【IS×AC】殺戮者の唄   作:AIthe

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はい、サブ主人公が決定されました。本当にありがとうござry

いやー、文才が………文才が…………


決意と覚悟を

「織斑君の鍵です、どうぞ。」

「あ、どうも。」

 

織斑一夏は山田先生から寮室の鍵を受け取った。しかし、彼の荷物はまだ届いておらず、今日は近くのホテルに泊まることになっている。

 

「因みに、俺の部屋番って幾つですか?」

「1025号室です。二人部屋なので、挨拶に行くのもいいかもしれません。」

「ええっ!?女子と同じ部屋なんですか!?」

「ひぃっ!!へ、部屋が足りなくて。」

 

彼にとって、女子と同じ部屋というのは複雑だ。一夏のドミナント的な意味ではすごく嬉しいが、理性的な意味では持つ気がしない。

 

……お経でも持ってくか…………

 

勿論〝あの〟一夏なので、理性とかあるのか、寧ろホモなんじゃないかもいう程に女子に反応しない。本当に女子が好きだとしたら、既に枯れているのかもしれない。

 

「じゃあ、今日はありがとうございました。」

「い、いえいえ、私は教師ですから。」

 

そう言って胸を張る。ご立派な胸が大きく揺れるのを見て、危うくドミナントがこんにちわしそうになる。

 

………やばいやばいお経を……仏説摩訶般若波羅蜜多心経………

 

お経を唱え、心を無にする。

 

「じゃ、じゃあ帰ります。」

「さようなら〜。」

 

山田先生と別れ、彼はホテルに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よお、一夏。」

 

校舎から出て、出会ってしまったのはオールドキング。何故かクロエをおんぶしており、首輪からはイヤホンが垂れ下がっている。

 

「イヤホン断線するぞ。それ特注なんだろ?」

「いや、これめちゃくちゃ頑丈だから。凄い高いんだぞ?これ。」

 

成人男性一人くらいは余裕で吊るせる程の耐久力があるらしい。最も、バカ高いお金を払ってまで、そんなイヤホンを欲しいとは思わないが。

 

「それより、何してんだ?」

「お前こそ何してんだ?」

「俺は荷物がないから今日はホテルに泊まるんだ。お前らは?」

 

苦い顔をするオールドキング。何か問題でもあったのかもしれない。

 

「鍵………をだな……」

「鍵がどうした?」

「クロエが食べた。」

「またかよ。」

 

話を聞くところ、織斑先生寮室の鍵を貰ったはいいが、失くさないようにしっかり持ってろと渡したら何時の間にか食べていたそうだ。前も、出かける用事があり、初めて織斑家の鍵を託した日に鍵を食べて帰ってきた。

 

「本当に大丈夫なんだよな?」

「胃の中のナノマシンが溶かしてくれるだろ。」

 

彼女の体液には様々なナノマシンが混ざっている。普通なら組み合わせられないようなものを無理矢理に詰め込んだりされている。ちなみに、彼女が何時もマイフォークを持ち歩いてるのはその為でもある。

 

「はじめてみたものは何でも食べるのか?」

「いや、尚且つ私からの説明がないと食べる。買ってやったフォークとかは食べないしな。」

 

どうやら条件があったらしい。今度クロエに何か買ってやることがあったら、オールドキングに説明してもらうことを決めたのであった。

 

「それより、部屋はどうするんだ?」

「今日は野宿だ。」

「いやいやそれはダメだろ。」

 

彼の心情的な問題で、女の子を野宿させる事など許せない。そこで出た結論がーーー

 

「(俺が泊まる予定の)ホテル泊まろう。」

「ホテルだぁ?随分と大胆な野郎だな、お前のドミナントへし折っていい?」

「話が噛み合ってない気がするんですが。」

 

勘違いさせる言い方をするのも彼の特徴である。一夏もげろと思っている人は多いだろう。多いはずだ(作者並感)。

 

「取り敢えず、千冬さんに相談してくるわ。」

「おう、野宿だけはするなよ?」

「分かってるって、んじゃ。」

 

こうして、彼のドキドキスクールライフの初日は幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

「oh,I'm scary♪」

 

(so I'm scary♪)

 

次の日の朝、オールドキングはノリノリで掃除をしていた。筋トレ用の重りを全身につけ、箒を持ち歩いている姿は少し滑稽である。

 

