタバタ振ってあたふたし始める。吐き気の収まりを感じ、ゆっくりと胸に手を当てる。元々白い顔が更に白くなり、彼女の具合が良くないことを知らせる。

 

「大丈夫だ、心配するな。」

 

そう言って頭を撫でる。まだ気持ち悪さは残っているが、少し休めば大丈夫だと判断した。

 

……こいつに心配をかける訳にはいかないからな…………

 

クロエはそれを唯々心配そうに見つめていた。





後書き=前書きってはっきry


いや、マジで、腰がやばいっす
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