「all that I see♪」

 

(now,I'm scary♪)

 

しかし、時間が早く誰も起きていないのでその姿を見る者はいない。その為、心置きなく掃除ができるのだ。

 

「all is fantasy♪」

 

(all is fantasy♪)

 

イヤホンを外し、ポケットにしまう。彼女は明日からこの時間に掃除をすることを心に決めた。

 

(今日はオールドキングさんの初めての授業ですね。)

 

「ああ、しかも教室でだ。最悪だよ本当。」

 

彼女は実際の戦闘を教えるのは問題ないが、高次の理論的な話は得意ではない。最低限の理論の上に、経験を乗せていくのが彼女のスタイルだ。

 

「ま、何とかなるだろ。資料はお前が作ってくれるし。」

 

(え?ちょ、オールドキングさん!くおおおおおお!!!)

 

悶える首輪付きを無視し、両腕、両肩等に巻き付いた重りを外していく。少し柔軟をした後、箒に重りを取り付けて肩に担ぐ。

 

「さて、帰r………理事長ですか、何時からここに?」

「いやいや、わしはここで掃除をしていただけですよ?それにわしは清掃員です。」

「実質理事長が何を言ってるんですか。」

 

彼女の後ろにいたのは轡木十蔵(くつわぎじゅうぞう)、名目上はこの学園の清掃員だが、実質的には学園の理事長をやっている。見た所の年齢は初老といったところだ。

 

「それより、何で私をここ(IS学園)に入れてくれたんですか?」

「……自ら掃除を出来る人間に、悪い人はいません。」

「ハハッ…こりゃあ、一本取られました。」

 

彼女は可笑しそうに笑う。箒を壁に立てかけ、ポケットを弄る。中からメモリーの様な物を取り出し、彼に渡す。

 

「何のデータですか?」

「教育スケジュールから、教育システムの改善できる点を纏めてみました。本当は織斑先生に渡すつもりだったのですが。」

 

轡木十蔵は優しく笑う。

 

「貴女は本当に生徒想いですね。貴女の言った言葉、あれには衝撃を受けましたよ。」

「いえいえ、あれは事実を述べただけですし、改善点を纏めたのは自分が楽したいからですよ。」

 

二人はククッと笑う。

 

「また会いましょう。」

「ええ、また。」

 

二人は別れ、オールドキングは1025室に向かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

彼女が1025室に向かった理由、それは篠ノ之箒と二人だけの(・・・・・)空間を作るためだ。勿論百合的な意味ではなく、篠ノ之束の妹という駒に自分を信用させるためである。その為には、誰にも邪魔されない場所を作る必要があったのだ。

扉をノックする。

 

「は、はい。」

 

扉が開けられる。そこにはスウェット姿の彼女がいた。髪の毛は下ろしており、何時もとは違う印象だ。

 

「入ってもいいか?」

「う、うむ。」

 

どうやら返事はうむがデフォらしい。完全にガッシュである。

二つあるベットの空いている方に座る。箒がお茶を持ってきてくれたので、それを一口飲む。

後ろには、剣道のセットのようなものが置いてある。

 

「一夏の事だが……」

「いいいい一夏がどうした?」

 

(完全に黒じゃないですかやだー!!)

 

彼女の〝一夏〟の話になるの、この挙動不審な動きになるのはどうにかして欲しい。

 

「やっぱり好きなんだな?」

「すすすすす好き!?いや、そのだな、なんていうか……好きじゃないったら嘘になるというか……ゴニョゴニョ」

 

最後らへんはゴニョゴニョ言っていて聞き取れなかった。

 

「ハハハ!応援してるぞ。」

「あ、ありがとう。」

 

他人には素直にお礼を言うところが、箒的ツンデレの基本である。好きな人に木刀を振るうのは相当問題だが。

 

「本題に入ろう。お前は篠ノ之束の妹だな?」

 

その名前を聞いた途端、一気に怪訝そうな顔つきになる。

 

「……あの人は関係ない。」

 

………〝あの人〟ねえ……こりゃあ、いい手駒になりそうだ………

 

「私は、お前をどうこうするつもりはない。一つ、アドバイスをしに来ただけだ。」

「アドバイス?」

 

まだ、怪訝そうな顔つきを崩さない。警戒されているのがわかる。

 

 

「剣道……やってるんだよな?なら、俺の知り合いの話をしてやろう。」

 

彼女はラインアークの守護者ーーーアナトリアの傭兵と呼ばれた〝彼〟を思い出す。彼女は昔、リリアナ旅団という勢力を引き連れ、ラインアークに在住していた。時にはラインアークの防衛に当たったこともある。

酒の場で、彼が話してくれた、〝リンクス戦争〟の話を思い出しながら、ゆっくりと語り始める。

 

「アンジェーーー鴉殺しと呼ばれた剣豪がいた。彼女は強者との戦いを望み、その戦場での死を願った。」

「…………」

「彼女は言った。〝前を向かぬ者に、勝利はない〟と。」

「…………」

「彼女は強く、そして美しかった。何故だと思う?」

 

彼女は眉をピクリと動かす。

 

「私は、彼女は〝力〟を求め続け、貫き通したからだと思う。」

「………何故そんな話をした?」

 

オールドキングはニヤリと笑う。

 

「お前は、〝篠ノ之〟の名字しか見られず、〝箒〟という自分を見られることは少ない。違うか?」

「………そうだ。」

 

篠ノ之箒は要人保護プログラムにより、両親と引き離され、これまで暮らしてきた。常に国の監視がつき、周りは自分を〝篠ノ之束の妹〟としか見てもらえず、幼かった彼女にとって、辛い日々を送っていたのは事実だ。その中で、自分の支えにしていたのが剣というのもまた事実だ。

 

「悔しいか?」

「………勿論だ。」

「なら、強くなれ。誰よりも。」

「そんなこと、出来たらやっている!」

 

立ち上がり、自らの感情を露わにする。

 

「鴉殺しは、自分が劣勢でも笑っていたよ。〝過程は関係ない、最後に立ってさえいれば。〟とか言ってたな。」

 

ニヤニヤとしていた顔が、急に真面目なものになる。それを感じ取り、彼女も冷静になる。

 

「本当に強くなりたいのなら、彼女の様になりふり構わず戦って見せろ。」

 

オールドキングは続ける。

 

「目的の為に、手段を選ぶな。自らの全てを使い尽くしてまでも足掻き続けろ。」

 

右手を差し出す。

 

「お前は私よりも強くなれる。ずっと、ずっとな。その為に何を犠牲にしても惜しくないと思えるなら、そうするべきだ。たとえ、自らの姉を犠牲にしてでもな。」

 

最後の言葉に反応したのか、彼女の口元に邪悪な笑みが浮かぶ。

そして、その手を受け取るーーー受け取ってしまう。

 

「ようこそ、リリアナ旅団へ。」

「ああ、全てを壊し、焼き尽くすのみだ。」

 

此処に世界最悪の反動勢力が、たった今、結成された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

篠ノ之箒は驚いていた。首輪付きの少女の言葉に、その強さに。そしてーーー自分に。

 

………私は、今まで力に溺れてきた………

 

彼女は昔から〝強さ〟に、焦がれてきた。自らを叱咤する為の剣は、何時の間にか自らの傲慢になっていた。

 

………だが、これからは違う。

 

その傲慢も、今日で終わりだ。彼女は出会ってしまった。目標とするべき人に。彼女は知ってしまった。強さの意味を。

 

……私は、私自身の為に力を振るう。誰よりも強く、より強くなる為に。

 

彼女はその木刀を見やる。それを手に取り、膝に当てて圧し折る。そして、白い布に巻かれていた〝日本刀〟を取り出す。

 

……これを、振るう時が来たようだ………人を殺す覚悟を、全てを殺す覚悟を…………

 

それを引き抜く。青と銀の剣身に、朝日が照り返す。

 

………欲しいものは、力づくでも手に入れてみせる…………私は、私の為に…………

 

刀を後ろに構え、剣先を掴む。

そしてーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー髪をバッサリと切り落とした。

床に髪の毛が散乱する。肩ほどの長さまで切り落とされ、先程とは打って変わって冷たい金属の様な殺気を放った。

 

「……篠ノ之箒は死んだ。今、ここにいるのはーーー」

 

その言葉は、誰の耳にも届かなかった。

 

 

 




はい、闇落ちしましたー。

え?名前は何かって?
いやー何になったのかなー(棒)
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